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【完結】政略結婚をしたらいきなり子持ちになりました。義娘が私たち夫婦をニヤニヤしながら観察してきます。 - 第二十八話 (後半)sideフィーナ
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完結かんけつ政略せいりゃく結婚けっこんをしたらいきなり子持こもちになりました。むすめわたしたち夫婦ふうふをニヤニヤしながら観察かんさつしてきます。 作者さくしゃみずミナト@『解体かいたいじょう書籍しょせき&コミカライズ進行しんこうちゅう

だいしょう いざ、おう

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だいじゅうはち (後半こうはん)sideフィーナ

 ミランダさま案内あんないされたパウダールームで着替きがえと化粧直けしょうなおしをませたわたしは、会場かいじょうもどみちいそいでいた。


 どうしても、フィーナにわれたことがになって仕方しかたがない。



 クロヴィスさまからはなれるな。



 パウダールームまでの道中どうちゅうでミランダさまにかけられた言葉ことば端々はしばしから刺々とげとげしいものをかんじた。


 もしかすると、ミランダさまは――

 そうおもうとむねおくがざわついて仕方しかたがない。


 とにかく、いそいで会場かいじょうへ――


 なが薄暗うすぐら廊下ろうかかくがったタイミングで、くろおおきなかげはいった。


 だれかがめている……?


 気配けはいころして様子ようすうかがうと、なにやら物騒ぶっそうはなしこえてくる。


 ――だい王子おうじ誘拐ゆうかいして、その犯人はんにんをミランダさま仕立したてげようとしているの?


 おもわぬ事態じたいまえに、ヒュッといきまった。


 どういうわけか、今日きょう城内きうち随分ずいぶん照明しょうめいとされているうえに、警備けいび手薄てうすだ。

 だが、ちかくには王城おうじょう近衛このえへい騎士きしたちがいるはず。


 ここでさわぎをこせば、だれかがづいてけつけてくれるかもしれない――


 わたしふるえるをぎゅっとにぎりしめて、こえげた。 



「おちなさい! 彼女かのじょをどこへれてくおつもりですか?」


「んんっ!?」


「ああ? ……チッ。モタモタしてっからだぞ」


仕方しかたねえ、あのおんなつかまえてずらかるぞ!」



 くらくてよくえないけれど、ミランダさまつかまっていることはかった。


 とにかく、彼女かのじょたすけなくては――!


 わたしなにたたかえるものはないかと周囲しゅうい見渡みわたす。

 通行止つうこうどめのためのポールにくさり、あとは観葉かんよう植物しょくぶつかれている。

 わたしまよわず観葉かんよう植物しょくぶつり、じた。



「おねがい、ちかくにいたらこたえて……!」



 おとこたちがおとてないようにジリジリとこちらにせまってきている。


 おねがい、はやく――!



『わあっ! アネットだ。ひさしぶり〜』



 こたえた!


