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Solomon's Gate - 目標はイプシロン基地
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Solomon's Gate 作者さくしゃ:さかもり

だいしょう ほしけい守護しゅごするものたち

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目標もくひょうはイプシロン基地きち

 ミハルたちがセントラルこうちゅうぐん訓練くんれんしょ入所にゅうしょしてからヶ月かげつぎていた。みじかいようでながかった訓練くんれんせいとしての期間きかんがようやくわろうとしている。


 本日ほんじつ面談めんだん予定よていされていた。それは訓練くんれんせい簡単かんたん意識いしき調査ちょうさ希望きぼう配属はいぞくさきくためのものだ。ただそれは慣例かんれいてきおこなわれているだけであり絶対ぜったいてき意味いみたない。あくまで希望きぼうくだけであった。


 現時点げんじてんでトップの成績せいせきおさめていたミハルは一番いちばん最後さいご面談めんだんとなっている。


「ミハルとうこうちゅう、いよいよ配属はいぞくとなるが希望きぼうはあるか?」


 ミハルにいたのはダニエル所長しょちょうである。白髪はくはつをしたかれ現役げんえきではない。しかし、じゅうさいまで前線ぜんせんたたかっていたパイロットであり、指導しどうりょくみとめられ訓練くんれんしょ所長しょちょうとなっていた。


「もちろんです。わたしはイプシロン基地きちでしかたたかいたくありません」


 毅然きぜんこたえるミハル。イプシロン基地きちはソロモンズゲートに建造けんぞうされたGUNS最大さいだい基地きちである。アイリス・マックイーンが異動いどうした基地きちであり、彼女かのじょ目標もくひょうとするミハルは当然とうぜんのことイプシロン基地きち希望きぼうしていた。


「どうしてだ? おまえ色々いろいろうわさいているのではないか?」


 おおやけにはなっていないことだが、イプシロン基地きちやソロモンズゲートにはからぬうわさばなしっていた。だからこそイプシロン基地きちこたえたミハルにダニエルは疑問ぎもんいている。


文明ぶんめいとか銀河ぎんが戦争せんそうとか関係かんけいありません。わたし自分じぶん目的もくてきたすためだけにここにいます。アイリス・マックイーン中尉ちゅういにフライトをみとめさせるためであれば、戦争せんそうがあったとしてたたかうだけです」


 近年きんねんはダニエルが訓練くんれんかおすなんてすくなくなっていたけれど、今期こんきかぎっては幾度いくどとなく現場げんばまであしはこんでいる。かつてのおし彷彿ほうふつとさせるフライトデータを発見はっけんしてしまったから。

 かがやきをはなとうとする原石げんせきかれつけていた。


 間違まちがいなく才能さいのうめているとおもう。実際じっさいにミハルは測定そくていでも実地じっち試験しけんでも抜群ばつぐん成績せいせきおさめていたのだが、られたデータからすると彼女かのじょのフライトは物足ものたりない。ダニエルがおもうところによると彼女かのじょはまだ才能さいのう発揮はっきしきれていなかった。


「おまえはアイリス・マックイーン中尉ちゅういきそうような立場たちばにいない。まだまだ未熟みじゅくだ。かっているのか?」


かっています。でもわたし彼女かのじょまえびたい! どうかおねがいします!」


 軍部ぐんぶ方針ほうしんとしてそく戦力せんりょくとなりるパイロットはイプシロン基地きち以外いがいへの配備はいびもとめられていた。

 人類じんるい戦力せんりょくはイプシロン基地きち集中しゅうちゅうしており、辺境へんきょう基地きちには如何いかほども戦力せんりょくのこっていない。だからこそ辺境へんきょう基地きち少数しょうすう精鋭せいえいであり、宇宙うちゅう海賊かいぞく突発とっぱつてき紛争ふんそうにもぐさま対処たいしょできる人材じんざいほっしている。


「ミハル、おまえはもし目的もくてきぐに達成たっせいできないとかればどう行動こうどうする?」


 ダニエルはまよっていた。わずもがなミハルの配置はいちについて。彼女かのじょ目的もくてきかね名声めいせいであればこんなにもなやまなかったことだろう。私怨しえんともいうべき目的もくてき軍部ぐんぶ意向いこうことなっていたのだ。


 かり彼女かのじょ目的もくてきたせなかった場合ばあい想像そうぞうできる結末けつまつひとつだけである。訓練くんれんせい配属はいぞくさきについて大凡おおよそかたまっていたものの、肝心かんじん首席しゅせきそつしょ予定よていしゃさきをダニエルはめかねていた。


「そんな仮定かていかんがえたくもありません」


 返答へんとう予想よそうどおりだ。ダニエルは時間じかんなんもミハルとっている。よって彼女かのじょのことはすくなからず理解りかいしているつもりだ。ミハルの目的もくてき入所にゅうしょ当時とうじから一貫いっかんしており、時間じかんがいにも努力どりょくつづける彼女かのじょ本気ほんきであるのはあきらか。


「では目的もくてきとおのいたとして、おまえはそこであきらめてしまうような弱者じゃくしゃか?」


 ためすようにく。ダニエルはまたも返答へんとうかっていたけれど、いておかねばならなかった。彼女かのじょがどういったこたえをすのかと。


「どういう意味いみでしょう? 以前いぜんにもおつたえしましたが、わたし軍部ぐんぶ在籍ざいせきする理由りゆうひとつだけ。自分じぶん自身じしんほこるため。一番いちばんになりたいだけです……」


