(Translated by https://www.hiragana.jp/)
【書籍化・コミカライズ】無自覚な天才少女は気付かない~あらゆる分野で努力しても家族が全く褒めてくれないので、家出して冒険者になりました~ - これはうたかた
挿絵表示切替ボタン
配色はいしょく






行間ぎょうかん
文字もじサイズ
▼メニューバー
×じる
ブックマーク機能きのう使つかうにはログインしてください。
書籍しょせき・コミカライズ】無自覚むじかく天才てんさい少女しょうじょ気付きづかない~あらゆる分野ぶんや努力どりょくしても家族かぞくまっためてくれないので、家出いえでして冒険ぼうけんしゃになりました~ 作者さくしゃまきぶろ

ブックマークに追加ついかしました

設定せってい

更新こうしん通知つうち 0けん登録とうろくちゅう上限じょうげん400けん

設定せってい保存ほぞんしました
エラーが発生はっせいしました

カテゴリ

文字もじ以内いない
ブックマークへ移動いどう

ブックマークを解除かいじょしました。

 17/165

これはうたかた

あとてくるざまぁのあじふかめるために必要ひつよう胸糞むなくそかい

 


「リリアーヌ、なんてひどい勘違かんちがいを。わたくしは貴女きじょことだれよりもみとめていたし、こんなにもあいしていたのに」

「お義母ぎぼさま。かなしまないでください。わたしは、お義母ぎぼさまがリリアーヌおあねさまをとてもあいしていらっしゃったこと、ちゃんとかってますよ」

「ありがとう、ニナちゃん……」


 わたしはホロホロとなみだをこぼす美女びじょ背中せなかに、なぐさめるようにそっとをあてた。

 そう、あのすえのお姫様ひめさま可愛かわいがってるのなんてすぐにかった。気付きづかないほうがどうかしてるとおもうほどだったというのもあるけど。わたしひと感情かんじょうさっするのが得意とくいだから、そのどっか「ヤバイ」とおもうような愛情あいじょうを、この母親ははおやだけじゃなくて家族かぞく全員ぜんいんからおぼれるくらいにそそがれてるのに他人たにんわたし気付きづいていた。


 あのお姫様ひめさま家出いえでしてから、のこされた家族かぞくけてもれてもなげいている。「そんなつもりじゃなかった」「どうしてそんなかなしいおもちがいを」そうくちにしながら。

 世間せけんらずのお嬢様じょうさま発作ほっさてきにしでかしたことだから、よるにはつかるだろう。公爵こうしゃくさま私兵しへいうごかしてたし、そこにあのベタれしてる王子おうじさまかかわっていたようだから。


 そうして、ねたすえ家出いえでなんて幼稚ようち方法ほうほう家族かぞく愛情あいじょうたしかめたリリアーヌさまは、思惑おもわくどお彼女かのじょあんじた家族かぞくがその我儘わがままめてなみだながらにむかえにってめでたしめでたし。

 そんな反吐へどるような仲良なかよしこよしの「リリアーヌちゃんが一番いちばんごっこ」をせられるんだろうなとおもってうんざりしていたわたし予想よそうは、しかし当日とうじつどころかつぎ実現じつげんすることはなかった。

 その翌日よくじつも、さらにつぎも。「リリアーヌがつからない」とさおになった公爵こうしゃくさまはどんどん深刻しんこくそうなかおになっていって、それは家族かぞくも。


 いち週間しゅうかんったころには行方ゆくえ不明ふめいだとせたまま、みなあこがれの公爵こうしゃく令嬢れいじょうリリアーヌさまは、狩猟しゅりょうかいった怪我けがもと療養りょうようすることになった。学園がくえんには休学きゅうがくとどけがされて、領地りょうちってそこでからだやすめている……ことになっている。

 失踪しっそうから半月はんつきいまも、リリアーヌはつかっていない。


 内心ないしんわたしは「もしかしてもうんでるんじゃないの」といようにかんがえていた。だってそうでしょ? こんなにさがしてみたってはなしすらてこないんだもの。それかおうからないうちに誘拐ゆうかいされて娼館にでもいるか。あのひとかおはとっても美人びじんだったからその可能かのうせい一番いちばんたかいかな。


 苦労くろうのしたことのなさそうな、綺麗きれいはだにツヤツヤの銀髪ぎんぱつ。せっかくチヤホヤされる身分みぶんまれてるくせにけんにぎってるせいではゴツゴツだったけど、それだってきるのに必死ひっしにならなくてむからこそできてたことだ。