 状況じょうきょう見合みあわないゆったりとしたはなかたでポンッとあらわれたのは、おうみやこにいるとき仲良なかよくなった精霊せいれいだった。



ひさしぶりね。ゆっくりおはなししたいのは山々やまやまなんだけど……いまとてもこまっているの」


『んん? なあに? どうしたの?』



 キラキラとはねきらめかせながらわたしまわりを精霊せいれい

 ひとには姿すがたえていないようで、ブツブツひとごとはなわたし怪訝けげんている。



単刀直入たんとうちょくにゅううわね。あのおとこたち、わるひとなの。つかまえる手伝てつだいをしてくれる?」


悪者わるものぉ? いいよお!』



 精霊せいれいはキョトンとしばたいたのちおとこたちに視線しせんうつしてニッコリと微笑ほほえんだ。

 そして観葉かんよう植物しょくぶつまわりをぶと、メキメキッと植物しょくぶつ急速きゅうそく成長せいちょうしていく。



『いっくよお、そーれ!』



 精霊せいれいおとこたちにかってゆびろすと、追随ついずいするように植物しょくぶつえだばしておとこたちにからみついた。

 シュルシュルと手足てあしとらわれ、廊下ろうかたおれていくおとこたちはあせりのこえをあげている。



「はぁっ!? なんだこれは! うわっ!?」


「チィッ!」



 ナイフを応戦おうせんするものもいるけれど、植物しょくぶつうごきは縦横無尽じゅうおうむじんだ。



『アハハッ! 無駄むだだよお。えいっ』


「うわああっ!」



 精霊せいれいちからで、あっという主犯しゅはんかくおとこ以外いがい簀巻すまきのように廊下ろうかころがった。



「なんなんだ、テメェは! くそっ、るな! いちでもうごけばこのおんなころすぞ!」


「なっ、きたないわよ!」



 いよいよ最後さいご一人ひとりだと、いちあししたときおとこ素早すばや小型こがたナイフをしてミランダさまくびてた。



なにそれ、おどしのつもり? そーれっ』



 そんなことにはかまわずにミランダさまとらえるおとこかって精霊せいれいうでろそうとした。



「わっ、だめよ!」



 咄嗟とっさ精霊せいれい両手りょうてつかんでなだめると、なか精霊せいれいが『えー、なんでえ』とくちびるとがらせている。


 精霊せいれいちからりれば、ミランダさま解放かいほうできるかもしれない。

 でも、無傷むきずではいられない可能かのうせいたかい。


 精霊せいれいえないおとこは、突然とつぜん意思いしがあるかのようにうごめいた植物しょくぶつ恐怖きょうふねんいているはず。

 ひと恐怖きょうふまれると、理性りせいたもてなくなる。刺激しげきしすぎるのは悪手あくしゅだろう。



「へっ、どんなカラクリを使つかったのかはらねえが、とにかくおれげるぜ」


「くっ……!」



 どうにか、おとこすきをついてミランダさまのがすことができないかかんがえをめぐらせるも、わたしあせっていてどうも思考しこうがまとまらない。


 ジリジリと後退こうたいしてやみなかえてこうとするおとことミランダさま

 ミランダさまには恐怖きょうふいろにじんでいて、はやたすけなくてはとあせりばかりが加速かそくする。


 そのとき、ふわりとわたしかみふうれた。

 そして間髪かんぱつれず、ゴウッとけられないほどはげしい突風とっぷうれた。



「うわっ!? なんだ……!?」


「きゃっ!? こ、これは……?」



 どこかなつかしいような、おぼえがあるふうに、不安ふあんあせりでいっぱいだったむねがスウッといていく。


 ふう収束しゅうそくし、旋風せんぷう中心ちゅうしんから姿すがたあらわしたのは――



「お母様かあさまっ! ご無事ぶじですか!?」



 いつものばい以上いじょうおおきな身体しんたいとなったウォルからヒラリとりるいとしいだった。







 ◇◇◇



「お母様かあさまがっていてください」



 ウォルからりてお母様かあさま仁王立におうだちをするわたしとクロエ。


 ウォルのおかげでお母様かあさま危機ききけつけることができたわ!

 遠目とおめではあったけれど、精霊せいれいちから使つかって勇猛ゆうもう果敢かかんたたか姿すがたはとても気高けだかうつくしかったわね。



「ぐふっ、たたかうお母様かあさま最高さいこうだったわね、クロエ!!」


「ええ、とても勇敢ゆうかんなお姿すがた感激かんげきいたしました」


「さ、今度こんどわたしたちのつがえよ! われらがしをまもるのよ!」


「おまかせください」



 背後はいごから「お、し……?」という戸惑とまどこえこえるけれど、まずはこの綺麗きれいにお片付かたづけしなくては。



「お、おまえら、どこからあらわれやがった!?」



 はげしいふう突然とつぜんわたしたちの登場とうじょうに、ミランダを羽交締はがいじめにしているおとここえ上擦うわずらせている。


 そっか。そもそもウォルの姿すがたえないし、ウォルのちから姿すがたかくしていたわたしたちの接近せっきんにもづいていなかったってわけね。そりゃ警戒けいかいもするしおそろしいわよね。


