レーベルメイト・オレスパ×クボタカイの出会であい

──オレンジスパイニクラブとクボタさんは同おなじワーナーミュージック・ジャパン所属しょぞくですが、初はじめて会あったのはいつ頃ごろでしたか？

スズキユウスケ（Vo, G / オレンジスパイニクラブ）　カイくんと俺おれは「OPEN MIC by JIM BEAM」というYouTube番組ばんぐみで会あったんですよ。

クボタカイ　そうでしたね。

ユウスケ　カイくんの「せいかつ」という曲きょくを2人ふたりで弾ひき語がたりして。それがきっかけで仲なかよくなっていきました。動画どうがはまだ残のこっていると思おもうから、ぜひみんなにも観みてもらいたいです。あの日ひが初対面しょたいめんで、事前じぜんに一緒いっしょに練習れんしゅうすることもできず、30～40分ふん前まえにちょっと合あわせてからすぐに本番ほんばん、という感かんじだったんですよ。スタッフさんに「2人ふたりで自然しぜんに話はなしているような雰囲気ふんいきで入はいってきてください」と言いわれたんですけど、初対面しょたいめんだからすごく緊張きんちょうして。

スズキナオト（G, Cho / オレンジスパイニクラブ）　そうだったんだ。ユウスケが話はなしてるときにカイくんが「『せいかつ』って曲きょくを～」って遮さえぎるのがめちゃめちゃ面白おもしろかったんだよね（笑）。

クボタ　そうでしたっけ？ はじめましてだったから、会話かいわがちょっとたどたどしかったのかも（笑）。

ユウスケ　お互たがい探さぐり探さぐりだったからね。

クボタ　だけど話はなしながら、ユウスケさんはすごく素敵すてきな人柄ひとがらをされているなと思おもって。自分じぶんの曲きょくを一緒いっしょに歌うたったときも歌うたい手てによってこうも歌詞かしの表情ひょうじょうが変かわるんだと感銘かんめいを受うけました。

ユウスケ　僕ぼくにとっても貴重きちょうな経験けいけんでしたね。当日とうじつまでの間あいだ、「せいかつ」の音源おんげんを繰くり返かえし聴きいて1人ひとりで練習れんしゅうしていたんですけど、俺おれに書かけない歌詞かしだなと思おもって。キーもオレスパの曲きょくに比くらべると低ひくいので、「俺おれってこういう歌うたも歌うたえるんだ」という新あたらしい発見はっけんがありました。そこからカイくんのほかの曲きょくもさかのぼって聴きくようになって。

ナオト　その時期じき、僕ぼくらはちょうどレコーディング期間きかんで、合間あいまにユウスケが練習れんしゅうしているのを聴ききながら、メンバー間あいだで「めっちゃいい曲きょくじゃん」みたいな話はなしをしていたんですよ。

クボタ　へえ！ うれしいです。

ナオト　だから2人ふたりの弾ひき語がたりの動画どうがを観みたときは「いい曲きょくだな」と改あらためて思おもいつつ……不思議ふしぎな気持きもちにもなりましたね。ユウスケが自分じぶんのバンドじゃないところで歌うたっている姿すがたを見みていると、取とられた感かんじがするというか。

ゆっきー（B, Cho / オレンジスパイニクラブ）　「俺おれのお兄にいちゃんが」って？

ナオト　そう。いい表情ひょうじょうを引ひき出だせられると、すごく悔くやしかったです。

クボタ　それはすみません……。

ナオト　いやいや！ 悔くやしくなったのは、いいコラボだったからこそだと思おもうので。

ゆっきー　僕ぼくはあの映像えいぞうを観みて「クボタカイくんって、すごく歌うたがうまいんだな」と思おもいました。

クボタ　えー、ありがとうございます！

自分じぶんにない色いろを持もったバンドとコラボしたい

ゆりと（Dr / オレンジスパイニクラブ）　僕ぼくはYouTubeでクボタくんのフリースタイルバトルの動画どうがをよく観みてたから、「すごい子こなんだな」という印象いんしょうをもともと持もっていて。ラッパーだけどバンドも好すきということで、僕ぼくらとそんなに遠とおくない感かんじがするんですよね。