 昨日きのうはウィルフレッドおあにさまとコーネリアおあねさまが、なんだかこのおうからかなりはなれた田舎町いなかまちで「冒険ぼうけんしゃギルドでかなり強大きょうだい魔法まほう観測かんそくされて、もしかしたらそれがリリアーヌのものかもしれない」とやらでそっちにかってしまっている。

 冒険ぼうけんしゃギルドはあらっぽいひとおおいしなにかがあったとき避難ひなん場所ばしょにもなってるからまもるためにつね魔法まほう結界けっかいってあるんだって。このお屋敷やしきにもあるみたいな。それに普通ふつうひとではありえないようなつよ魔法使まほうつかいが、魔法まほうちかくで使つかって、それに反応はんのうしたそうだ。


 そんなにつよ魔法使まほうつかいなのに、反応はんのうした魔力まりょく登録とうろくされた冒険ぼうけんしゃのものじゃない。ここはくわからないんだけど、魔力まりょくひとによってちがうから、調しらべればリリアーヌかそうじゃないかはすぐかるんだって。でも現地げんちかないとからないらしくて、二人ふたりはそれをたしかめにったらしい。

 なんて余計よけいことを。いやだとってげたんだからはなっておけばいいのに。「ちがいますように」ってわたしはそれこそいのるような気持きもちだった。

 どうか、おねがいします神様かみさま。もうやりすぎないようにしますから、あのおんなんじゃってますように。やっと相応ふさわしいとこにて、しあわせになれそうなわたし生活せいかつをダメにしないでください。



「ニナさん、おはようございます」

「おはようございます、ミシェルさん」


 わたし愛想あいそよくえるように、にっこりわらって挨拶あいさつかえした。

 リリアーヌがアジェット公爵こうしゃく領地りょうち療養りょうようするから休学きゅうがくするって、とどけが直後ちょくご大勢おおぜいさわいで話題わだい中心ちゅうしんにしてたけど、いてきてかった。

 なんなにでってわたしいてくるひとおおくてぬほどイライラした。狩猟しゅりょうかいについてはくわしい事情じじょうおおやけにされてないけどリリアーヌが怪我けがしたのはわりと大勢おおぜいってたから。ってもらったひかり使づかいなのにどうして治療ちりょうしてさしあげないの? だなんて。


 わたしだいにしてリリアーヌとおちかづきになりたいって、その下心したごころかくそうともしなかったたちにうんざりするほどそうかれた。貴重きちょうな、ひかり魔法まほう使つかえるわたしとおぎて、名前なまえだけのあねであるリリアーヌのことばっかりいてきてた失礼しつれいおんなたち

 治療ちりょうなにも、本人ほんにんがいないし。そりゃあ、このまま目覚めざめないでいてしかったから表面ひょうめんだけなおしてなるべく長引ながびくようにとかしたけど。たしかに医者いしゃとか治癒ちゆじゅつも「わたしちから信用しんようできないからですね、そうですよねわたしなんてよそのですし」って全力ぜんりょく妨害ぼうがいしてやったわ。でも結局けっきょくそいつらもすぐなおせなくてなんにちまさなかったんだから、わたしのせいじゃないもん。


 でもわたしちからりなかったからなおせなかったってわれるのはすごいムカついたから、「ほんとにどうしてでしょう。このままおうにいて、わたし治療ちりょうつづけたほうかったはずなのに、それともわたし治療ちりょうするのがリリアーヌさまはそんなにいやだったのかしら」っていてやったの。そしたらだれ表立おもてだってなにわなくなったわ。


 だってリリアーヌが行方ゆくえ不明ふめいなのは絶対ぜったいじんっちゃダメだって命令めいれいされてるから。公爵こうしゃくであるお義父ぎふさまの言葉ことばに、養子ようしわたしさからえるわけないじゃない。ねぇ?

 行方ゆくえ不明ふめいなのはひとえないけど、それをかくすためにわたしがバカにされるなんて絶対ぜったいイヤ。わたしはすばらしいひかり使づかいとしてげて、あちこちからさそわれてみなうらやむような存在そんざいにならなくちゃいけないんだから。そこに影響えいきょうるようなことれられるわけない。


「ねぇ、ニナさん。すこしおはなしきたいの。ちょっといいかしら?」

「わ、わかりました」


 ひる休憩きゅうけいこえをかけてきたその相手あいてて、わたしはうんざりしたかおかくしてすこおびえたように返事へんじをした。このアナベルとマリセラにたいしての演技えんぎじゃなくて、まわりの人達ひとたちせるために。

