機械きかいを作つくる機械きかいは・・・最初さいしょはどうやって作つくる？

「親おや」の機械きかいから「子こ」の機械きかいに向むかって、「誤差ごさ」を小ちいさくしていくことができます。

「親おや」が普通ふつうの人間にんげんで手道具てどうぐを使つかって加工かこうする場合ばあい、その加工かこう部品ぶひんの精度せいどが±0.5mm程度ていどだとします。
しかし、その精度せいどで加工かこうされた部品ぶひんを組くみ立たてててて作つくられた加工かこう機きが出だせる精度せいどは、±0.5mmより小ちいさくできるので、より小ちいさな部品ぶひんを精度せいどよく加工かこうできるようになる。　（固定こていネジなどによる精密せいみつな位置決いちぎめが可能かのうになるので微ほろ調整ちょうせいができ、親おや部品ぶひんよりも加工かこう精度せいどが上あげられる）
で、その「子こ加工かこう機き」で加工かこうした「子こ部品ぶひん」を使つかって組くみ立たてられた「孫まご加工かこう機き」の加工かこう精度せいどは更さらに上あげられ、もっと精細せいさいな加工かこうが可能かのうになる。
・・・そんな感かんじですね。


「きさげ」による定じょう盤ばんの平滑へいかつ加工かこうなんかわかりやすいと思おもいますよ。
現代げんだいでも相変あいかわらず重要じゅうような「匠たくみの仕事しごと」です。是非ぜひ一いち度ど調しらべてみて下ください。

＞機械きかいを作つくる機械きかいは・・・最初さいしょはどうやって作つくる？

機械きかいの発祥はっしょうの地ちは産業さんぎょう革命かくめいの起おこったイギリスです。日本にっぽんはかなり遅おくれて近代きんだい産業さんぎょうを立たち上あげましたので、外国がいこくから輸入ゆにゅうされてくる機械きかい製品せいひんを自分じぶんで作つくることは出来できませんでした。
で、
これではいかん、と機械きかいを作つくる機械きかいを輸入ゆにゅうしました。
旋盤せんばんとかいう基本きほん的てきな工作こうさく機械きかいです。
イギリスから来きた旋盤せんばんは、旋盤せんばんを作つくる旋盤せんばんで作つくられた旋盤せんばんでした。
イギリスには最初さいしょに作つくられた旋盤せんばんがあって、それで旋盤せんばんを作つくっていたのです。
マザーマシン、といって、部品ぶひんはいわゆる匠たくみ、マスターが苦労くろうして手作てづくりしたものでした。
もっとも、手作てづくりできる範囲はんいの機械きかいや補助ほじょ工具こうぐを総動員そうどういんさせて、時間じかんをかけて作つくったのでしょう。
つまり、初期しょきの機械きかい精度せいどは技能ぎのうに優すぐれた人間にんげんが、時間じかんをかけて、不完全ふかんぜんな道具どうぐから、経験けいけんと勘かんで作つくり上あげたのです。

日本にっぽんへ来きた英国えいこくからすれば子供こどもの旋盤せんばんが日本にっぽんでのマザーマシンになったのです。
つまり、それらは不完全ふかんぜんな機械きかいでしたが、懸命けんめいに日本にっぽんの技能ぎのう者しゃも腕うでを磨みがいて、時間じかんをかけてよりよい機械きかいをそれから作つくっていったのです。機械きかいと人間にんげんのコラボですね。
そうしながら日本にっぽんでもマザーマシンが作つくれるようになりました。
懸命けんめいな努力どりょくの結果けっか、また科学かがくの進歩しんぽ、特とくに電子でんし工学こうがくの進歩しんぽもあって、ほぼ完全かんぜんに機械きかいに任まかせていても、さほどマザーマシンと変かわらない精度せいどの機械きかいが出来できるようになったのはつい最近さいきんのことなのです。

だそくですが、これが韓国かんこくや中国ちゅうごくなどにしてやられる結果けっかにもなったことはご存知ぞんじの通とおりです。

なかなか面白おもしろい質問しつもんなので回答かいとうします。

これは、多おおくの大人おとななら、子供こどもに質問しつもんされた場合ばあいでも苦慮くりょするかもしれません。それぐらい素朴そぼくですが、あまり真剣しんけんに考かんがえたこともない常識じょうしきなのです。

まず、小ちいさなものを作つくるから小ちいさな物ものでしか作つくれないと質問しつもん者しゃ様さまは思おもっていませんか？
精密せいみつなものは、小ちいさなもので作つくるとは限かぎりません。
逆ぎゃくに言いえば、大おおきなもので精密せいみつな物ものを作つくることだって出来できます。何故なぜなら、大たいは小しょうを兼かねるという言葉ことばにもあるように、大おおきなものは、小ちいさなものが備そなえる機能きのうを持もつ場合ばあいが往々おうおうにしてあるからです。

本題ほんだいです。
半導体はんどうたいはどうやって微細びさいな加工かこう技術ぎじゅつを獲得かくとくし、その装置そうちはどうやって作つくられるかというと、原理げんりは簡単かんたんです。質問しつもん者しゃ様さまが日本にっぽんの学校がっこうを卒業そつぎょうしたなら、小学校しょうがっこうで勉強べんきょうしたであろうある原理げんりを使つかうのです。それは、虫眼鏡むしめがねで、太陽光たいようこうを集あつめると、黒こくい紙しが燃もえるあれです。
レンズで集しゅう光ひからし焦点しょうてんを一いち点てんに集あつめると、光ひかりエネルギーが拡散かくさんせず熱ねつエネルギーと黒くろ紙しにたまります。そして、発火はっかします。その原理げんりで、回路かいろパターンを金属きんぞく原盤げんばん（シリコンウェハー）に焼やき付つけ、微細びさいな線せんとするのです。