クボタ　プレイヤーとしての原点げんてんはヒップホップやラップですけど、高校こうこう時代じだいからいち音楽おんがくリスナーとしてバンドが好すきだったんです。なので、ステージに立たち始はじめた頃ころから「いずれはバンドを背負せおってライブをしたい」という気持きもちがあって。最近さいきんは自分じぶんでアコースティックギターを弾ひきつつ、バンドを背負せおいながらライブをするスタイルに移行いこうしているところです。それで今回こんかい、自分じぶんにはない色いろを持もったバンドとコラボしたいなと思おもって、オレンジスパイニクラブさんにお声こえがけさせていただきました。

ゆりと　なるほど、そうだったんですね。

クボタ　オレスパの楽曲がっきょくは前まえからよく聴きかせていただいていたんですよ。地元じもとの友達ともだちと「キンモクセイ」をカラオケで歌うたったりもしてたし。男おとこばっかで、お酒さけも入はいりつつ、マイク持もってないヤツもみんな歌うたう、みたいな。

ゆっきー　いいですねー。

ユウスケ　僕ぼくらは今いままでコラボやフィーチャリングを一切いっさいやってこなかった。だからカイくんから誘さそってもらった時点じてんでは、どんな曲きょくができるのか全然ぜんぜん想像そうぞうつかなかったけど、何なによりも「うれしい」「楽たのしみだな」という気持きもちでしたね。

クボタカイ VS スズキ兄弟きょうだいのフリースタイルバトル

──クボタさんの中なかには「オレンジスパイニクラブと一緒いっしょに作つくるならこんな曲きょく」というイメージはあったんですか？

クボタ　「アコギの音おとが聴きこえていたらいいな」とざっくり思おもっていたけど、あんまりイメージは固かためていなかったですね。

ユウスケ　どんな曲きょくを書かくか、最初さいしょは何なにも決きまってなかったよね？

ナオト　うん。初はじめに「軽かるくごはんを食たべながら話はなそうか」という感かんじで、ゆるく打うち合あわせをしたんですよ。ユウスケ以外いがいのメンバーはその日ひ初はじめてカイくんに会あったんですけど、「こんな曲きょくがいいかな」と話はなしているときに「パーティを抜ぬけ出だす」というワードが出でてきて。そこから僕ぼくが曲きょくを書かき始はじめました。

クボタ　その日ひ、スズキ兄弟きょうだいと僕ぼくの2対たい1でフリースタイルバトルをしたんですよ。

ナオト　僕ぼくも一時期いちじき、MCバトルをやろうとしてた時期じきがあったから、クボタくんにお願ねがいして（笑）。

ユウスケ　MCネーム、なんだったっけ？

ナオト　リンダという名前なまえで、渋谷しぶやでやってるとあるMCバトルの予選よせんに応募おうぼして。

クボタ　ガチじゃないですか（笑）。

ナオト　だから少すこしは自信じしんがあったんです。でもやっぱりちょっとハンデが欲ほしいから、「俺おれたち兄弟きょうだいと2対たい1でやってくれよ」とお願ねがいして。結果けっかは……まあ、ボッコボコにされました（笑）。

ユウスケ　完膚かんぷなきまでにやられて深ふかく傷付きずつけいた（笑）。

クボタ　でも、あのバトルはお互たがいにちょっと優やさしかったですよね。これからコラボするから相手あいてをディスりづらいっていう（笑）。

ユウスケ　確たしかに（笑）。

クボタ　よかったですよね、あの日ひの空気くうき感かん。僕ぼく、音楽おんがく的てきにもパーソナル的てきにも“お兄にいさん”みたいな人ひとがあんまりいないんですよ。一人ひとりっ子こだし、音楽おんがく的てきに近ちかい先輩せんぱいとかもいなかったし。だけどオレスパの皆みなさんと話はなしているときは、地元じもとでずっと一緒いっしょに過すごしてきたような安心あんしん感かんがある。男おとこ同士どうしだからこそのノリみたいなものを曲きょくにしたいなと、初はじめて5人にんで集あつまった日ひを経へて思おもいました。