 あーあ。ライノルドさまなぐさめにこうとおもってたのに今日きょうあきらめないとかしら。深刻しんこくそうな様子ようす二人ふたりについていく。こいつらはあのわたしとリリアーヌとおなはんだったのこりの二人ふたりだ。

 公爵こうしゃく令嬢れいじょうが、だい怪我けがをして意識いしきまでうしなった、その責任せきにんりたくなくて保身ほしんはしった「こっちがわ」のひとでもある。


「ニナさん……リリアーヌさまのお加減かげんはだいぶわるいの?」

公爵こうしゃくほうなにかおっしゃってなかった?」


 昼食ちゅうしょくるための予約よやくせい個室こしつはいったところで心配しんぱいそうにそんなことかれた。

 わたしがちょっとさそったらだいよろこびで提案ていあんびついてたくせに、今更いまさらそんなことうなんてなにのつもりだろう?


大丈夫だいじょうぶですよ、そんなに心配しんぱいしなくても。おにんが、自分じぶんのために、本当ほんとうのことをわずにあの事故じこ原因げんいんをリリアーヌおあねさま本人ほんにんけたのはわたし以外いがいりませんから」

「! っどのくちがそんな言葉ことばを……」

「もとはとえば、貴女きじょがっ」


 なにわれてもまったくこわくない。今更いまさら本当ほんとうことっても自分じぶん破滅はめつするだけだって本人ほんにんたちかってるのをってるから。怪我けがをしたリリアーヌが意識いしきいのを利用りようして責任せきにんのがれするために「気付きづいたらはぐれてた」って自分じぶんたちからいいだしたくせに。

 まぁあのおやさしい「リリアーヌさま」ならたすかって意識いしきもどってもゆるしてくれるとんだんだろうけど。だってあいつお人好ひとよしのあまちゃんだったし。自分じぶんのオトモダチが、自分じぶん怪我けがした責任せきにん学園がくえん家族かぞくからおこられてばっけるってきついたら一人ひとりどろおおってたでしょ。


 わたしはこうしてうん出来でき共犯きょうはんしゃのがしてやるつもりはない。リリアーヌの容態ようだいおもったよりわるいって設定せってい学園がくえんにもしばらくることすら出来できないとかったときホッとしてたのってるんだから。


 わたしもさすがに、ちょっと失敗しっぱいしたなっておもってる。おもったようにいかなかったうえに、結構けっこうさわぎになっちゃった。

 つぎ反省はんせいかしてもっと上手うまくやらないと。


 もとはとえば、エイゼルがわるいのよね。ああ、もうしたしくするつもりはないから「アマド先生せんせい」ってぶようにしないと。

 突然とつぜん魔法使まほうつかいだってわれて、教会きょうかい保護ほごされてたときったときはすごくカッコよくてたよりがいのある素敵すてき年上としうえ男性だんせいだとおもってたのに。だから研究けんきゅうにもすすんで協力きょうりょくしてあげてたんだけど、なんだか最近さいきん無精ぶしょうひげもあるししたくまひどくておじさんになっちゃった。まだだい前半ぜんはんのはずなんだけど。


 あーあ、協力きょうりょくするんじゃなかったなぁ。リリアーヌもうほど使つかえなかったじゃん、うそき。たかがちょっとおおきいスライムに、あんな必死ひっしになって苦戦くせんしちゃって。わたしちから相性あいしょうわるいあんなのをどうにかするためにいたんじゃなかったの?!


 でもあのおとこもやっぱり自分じぶん保身ほしんのために、リリアーヌがいいだしたことにしてたおかげわたしおこられなくてんだからそこは感謝かんしゃしてる。それがあったからこのはなしおもいついたんだし、たすかったわ。なら研究けんきゅう協力きょうりょくしといてかったってことかな。

 リリアーヌにはくにからの指示しじのようにおもわせてるから内緒ないしょだよって、くちびるにちょんとゆびをあてて悪戯いたずらっぽくわらったかおおもす。なんであのレベルのおとこにうっとりしちゃってたんだろう。もっと魅力みりょくてきひとがここにはたくさんいるってってたら仲良なかよくなんてしてなかったのに。

 まぁ教員きょういんわたしさからえないやつはいったんだからほうかんがえておこう。あいつだってわたしからバラされたらおおわりいだもん。せいぜい試験しけんまえ利用りようさせてもらうわ。


