我慢がまんせず言いいたいことを言いった結果けっか

──音楽おんがくナタリーのインタビューは昨年さくねん7月がつの1stアルバム「2020 Rising Sun」リリース時じ以来いらい、1年ねんぶりの登場とうじょうとなります（参照さんしょう：湾岸わんがんの羊ひつじ～Sheep living on the edge～ 1stアルバム「2020 Rising Sun」特集とくしゅう）。その後ご、10月に東京とうきょうキネマ倶楽部くらぶでのワンマンライブ、年越としこしイベント「50+1 New Year Rock Festival 2023-2024」、今年ことし4月がつにはYouTube公式こうしきチャンネルでの無料むりょう配信はいしんライブ「歌舞伎町かぶきちょうアンプラグド」もありました。「歌舞伎町かぶきちょうアンプラグド」ではホストの売掛うりかけ問題もんだいやそれに伴ともなう人身じんしん売買ばいばいについて取とり上あげ、そういった問題もんだいが頻発ひんぱつしている新宿しんじゅく歌舞伎町かぶきちょうでライブやデモンストレーションを行おこないました。まずはこの1年ねんを振ふり返かえっての思おもいを聞きかせていただけますか？

HIRØ（MC）　やっぱりアルバム「2020 Rising Sun」を出だしてから、すごくバンドらしくなってきましたね。

REDZ（Vo, G）　うん。メンバーのキャラクターが際立きわだってきたり、絆きずなが強つよくなってきたり、すごく感かんじるね。

HIRØ　今年ことしの頭あたまに“焚たき火びトーク”をやって本当ほんとうによかったなと思おもってるんです。メンバーと長ながい時間じかんを過すごした2023年ねんを経へて、みんなで集あつまって火ひを囲かこみながら「どうだった？」と話はなして。そこで話題わだいに上のぼったホストの売掛うりかけ問題もんだいの話はなしが「歌舞伎町かぶきちょうアンプラグド」につながりました。ツアーの話はなしも出でて、実現じつげんを目指めざして行動こうどうする。すごくいい形かたちだと思おもいますね。

HIRØ　年齢ねんれいやキャリアを重かさねてくると、言いいたいことがあっても「まあいいや」で済すますことがある。でも、このバンドは「みんなぶつかってもいいから言いおう、溜ためるのはやめよう」と決きめて。雨あめ降ふって地ち固かたまるじゃないですけど、我慢がまんせず言いいたいことを言いって、ポジティブに解決かいけつすることをこのバンドで実践じっせんしてきました。

REDZ　内うちに秘ひめてても伝つたわらないですからね。メンバー間あいだでぶつかっても、ちゃんと意思いし表示ひょうじして、最善さいぜん策さくを模索もさくしていく。これがすごくよかったですね。

Ryo-Ta（B）　それぞれライブに向むけてのルーチンやモードがあるので、今いままでは気きを使つかって深ふかく話はなし合あうことがなかったんですけど、話はなし合あいを重かさねたことでリラックスできるようになって、逆ぎゃくにメリハリがつきやすくなったかなと思おもいました。

──濃こいメンバーに囲かこまれて。

Ryo-Ta　濃こすぎて前まえが見みえないですから（笑）。

REDZ　さっき取材しゅざい前まえにRyo-Taがいいこと言いってたね。「湾岸わんがんの羊ひつじは1人ひとりひとりが“パワースポット”だ」って。湾岸わんがんやってると、いろんな側面そくめんを要求ようきゅうされるんです。バンドとして、演奏えんそうだけじゃなく、発言はつげんも写真しゃしんもカッコよくなきゃいけないとか。なので気きが引ひき締しまるし、湾岸わんがんのときはいつでも本気ほんきモードになれますね。当あたり前まえのことなんですけど、このバンドは特とくに。

