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Solomon's Gate - 勝者は……
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Solomon's Gate 作者さくしゃ:さかもり

だいよんしょう ははなるほし 

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勝者しょうしゃは……

 フィオナは確信かくしんしていた。だいいちターンで先頭せんとうった彼女かのじょ目立めだったミスはないし、調子ちょうしはかなりい。独走どくそうしているものとしんじていた。


 だが、ふと後方こうほうモニターがになる。どうしてか、そこにかげうつっていたのだ。


「えっ、うそ!? じゅういち号機ごうき!?」


 まだ一周いっしゅうであり、最終さいしゅうコーナーの手前てまえである。さんびょうというハンデと超大ちょうだいがいであったミハルがぐそこまでているだなんてかんがえられない。けれど、なん確認かくにんしたとしても表示ひょうじじゅういち号機ごうきだ。彼女かのじょぜんをパスしてそこにいるのはあきらかだった。


「そんな……?」


 動揺どうようしたフィオナは最終さいしゅうターンをがりきれなかった。スムーズにまわれてさえいれば、一周いっしゅうはやりごせたかもしれない。だが、彼女かのじょ速度そくどうしなったばかりかおおきくコースをはずれてしまう。


『おおっと! 一番いちばん人気にんきのフィオナ・ハワード選手せんしゅ、ここで手痛ていたいミス! せまじゅういち号機ごうきおくしてしまったのでしょうか!?』


 まさか一周いっしゅうたないだなんて……。フィオナにはかんがえられなかった。すで彼女かのじょ放心ほうしん状態じょうたいである。


 ながいホームストレート。軽々かるがるっていくじゅういち号機ごうきかげながめている。明確めいかくことなるスピードをせつけるようにっていくそのかげを……。


すごいラップタイムがました! さんびょうというハンデがありながら、歴代れきだいレコードとのわずかにいちびょうはちはちさん! これはしゅう以降いこうのラップタイム更新こうしん期待きたいされます!』


 いの一番いちばんにミハルは一周いっしゅうのゴールばん通過つうかしていた。しかし、くことはない。過去かことの決別けつべつだけでなく、あのかがやきをつづけるミハルは最後さいごまで全力ぜんりょくくす。


はやはやい! すでちゃくとのタイムびょうとなっています! このはやさは次元じげんです!』


 しゅう最後さいご手抜てぬきはなかった。つねにギリギリをつづける。彼女かのじょおもえがいたフライトラインを辿たどっていくだけだ。


『でましたぁぁっ! 歴代れきだい最速さいそくラップ! なんとコースレコードをびょう短縮たんしゅくするというはなわざ! 銀河ぎんが連合れんごうぐんのエースは伊達だてじゃない!!』


 すでにミハルの独壇場どくだんじょうであった。設営せつえいされたコースは条件じょうけんせんやアマチュアの大会たいかいおお使用しようされるものであったが、実際じっさいにトップグレードレースでも使用しようされた過去かこがある。歴代れきだいのコースレコードはそのTGRでたたされたものであり、ミハルはそれを間違まちがいなくえるペースで周回しゅうかいしていた。


 観客かんきゃく興味きょうみすでにどのようなタイムでゴールするかにうつっている。ちゃく以下いかおおきくはなしていたのだ。どうあっても彼女かのじょ勝利しょうりるがない。


いちちゃくなんとミハル・エアハルト一等いっとうこうちゅう! ダントツです! うことすらないなどだれ予想よそうしたでしょうか! ハンディをものともしない圧巻あっかんのレース内容ないようとなりました!』


 ミハルは宣言せんげんしていたように、いちちゃくでゴールラインを通過つうか圧倒的あっとうてきなレースをひろげていた。


『コースレコードです! 参考さんこう記録きろくとなりますが、ハンディをもくつがえ歴代れきだいレコードをさんびょうちかくも短縮たんしゅくしています! 全能ぜんのう女神めがみ地上ちじょう降臨こうりんした瞬間しゅんかんとなりました! 天界てんかいから彼女かのじょ帰還きかんしたことを素直すなお祝福しゅくふくいたしましょう!』


 だい歓声かんせいがミハルにおくられていた。当初とうしょはミハルを否定ひていてきていた解説かいせつしゃでさえも拍手はくしゅおくっている。


『いやぁ、わたしはこんなにもすごいレースをたのははじめてです。邪魔じゃまをするパイロットがいなかったとはいえ、ここまで独走どくそうするなんてかんがえもしませんでした。あっぱれです。おそらくミハル一等いっとうこうちゅうならばレーサーでも一番いちばんになれるのではないでしょうか』


解説かいせつのウチムラさん、たしかにおどろかされました。昨年さくねん映像えいぞうにすっかりだまされていたのは我々われわれでしたね?』


『まったくです。てっきりテクニカルコースが得意とくいなのかとかんがえていました。しかし、むし苦手にがてであったのかもしれません。彼女かのじょ本領ほんりょうめるレースにあります。っからのスピードレーサーです! このレースは大損おおぞんでしたよ!』