 ミランダは見開みひらいてウォルがたたず場所ばしょ凝視ぎょうししているので、おそらく精霊せいれいえているのだろう。さすがはヒロインというところかしら。



「う、うごくな! このおんながどうなってもいいのか!?」



 わたしとクロエをにらみつけながら、ナイフのさきをミランダのくびてるおとこ

 ミランダはわたししカプを破滅はめつさせるにく存在そんざいではあるんだけど、いのち危険きけんさらされた彼女かのじょたすけない選択肢せんたくしはない。



「クロエ、いける?」


余裕よゆうです」



 となりつクロエにだけこえる声量せいりょういかけると、クロエはポキポキッとりょう手首てくびくびまわし――視界しかいからえた。



「なっ、どこに……っ! ぶべらっ!」



 地面じめんスレスレまでひく身体しんたいとしたクロエは、たったのすうおとことの距離きょりめ、にもまらぬはやさであしげておとこつナイフをピンポイントではじばした。カラカランと廊下ろうかころがっていくナイフはウォルがくわえてわたしもとってきてくれた。


 クロエはおとこひるんだすきにミランダを拘束こうそくするうで手刀てがたなとし、うでゆるんだと同時どうじにミランダを自分じぶんうでんだ。


 そしてミランダをまもるように片腕かたうできしめたまま、クロエはおとこくび目掛めがけてまわりをめた。

 じつにあっけないまくきだった。


わりました」



 いたでスカートのすそはたきながらすずしいかおをしてせん(のたま)うクロエさん。 



「……クロエ、あなたイケメンすぎるわ」


「いえ、侍女じじょとして当然とうぜんたしなみです」



 だいおとこ素手すでたお侍女じじょなんて、クロエのほかにいるのかしら?

 まあ、それはおいたしかめるとして、ミランダは無事ぶじなの?


 クロエにってミランダの様子ようす確認かくにんすると、ミランダはトロンとしたでクロエをつめていた。

 くらくてかりにくいけど、ほお桃色ももいろまっているような……んん?



「……………………素敵すてきせる」



 ボソリとそうつぶやいたミランダに、クロエは怪訝けげんかおをしている。



「クロエ……あなたもつみおんなね」


「はあ……」



 ものすごくいやそうなかおをしているけど、たしかにさっきのクロエはカッコよかったわね。

 うっかりちてしまうのも仕方しかたがない。



「さて、お母様かあさまとらえたおとこたちと、クロエがやっつけたおとこ全員ぜんいんかしら?」



 わたし周囲しゅういらして確認かくにんする。

 あわいてたおれたおとこと、植物しょくぶつでグルグルきになったおとこたちがころがるばかりで、いや気配けはいかんじない。



「あっ! リューク殿下でんか!」


「え?」



 いちけん落着らくちゃくかしらとかたちからいたところで、かえったミランダがさけんだ。



「あのおとこたちがっていたのよ! だい王子おうじとらえるって……大変たいへんだわ。はやらせなきゃ!」



 サッとかおあおざめさせるミランダ。どうやら冗談じょうだんっているようではないようね。

 この様子ようすだと、一刻いっこくあらそ状況じょうきょうということかしら。



「――クロエ、ここはまかせるわ」


「お嬢様じょうさま!?」


「えっ、フィーナ!?」



 ウォルはわたしかんがえを察知さっちしたのか、すでにいつものサイズになってわたし背中せなかるのをっている。ね。

 ポカンとくちけてきを見守みまもってくれていたお母様かあさまも、わたし心配しんぱいするこえをあげた。



「お母様かあさま、フィーは大丈夫だいじょうぶです! みんなをたのみますね!」



 素早すばやくウォルにって、わたしたちはそとした。


 さて、だい王子おうじ部屋へや何処どこかしら。そとからさがしたほうはやそうよね。

 ふう同化どうかするウォルの背中せなかつかまりながら、しろ見上みあげる。


 すると、いち部屋へやだけまどからカーテンがヒラヒラとなびいている部屋へやつけた。

 照明しょうめいとされてくらだが、ひと気配けはいかんじる。



「ウォル! たのんだわよ!」


『アオーーーーーン!』



 わたしごえ合図あいずに、ウォルはかろやかに跳躍ちょうやくした。

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