HIRØ　内田うちだ裕也ゆうやさんがよく「ロックやってるやつは太ふとっちゃダメだ」と言いってたんです。カッコいい演奏えんそうやステージングはもちろん、ちゃんと会話かいわもできて、体からだを鍛きたえてビジュアルでも魅みせる。以前いぜん、裕也ゆうやさんがライブのリハーサルのときにステージ前まえのモニタを見みて「ロックンローラーは頭あたまのてっぺんからつま先さきまで見みせなきゃダメだ。全部ぜんぶどけろ！」ってモニタを全部ぜんぶどけさせたんです。いざ音おとを出だしたら「おい、聞きこえねえじゃねえか！」って（笑）。

REDZ　ストイックにならざるを得えない。だってライブやってると、すぐ「脱ぬぐぞ、裸はだか祭まつりだ！」ってこともあるわけじゃない？（笑）

まさか俺おれたちがアンプラグドをやるとは

──「歌舞伎町かぶきちょうアンプラグド」では歌舞伎町かぶきちょうからアンプラグドライブとデモンストレーションの様子ようすをリアルタイムで無料むりょう配信はいしんしました。

HIRØ　さまざまな社会しゃかい問題もんだいに立たち向むかうことはレベルミュージック的てきなもので、納得なっとくがいかない不条理ふじょうりなものに対たいして声こえを上あげようと感かんじたときに、その思おもいがバンドを続つづけていくモチベーションになっていくんです。

TATSU（G）　いろんなタイプのバンドがいますけど、僕ぼくは意志いしのない人ひとの作つくる音楽おんがくからは何なにも感かんじなくて。やっぱり強つよい意志いしがあってこそ真しんのアーティストになれる。この湾岸わんがんのメンバーはみんな“意志いしの塊かたまり”みたいな人ひとたちだから、HIRØを中心ちゅうしんに志こころざしを持もって活動かつどうできてるんだと思おもいます。

HIRØ　新宿しんじゅく区くから音量おんりょうの問題もんだいでストップがかかって、「アンプラグドでやろう」と言いったら本当ほんとうにできましたね。まさか俺おれたちがアンプラグドでライブするとは思おもわなかったよね。CHARGEEEEEE...がロックなカホンを叩たたいてくれて。

CHARGEEEEEE...（Dr）　やってみて思おもったのが、湾岸わんがんは音楽おんがくに真剣しんけんに向むき合あっているからこそ、アンプラグドでもみんなの心しんに刺ささるライブができたなって。

REDZ　伝つたえたいメッセージがあるから。

Ryo-Ta　ONODUBさんのサウンドも、めちゃくちゃいい雰囲気ふんいきでしたよね。

HIRØ　「狼煙のろし」のイントロのカッコよさったらないよ。あれはヤバかった。

──ONODUBさんはデモテープの制作せいさく時じからご一緒いっしょされてますよね。

ONODUB（Manipulator）　自分じぶんで言いうのもなんですけど、「オリジナルメンバーと一番いちばん近ちかい距離きょりで湾岸わんがんの魂たましいを一番いちばん感かんじながら制作せいさくできたのは自分じぶんです」とい張いはりたいぐらい（笑）。

HIRØ　マチガイナイ！

ONODUB　ライブ経験けいけんは少すくないかもしれないですけど、湾岸わんがんの魂たましいをみんなに届とどけたい思おもいは人一倍ひといちばいあるので、その都度つどできることを精一杯せいいっぱいやっています。「歌舞伎町かぶきちょうアンプラグド」のリハーサルではCHARGEEEEEE...くんに引ひっ張ぱってもらいながら、このステージならではの音楽おんがく制作せいさくを経験けいけんさせてもらいました。

スケジュールを見みて絶句ぜっく

──初はつの全国ぜんこくライブハウスツアー「湾岸わんがんの羊ひつじ～Sheep living on the edge～ RISING SUN TOUR 2024 -HARD CORE TRAVELING BAND-ROCK'N ROLL JOURNEY」が9月にスタートします。約やく2カ月かげつで24公演こうえんというのは、かなりハードなスケジュールですね。

ONODUB　思おもえば、僕ぼくが18歳さいで最初さいしょに働はたらいたのがライブハウスなんです。照明しょうめい係がかりだったり、チケットのもぎりだったり、受付うけつけだったり。ハードかもしれませんが、あの頃ころの空気くうきを思おもい出だしながらの全国ぜんこくツアーは楽たのしみです。

