自分 じぶん たちの楔 くさび になった曲 きょく
──「ゴジラvsコング」の日本 にっぽん 版 ばん 主題歌 しゅだいか となった「INTO THE DEEP」、めちゃくちゃカッコいい仕上 しあ がりでした。ゴジラ、コング、マンウィズが合 あ わさった映画 えいが のキービジュアルも最高 さいこう ですね。
ありがとうございます。モンスターたちがいろいろ渋滞 じゅうたい した感 かん じかもしれませんけど、パンチのあるビジュアルにしていただきました。個人 こじん 的 てき には、DJ Santa Monicaさんだけがちょっと斜 なな め向 む きに立 た っているのが謎 なぞ です(笑)。
──(笑)。Jean-Kenさんはもともと「ゴジラ」シリーズに対 たい する思 おも い入 い れが強 つよ かったとか。
そうなんですよ! どのシリーズを観 み たのか判別 はんべつ できないくらいタイトル数 すう がありますけど、けっこう観 み てます。特 とく に男 おとこ の子 こ はきっと、あの大 だい 怪獣 かいじゅう に人生 じんせい で一 いち 度 ど は興奮 こうふん してるんじゃないですかね。世界中 せかいじゅう で知 し られているキャラクターだし。「ゴジラ」という言葉 ことば 自体 じたい 、すごい名前 なまえ だなとずっと感 かん じてました。だって、GOD+ZILLAで「神 かみ の怪獣 かいじゅう 」ですから。そんな多大 ただい な影響 えいきょう 力 りょく を与 あた えてきた日本 にっぽん を代表 だいひょう するアイコンの作品 さくひん に自分 じぶん たちが音楽 おんがく として関 かか われるのは、本当 ほんとう に心 しん 躍 おど る光栄 こうえい なことでしたね。
──新型 しんがた コロナウイルスの影響 えいきょう で日本 にっぽん での劇場 げきじょう 公開 こうかい は延期 えんき になってしまいましたが、「ゴジラvsコング」の本編 ほんぺん はもうご覧 らん になったんですか?(※取材 しゅざい は5月 がつ 中旬 ちゅうじゅん に実施 じっし )
はい。自分 じぶん で言 い うのもなんですけど、実際 じっさい に観 み てみて今回 こんかい の映画 えいが に「INTO THE DEEP」は見事 みごと にハマってるなと思 おも いました。それは予告編 よこくへん をチェックしてもらえれば、かなり伝 つた わるんじゃないかなと。僕 ぼく は予告 よこく の時点 じてん で「すごくカッコいいな」「やってやったな!」とアガれたので。もちろん、マッチするものを作 つく りたくて書 か いたんですが、間違 まちが いない楽曲 がっきょく になったと画面 がめん で確認 かくにん できたときはシンプルにうれしかったですね。
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──ゴジラとコングの激闘 げきとう に張 は り合 あ える楽曲 がっきょく にはしたかったですよね。
そうですね。あと、こういったお話 はなし をいただくときはオリジナル版 ばん の楽曲 がっきょく がすでに存在 そんざい することが多 おお いんですよ。だから、どうしてもいろいろと比 くら べられたり、「日本 にっぽん 版 ばん 主題歌 しゅだいか はちょっとイメージが違 ちが うな」という意見 いけん もなくはないと思 おも うんです。でも、今回 こんかい はすべての「ゴジラ」「キングコング」ファンをうならせるものを作 つく りたかった。敵意 てきい があるとかじゃ全然 ぜんぜん ないですよ(笑)。本国 ほんごく の予告編 よこくへん ではヒップホップの曲 きょく (クリス・クラシックの「Here We Go」)が使 つか われていて、そっちもめちゃくちゃカッコいいんで。
──そのために意識 いしき したポイントというのは?
