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Solomon's Gate - セントラル基地にて
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Solomon's Gate  作者さくしゃ: さかもり
だいよんしょう ははなるほし 
63/226

セントラル基地きちにて

 みつるれき799ねんがつにち


 イプシロン基地きちから帰還きかんしたミハルはあわただしい日々ひびごしていた。しかし、以前いぜんおなじかといえばすこしだけことなっている。あらたな隊員たいいん配備はいびされたことにより、夜勤やきん当番とうばんてが減少げんしょうしていたのだ。それでも毎日まいにちのように出撃しゅつげきはあったけれど、随分ずいぶんらくになっている。


「ミハルちゃん、さっきはごめんなさい。あしっちゃって……」

「ああ、いいのいいの! わたしはもっとかんわる後衛こうえい経験けいけんしてるからさ!」


 ちょうど出撃しゅつげきえたあとらしい。ミハルの支援しえん同級生どうきゅうせいのマイがった模様もよう。どうやらマイはミハルの支援しえん完璧かんぺきにこなすことができなかったようだ。


 もうグレックはミハルに小言こごとならべなかった。エイリアン相手あいてにトップシューターとなったミハルはかれはなれたかんじである。


「おいミハル、あまやかすんじゃない。それでマイ、なんいま機動きどうは? ミハルにたよりすぎだ。おまえにたいのか?」


 グレックは相変あいかわらずである。あらたな指導しどう対象たいしょうれただけであり、やっていることは以前いぜんなにわっていない。


「グレック、近頃ちかごろわかいもんはめられてびるもんじゃぞ?」

「バゴスさん、おれはマイのためにっているだけです。べつにマイがにたいのであればなにいませんよ……」


 記憶きおくにあるがままのりにミハルは苦笑にがわらいだ。とはいえ自分じぶん身代みがわりとしてマイがおこられてしまうのはしのびない。なやんだ、ミハルはマイにたすぶねすことにした。


「グレック大尉たいいわたしわるかったかもしれません。目標もくひょうつたえなかった場面ばめんもありましたから……」


「たったろく認証にんしょう相手あいて指示しじなど必要ひつようない。あきらかに実力じつりょくりん。いまのままでは前衛ぜんえい邪魔じゃまになるだけだ」


 援護えんごは敢えなく失敗しっぱいわる。こうなると余計よけい真似まねだったがしないでもない。グレックを苛立いらだたせただけであって、余計よけい小言こごとまでマイはかされてしまうだろう。


 どうしたものかとかんがえたミハルはどうせしずまらないのならと嫌味いやみかえすことにした。


わたし後方こうほうから激突げきとつしてくるような後衛こうえいってますけど?」


 ミハルのはなしには全員ぜんいん言葉ことばうしなう。グレックが手術しゅじゅつするけとなった事件じけん全員ぜんいんっていたのだ。さりとて隻脚せっきゃくとなる原因げんいんまでっている隊員たいいんたちにとって、それはからみにくい冗談じょうだんである。


 しばらくはいや沈黙ちんもくがあったのだが、

「ワハハ! グレック、これは一本いっぽんられたの。もう手打てうちにしてやれ!」

 雰囲気ふんいきさっしたのか豪快ごうかいわらいながらバゴスがはなしめた。師弟してい同士どうし面倒めんどう喧嘩けんかはじまらぬようにと。


「くそ、くちばかり達者たっしゃになりやがって……」


 ミハルとバゴスにわれてはグレックもがるしかない。ちいさく嘆息たんそくし、たしかにもとめすぎているのかもとかんがなおしている。


「だが、マイはもっと訓練くんれんをしろ。もしかりにゲート配備はいびとなればのこれないぞ?」

かっています。わたしだってパイロット一筋ひとすじ頑張がんばってきたんです。もっと上手うまくなりたいし、人類じんるいのためにたたかいたい……」


 グレックは不安ふあんだった。ミハルがトップシューターになったこと。その実績じっせきによって軍部ぐんぶあじをしめたのではないかと。


「いずれマイもたたかうことになるだろう。戦闘せんとう技術ぎじゅつにつける時間じかんはあまりのこされていないはずだ……」


 セントラル基地きちにてミハルが目覚めざましい成長せいちょうげたことは間違まちがいなく注目ちゅうもくされているだろう。グレックはマイの配備はいびがモデルケースのひとつではないかと予想よそうする。訓練くんれんしょかいすことなくレーサーたちが配備はいびされた理由りゆうはミハルのような成長せいちょう期待きたいしているからではないだろうかと。


