表現ひょうげんしたいサウンドを臆おくさず鳴ならしていくことがロック

──メンバーのお三さん方ぽうは、京都きょうとの同おなじ大学だいがくに通かよっていたそうですね。ギターボーカルの佐々木ささきさんは1人ひとりで音楽おんがく活動かつどうをしていた時期じきもあったそうですが、もう一度いちど本気ほんきで始はじめるなら、やはりバンドがいいという思おもいがあったのでしょうか？

佐々木ささき想そう（Vo,G）　そうですね。バンドが一番いちばん好すきだし、バンドで成功せいこうしたいとずっと思おもっています。僕ぼくがバンドをやる理由りゆうは、メンバーと楽器がっきを持もち寄よって一緒いっしょに音おとを鳴ならす瞬間しゅんかんが好すきだから。楽屋がくやで1人ひとりにならなくて済すむというのもありますけど（笑）。

──タカトマンさんは大学だいがく1年生ねんせいの頃ころから佐々木ささきさんに「一緒いっしょにバンドをやりたい」と声こえをかけ続つづけていたものの、佐々木ささきさんから断ことわられ続つづけていたそうですね。

タカトマン（Dr）　僕ぼくらは大学だいがく4年間ねんかん部活ぶかつで一緒いっしょだったんですけど、1年生ねんせいのときに初はじめて彼かれの歌声うたごえを聴きいて、バンドに誘いざなおうと思おもい立たったんです。だけど何なん回かい誘さそっても断ことわられてしまい……。僕ぼく自身じしんにも「もっとうまくならなきゃ」という自覚じかくがあり、「自分じぶんのレベルじゃ、佐々木ささきに追おいつけていない」という思おもいをずっと持もち続つづけていました。

佐々木ささき　断ことわったのは一緒いっしょにバンドをやりたくなかったからじゃなくて、僕ぼく自身じしんが音楽おんがくに対たいして前向まえむきになれていなかったからなんですけどね。あの時期じきは誰だれに誘さそわれても断ことわっていたと思おもう。だからもう一度いちどバンドをやろうと思おもったとき、最初さいしょにタカトマンを誘さそいました。それはずっとオファーしてくれていたからでもあるけど、「一緒いっしょにやるならこの人ひとだ」という直感ちょっかんが働はたらいて。

タカトマン　誘さそってもらえたときは感極かんきわまって、めっちゃ泣なきました（笑）。

──ふくながさんはお二に人にんより2歳さい年上としうえなんですよね。

佐々木ささき　同おなじ部活ぶかつの先輩せんぱいだったんです。なぜ誘さそったのかというと……やっぱり直感ちょっかんとしか説明せつめいができないな。ステージに立たったときの雰囲気ふんいきが素晴すばらしいんですよね。

ふくながまさき（B）　この2人ふたりとバンドしたいなという気持きもちはもともとあったので、誘さそってもらえてうれしかったです。

──シャイトープは昨年さくねん発表はっぴょうした「ランデヴー」のヒットをきっかけに、音楽おんがく番組ばんぐみやフェスなどいろいろな場ばに出でて行いく機会きかいが増ふえたと思おもいます。「自分じぶんたちのこんな姿すがたを見みせたい」「ライブを観みた人ひとや曲きょくを聴きいた人ひとにこんなことを感かんじてほしい」など、何なにか意識いしきしていることはありますか？

佐々木ささき　僕ぼくたちはまだまだ経験けいけんが浅あさく、ニューカマーと呼よばれる立場たちばなので、「とにかく自分じぶんたちのことを知しってもらいたい」という気持きもちが強つよくあります。そしてできれば自分じぶんたちのなりたい姿すがた、思おもい描えがく姿すがたをそのまま伝つたえたい。言葉ことばを大事だいじにしているし、ちゃんとロックバンドだし、というところが伝つたわっていたらうれしいですね。

タカトマン　ロックバンドらしさという面めんで言いうと、3人にんの鳴ならす音おとだけで成なり立たっているということを強つよく押おし出だしていきたいと思おもっていて。あと、「ランデヴー」のようなバラードだけではなく、アッパーなナンバーもしっかり届とどけていきたいです。

佐々木ささき　だからこそ「CDTVライブ！ライブ！」に出演しゅつえんさせてもらったときも、「ランデヴー」をやった次つぎの週しゅうに「Burn!!」を披露ひろうしました。

──ではマインド面めんはどうでしょう？ 「ロックバンドとしてこうありたい」「こういうことをしたら、ロックバンドではなくなってしまう気きがする」といったこだわりはありますか？

タカトマン　難むずかしい……。ちゃんと考かんがえたことはなかったですね。だけど今いま聞きかれて、「置おきに行いかない」ということなのかなと僕ぼく個人こじんとしては思おもいました。なんでもかんでも「売うれてる音楽おんがくがこうだから」と考かんがえるんじゃなくて、挑戦ちょうせん的てきなことももちろんしたいので。今こん自分じぶんたちが表現ひょうげんしたいサウンドを臆おくさず鳴ならしていくことがロックなんじゃないかと。ドラムに関かんしても、新あたらしいリズムパターンや「これ面白おもしろいな」と思おもったことにちゃんと挑戦ちょうせんできる心しんは常つねに持もっていたいです。

