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【完結】政略結婚をしたらいきなり子持ちになりました。義娘が私たち夫婦をニヤニヤしながら観察してきます。 - 第十四話
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完結かんけつ政略せいりゃく結婚けっこんをしたらいきなり子持こもちになりました。むすめわたしたち夫婦ふうふをニヤニヤしながら観察かんさつしてきます。 作者さくしゃみずミナト@『解体かいたいじょう書籍しょせき&コミカライズ進行しんこうちゅう

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だいじゅうよん


今日きょうおどろきましたね」


「ああ、そうだな。まさかフィーナも精霊せいれい祝福しゅくふくさずかるとは……それにあのおおかみおれはじめてた」



 怒涛どとういちにちわり、就寝しゅうしん

 わたしとクロヴィスさま支度じたくととのえてベッドに腰掛こしかけながら、今日きょうのことをおもかえしていた。


 フィーナはおおかみ精霊せいれい一緒いっしょるとって自室じしつかえってしまった。クロエがってくれるから大丈夫だいじょうぶだとはおもうけど、すこ心配しんぱいね。


 それにしても、フィーナがあのおおかみ介抱かいほうをしていただなんて、らなかったわ。

 精霊せいれいだとはいえ、おおかみおくすることなくべたフィーナの心根こころねやさしさに感動かんどうした。



「でも、一言ひとこと相談そうだんしてくれてもいいのに……」



 さといフィーナのことだから、おおかみ面倒めんどうたいとってわたしたちに心配しんぱいされるのではと判断はんだんしたのだろう。とはいえ、わたしはあの母親ははおやなのだから、こまったことがあったらなんでもはなしてほしいしたよってほしい。


 ちょっぴりくちびるとがらせていると、クロヴィスさまがククッとのどらした。

 その色気いろけのあるひくおとに、どきりと心臓しんぞうねる。



「アネットもすっかり母親ははおやだな」


「まあ、クロヴィスさまだって、素早すばやくフィーナをげていて、すっかり立派りっぱ父親ちちおやでしたよ」



 おたがいにおどけい、そして微笑ほほえった。

 クロヴィスさままえ肩肘かたひじることをめたおかげで、最近さいきんでは背伸せのびをせずに自分じぶんらしくごすことができている。クロヴィスさまわたしごすときはリラックスしている様子ようすで、このひとときにとてもやすらぎをかんじている。



「さて、フィーナはきっとこれからあのおおかみともるようになるだろう。となると、夫婦ふうふ時間じかんえるわけだが――」


「あっ……」



 クロヴィスさまがすうっとほそめられ、そのするど眼差まなざしに射抜いぬかれたようにかたまってしまう。



「えっと、クロヴィスさま……?」



 すでに胸元むなもとをくつろげはじめて色気いろけただよわせているクロヴィスさま戸惑とまどいの視線しせんけるも、クロヴィスさま口元くちもと微笑びしょうたずさえたままジリジリとこちらにせてくる。