5人にんでいるときの雰囲気ふんいきを楽曲がっきょくに

ナオト　僕ぼくも「この5人にんでいるときの雰囲気ふんいきを曲きょくにできたら」という気持きもちはありました。「Step!!!!!」のビックリマークが5個こなのも、この5人にんを表あらわしていて。ビックリマークはどうしても5個こ付つけたかったし、5人にんでわちゃわちゃやっている感かんじを曲きょくにしたかった。最近さいきんの僕ぼくらの曲きょくでは同期どうきを入いれることも多おおいんですけど、今回こんかいはあえて入いれずに自分じぶんたちだけの音おとで完結かんけつさせていて。程ほどよいチープさというか、この5人にんでのパーティ感かんを大事だいじにしました。さっきも言いった通とおり、最初さいしょは「パーティを抜ぬけ出だす」というイメージがあったんですけど、制作せいさくを進すすめるうちに「僕ぼくたち5人にんのマドンナ的てき存在そんざいが結婚けっこんしてしまう」というストーリーが浮うかんできて。作詞さくしはカイくんとユウスケなので、プリプロ中ちゅうに2人ふたりにそのイメージを伝つたえて歌詞かしを書かいてもらうという流ながれでした。

ゆっきー　演奏えんそうに関かんしては、コラボだからこうするみたいなことは特とくになくて。曲きょくができあがった時点じてんでは歌詞かしはなかったし、いつも通とおり、オレスパでやっているようにやりました。

ゆりと　こないだフジロック（「FUJI ROCK FESTIVAL」）があったじゃないですか。レコーディングのときにエンジニアさんと「キング・クルールのバックでドラムを叩たたいている人ひとの空気くうき感かんいいよね」と盛もり上あがって、「あのドラムを目指めざそう」という話はなしになったことは覚おぼえてます。その結果けっか、派手はでさはないけどサウンド全体ぜんたいを支ささえるようなプレイができたんじゃないかと。あとさっき「僕ぼくたち5人にんのマドンナが」と言いってましたけど、メンバー同士どうしでマドンナを取とり合あうとなると、ドラマーの場合ばあい、手てぐらいしかつなげないんだろうなって思おもうんですよ。あんまり目立めだつ立たち位置いちではないので。

ナオト　何なにその考かんがえ方かた（笑）。

ゆりと　できあがった音源おんげんを聴きいてみたら、本当ほんとうにそういう立たち位置いちにいるなと思おもって。自分じぶんのカラーも出でていると思おもうし、「手てぐらいはつながせてもらいますよ」みたいな（笑）。そういう意味いみでもいいアプローチができた手応てごたえがあります。

オレスパとクボタカイ、それぞれの音おと

──クボタさんが最初さいしょにイメージしていたというアコギの音色ねいろも効きいていますね。

クボタ　僕ぼくがライブでいつも弾ひいているアコギなんですけど、レコーディングで使つかったのは今回こんかいが初はじめてでした。

ナオト　僕ぼくが弾ひいちゃったんですけどね。なんかごめん（笑）。

クボタ　いやいや。

ナオト　音おとがめちゃくちゃよかったんですよ。売うってほしいと思おもったくらい。

クボタ　でも僕ぼくからすると、普段ふだん弾ひいているギターから自分じぶんの知しらない音おとが出でるなんて悔くやしいですよ。ナオトさんのように、僕ぼくよりギターのうまい人ひとの手てにかかればめっちゃいい音おとが出でるなんて……恋人こいびとに嫉妬しっとするような感覚かんかくですよね。「幼馴染おさななじみといるときはそんな表情ひょうじょうするんだ。恋人こいびとは僕ぼくなのに」みたいな。

ユウスケ　さっきの逆ぎゃくだ（笑）。僕ぼくは今回こんかいのレコーディングで、カイくんがいつも使つかっているマイクを使つかわせてもらいました。

クボタ　ユウスケさんが普段ふだん使つかっているマイクと2つ並ならべて、どっちがいいか、お互たがいに歌うたって決きめて。

ユウスケ　最終さいしゅう的てきに僕ぼくがカイくんのマイクで歌うたうことになったんですけど、そしたら声こえが柔やわらかい雰囲気ふんいきになって。カイくんになれた気分きぶんでうれしかったです。

クボタ　僕ぼくも同おなじこと思おもいましたよ。ユウスケさんのマイクだと、やっぱりオレスパの音おとがする。ザラッとした、心しんが落おち着つくような音おとですよね。

ユウスケ　そういう違ちがいがわかったのが新鮮しんせんで楽たのしかったです。