要ようは、光学こうがく技術ぎじゅつで回路かいろを設計せっけい図ず通どおりに線引せんひきするのです。

それには、より小ちいさな装置そうちが必要ひつようというわけではなく、あくまでその線せん幅はばや線せん速そくに見合みあった、レーザーダイオードの出力しゅつりょくとスポット径みちになるレンズ、発光はっこう体たいが必要ひつようなだけです。正直しょうじき言いえば、採算さいさんが取とれるなら、一戸建いっこだてぐらい大おおきな装置そうちでも構かまわないのです。

これは、どんな機材きざいでも言いえることですが、小ちいさな物ものを作つくるから小ちいさな装置そうちや人ひとが作つくったものでなければ作つくれないのではなく、小ちいさな物ものに必要ひつような部材ぶざいさえ見みつけることが出来できれば、その部材ぶざいを加工かこうする技術ぎじゅつを理論りろん上じょう確立かくりつさえすれば、後のちは歩留ぶどまりの善よし悪あしで、損益そんえき分岐ぶんき点てんが決きまり、製品せいひん化かが出来できるということになります。
作つくる機械きかいは、その機械きかいで作つくった品物しなものとは、異ことなる目的もくてきに作つくられていますから、大おおきさと一致いっちするものではありません。

すしを作つくるから、米べいで出来できた機械きかいというわけではありません。ましてや人ひとの手てほどの大おおきさの装置そうちであるという訳わけでもない。いくつかの機器ききが組くみ合あわさった結果けっか、米べいの酢す飯めしを炊たきあげ、しゃりを握にぎり、上うえにネタを載のせられるなら、すしを作つくる装置そうちになります。それと同おなじであり、大おおきなものから小ちいさなものを生うみ出だしているに過すぎません。そして、その技術ぎじゅつは一ひとつのすし職人しょくにんの技術ぎじゅつというものではなく、科学かがく的てきにこうすれば、代替だいたいできると思おもわれる技術ぎじゅつを組くみ合あわせて作つくられています。即すなわち、10倍ばいのレンズを作つくれば、10倍ばいに拡大かくだいできます。

じゃあ、そのレンズ技術ぎじゅつを応用おうようして、光ひかりを1cmの光ひかりを1mmに集しゅう光こうできれば・・・といったことを考かんがえ、技術ぎじゅつとして応用おうようすれば、小ちいさなものを作つくる力ちからになるわけです。それらを積つみ重かさねることで、人ひとがやっていたことを、機械きかいに任まかせるようになったのが、今いまのハイテク産業さんぎょうであり、製造せいぞう装置そうちを作つくる過程かていも、比較的ひかくてき産業さんぎょう用ようロボットが作つくっているものも多おおいのです。

最後さいごに、半導体はんどうたいについて言いえば、これから先せん半導体はんどうたいはさらに進化しんかする・・・とは言いえません。
何故なぜか？単純たんじゅんに、今いまのシリコンベースの半導体はんどうたいは、既すでに限界げんかいが見みえているからです。
物質ぶっしつの構成こうせい要素ようそである原子げんしより小ちいさな回路かいろを作つくることはできませんが、既すでにその何なん個こ分ぶんにまで達たっしていますからね。原理げんり原則げんそく上じょうの限界げんかいが見みえている以上いじょう。この先さきシリコンベースではあと2年ねん～6年ねんが限界げんかいです。その先さきは、光ひかり半導体はんどうたいなど新あたらしい技術ぎじゅつに移行いこうすることになります。


いかがでしょうか？

＞「高性能こうせいのうな機械きかいを作つくるためには，それを作つくる機械きかいはさらに高性能こうせいのうでなければならない」　と常識じょうしき的てきに思おもいますが，

それが常識じょうしきかどうかも疑問ぎもんですが、いずれにせよ高性能こうせいのうな機械きかいを単純たんじゅんな道具どうぐで作つくる人達ひとたちがいます。
匠たくみと呼よばれる人ひとたちです。

匠たくみが手てで高性能こうせいのうな機械きかいを作つくれば、あとは派遣はけん労働ろうどう者しゃが高性能こうせいのうな機械きかいを使つかって商品しょうひんを大量たいりょう生産せいさんをします。

大量たいりょう生産せいさんしないものなどは、商品しょうひん自体じたいを匠たくみが手作てづくりしています。
直径ちょっけい10メートル以上いじょうある天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうのレンズだって、大陸たいりく間あいだ弾道だんどうミサイルの先頭せんとうの紡錘形ぼうすいけいのキャップだって匠たくみが手てで作つくりますよ。

>高性能こうせいのうな機械きかいを作つくるためには，

それを作つくる機械きかいはさらに高性能こうせいのうでなければならない」
　と常識じょうしき的てきに思おもいますが，

旋盤せんばんやフライス盤ふらいすばんといった単純たんじゅんな機械きかいでは
それ以上いじょうに高度こうどな装置そうちは作つくれないのでしょうか?

そんなことはない筈はずです。