 白旗はっき解説かいせついんウチムラに観客かんきゃくがどっとく。いさぎよ間違まちがいをみとめたかれに、おなじく大損おおぞんをしたものたちが拍手はくしゅをしてとなえていた。


 悠然ゆうぜんとビクトリーラップをするミハル。すべてのカメラはずっと彼女かのじょだけをいかけていた……。


 ◇ ◇ ◇


 ミハルがゴールしてからじゅうびょう程度ていど。ようやくフィオナがゴールライン通過つうかしている。一番いちばん人気にんきであったフィオナはちゃくであり、一応いちおう人気にんきこたえた格好かっこうだ。しかし、ちゃくというちゃくじゅんよりもはるかにちからあらわになっていた。


「こんなの……うそだ……」


 ゴールしたいま放心ほうしん状態じょうたいである。なにがどうなったのかすこしも理解りかいできない。実際じっさいおなじコースを周回しゅうかいをしたはずなのに、これだけのひらいてしまうなんてと。


 ゴールラインをえたフィオナはコースがいてピットへともどる。

 ぐさまくだをして、彼女かのじょはヘルメットをいだ。ちいさくいきいたあと、フィオナはコースに視線しせんけた。


 そこにはミハルの機体きたいがあった。ビクトリーラップは勝者しょうしゃだけにゆるされるもの。イメージしていた場所ばしょ自分じぶんがいない事実じじつには落胆らくたんしかおぼえない。


「あれが……銀河ぎんが連合れんごうぐんのエース……」


 祖父そふいたままだった。GUNSのエースは生半可なまはんかなパイロットではないとかされていたのだ。


 それは過度かどられたはなしであるとかんがえていたのに、二人ふたり実力じつりょく歴然れきぜんとしていた。どう足掻あがいても逆転ぎゃくてんするのは不可能ふかのうだとおもえている。


「あんなに上手うまべるのに戦闘せんとうパイロット……? 馬鹿ばかじゃないの……?」


 もしかりにレーサーであれば、いまなんひゃくばいかせげただろうに。祖父そふいたはなしではあのパイロットはレーサー養成ようせいしょ特待とくたいせいってまで軍部ぐんぶはいったという。


「レーサーなら生活せいかつ安泰あんたいじゃない!? レーサーになるべきひとがどうして戦場せんじょうくのよ!?」


 フィオナは混乱こんらんしていた。うたがうフライトをたりにした彼女かのじょなにもかもがしんじられなくなってしまう。


「レーサーになれなかったちこぼれが軍部ぐんぶくんでしょ!? あのひとあたまあくすぎ! あのひとたたかわなくてもわりはいちはいいるはずだもん!」


 いく思考しこうしたとして自分じぶん否定ひていしたくなかった。実力じつりょく明確めいかくがついていたというのに、フィオナはミハルの選択せんたく間違まちがっているとして精神せいしん安定あんていはかっている。


 フィオナが呆然ぼうぜんながめているとミハルの機体きたいがピットにもどってる。あじするどいナイフのようなコーナリングとはちがって、それはとてもやわらかなランディングだった。


 だいじゅういちばんピット。とおはなれたその場所ばしょをフィオナはながめている。ハッチがひらりるような彼女かのじょをずっとっていた。


本当ほんとうちいさいひとだ……」


 どれだけ巨人きょじんあらわれたとしてもおどろかなかっただろう。フライトからけるイメージとはかけはなれていた。近寄ちかよ整備せいびかたほどしかない背丈せたけ自身じしんけたのはあの小柄こがら女性じょせいなのだとあらためてフィオナはらされている。


才能さいのうってなに……?」


 航空こうくう学校がっこうはいってから、ずっと才能さいのうがあるとわれてきた。なのに現状げんじょうはどうなのだろう。いちねんまえにあったおなじようなオープンレースでちゃくだったパイロットに圧倒的あっとうてきをつけられてしまった。それはもう才能さいのうなんて言葉ことばしんじられないほどに。


 どれだけ頑張がんばろうともまるとはおもえない明確めいかくであった。いままでだって努力どりょくしてきたはずなのに、この一体いったいなになのだとフィオナは疑問ぎもんおぼえている。


「ミハルさんって、あたしのひとじょうだよね……」


 経験けいけんわらばせるほど年齢ねんれいはなれていない。むし同列どうれつくくられてしかるべき年齢ねんれいだ。彼女かのじょがいるかぎり、年代ねんだいのトップにはなれないとおもえる。


「どうして彼女かのじょはこんなにもべるの……?」


 フィオナはりたくなってしまう。ミハルがこれほどまでに上手うまべるわけ。彼女かのじょせたフライトの根源こんげんなにがあるのかを。


 フィオナはもう自分じぶん自信じしんてなくなっていた。祖父そふねがったとおりにながびたはなをへしられている……。

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