おたくま経済けいざい新聞しんぶん

　多おおくの家庭かてい用ようゲームにはエンディングが存在そんざいします。ほとんどの方ほうはストーリーの結末けつまつをいち早はやく知しりたいと、はりきってプレイするものと思おもいますが、中なかには「終盤しゅうばんになるとゲームをやめたくなる」なんて方ほうも一定いってい数すういる模様もよう。はて、これは一体いったい……？

　SNSの声こえなどを調しらべてみると、どうやら「ゲームが面白おもしろ過すぎて終おわらせるのがもったいない」という心境しんきょうになってしまうそうです。クリアすることで、この楽たのしかった時間じかんに終おわりが来きてしまう……そんな寂さびしさが原因げんいん。

　そういえば先日せんじつは「ゼルダの伝説でんせつ ティアーズ オブ ザ キングダム」をプレイしていた筆者ひっしゃの妻つまが、ラスボス直前ちょくぜんでゲームをストップしているという話はなしを聞ききました。まさにこれに該当がいとうしているようです。

■　特とくにRPGに多おおい？重おもいストーリーを受うけ止とめきれない懸念けねんも

　この「終盤しゅうばんになるとゲームをやめたくなる」現象げんしょうは、どうやらRPGをプレイしている時ときに多おおく発生はっせいする模様もよう。ゲームの世界せかい観かんに没頭ぼっとうしてしまうあまり、いつまでもそこに留とどまっていたいという気持きもちは……なんとなくわかるような気きがします。

　RPGは特とくにストーリーに拘かかわって作つくられている作品さくひんが多おおいですから、ラスボスを倒たおした時ときに、単たんに世界せかいに平和へいわが訪おとずれた喜よろこびだけでなく、旅たびを共ともにしてきた仲間なかまとの別わかれによる悲かなしみが待まっていることも。これではたしかに、クリアしたくない……という考かんがえに至いたってしまうのも無理むりはありません。

　多おおくのゲームにはエンディングを迎むかえた後のちにも新あらたなストーリーが展開てんかいする、いわゆる隠かくしボスや隠かくしダンジョン等とうのやり込こみ要素ようそが用意よういされているパターンも良よく見みられますが、あくまでおまけはおまけ。メインストーリーを完結かんけつさせることとはまた別べつの話はなしであるようです。

■　「ゲームクリアしたくない病やまい」や「ラスボス前ぜん症候群しょうこうぐん」と呼よばれ広ひろく一般いっぱん化か

　こうした現象げんしょうは、ゲームファンの間あいだで「ゲームクリアしたくない病やまい」や「ラスボス前ぜん症候群しょうこうぐん」といった名称めいしょうで呼よばれています。もしかするとこの記事きじを読よんでいる方ほうの中なかにも、こうした症状しょうじょうに覚おぼえがある方ほうもいるかもしれません。

　もちろんゲームの楽たのしみ方かたは千差万別せんさばんべつ。クリアするのも自由じゆうですし、しないのも自由じゆう。それぞれのライフスタイルや価値かち観かんにあった楽たのしみ方かたをすればよいとは思おもいます。

　しかし、作つくり手しゅからすればきっと最後さいごまでプレイしてほしいと考かんがえているはず。例たとえるなら、ラーメン店てんで頼たのんだラーメンを、お腹はらいっぱいになっていないにもかかわらず、食たべ終おわるのがもったいないから、と残のこしてしまうようなことと同意どういではないでしょうか。

　しばらく間あいだが空あいてもいいですし、時間じかんがかかってしまってもいいと思おもいます。せっかくクリアするのがもったいないと思おもえるほどの素晴すばらしい作品さくひんに出会であえたのであれば、エンディングまで含ふくめてその世界せかい観かんを存分ぞんぶんに味あじわうためにも、いつか必かならず最後さいごまでプレイして欲ほしいですね。

（山口やまぐち弘ひろし剛つよし）