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【書籍化・コミカライズ】無自覚な天才少女は気付かない~あらゆる分野で努力しても家族が全く褒めてくれないので、家出して冒険者になりました~ - 2
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書籍しょせき・コミカライズ】無自覚むじかく天才てんさい少女しょうじょ気付きづかない~あらゆる分野ぶんや努力どりょくしても家族かぞくまっためてくれないので、家出いえでして冒険ぼうけんしゃになりました~ 作者さくしゃまきぶろ

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琥珀こはくはリアナちゃんたちってればかったのに……」

「え~? フレドが一人ひとり対峙たいじして、いくるめられたりしないか心配しんぱいしてやっとるんじゃないか」


 いや、絶対ぜったい野次馬やじうまてき目的もくてきてるでしょ……と、視界しかいななほん尻尾しっぽたのにぱたぱたらす琥珀こはくながらそうおもった。

 今日きょうめずらしく琥珀こはく二人ふたりだ。予定よていがい琥珀こはくれだが、本来ほんらい目的もくてきどおり、ミエルさんへの忠告ちゅうこくをするつもりだ。書面しょめんかえすという名目めいもく冒険ぼうけんしゃギルドにだししちゃってるし。琥珀こはく自分じぶんくとってかなかったのだ。こっそりいてようとおもって、実際じっさいいてきたはずなのだがついてきてしまったのだ。おれ実力じつりょくでは琥珀こはく追跡ついせきをかわせないんだよな。

 それに、いくるめられないか見張みはる……そうわれるとちょっと反論はんろんしづらい。いままで散々さんざんごとなかれにながされてきてるし。


「しょうがない、すみ大人おとなしくしててくれよ」

当然とうぜんじゃ、にしておいてやろう」

「はいはい」


 あんまり信用しんよう出来できないかんじの琥珀こはく宣言せんげんかるながして、かんがごとをしながらあるく。先導せんどうする琥珀こはく尻尾しっぽ視界しかいなかにぼんやりとらえながら決戦けっせん冒険ぼうけんしゃギルド)へとあしれた。


「あ! フレドくんってたんだよ!」


 よし、と気合きあいれてなかはいった途端とたんこうからこえをかけられた。さきはなしておいたとおり、琥珀こはくおれからちょっとはなれたところまった。

 想定そうていはしていたけど、うしろにはミエルさんのあにであるミゲルさんもいた。……まぁ、身内みうち目撃もくげきしゃになってくれてたほうが、はなしとおりやすいか。からおなばなしをしにかなくてむし。


わたしてた書類しょるいってきてくれたよね? うれしい、最初さいしょ依頼いらい何処どこにする? フレドくんぎんきゅうだし、あ、でも連携れんけい確認かくにんねて最初さいしょ簡単かんたんめの依頼いらいにしたほうがいいかな」

ちがう、かえしにたんだよ。はい、これ」


 うでまれそうになったのをさっとけて、リアナちゃんがわたされたという書類しょるいを、あずかったときのままなに記入きにゅうせずにかえす。

 おれ一瞬いっしゅん彼女かのじょうしろにっているミゲルににらむような視線しせんけた。まずそうにらすのをて、「なら本当ほんとうことつたえておけばかったのに」とためいきしゅっそうになった。

 こうして勧誘かんゆうされておことわりするのはいままでよくあることだけど、おれたいしておかしい執着しゅうちゃくするひとからの好意こういはいつも対応たいおう苦労くろうする。とくに、いきなりバッサリ拒絶きょぜつすると過激かげき行動こうどうられることおおい。

 なので今回こんかいも「このはなしことわ予定よていだけど、」と前置まえおきをしたうえで、「モンドのみず」の拠点きょてんになってるミゲルのいえ連絡れんらくをしたのだが。

 ……自分じぶんくちで、わるいニュースを溺愛できあいしてるいもうとつたえるのがいやだから、わなかったんだろうな、これ。


 ちなみに、最初さいしょ「もういちかい条件じょうけんとかはなおう」とわれたけどすりわせる要素ようそ皆無かいむうえに、こうの自宅じたく夕食ゆうしょくまねかれてかこまれて説得せっとくされそうだったので、冒険ぼうけんしゃギルドの喫茶きっさスペースを指定していさせてもらった。

 ちょっとさわがしくなるかもしれない、とサジェさんには了承りょうしょうている。飲食いんしょくてん個室こしつとかが使つかえたらいいんだけど……、衆人しゅうじん環視かんしなかじゃないと暴走ぼうそうするひとがたまにいるからなぁ。

 まぁ、まわりに他人たにんっても暴走ぼうそうするひとはするけど。「ってくれないならぬ」って刃物はものされたときこわかったな。

 おっと、過去かこ失敗談しっぱいだんおもしている場合ばあいではない。


「まず、結論けつろんからうけど、おれが『モンドのみず』にはいこといんで。これはかえしておきます。ミゲルさんにもっといたんだけどなぁ」


 わざと視界しかいさえぎるようにされたそれを、一瞬いっしゅんなにこったのかからない」とけたかおつめたミエルさんは、その表情ひょうじょうのまままえされた書類しょるいからゆっくり視線しせんをずらしておれ見上みあげた。


「……どうして?」

「それ、説明せつめいする義務ぎむおれにあるかな?」


 意識いしきして、不機嫌ふきげんえるような無表情むひょうじょうつくって見下みおろす。

 前回ぜんかいは「下手へたて、波風なみかぜてずにことわる」って選択せんたく上手うまくいかなかったので、今度こんどはこっちのパターンで。毎回まいかい手探てさぐりだな。

