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古代こだいエジプト人じんも机つくえ仕事しごとは辛からかった？書記しょきの「職業病しょくぎょうびょう」痕あとを発見はっけん

肩かた・手て・足あし・首しゅ・あごなどに変形へんけい性せい関節かんせつ症しょう、4000年ねん以上いじょう前まえの古こ王国おうこく時代じだい、異論いろんも

2024.07.01

書記しょきのネフェルとその妻つまの石像せきぞう。エジプトのアブシールで見みつかったもの。新あらたな研究けんきゅうで、古代こだいエジプトの書記しょきが長時間ちょうじかんあぐらをかいて座すわったり、ペンをかじったりしたことによる「職業病しょくぎょうびょう」に悩なやまされていた可能かのう性せいが指摘してきされている。（PHOTOGRAPH BY MARTIN FROUZ/ARCHIVE OF CZECH INSTITUTE OF EGYPTOLOGY, FACULTY OF ARTS, CHARLES UNIVERSITY）

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　古代こだいエジプト人じんたちは、祈いのり、布告ふこく、税ぜいなど、あらゆるものを書かき残のこした。6月27日にち付づけで学術がくじゅつ誌し「Scientific Reports」に発表はっぴょうされた新あらたな研究けんきゅうによると、4000年ねん以上いじょう前まえに埋葬まいそうされた古代こだいエジプトの書記しょきたちの骨ほねに、この書かくという作業さぎょうによる職業病しょくぎょうびょうの痕跡こんせきが見みられるという。

　たとえば、足首あしくびの骨ほねが平たいらになっているのは、長年ながねんあぐらをかいて座すわっていたせいだろう。また、あごのケガは、よくイグサの「ペン」をかじっていたことによる可能かのう性せいがあるという。

　ナイル川がわ流域りゅういきで何なん千せん年ねんにもわたって栄ばえたエジプト文明ぶんめいを支ささえたのは、読よみ書かきができる役人やくにんたちだ。チェコのプラハ・カレル大学だいがくに在籍ざいせきするエジプト学者がくしゃで、論文ろんぶんの著者ちょしゃの一人ひとりであるベロニカ・ドゥリコワ氏しによると、古代こだいエジプトの識字しきじ率りつは1%未満みまんだったと推定すいていされる。

「このような人々ひとびとが、国くにの行政ぎょうせいを支ささえていました。読よみ書かきができる人々ひとびとは、重要じゅうような行政ぎょうせい機関きかんで働はたらいていたのです。古代こだいエジプト人じんは、あらゆることを細こまかく記録きろくし、保管ほかんしていました」（参考さんこう記事きじ：「ギザの大だいピラミッド、4500年ねん前まえの「建造けんぞう日誌にっし」が残のこっていた」）

古代こだいエジプトの職業病しょくぎょうびょう

「古代こだいエジプトの書記しょきのために、きちんとした椅子いすを作つくろうとした人ひとはいませんでした。もしそういったものがあれば、背骨せぼねを痛いためることはなかったかもしれません」。チェコ国立こくりつ博物館はくぶつかんの人類じんるい学者がくしゃで、論文ろんぶんの筆頭ひっとう著者ちょしゃを務つとめたペトラ・ブルクナー・ハベルコワ氏しは、そう顔かおをしかめる。

　ブルクナー・ハベルコワ氏しらは、紀元前きげんぜん2700～前まえ2180年ねんごろのエジプト古こ王国おうこく時代じだいにアブシールに埋葬まいそうされた69人にんの成人せいじん男性だんせいの骨ほねを調しらべた。アブシールはカイロの南みなみに位置いちする場所ばしょで、たくさんのピラミッドや墓はかがある。

　そのうち、読よみ書かきのみを仕事しごととする専せん門もんの書記しょきか、読よみ書かきが求もとめられる高位こういの役人やくにんだと特定とくていできたのは30人にんだった。

　分析ぶんせきによると、アブシールの書記しょきの多おおくに、骨ほねや靱帯じんたいが傷きずつく変形へんけい性せい関節かんせつ症しょうが見みられた。右みぎの鎖骨さこつ、肩かた、親指おやゆびの骨ほねの異常いじょうは、ほぼ常つねに書かき続つづけていたことが原因げんいんと考かんがえられる。足首あしくびや太ふとももの骨ほねが平たいらになるのは、長時間ちょうじかんあぐらをかいて座すわっていたことによるものだろう。

　背骨せぼね、特とくに首くびまわりの変形へんけい性せい関節かんせつ症しょうは、話はなしをする人ひとに顔かおを向むけたり、膝ひざに置おいたパピルスに書かき留とめたりする動作どうさをくり返がえした結果けっかと考かんがえられる。現代げんだいで言いえば、スマートフォン、モニター、キーボードに順々じゅんじゅんに注意ちゅういを向むけるときにくり返かえされる頭あたまの動うごきにほかならない。