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【書籍化・コミカライズ】無自覚な天才少女は気付かない~あらゆる分野で努力しても家族が全く褒めてくれないので、家出して冒険者になりました~ - 置いてきた過去は
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書籍しょせき・コミカライズ】無自覚むじかく天才てんさい少女しょうじょ気付きづかない~あらゆる分野ぶんや努力どりょくしても家族かぞくまっためてくれないので、家出いえでして冒険ぼうけんしゃになりました~ 作者さくしゃまきぶろ

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いてきた過去かこ

 

「エディ、あのときげてしまって、本当ほんとうもうわけない!」


 ものそろったところでフレドさんがいきおあたまげた。

 道理どうりで、ドリンクをった給仕きゅうじひとはいってときからそわそわしているとおもった。とはっても「なに様子ようすへんだな」とかんじていただけで、突然とつぜん謝罪しゃざいにちょっとびっくりしてしまったが。


突然とつぜん行方ゆくえをくらませて、エディをふくめて大勢おおぜい迷惑めいわくをかけて、本当ほんとうにごめん。捜索そうさくもしただろうし……さわぎにもなったよな」

「いいえ。フレデリックさまかれていたあの状況じょうきょうでは、選択せんたく余地よちはございませんでした。むしろ、当時とうじわたし家族かぞくかんされていたとはえおちからになれず……もうわけありません」

「エディ、そんな謝罪しゃざいなんて……」

「でも、すうねんったら無事ぶじらせるらせのひとつくらいはしかったなとはおもっています」

「うっ……そう、だな。心配しんぱいかけでごめん」


 うぅっ……。よこいていたわたしむねにも罪悪ざいあくかんはしる。実際じっさいわたし置手紙おきてがみひとつで家出いえでをして、アンナにとても心配しんぱいをかけてしまったから。あといちおう家族かぞくにも迷惑めいわくをかけたことわたし反省はんせいしている。

 でもエドワルトさんはやっぱり、「迷惑めいわくをかけた」じゃなくて「心配しんぱいした」ってことだけを強調きょうちょうするあたり、それが本心ほんしんなんだろうな。


無事ぶじだとはっていましたが、お元気げんきそうでかった。信頼しんらいできるご友人ゆうじんもいるようで、安心あんしんしました」

「エディも、無事ぶじかった。ペトラとエルカたちは……」

ははいもうとも、元気げんきにしていますよ。二人ふたりともわたしより心配しんぱいしておりました」


 ……二人ふたり会話かいわ不穏ふおん背景はいけいかんじる。フレドさんの安否あんぴ心配しんぱいするような状況じょうきょうとは……?

 フレドさんはまわりの期待きたいこたえられず優秀ゆうしゅうおとうと立場たちばけて出奔しゅっぽんした、とだけっていたけど、危険きけんもあるような状態じょうたいだったということはそれ関係かんけいだろうか。

 高貴こうきまれそだちだったんだろうなぁ、というのはなんとなくさっしていたけど。おいえ騒動そうどうこっていのちからがらげだす必要ひつようまれるような身分みぶんだなんて。そこまでは想像そうぞうしてなかった。


「れ、連絡れんらくはしようとおもってたけど、そっちが安全あんぜんかどうかからなくて……そ、それより。あの新聞しんぶん記事きじだけでよくおれだってかったな」

「……ざつにはぐらかされたので、このてんについてはのちほど追及ついきゅうさせていただきましょう。さきほどから皆様みなさま全員ぜんいん怪訝けげんかおをされていますから、確認かくにん説明せつめいさきにしたいとおもいます。まず、フレデリックさまからどの程度ていどうかがってますか?」


 そこではじめてまったくはなしについてけてなかったわたしたち気付きづいたフレドさんが「あ」とちいさくこえげて反応はんのうした。

 

「ええと……優秀ゆうしゅうおとうとさんに立場たちばゆずるためにいえからてきたはなしはふんわりいてるんですけど……いまはじめてフレドさんの本名ほんみょう? をいたくらいなので、なにらないとおもいます。最初さいしょからかせていただけますか?」


 ここまでいてます、とえるほどの情報じょうほうもないわたし正直しょうじきつたえた。アンナもうなずいてるので、わたしおな程度ていどことしかいてなかったのだろう。「フレドは家出いえでしてきてたのか? 仲間なかまじゃなぁ」と感想かんそうべている琥珀こはくも、なにいてないみたいだし。

 しかしそこで、ちょっとおも雰囲気ふんいき目配めくばせをしったエドワルトさんとフレドさんをて、「やっぱりいちゃダメだったかな」とあせってくわえる。


「も、もちろんはなせる範囲はんいかまいません! ご実家じっか名前なまえとか、せていただいて……」

「え? フレデリックさまはそんなことはなしてなかったんですか? ……まったく……」

「い、いやちがうんだよ! 内緒ないしょにしようとしてたとかじゃなくて。おしえたらむしろ危険きけんんでしまうかもとかんがえたりしてたら、つたえるタイミングをのがしちゃって……」


 弁明べんめいをするフレドさんの言葉ことばにはうそいようにかんじる。わざとかくしていたのではなく、おしえるのをひかえるような事情じじょうがあるのなら仕方しかたないとおもう。わたしだって、まだフレドさんにはなしてないことだってありますから。とフォローしたい気持きもちがいたけど、はなしすすんでしまいくちはさめなかった。


「とりあえず、一度いちどおおまかに説明せつめいさせていただきます。複雑ふくざつはなしながくなるところは、から詳細しょうさいをおはなししますので」


 そう前置まえおきをしたうえで、エドワルトさんがはなしはじめる。そうしてかされたはなしは、わたしたちだけではなくフレドさんにとってもおどろ内容ないようだったようだ。