明日あしたあさすこしゆっくりできるんだ。一緒いっしょよるかししよう」


「ちょ、ええっ……っ」



 クロヴィスさまわたしたおしながらばして器用きようにベッドサイドの照明しょうめいとす。


 もう……とおもいながらも、わたしはクロヴィスさまひろ背中せなかうでまわした。







 ◇◇◇



 フィーナが精霊せいれい祝福しゅくふくけてにち

 すっかりおおかみ中庭なかにわまわることが習慣しゅうかんになったみたい。


 おおかみに「ウォル」という名前なまえをつけたフィーナは、名前なまえまったとき、とてもうれしそうに報告ほうこくをしてくれた。



「『ウォル』ってなくからウォルなのでしゅ!」


「んぐっ……そ、そう。いい名前なまえね」



 をキラキラかがやかせておしえてくれたフィーナが可愛かわいすぎてのどおくからへんこえてしまったのよね。


 そのときのことをおもかえすとみがあふれる。

 そしてわたしいま、ガゼボで刺繍ししゅうをしながら元気げんきまわるフィーナとウォルの様子ようすながめている。



奥様おくさまはウォルがえるのですよね?」



 ティータイムの用意よういをしてくれていたクロエが、不意ふいたずねてきた。



「ええ。あおみがかったしろ毛色けいろで、にちひかりたると白銀はくぎんかがやいてえるわ」


左様さようですか……」



 クロエはフッと微笑ほほえんだ。わたしけられたには羨望せんぼういろにじんでいる。

 フィーナにまぶしそうな視線しせんけ、みをふかめるクロエ。


 そうよね、クロエにはえないのよね……



「はあ、つかれまちた!」



 クロエの準備じゅんびととのったころ見計みはからい、はしまわってかおになったフィーナがガゼボへもどってきた。


 フィーナがせきにつき、その足元あしもとにウォルがやってる。クロエが準備じゅんびした果実かじつすい美味おいしそうにんでいる。


 このタイミングで、ポンッと軽快けいかいおとがして、フィーナに祝福しゅくふくあたえた精霊せいれい姿すがたあらわした。

 この精霊せいれいはあの以来いらい、たまにこうしてわたしたちのまえにやってるようになった。フィーナとウォルの様子ようすているのかしらね。


 精霊せいれいは『やっほー』とかる挨拶あいさつをすると、フィーナ、ウォル、わたし、そしてクロエにじゅん視線しせんうつした。

 そしてしばしかんがえるようにあごゆびてて、フィーナにいかけた。



『いつも一緒いっしょにいるけど、このはフィーナのお友達ともだち?』


「え? クロエ? そうよ!」


「お嬢様じょうさま……!」



 即答そくとうするフィーナに、クロエは片手かたて口元くちもとさえて感激かんげきしている。

 わたし屋敷やしき当初とうしょは、ポーカーフェイスで表情ひょうじょうめない印象いんしょうだったけど、いまはかなりいろんな表情ひょうじょうせてくれるようになった。こちらまでうれしくなってしまう。



『ふーん、そうなんだ』



 わたしひそかにしみじみしていると、精霊せいれいなにかを見定みさだめるようにクロエのまわりをはじめた。

 精霊せいれいえないクロエは当然とうぜんだけど、そのことにづいていない。



「クロエもあなたたちのことがみえるといいのだけど……そんなことはできるのかちら?」



 そんな精霊せいれいに、フィーナが両手りょうてわせておねだりした。


 そうよね。クロエもウォルの姿すがたえたほうがお世話せわもしやすいものね。でも、祝福しゅくふくはそう簡単かんたんられるものでは……



『できるよお』


「えっ!?」



 精霊せいれいがあまりにもあっさりと肯定こうていしたものだから、おもわずこえげてしまった。

 精霊せいれい行動こうどうはやかった。わたしおどろいているあいだに、片手かたてをおさらのようにして、ふうっとクロエにいききかけた。



「えっ……こ、これが精霊せいれい……? ああ、ウォル……あなたはこんなにも凛々りりしく気高けだか顔立かおだちをしていたのですね」



 すう度目どめしばたいたクロエが、ウォルのはたこしとし、くびもとでている。ウォルもうれしそうにほそめ、クロエもおなじように微笑びしょうたずさえている。どうやらえているらしい。



「わあっ! クロエ、よかったわね! せいれいさんも、ありがとう!」


『ふふっ、いいよお』



 なごやかな空気くうきながれるけれど、しずかにがったクロエが戸惑とまどいがちにくちひらいた。



「あ、あの……大変たいへんありがたいことなのですが、そんなに簡単かんたん祝福しゅくふくをいただいてもよろしいのでしょうか……? ましてや一介いっかい侍女じじょであるわたしが」


『いいのいいの。精霊せいれいまぐれだから。ったには祝福しゅくふくあたえるよ~それにきみはいつもフィーナたちに献身けんしんてきつかえているからね。きみつくるお菓子かし絶品ぜっぴんだしぃ』



 そういながらクロエが用意よういしたクッキーをり『あーんっ』と頬張ほおばった。もしかして、胃袋いぶくろつかまれたから……?


 わたしたちはおもわずかお見合みあわせて――プッとした。



「せっかくだから、今日きょうはクロエも一緒いっしょたのしみましょう」



 クロエにいているせきすすめるも、クロエはギョッと見開みひらいてものすごいはやさでった。



「いえ、わたしはただの侍女じじょですので……」


「あら、いいじゃない! せいれいきねんびよ!」



 フィーナが「ね、おねがい」とキラキラしたでクロエをつめる。

 ああ、これはれるわね。そうおもいながら様子ようす見守みまもっていると、おもったとおり、クロエはむねさえていちあとずさった。



「う……では、本日ほんじつだけ……」


「やったあ!」


『アオーン!』



 こうしていつもより一層いっそうにぎやかな午後ごごのひとときは、ゆったりとしあわせな時間じかんながれていた。

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