佐々木ささき　いや、本当ほんとうにその通とおりで。大おおきな音おとを出だすだけがロックではないと思おもうし、「やりたいようにやる」ということなんじゃないでしょうか。自分じぶんから出でた嘘うそのない言葉ことばやメロディを紡つむいでいって、自分じぶんたちのやりたいように音おとを出だせば、ちゃんとロックバンドになる。

ふくなが　「ランデヴー」がたくさんの人ひとに届とどいたことで、ライブ会場かいじょうの規模きぼが大おおきくなったり、そういう変化へんかはありましたけど、やりたい音楽おんがくをただ作つくっているという意味いみではずっと変かわっていないし、たぶんこれからも変かわらないと思おもいます。3人にんでスタジオに入はいったときの雰囲気ふんいきとかも、この2年間ねんかんずっと変かわらない。

──「また似にたような曲きょくでヒットを」という気持きもちが湧わいてきたり、焦あせったりすることもないですか？

佐々木ささき　はい。ただ、別べつの意味いみでちょっと危機きき感かんを覚おぼえているところはあります。「ランデヴー」も自分じぶんたちらしくて好すきな曲きょくなんですが、僕ぼくたちはアッパーな曲きょくもやるし、別べつの面めんも持もっているので。1つの側面そくめんだけを見みて「こういうバンドでしょ」と決きめつけられると正直しょうじき癪しゃくだし、悔くやしい気持きもちもあるんですよ。だけど今いまの自分じぶんたちならそう思おもわれてもしょうがない。「もっと広ひろまるような曲きょくを作つくりたい」「作つくらなきゃ」という葛藤かっとうはずっとありますね。

──今回こんかいのメジャーデビューをきっかけに、シャイトープの音楽おんがくはますます広ひろまっていくと思おもいます。以前いぜんから「メジャーデビューしたい」という思おもいがあったのでしょうか？

佐々木ささき　 ありました。メジャーデビューするということは、たくさんの人ひとたちにバンドの名前なまえや曲きょくが広ひろまるということだと思おもっていて。王道おうどうで、メインストリームで戦たたかっていきたいとずっと考かんがえていたんです。メジャーデビュー発表はっぴょうのときのコメントに「高たかみを目指めざしたい」と書かいた通とおり、ハングリー精神せいしんはちゃんと持もっていたいですね（参照さんしょう：シャイトープがEPICレコードジャパンからメジャーデビュー）。

光ひかりみたいなバンドthe paddlesとの対たいバン

──では、シングルの収録しゅうろく曲きょくについて聞きかせてください。表題ひょうだい曲きょく「ヒカリアウ」はメジャー1stシングルにふさわしい疾走しっそう感かんあふれる曲きょくですね。

佐々木ささき　メジャーで初はじめて出だすシングルということで、「どんな曲きょくがいいんだろう？」とめちゃめちゃ考かんがえたものの、わからなくて悶々もんもんとしていたんですよ。だけど今いま書かくべきことが浮うかんできたタイミングがあったんです。

──何なにかきっかけがあったんでしょうか？

佐々木ささき　4月がつにthe paddlesと対たいバンしたとき、涙なみだが出でるほど心しんを動うごかされたんです。その日ひの夜よる、家いえに帰かえったら「ヒカリアウ」のAメロが浮うかんできて。自分じぶんはずっとthe paddlesのことを「光ひかりみたいなバンド」だと思おもっていたので、今いま振ふり返かえると彼かれらのライブにヒントをもらったんじゃないかな。もちろん、the paddlesのことを書かいたということではなくて、歌詞かしにある「光ひかり」は人ひとそれぞれ、いろいろなものに当あてはまると思おもいます。

──ふくながさん、タカトマンさんにはどのタイミングで曲きょくを共有きょうゆうしましたか？

佐々木ささき　最初さいしょに送おくったときは、歌詞かしは全然ぜんぜんできていなかったですね。歌詞かしに関かんしては、最後さいごまでああでもないこうでもないとやりたいタイプなので、最初さいしょに送おくるときはいつも仮かり歌詞かしか、鼻歌はなうたのことが多おおいです。サビのメロディもまったく違ちがうものでした。ワンコーラス作つくっては「やっぱり変かえる」と言いって、また変かえて……みたいなことをずっとやっていました。

ふくなが　だけど1番ばんのAメロ、Bメロの歌詞かしは最初さいしょからあったので、メインで伝つたえたいのはそこなのかなと自分じぶんなりに感かんじていました。

──「こんな暗くらい場所ばしょにも 目めを瞑つぶっても分わかる光ひかりがある いつか君くんに貰もらった 呼吸こきゅうの仕方しかたでまだ明日あしたを見みてる」「生いきる理由りゆうというよりも 死しねない理由りゆうを探さがす そんな僕ぼくだった そんな僕ぼくを君きみは照てらしていた」というところですね。

タカトマン　自分じぶんは曲きょくを何なん度ども聴きいていくうちに、まばゆい光ひかりとか、パーッと開あけたようなイメージが湧わいてきて。「光ひかり」「昇華しょうか」といったワードを頭あたまに浮うかべつつ、「ここで聴きいた人ひとに光ひかりを感かんじてほしいな」「じゃあドラムでどう表現ひょうげんしよう？」というふうに考かんがえていきました。

ふくなが　スタジオでの演奏えんそうを重かさねるたびに歌詞かしもちょっとずつ増ふえていったので、それに合あわせてベースラインも増ふえて、アレンジも固かたまっていきました。