HIRØ　昨年さくねんの東京とうきょうキネマ倶楽部くらぶのライブでは、映像えいぞうとか特効とっこうを使つかってミュージックビデオの世界せかい観かんにどれだけ近付ちかづけるかをすごく意識いしきして作つくらせてもらいました。最初さいしょは「このショーケースライブを日本にっぽん全国ぜんこくいろんな街まちでやりたいね」と話はなしていたんですけど、TATSUが「いや、そうじゃなくて、ライブハウスという空間くうかんで演出えんしゅつもなしにガチで勝負しょうぶしようよ」と言いい出だして。みんなで話はなし合あって最終さいしゅう的てきに「TATSUの案あんで行いこう」と決きまったんです。

TATSU　ライブハウスに集あつまってくれた人ひとがいて、僕ぼくらがいる。あの狭せまい空間くうかんでしか起おこらないケミストリーに期待きたいしたかった……とは言いったものの、スケジュールを見みた瞬間しゅんかん、絶句ぜっくしたね。休やすんでる暇ひまがない。

REDZ　もともと湾岸わんがんの活動かつどうはライブハウスみたいなところで己おのれと楽器がっきのみで作つくるステージから始はじまってるので、TATSUがそう言いったとき、すぐ僕ぼくも賛成さんせいしたんです。俺おれたちなら、演出えんしゅつなしでも湾岸わんがんの音楽おんがくを表現ひょうげんできるって。

HIRØ　それプラス、新幹線しんかんせんじゃなく車くるまで全国ぜんこくを回めぐろうと決きめました。トランクには楽器がっきとメッセージとロマンと気合きあいを積つんで……。

REDZ　CHARGEEEEEE...がツアー慣なれしてるから、こっちがちょっとヌルいことを言いうと「何なに言いってるんですか？ 自分じぶんのことは自分じぶんでやんなきゃダメですよ」って。

CHARGEEEEEE...　このスケジュールだと、相当そうとうの覚悟かくごがないと回まわりきれない。オフの時間じかんにどうやって気持きもちを切きり替かえるか、どれだけ体からだを休やすめられるかも考かんがえた結果けっか、みんなの前まえでいいパフォーマンスができるんです。ツアー中ちゅうに誰だれかしらが悩なやみ始はじめたりするので、メンバーそれぞれの心しんをケアするために声こえをかけ合あうことがすごく大事だいじなんです。

HIRØ　衣装いしょうを管理かんりするためにスタイリストさんを1人ひとりだけ連つれて行いこうか、と言いったらCHARGEEEEEE...に「何なに言いってるんですか？ 自分じぶんたちでコインランドリーですよ」と怒おこられた。初心しょしんを思おもい出ださせてくれるから、さすがだよね。

REDZ　うん。いろいろ教おしえてもらわないとな。

HIRØ　理想りそうはメンバーだけで車くるまを運転うんてんして全国ぜんこくを回まわりたかったんですけど、せっかくだから道中どうちゅうもカメラを回まわしたいじゃないですか。となると、映像えいぞうスタッフ、PA、ツアーマネジメント、アーティストマネジメント……最低さいていでも4人にんはスタッフが必要ひつよう。その人数にんずうだとバンやワゴンじゃなく中型ちゅうがたバスじゃないと乗のり切きれないという話はなしになって、マネジメントの2人ふたりが「俺おれたちが運転うんてんしますよ」と教習所きょうしゅうじょに通かよって中型ちゅうがた免許めんきょを取とってくれたんです。スタッフが一番いちばん本気ほんきでしたね。

CHARGEEEEEE...　スタッフが気合きあい入はいってると、メンバーも燃もえますよね。今回こんかいは自分じぶんたちが演出えんしゅつをするしかない。

REDZ　いいじゃん。このメンバーは自分じぶんたちで演出えんしゅつするの得意とくいじゃん。

CHARGEEEEEE...　自分じぶんたちでイチから作つくるライブのほうが生なまの俺おれたちの魂たましいを感かんじられるよって、それを伝つたえに行いきたいですね。