 ミハルがかた軍部ぐんぶでの目的もくてきいままでにてきた訓練くんれんせい明確めいかくことなる。彼女かのじょには軍部ぐんぶという組織そしき自体じたいすこしもこだわりがない。資格しかくるためだけに入所にゅうしょするものであっても、すくなからずとし単位たんいという期間きかんごそうとめているのだ。たよりがいのない彼女かのじょ返答へんとうには嘆息たんそくするしかなかった。


「ミハルとうこうちゅう退出たいしゅつしたまえ。これにて面談めんだん終了しゅうりょうだ……」


ってください! 本当ほんとうにおねがいしますよ!? わたし絶対ぜったいけたままではいられないのです!」


 最後さいごまでミハルは希望きぼううったえていた。しかし、ダニエルは退出たいしゅつめいじている。確約かくやくすることなくくびるだけであった。


 しずかに退出たいしゅつするミハルにダニエルはながいきく。けれど、自身じしん選択せんたく間違まちがっていないとおもう。才能さいのうかすという決断けつだん正解せいかいであるとうたがわない。


 配属はいぞく希望きぼうをダニエルにつたえたミハル。所長しょちょうしつてから、ふぅっといきいた。自身じしん希望きぼうあますことなくつたえている。だから希望きぼうかなうとしんじたい。まわみちなどミハルはしたくなかった。


「ミハル! どうだった?」


 所長しょちょうしつまえにはキャロルの姿すがたがあった。どうしてか学校がっこう同窓生どうそうせいであるニコルまでもがかまえるようにたてっている。


二人ふたりどもどしたの?」


 面談めんだん成績せいせきじゅんであり、ミハルが一番いちばん最後さいごであるとにんっていた。だからこそ自室じしつもどることなく彼女かのじょっていたのだ。


「ミハルはどんな希望きぼうつたえたのかなって! あたしは地元じもと貢献こうけんしたいってはなしをしたんだけど」


 どうやらキャロルはセントラル区画くかく基地きち希望きぼうしたらしい。軍部ぐんぶ腰掛こしかけとしかかんがえていない彼女かのじょ不穏ふおんうわさのあるイプシロン基地きちだけは配備はいびされたくないようだ。


おれべつってたわけでもないけどさ、ほらおれって次席じせきだろ? だからキャロルと雑談ざつだんしているあいだにミハルの面談めんだんわっただけなんだ」


 キャロルはにらむようにニコルをていた。いいわけばかりをならべるところは本当ほんとうおとこらしくないとおもう。


「ああそうなの? 一応いちおう希望きぼうつたえたよ。イプシロン基地きちしかいやだって……」


 へぇっとそろってうなず二人ふたりだがいちはくおいて、

「イプシロン基地きちぃぃ!?」

 にん同時どうじ大声おおごえげた。


 ミハルの希望きぼう二人ふたりとまるでことなっている。すすんで戦地せんちかおうとするだなんてキャロルたちにはかんがえられない。


「おまえ馬鹿ばかじゃねぇの!? いや、間違まちがいなく馬鹿ばかだけど、本当ほんとう馬鹿ばかだぞ!?」

「ホント馬鹿ばかげよ! すこしくらいかんがえてから行動こうどうしなよってずっとってるでしょ!?」


 そう攻撃こうげきうミハル。自身じしん希望きぼうつたえただけであるのに、このわれよう。二人ふたりはミハルがなにかんがえずに行動こうどうしたとしかかんがえていないようだ。


「ちゃんとかんがえたんだって! ていうか、そもそもわたしはイプシロン基地きち目指めざして軍部ぐんぶはいったんだから!」


 ってミハルはかたす。自身じしん目標もくひょうであるアイリス・マックイーンというたかかべについて。

 ふたた努力どりょくはじめた理由りゆう学生がくせい生活せいかつにおいて自主じしゅ訓練くんれんはじめたのはアイリスにくさされたせいであり、訓練くんれんしょでの努力どりょくもまたアイリスにつためであると。


「マジかよ……」

「ミハル、本気ほんきなの!?」


 二人ふたりはとてもしんじられないといった様子ようすたかすぎる目標もくひょう白黒しろくろとさせていた。


本気ほんき本気ほんきよ! だれ冗談じょうだんなんかで戦場せんじょうくっていうの?」

 まあたしかにとニコル。破滅はめつ願望がんぼうでもないかぎりイプシロン基地きちへの配属はいぞくのぞむものはいないはず。明確めいかく目的もくてきがないのであれば、地元じもとへの配備はいびねがうだろう。


「でもイプシロン基地きち希望きぼうしたなら絶対ぜったいかなうだろうね。だれ一人ひとりとして希望きぼうしていないはずよ?」

「だといいけど。わたしはどうにも我慢がまんならないんだよね!」


 ミハルのけんつよさは二人ふたりもよくっている。けれど、あきらかにかくちが相手あいて対抗心たいこうしんやすだなんて想定そうていがいであった。


「ま、なににせよこれで訓練くんれんしょとかいう地獄じごくとはおわかれね!」

「おうよ。二人ふたりともよく頑張がんばったな?」

なにえらそうに……」


 さんにんわらっている。訓練くんれんしょきびしいといていたままの過酷かこく場所ばしょであった。しかし、一人ひとり脱落だつらくすることなくそつしょまでけている。


 正式せいしき辞令じれいはもうすぐだ。このあと数日すうじつ訓練くんれんしょごしたかれらはしきのあと巣立すだっていく。各々おのおのほしけい守護しゅごしゃとして配属はいぞくさきへとかうだけだ。


 訓練くんれんしょ半年はんとし学生がくせい気分きぶんもすっかりんでいる。節目ふしめむかえたさんにん気持きもちをあらたにしていくのだった……。

ほんさくはネット小説しょうせつ大賞たいしょう応募おうぼちゅうです!

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どうぞよろしくおねがいいたします(>_<)/

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