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Solomon's Gate - ジュリアの姉
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Solomon's Gate  作者さくしゃ: さかもり
だいいちしょう こうちゅう学校がっこう
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ジュリアのあね

 表彰ひょうしょうしきわったことで、ミハルの出番でばんはもうなかった。しかし、彼女かのじょはまだ会場かいじょうにいる。なぜか着替きがえもせずに関係かんけいしゃ出入でいぐちまえけていた。


「よう、ミハルじゃないか……」


 ばれ、ミハルはクルリとく。こえをかけたのは彼女かのじょびとならない。


「ちょっとはなしがしたかったからっていたのよ……」

なんのようだ? おれ基地きちへともどらなきゃいけないんだが……」


 ってジュリアは小首こくびかしげた。軍属ぐんぞくであるかれはレースがわったとしても、自由じゆう時間じかんあたえられていないらしい。


「ひょっとして、はなしおれ名前なまえについてか?」


 ジュリアはなぜかミハルのはなし理解りかいしていた。

 するどさっしたジュリアにミハルはおどろいたけれど、それでも彼女かのじょ疑問ぎもんくちにする。


「どうしておんなみたいな名前なまえなの!?」


 ミハルに悪気わるぎはなかった。だが、苦虫にがむしつぶしたようなジュリアの表情ひょうじょうに、れてはいけない話題わだいなのだと気付きづく。


「ごめんなさい……。わるうつもりじゃなかったの……」

「いや、べつにいい……。理由りゆう親父おやじがファガーソン姉妹しまいのファンだったから。おかげでおれあねとうとはファガーソン姉妹しまいおなめいになった……」


 ファガーソン姉妹しまいはビッグレースの常連じょうれんだった伝説でんせつてきレーサーである。卓越たくえつしたテクニックとその美貌びぼう人気にんきはくしていた。とくあねのアイリス・ファガーソンは歴代れきだいても上位じょうい勝利しょうりすう女性じょせいでは現在げんざいでも歴代れきだいいちというレジェンドだ。


おれらないひとかならおんなだとおもっているんだ。ファーストネームでうこの時代じだいに、ちょっとした衝撃しょうげきだろう?」


「う、ううん……。可愛かわいいとおもう……」


 めているのかけなしているのか……。どうにもからなくなり、ミハルは苦々にがにがしくわらって誤魔化ごまかすしかできなかった。


「ミハルはとてもいパイロットだな。学生がくせいなのに最後さいごまではなれずについてくるなんておどろいたよ。きっとミハルはいレーサーになれるとおもう……」


わたし、レーサーになんかならないって! それにジュリアさんもすごかったわ! いままで貴方あなたみたいなパイロットにったことがないもの!」


 ミハルは会話かいわながれとして勝者しょうしゃとなえただけ。しかし、ジュリアはおおきくくびった。如何いかにもミハルが間違まちがっているとわんばかりに。


「ミハル、おれ下手へたくそだよ。部隊ぶたいではしたからかぞえたほうはやい。学生がくせい相手あいて映像えいぞう判定はんていったとはいえ不甲斐ふがいない結果けっかだ。もしミハルがおれ上手うまいというのなら、おまえ世界せかいせますぎるな……」


 ミハルの称賛しょうさんにも笑顔えがおせないジュリア。いき様子ようすはミハルに疑問ぎもんしかあたえなかった。


貴方あなた下手へたくそ? いちだったのに? それにわたし世界せかいせまいって?」


 まるで理解りかいできなかった。わくじゅんという要素ようそはあったにせよ、さきほどのレースでかれ一番いちばんはやかったはず。その優劣ゆうれつ平等びょうどうであり、ただ純粋じゅんすい他者たしゃよりも実力じつりょく上位じょういであったことを意味いみする。


おれだって学生がくせい時代じだい一番いちばん上手うまいとおもっていた。でも、いま部隊ぶたい配備はいびされ、そのかんがえはわった。おれ下手へたくそなんだよ。世界せかいかんがえているよりもひろい。ミハルがそれに気付きづいていないなら、ミハルは最終さいしゅうレースまでるべきだ。きっといままでの感覚かんかく崩壊ほうかいするだろう……」


いちになるだけじゃ不満ふまんなの? 最終さいしゅうレースってプロフェッショナルクラスのこと? それなら上手うまいにまってるんじゃないの?」


 先程さきほどからミハルは疑問ぎもんならつづけている。例年れいねんてもティーンエイジクラスのレベルが一番いちばんひくいのだ。プロフェッショナルクラスのタイムがわるいはずはない。


あねたかのフライトをればかるよ。あねとうと軍部ぐんぶ代表だいひょうするエースパイロット。ただし、覚悟かくごしておいてくれ。あねたかのフライトは次元じげんちがうから……」


 どうにもになっていた。ジュリアのあねだれなのかということよりも、勝者しょうしゃであるジュリアがここまでこだわっている理由りゆうに。


かった……。じゃあ、わたし最後さいごまでレースをるよ。でもわたし覚悟かくごなんてしない。もうだれにもけないってめたから。たとえそれが軍部ぐんぶのエースパイロットであっても!」


 ながらずだったミハルは敗北はいぼくくやしさをおもしてしまった。だからこそちたいとおもう。相手あいてがどこのだれであろうと。


なんだかミハルはあねたかてるよ。けずぎらいなんだな?」

けたら面白おもしろくない。それどころか最悪さいあく気分きぶんだわ。ジュリアさんにはわるいけど、つぎ対戦たいせんがあるのならわたしつから!」


 ミハルは気持きもちをえている。学校がっこうもどればむかしのように努力どりょくしようと。上手うまくなりたいとかんがえるなんて本当ほんとうひさしぶりだった。


最悪さいあく気分きぶんってちゃくじゃねぇかよ?」

「ジュリアさんらないの? ちゃくけなんだよ?」


 ミハルの原動力げんどうりょくとなっていた言葉ことばくちにする。かつてくやなみだあたえたその台詞せりふをミハルは笑顔えがおはなしていた。


本当ほんとうあねとうとみたいなやつだな……。まあでも上手うまくなるやつ基本きほんてきけずぎらいだ。おれ見習みならわないと。おれだってあねたか背中せなかいかけている一人ひとりだからな……」


 かるげて、ジュリアはさわやかにっていく。ミハルはかれ背中せなかえていくまでずっと笑顔えがおっていた。


 ここまではグレン教員きょういん思惑おもわくどおりである。ミハルのしんをつけることにかれ成功せいこうしていたのだ。しかし、このあとはグレンも予想よそうできなかった事態じたいとなってしまう。


 最終さいしゅうプログラムであるプロフェッショナル部門ぶもんのレースがミハルの人生じんせい左右さゆうするなんて、グレンにとって想定そうていがいだった。かれのぞんでいたのはアナウンサー志望しぼうあきらめさせることだけであったというのに……。

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