 けどわたしちから大勢おおぜいせつける、最初さいしょ舞台ぶたいだ! ってったのに、おもったように上手うまくいかず散々さんざんだった。予定よていでは、魔法使まほうつかいになってすぐなのにすごい活躍かつやくだ、って注目ちゅうもくされて……みぃんなわたしことたたえる予定よていで、そのためにもりおくったのに。わたし活躍かつやくする用意よういしてくれたんじゃなかったの? 全然ぜんぜんダメじゃない。

 でもそもそも、あのときリリアーヌがへん邪魔じゃましなければかったのよね。だってそれがければあれに気付きづいて、わたしならすぐなにとか出来できてたもの。突然とつぜんだったせいでちょっとびっくりして本来ほんらいちからせなかっただけ。余計よけいなことしやがって。


 せっかくあんな生活せいかつからせたんだから、けるかぎじょうきたい。大丈夫だいじょうぶつぎ失敗しっぱいしない。


 元々もともとがおかしかったのだ。わたしが、男爵だんしゃく浮気うわきして出来でき不遇ふぐうまれだなんて。まれたときから家族かぞく全員ぜんいんにチヤホヤされてなに不自由ふじゆうないらしをおくってるリリアーヌみたいなやつもいるのに、なか不公平ふこうへいだ。


 あそこはわたし相応ふさわしいらしじゃなかった。勝手かってわたしつくってそっちの都合つごうっといて、きゅうさいになるまえだったから……ねんちかくもあのいえ我慢がまんしてたのね、わたし

 突然とつぜん勉強べんきょう礼儀れいぎ作法さほう必要ひつよう世界せかいほうまれて、しいものを満足まんぞくってもらったこともないうえに、「母親ははおやおとこっていていった貴女きじょどくだと、不義ふぎってそだててくれてる夫人ふじん感謝かんしゃしないといけないよ」ってくちうるさいおばさんまでいた。正妻せいさいちち姉妹しまいだとかってたっけ。

 当然とうぜんこといてやる義務ぎむなんていし、したがわされるのはいやだったからうまくやりごしていたけど。

 うそはついてないわ。人前ひとまえで「男爵だんしゃく夫人ふじん」てんだりおおげさにおびえてせて、ほかにもちょっとおもわせぶりなことっただけ。わたし義理ぎり母親ははおやしいたげられてるって勝手かって勘違かんちがいしたのはまわりよ。わたしは「れない貴族きぞく社会しゃかいでもけなげに頑張がんばってるニナちゃん」だもの。


 今頃いまごろあせってるかしら。わたし可愛かわいがっておけばよかったって。わたしがすごい魔法使まほうつかいになったらもっと後悔こうかいするわよね。ああたのしみ。



 わたしがそんなに苦労くろうしてたのに、リリアーヌは最初さいしょから全部ぜんぶってる最強さいきょうぐみで。しかも本人ほんにんはそのありがたさを全然ぜんぜんかってないんだからすごくはらった。

 まわりがどんなにめてもすずしいかおして、自分じぶんはまだまだですなんて謙遜けんそんまでしてた。あんたがそんなことうなんて、すっごい嫌味いやみだってかってるの? って最初さいしょはめちゃくちゃイライラしたんだけど。


 そのうえ家族かぞくにもみとめてもらえるようになりたい」なんてってて。あの人達ひとたちがあのすえのお姫様ひめさま全員ぜんいんそろって溺愛できあいして、いてるこっちがうんざりするほどベタめしてるのをってたから、あれ以上いじょうしがるなんて贅沢ぜいたくだしワガママだなってずっとおもってた。


 だからこそ、あいつがどんなに努力どりょくしてもはいらない「ひかり魔法まほう才能さいのう」をせつけてくやしいおもいをさせてやろうともおもったんだけど。まさか本人ほんにん家族かぞくからどんなにあいされてるからなかったなんてわらっちゃう。

 道理どうりであんな、悲劇ひげきのヒロインぶった家出いえでをするわけだわ。


 あの人達ひとたちは、リリアーヌからはあんなに頑張がんばってたのに一言ひとことすらめてなかったひど家族かぞくだってられたくないみたいでわたしもそうだが使用人しようにんにもきつく口止くちどめしてる。ほんとはわたしにもられたくなかったようだけど。


 あれだけ自慢じまんしておいて本人ほんにんにはつらくたってたってまわりにられるのがみっともないとおもってるらしくて、家出いえでをしたとってる王子おうじさまも「何故なぜリリアーヌが家出いえでしたのか」はおしえられていない。