「ミハルとおなじことはもとめていない。だが、てる能力のうりょくれ……」

了解りょうかいです!」


 きびしい環境かんきょうがミハルを成長せいちょうさせたのは事実じじつだが、実際じっさい才能さいのうによるところがおおきい。しかし、軍部ぐんぶがその事実じじつ考慮こうりょしているとはおもえなかった。だからこそマイが一等いっとうこうちゅう昇進しょうしんするや、彼女かのじょはイプシロン基地きちへと異動いどうさせられるのではとかんがえてしまう。くわえて、またおなじようなとうこうちゅうがセントラル基地きちにやってるのではないかと。


「それで大尉たいい手術しゅじゅつ日取ひどりはまったんですか?」


 小言こごと一段落いちだんらくしたところでミハルがく。彼女かのじょはグレックの入院にゅういんちゅうたいまかされることになっていたのだ。


「いや、まだだ。なが放置ほうちしていたから、ふくすうかいけて検査けんさをするらしい」

「え? まだ検査けんさがあるのですか?」


義足ぎそく製作せいさくのデータりもあわせておこなうんだ。らせたとしてまた義足ぎそくはずれちゃてきわんだろう? 後方こうほうから激突げきとつされかねんぞ?」


 皮肉ひにく皮肉ひにくかえされてしまいミハルは不満ふまんそうにくちとがらせる。かといってグレックのはなし理解りかいできるものだ。中途半端ちゅうとはんぱ義足ぎそくはパイロットとして致命ちめいてきいのちにかかわる問題もんだいであるのだからこそ、最高さいこう品質ひんしつもとめるべきである。


「ああ、そうだ。ミハルの昇進しょうしんまった……」


 ここできゅう話題わだい転換てんかんとなる。グレックがいうにはミハルの昇進しょうしん決定けっていしたらしい。まだ度目どめ大戦たいせんわってからいちヶ月かげつっていなかったというのに。


本当ほんとうですか?」

今朝けさ連絡れんらくがあった。さんとう曹士だといている。木星もくせいでの戦績せんせきさき大戦たいせん結果けっか。あとおれ代理だいりではあるが隊長たいちょうかくとするための処置しょちらしい……」


 さんとう曹士は下士官かしかんである。下士官かしかん序列じょれつでは最下位さいかいであったものの、ミハルは一般いっぱんへいくくりからはずれていた。隊長たいちょう代理だいりとして適格てきかくではなかったけれど、もとよりハンターたい規模きぼはん編成へんせいをも下回したまわっている。下士官かしかんでもとく問題もんだいはないようだ。


「ミハルちゃんすごい! わたしよりみっつもうえじゃないですか!?」

「マイはそのうち一等いっとうちゅうになるって。ろくヶ月かげつ実地じっち訓練くんれんしょそつおなじでしょ?」


 いまおもえばクェンティンがった未来みらいのエースに相応ふさわしい処遇しょぐうとはこのことだったのだろう。いち下士官かしかんまでげられたのにはすくなからず派閥はばつ問題もんだいもあったはずだ。


「ミハルさんとう曹士に敬礼けいれいじゃな?」

「はぁい! 敬礼けいれいっ!」

「ちょ、やめてよ!?」


 正式せいしき辞令じれいはまださきであったけれど、ミハルはからかわれてしまう。たたか決意けついかためた彼女かのじょだが、やはり昇進しょうしんのぞんでいないかんじだ。


 つか平穏へいおんである。銀河系ぎんがけいがいにある文明ぶんめいとの邂逅かいこういまもなお人類じんるい脅威きょういでありつづけていた。したがって、わらえるような時間じかんなによりも貴重きちょうなものであるはずだ。

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