 でもひねてしまった自覚じかくはある。「きになってくれたのはありがとう」とかはうそでもくち出来できないし。


「フレドっ……!」

「だってそうだろ? クロンヘイムの任務にんむときから、勧誘かんゆうはずっとことわってたのに」


 いもうと傷付きずつけられたとおこったミゲルさんがおれとがめるような視線しせんける。でも傷付きずつけないような言葉ことばえらんでことわってるうちにめなかったんだから、しょうがないでしょ。


 これの決着けっちゃくは、おれあきらめてれるか、おれことわつづけるか、しかない。れるのはナシなので、結果けっかこうなるわけだ。おれだってすすまない。

 かれらのパーティー『モンドのみず』は地元じもと出身しゅっしんで、ミゲルさんとミセルさんがリンデメンちかくの豪農ごうのう次男じなんすえ長女ちょうじょなので、有力ゆうりょくしゃつながりがあるし、実際じっさいこの年齢ねんれいにしては実力じつりょくもあるほうなのでちょっとかよっている存在そんざいだった。

 だから波風なみかぜてたくないなってことわってたんだけど、もうそんなことっていられなくなったので。ちゃんととおざけないと、またリアナちゃんがからまれて怪我けがとかさせられてしまうかもしれない。

 ミエルさんがいつまでたってもろうとしないので、書面しょめんうしろのミゲルさんにけた。


なんで……あのリアナってとはパーティーんでるのに……」

「だからそれ、おれ説明せつめいしなきゃいけない義務ぎむいよね。納得なっとくするような理由りゆうおれこたえないといけないの? それこそなんで?」

「……っ、!」


 質問しつもん質問しつもんかえされるとはらつよね。ってる。


「あとさぁ、こうしておれ都合つごうかまわずせまってきたられるの、迷惑めいわくかな。仕事しごとちゅうとかけられないときでもかまわず色恋いろこいにおわされるのきらいなんだよね、おれ。だからそっちのパーティーにはいるのは無理むり


 不機嫌ふきげんかお、をたもったままそうげるとミエルさんは羞恥しゅうちでカッとかおあかくして、うつむいた。

 正直しょうじき、クロンヘイムの任務にんむときはミエルさんと二人ふたりまされるとか、必要ひつようとなりにされるとか、パーティーぐるみの後押あとおしも露骨ろこつすぎてちょっとつかれたから。ミゲルさんたちへの忠告ちゅうこくでもある。

 

「とにかく、おれもリアナちゃんも、そこの琥珀こはくもそっちのパーティーにははいらないんで。かえすものはかえしたし、はなしはこれでわりですね。これ以上いじょうしつこい勧誘かんゆうするようだったら、ギルドに警告けいこくしてもらうんで」


 ほんとはもうギルドに報告ほうこくはしてるけど。世間せけんばなしくらいのかんじで。まぁ、実際じっさい正式せいしきにギルドはさんで警告けいこくするほどのことにはならないとおもう。

 人目ひとめのあるところで、ここまではっきりことわって、おれいややつだとおもわれたし、これ以上いじょう執着しゅうちゃくされないだろう。

 ミゲルさんもおれなぐりたそうなてるし、二度にどとパーティーにはさそわれないはずだ。めっちゃきらわれたけどね。


「……フレドくん、そんなことひとだとおもってなかった……!」

べつに、最初さいしょからこんなじんだよ。普段ふだんらくだからヘラヘラしてるだけで」

「フレド、おまえ……ッ! ……これからコルトーゾのほう依頼いらいけられるとおもうなよ」

「うーん、おれも『モンドのみず』の地元じもと依頼いらいけないですよ、まずいし」

 

 そうえば、そっちの地域ちいきわり依頼いらいおおかったな。でもリアナちゃんと行動こうどう一緒いっしょにするようになってからはとまりがけの依頼いらいけてないから、そもそも半年はんとし以上いじょうそっちはってないし……影響えいきょうないかな。

 いつもだったらそっちのほうらくだから自分じぶんげて辞退じたいしてたけど……そのうち活動かつどう拠点きょてんうつるし、もういいか。


「じゃ、おれこののち仕事しごとなんで」


 めるまえに、さっさとことにした。

 まわりには、「痴話喧嘩ちわげんかか」なんて見物けんぶつしてたいの冒険ぼうけんしゃがいたけど、おれ様子ようす普段ふだんちがうからか、はなしかけてくる様子ようすはなかった。



「おうフレド、おつかれ。あれじゃな。れないことっておったけど、男前おとこまえじゃったぞ」

「そうだよ。でもあんまりさっきみたいな真面目まじめかおしてると、いまよりもっとモテてこまっちゃうからさ……」

「そんなことより。おしゅ琥珀こはくおしえてやった台詞せりふ使つかわなかったではないか」

「え……あぁ、いや、そんなすぐバレるうそつけるわけないでしょ……」


 ボケたのに放置ほうちされるのって結構けっこうつらいものがあるよね。いや、いち仕事しごとえたおれねぎらわりの言葉ことばをかけてくれた琥珀こはくにふざけて返事へんじしたおれわるいのか。


「ぬ~……琥珀こはくがせっかく一番いちばんくやつをおしえてやったのに……」

「いやいや、うそつくほう面倒めんどうことになるから」


 うそ方便ほうべんだとはおもうけど、その……「おれこんリアナちゃんとってて、ラブラブだからあきらめて」とか……いくらなんでも。無理むりだって〜。

 しかもこの場合ばあい、わざわざうそついて、リアナちゃんにさらに敵意てきいきかねないので絶対ぜったいダメ。メリットがない。

 まぁそれだけじゃなくて……当然とうぜんきなことで、そんなうそをつきたくないってのもある。


 ただそこを琥珀こはくにそのまま説明せつめいするわけにはいかないので、「わざわざおおきい問題もんだいにしないの」と、一般いっぱん常識じょうしき範囲はんい教育きょういく指導しどうをするにとどめておいた。


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