僕 ぼく が楽曲 がっきょく に込 こ めたかったのは、アクションどうのこうのよりも、このゴジラとコングという大 だい 怪獣 かいじゅう が放 はな つ得体 えたい の知 し れなさなんです。なので、攻撃 こうげき 的 てき なナンバーを作 つく りたい気持 きも ちは前提 ぜんてい にありつつ、無 む 暗 あん に蠢 うごめ く生物 せいぶつ たちのプライマルな恐怖 きょうふ 、畏敬 いけい のようなものを表現 ひょうげん した神秘 しんぴ 的 てき なナンバーにできればいいなって。劇 げき 中 ちゅう でもバトルシーンだけがメインじゃなくて、ゴジラとコングがなぜ実在 じつざい しているのか、いったいどこからやって来 き たのかみたいなところも触 ふ れられていて、物語 ものがたり の根幹 こんかん に関 かか わる部分 ぶぶん にもなっていたりするし。そことつながる曲 きょく にしたいなとは思 おも いました。
──「INTO THE DEEP」=「深淵 しんえん の中 なか へ」という曲 きょく タイトルも、そのあたりからヒントを得 え ているんですね。
ネタバレ防止 ぼうし で語 かた れませんが、なぜタイトルが「INTO THE DEEP」なのかは、映画 えいが をご覧 らん になっていただけたらわかるはずです。観 み てのお楽 たの しみですね。音楽 おんがく 的 てき なことで言 い うなら、MAN WITH A MISSIONはロックを基調 きちょう に、ポップ寄 よ りの楽曲 がっきょく も作 つく ったりと、多 た ジャンルにわたるスタイルが持 も ち味 あじ なんですけど、その中 なか でもデジタルなロックとオーガニックなロックの融合 ゆうごう は大 おお きな強 つよ みだと思 おも っていて。それを主軸 しゅじく として、新 あたら しい深 ふか いゾーンへ行 い けたらという願 ねが いがありましたね。
──確 たし かに「INTO THE DEEP」のサウンドは、マンウィズがまた次 つぎ のフェーズに移 うつ った印象 いんしょう を受 う けました。特 とく に、伝説 でんせつ 的 てき な怪獣 かいじゅう の目覚 めざ めをイメージさせる地鳴 じな りのような低音 ていおん が響 ひび くオープニングから、4つ打 う ちのダンサブルなビートが入 はい ってきて、スムーズに加速 かそく していくまでの流 なが れが絶妙 ぜつみょう で。
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うれしいです。ロックの熱 あつ さを詰 つ めつつも、DJがかけるようなトラックミュージックとしてもすごく洗練 せんれん された楽曲 がっきょく に仕上 しあ げたいと思 おも っていたんですよ。ロックというジャンルはこの10年間 ねんかん でも大 おお きく変遷 へんせん を遂 と げていて、メインストリームで流 なが れるロックミュージックも以前 いぜん とはだいぶ異 こと なるものになってきたんですね。そんな中 なか 、僕 ぼく らがもっとも影響 えいきょう を受 う けた90年代 ねんだい のエッセンスを継承 けいしょう したうえで、2020年代 ねんだい に聴 き いたときにより洗練 せんれん もされているアプローチはなんだろうって。これに関 かん してはずっと悩 なや みながら答 こた えを出 だ し続 つづ けてきましたけど、「INTO THE DEEP」ではかなり合点 がてん がいく一手 いって を打 う てたんです。
──それこそ、今 いま 作 さく のアレンジも手 て がけている中野 なかの 雅之 まさゆき (BOOM BOOM SATELLITES、THE SPELLBOUND)さんと初 はつ タッグを組 く んだ「Hey Now」のときのような?(参照 さんしょう :MAN WITH A MISSION「MAN WITH A "BEST" MISSION」インタビュー )
そうそう。なんなら合点 がてん どころかものすごく手応 てごた えを感 かん じる、自分 じぶん たちの楔 くさび になった曲 きょく だと思 おも いますね。ある意味 いみ 、ロックバンドの未来 みらい を指 さ し示 しめ すような。このシングルの中 なか にも「Dark Crow」のリミックスを入 い れてますけど、ロックバンドがどれだけジャンルをクロスオーバーできるのかは僕 ぼく らの憧 あこが れや狙 ねら いだったりするんです。今回 こんかい は1つの楽曲 がっきょく においてうまく混 ま ぜられた気 き がします。
──パーカッシブでトライバルなノリが効 き いたアレンジもいいですね。
さっきも話 はなし に出 で ましたけど、この怪獣 かいじゅう たちがどこから生 う まれてきたのかという描写 びょうしゃ もあるので、生命 せいめい の根源 こんげん を彷彿 ほうふつ とさせるようなサウンドの要素 ようそ は絶対 ぜったい に必要 ひつよう だし、効果 こうか 的 てき だろうなと思 おも ったんです。デモの段階 だんかい で入 はい っていた音 おと ネタですね、あのパーカッションは。ビートの中 なか で対比 たいひ するコンガだったり、アフリカの打楽器 だがっき とデジタルの4つ打 う ちの鼓動 こどう 感 かん がマッチして、イメージしていた理想 りそう のアレンジになりました。
──大 だい サビのあたりでは、不協和音 ふきょうわおん っぽいピアノが際立 きわだ っています。
あのピアノは中野 なかの さんにご助力 じょりょく いただきました。序盤 じょばん の流 なが れを経 へ て、ここで改 あらた めて畏怖 いふ と神秘 しんぴ を表現 ひょうげん したかったんです。普通 ふつう のきれいなメロディだと怖 こわ さがなくなっちゃうなと悩 なや んでいたところ、「こういうの、どうかな?」と提案 ていあん してくださって。単 たん 旋律 せんりつ なのにとても心 しん に響 ひび く、怪 あや しげなものを浮 う きたせるような音 おと の並 なら びになっていて、曲 きょく 全体 ぜんたい をキュッと締 し めてくれています。中野 なかの さんとのやり取 と りでは、ピアノの音 おと 入 い れやビートの整理 せいり とかは多少 たしょう あったけど、自分 じぶん が狙 ねら って持 も っていったデモにすごく共感 きょうかん してもらえて、「そのままでも全然 ぜんぜん カッコいいですよ」と言 い ってもらえたのもうれしかったですね。
──映画 えいが のプロデューサーや監督 かんとく も、マンウィズの楽曲 がっきょく に絶賛 ぜっさん のコメントを寄 よ せてましたね(参照 さんしょう :マンウィズ新曲 しんきょく が「ゴジラvsコング」日本 にっぽん 版 ばん 主題歌 しゅだいか に「エグイグライカッコイイゾ」 )。
いやー、ありがたいです! 海外 かいがい からのそういった声 こえ も。なんだったら、ぜひ日本 にっぽん 版 ばん 主題歌 しゅだいか 以外 いがい でもガンガン使 つか ってほしいくらいですよ(笑)。
本当 ほんとう のドラマ
──2曲 きょく 目 め の「Perfect Clarity」は映画 えいが 「ヒノマルソウル ~舞台裏 ぶたいうら の英雄 えいゆう たち~」の挿入歌 そうにゅうか ということで、こちらも書 か き下 お ろしになるんですか?