「まず……フレデリックさま皆様みなさまがフレドとばれているこちらのほうですが、実家じっか少々しょうしょう複雑ふくざつ事情じじょうがありまして。のちほど説明せつめいさせていただきますが、その周囲しゅうい人間にんげんせまった危険きけんからのがれるために、やむなく身分みぶんててきていかれることえらびました」

「……はい」


 ここまでのはなし理解りかいしたとしめすためにうなずいてせる。きっと、フレドさんがきでいつわってたんじゃないというフォローの意味いみもあるんだろう。

 なので、「そんなおおげさにわれるとずかしいから……」とっているフレドさんにはあえてれないではなしすすめていく。


今回こんかいフレデリックさま連絡れんらくりましたのは、おとうとくんのクロヴィス、さま新聞しんぶん記事きじをごらんになって気付きづかれたのがきっかけですが」


 今一いまいちまどかだけど敬称けいしょうけるまえ不自然ふしぜんあいだがあったな。母国ぼこくじゃないから、とかんがえること出来できるけど「ちが敬称けいしょうびそうになったからかもしれない」とかんがえてしまう。

 もしかしてわたしかんがえていたよりもフレドさんって……。そうかんがえて一旦いったんむ。いや、それをこれからはなしてもらうのだからいまいておこう。


「きっかけは事実じじつそうですし、そう手紙てがみにもきましたが、じつはフレデリックさま居場所いばしょはかなりはや段階だんかいつかんでおりました」

「ええ?!」

「もちろん、本当ほんとうに……フレデリックさま行方ゆくえ不明ふめいとなられてすぐは我々われわれ身動みうごきがれませんでしたので、フレデリックさまおもわれる人物じんぶつつけすまでに半年はんとしはかかりましたが」

半年はんとししかかからなかったのか……」


 フレドさんは「そんなにすぐつかっていたなんて」とずかしそうにあたまかかえた。


「ただそれで、……多少たしょうのトラブルはありながらも冒険ぼうけんしゃとしてきちんと生活せいかつ出来できているようでしたので、あえて接触せっしょくはしませんでした。てき陣営じんえいられるリスクを極力きょくりょくらしたくて」


 なるほど、そのときはフレドさんが身分みぶんててげるほど環境かんきょう改善かいぜんされておらず、居場所いばしょられたらまた危険きけんおよ可能かのうせいがあったのだろう。


「あと……フレデリックさまが、つぎ巧妙こうみょうかくしてしまうおそれがありましたので。フレデリックさまにもてき陣営じんえいにも気付きづかれていないまま、こちらは把握はあくしているという状況じょうきょう一番いちばん理想りそうてきでした」


 ああ……たしかに。

 エドワルトさんのさっきの言葉ことばからさっするに、おとうとさんにこうがせたい人達ひとたちから、フレドさんだけじゃなく周囲しゅういひとにも圧力あつりょくがあったんだろう。きっと当時とうじのフレドさんだったら、居場所いばしょられたとかった時点じてんでその人達ひとたちまもるために……今度こんど冒険ぼうけんしゃすらめてかくしてしまっていたとおもう。

 わたしがぼんやり想像そうぞうしていたものよりも、フレドさんのかかえていた過去かこ相当そうとう複雑ふくざつで、どんな反応はんのうをしたらいいのか全然ぜんぜんからない。

 こまったようなみをかべるフレドさんが視界しかいはいった。


今回こんかい連絡れんらくりましたのは、クロヴィスさまがフレデリックさまことつけてしまったからです」

つけてしまった、とは……?」


 そのくちぶりだと、おとうとさんはフレドさんの居場所いばしょ把握はあくしていたひとなかにははいっていなかったのだろう。ただ、フレドさんからまえいたはなしからしても、後継こうけいしゃあらそいを仕掛しかけてくるようなひとにはおもえないので単純たんじゅんに「どうして仲間外なかまはずれにされてたのだろう」と疑問ぎもんかんじた。

 それに、そのいいかたでは……まるで「つけないほうかった」とっているようにしかおもえない。

 なに理由りゆうがあるのか。わたしとアンナはエドワルトさんの言葉ことば緊張きんちょうした面持おももちでった。

 琥珀こはくは……はなしむずかしかったのか、全然ぜんぜん理解りかいしてなさそうなかおをしている。うん、あと琥珀こはくにもかるように説明せつめいするから、ちょっとっててね。


「クロヴィスさまはあらゆる分野ぶんや才能さいのうった天才てんさいであり、それにおごことのない人格じんかくしゃでもある、とても優秀ゆうしゅうほうなのですが……」


 わたしあいづちをってつづ言葉ことばった。


「あのほうはちょっと……いや、かなりつよめのブラコンでして」

「……つよめのブラコン」


 わたしめるようにゆっくり復唱ふくしょうする。エドワルトさんがうやうやしくうなずいて肯定こうていしてせた。


「はい……それでですね。クロヴィスさまにフレデリックさま居場所いばしょられてしまうと、すぐにもどしてまた問題もんだい再発さいはつしかねないので……だまっていたのです」


 なか衝撃しょうげきてき単語たんごしてきてめんらっていたわたしは、つづいた言葉ことばなにとか咀嚼そしゃくして理解りかいした。……なるほど、新聞しんぶん記事きじのそこまで鮮明せんめいでない写真しゃしんの、背景はいけいうつっていたフレドさんをよく見付みつけたなと不思議ふしぎだったのだが、なんだかそういった特別とくべつ事情じじょう? があったらしい。なるほど。

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