 そりゃえないよね、一回いっかいめてなかった自分じぶんたちのせいなんですぅ、なんて。


 さいわい、まだわたしうそはバレてない。あの人達ひとたちにはやましいことがあるから、事故じこについては早々そうそうくわしい調査ちょうさはされずにわったの。わたしだけじゃなくておなはんにんとかアマド先生せんせい証言しょうげんもあって失踪しっそうった家族かぞくたちなかでは「めてもらいたかったから、無理むり成果せいかそうとしてこんな事件じけんになってしまってげだした」ってことになっている。

 あのおんなしたしかったらしい使用人しようにんおんなが1にんだけ「お嬢様じょうさまはそれをのぞんだとしてもこのような迷惑めいわくをかける方法ほうほうはとらない」って反論はんろんしてたけど。

 本人ほんにんがいなくなっててほんとにかったぁ。わたしのために、二度にどもどってこないでね。



 あの、あんなことになったのは失敗しっぱいしたって自分じぶんでもすごく反省はんせいしてる。


 はじめての実戦じっせんで、魔物まものころ練習れんしゅうはたくさんしてたけどおりはいっていたからあんなにちかづいたことかったしすごくこわかったの。近寄ちかよまえ対処たいしょできてた魔物まもの突然とつぜんまえあらわれて、パニックになって、いたらリリアーヌがだい怪我けがしてて。

 すぐにいて、わたし一瞬いっしゅん意識いしきとおのきすらした。


 そのうちまえ意識いしきうしなって、このままんじゃうのかもって。わたしここまでなんてのぞんでなかった。わたしひかり魔法まほう活躍かつやくして、普段ふだんチヤホヤされることれてるあのおんないしばるようなくやしいおもいをして、ちゃんが嫉妬しっとくるってるとこを「あんたにもきたなしんがあるのよ」って自覚じかくさせようとおもっただけなのに。


 本当ほんとうに、最初さいしょはお医者いしゃさまに「めないかもしれない」ってわれてたの。だからうそなんかじゃない。

 でも自分じぶんがきっかけでひとぬかもしれないのはともかく、なげかなしむ公爵こうしゃくさまたちているほうおそろしくなった。


 こんな状況じょうきょうで、リリアーヌがだい怪我けがをした原因げんいんわたしだってバレて、それをかくすためにうそをついてたってられたら、わたし一体いったいどうなるだろう。

 公爵こうしゃくさまもお義母ぎぼさまも、かたたち絶対ぜったいわたしゆるしてくれない。いえからされるどころか、なにかのつみわれるだろう。もと生活せいかつもどってしまうどころか、そうなったら一気いっき犯罪はんざいしゃだ。……なにがあってもこの秘密ひみつだけはまもどおさなくちゃ。


 リリアーヌ本人ほんにんはバカな勘違かんちがいして家出いえでしたみたいだけど、でもあの人達ひとたちがあのすえのお姫様ひめさまあいしてるのはたしかだから、あのことについてわたしうそをついたのも、原因げんいんになってるのも絶対ぜったいられるわけにはいかない。


 だから、だから。どうかおねがいします、このままリリアーヌがつかりませんように。どこかとおくにったまま二度にどもどってこないかもうんじゃってますように。

 



最終さいしゅうてきどんなうかはわたしほか作品さくひんで「おっ、こんなかんじのあじのラーメンをみせか……」とっとくと安心あんしんして今後こんごめるとおもいます

  • ブックマークに追加ついか
ブックマーク機能きのう使つかうにはログインしてください。
いいねをするにはログインしてください。
ポイントをれて作者さくしゃ応援おうえんしましょう!
評価ひょうかをするにはログインしてください。

感想かんそうけておりません。
+注意ちゅうい+
とく記載きさいなき場合ばあい掲載けいさいされている作品さくひんはすべてフィクションであり実在じつざい人物じんぶつ団体だんたいとうとは一切いっさい関係かんけいありません。
とく記載きさいなき場合ばあい掲載けいさいされている作品さくひん著作ちょさくけん作者さくしゃにあります(一部いちぶ作品さくひんのぞく)。
作者さくしゃ以外いがいほうによる作品さくひん引用いんようえる無断むだん転載てんさい禁止きんししており、おこなった場合ばあい著作ちょさくけんほう違反いはんとなります。

この作品さくひんはリンクフリーです。ご自由じゆうにリンク(紹介しょうかい)してください。
この作品さくひんはスマートフォン対応たいおうです。スマートフォンかパソコンかを自動じどう判別はんべつし、適切てきせつなページを表示ひょうじします。
作品さくひん読了どくりょう時間じかんまいぶん500文字もじむと想定そうていした場合ばあい時間じかんです。目安めやすにしてください。
↑ページトップへ