曲 きょく のアイデアは以前 いぜん からありましたね。タイアップの話 はなし が決 き まったあと、特 とく に歌詞 かし が物語 ものがたり としっかりリンクするようなタッチに仕上 しあ がりました。静 しず かなバラードというよりも力強 ちからづよ いメッセージを込 こ めたバラードになったのは、実際 じっさい に本編 ほんぺん を拝見 はいけん させていただいたのが大 おお きいかな。映画 えいが のテーマが素晴 すば らしかったんですよ。この映画 えいが では長野 ながの オリンピックで金 きん メダルを獲 え ったスキージャンパーの方々 かたがた ではなく、その舞台裏 ぶたいうら のテストジャンパーたちが抱 だ いていた心 しん の葛藤 かっとう が描 えが かれているんです。スポットライトを浴 あ びていない側 がわ に着目 ちゃくもく したストーリーは、僕 ぼく ら自身 じしん どうしてもグッときてしまう切 き り口 くち で……!
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──というと?
すごくシンパシーを感 かん じられる内容 ないよう なんです。バンドマンで言 い ったら、自分 じぶん たちが脚光 きゃっこう を浴 あ びるライブのステージはやっぱりきらびやかだし、そこに立 た っている瞬間 しゅんかん はめっちゃまぶしく見 み えると思 おも うんですけど、本当 ほんとう のドラマって実 じつ は泥水 どろみず をすするような裏 うら の場面 ばめん で起 お こっている気 き がするんですよね。人 ひと がもがいて葛藤 かっとう している場面 ばめん に一番 いちばん 心 しん を打 う たれるところがあるので、イメージを重 かさ ね合 あ わせやすかった。映画 えいが のテーマに強 つよ く触発 しょくはつ されて、主人公 しゅじんこう の心情 しんじょう をそのまま表 あら わしたかのような歌詞 かし に仕上 しあ がっていきました。
──絡 から まっていた感情 かんじょう がスーッとほどけていくような印象 いんしょう の曲 きょく でした。
主人公 しゅじんこう (田中 たなか 圭 けい が演 えん じるスキージャンパー西方 にしかた 仁 ひとし 也)には、長野 ながの の前 まえ のリレハンメルオリンピックにおいて仲間 なかま の失敗 しっぱい で金 きん メダルを逃 のが した過去 かこ があって。そして、敗北 はいぼく からの雪辱 せつじょく を誓 ちか って日々 ひび 練習 れんしゅう に励 はげ んでいたにもかかわらず、今度 こんど は自分 じぶん だけが代表 だいひょう 落 お ちしてしまうんですね。い方 いかた は悪 わる いかもしれないですが、大 おお きな挫折 ざせつ や嫉妬 しっと によってかなり汚 よご れた心持 こころも ちにさえなったと思 おも います。だけど、それでも彼 かれ がもう一度 いちど 覚悟 かくご を決 き めて、すべてを取 と っぱらってみせたときに感 かん じた境地 きょうち というか。「Perfect Clarity」=「完全 かんぜん に透明 とうめい な世界 せかい 」とは、彼 かれ の心 しん の中 なか を指 さ しているんです。
──この曲 きょく では、草間 くさま 敬 たかし さんがアレンジに参加 さんか しています。
中野 なかの さんと同様 どうよう 、草間 くさま さんもこれまで何 なん 度 ど かご一緒 いっしょ させてもらってます。THE MAD CAPSULE MARKETSやAA=などの制作 せいさく に携 たずさ わってこられたアレンジャーさんなので、激 はげ しいサウンドの印象 いんしょう が強 つよ いかもしれないんですけど、シンセサイザーの使 つか い方 かた が曲調 きょくちょう を問 と わずものすごくうまいんですよ。冒頭 ぼうとう のオルガンの音色 ねいろ 然 しか り、「Perfect Clarity」のようなバラードに対 たい してのアプローチもさすがで、こういった美 うつく しい楽曲 がっきょく を草間 くさま さんと作 つく れたのは新鮮 しんせん でした。