7月がつ22日にちに発生はっせいした東海道新幹線とうかいどうしんかんせんの保安ほあん車両しゃりょう事故じこにともなう運転うんてん見合みあわせ。この救済きゅうさい措置そちとして各かく鉄道てつどう会社かいしゃでさまざまな臨時りんじ列車れっしゃが運行うんこうされるなか、異常いじょう時じにしか発行はっこうされない珍めずらしい特急とっきゅう券けんを手てにした人ひとが、SNSで話題わだいになりました。

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　話題わだいとなったのは、郵便ゆうびん局きょくめぐりや古ふるい道路どうろ標識ひょうしきの探索たんさく、切符きっぷ収集しゅうしゅうをライフワークとする公団こうだんさんのXポスト。写真しゃしんに上あげられた北陸本線ほくりくほんせんの特急とっきゅう「サンダーバード」の切符きっぷには、「立たて席せき特急とっきゅう券けん」という見慣みなれない文字もじとともに、「サンダーバード（異常いじょう時じ」「THUNDERBIRD（EMERGENCY」との列車れっしゃ名めいが印字いんじされています。

7月22日、東海道新幹特急「サンダーバード」の珍しい「立席特急券」をポストした公団さん

　この「立たて席せき特急とっきゅう券けん」とは、全席ぜんせき指定してい席せきの特急とっきゅうが、大幅おおはばな混雑こんざつなどによって通常つうじょうの乗車じょうしゃ席せきだけで旅客りょかくを運はこびきれない際さい、座席ざせきに座すわらず通路つうろなどに立たったまま乗のることを条件じょうけんに発行はっこうされる特殊とくしゅな切符きっぷ。特急とっきゅうに乗車じょうしゃすることはできますが、席せきには座すわることができません。

　通常つうじょうの「サンダーバード」は全席ぜんせき指定してい席せきですが、今回こんかいは臨時りんじ便びんという都合つごう上じょう、通常つうじょう運用うんようとは異ことなる自由じゆう席せき扱あつかいとなることから、「サンダーバード（異常いじょう時じ」という特別とくべつな列車れっしゃ名めいが設もうけられ、その特急とっきゅう券けんとして販売はんばいされました。

EMERGENCYと書かれたチケット（写真：公団さん）

全席指定の「サンダーバード」に立ち乗りするための「立席特急券」。列車名に「異常時」の文字が（写真：公団さん）

　当日とうじつ、公団こうだんさんは私用しようで福井ふくい県けんの敦賀つるがへ行いく用事ようじがあったものの、事故じこによる迂回うかい客きゃくで「サンダーバード」はどの便びんも軒並のきなみ満席まんせきに。そんな中なか、救済きゅうさい措置そちとして全席ぜんせき自由じゆうの臨時りんじ特急とっきゅうが運行うんこうされることとなり、この珍めずらしい切符きっぷを手てにしたと言いいます。

　「席せきが空あいているかな？という期待きたい半分はんぶん、噂うわさに聞きいていた、異常いじょう時じに走はしる臨時りんじ列車れっしゃ用ようの『特別とくべつな』列車れっしゃ名めいの券けんが手てに入はいるかなという期待きたい半分はんぶんで購入こうにゅうしました」（公団こうだんさん）

　本来ほんらいのダイヤでは発行はっこうされないイレギュラーな切符きっぷということもあり、「係員かかりいんも発券はっけんの方法ほうほうがわからず、マルス（発券はっけん）端末たんまつを叩たたいては悩なやみ…… という感かんじでした」と公団こうだんさん。当初とうしょ、窓口まどぐちでは対応たいおうしきれず、上層じょうそう部ぶとの相談そうだんの末すえに発券はっけんされたそう。現場げんばの混乱こんらんぶりが伺うかがえます。

　事故じこ区間くかんとは関係かんけいのない区間くかんを移動いどう予定よていのところ、思おもわぬ形かたちで東海道新幹線とうかいどうしんかんせん不通ふつうの流ながれ弾だまを受うけた公団こうだんさんは、約やく1時じ間あいだの道みちのりをデッキに立たったまま過すごすことに。運転うんてん再開さいかいした翌日よくじつは大おおきな混乱こんらんもなく、予定よてい通どおり指定してい券けんで帰路きろにつくことができたそうです。

　ちなみに公団こうだんさんが所属しょぞくするサークル「交通こうつう法規ほうき研究けんきゅう会かい」では、今年ことし夏なつ開催かいさいのコミックマーケットにて、今回こんかいのようなケースをテーマにした書籍しょせき「列車れっしゃの運行うんこう不能ふのう 遅延ちえん・運休うんきゅう・事故じこ きっぷの払はらいもどしQ＆A」を発刊はっかん予定よていとのこと。不測ふそくの事態じたいに直面ちょくめんしても、知識ちしきがあれば安心あんしんですね。

＜記事きじ化か協力きょうりょく＞
公団こうだんさん（@jh_koudan）
交通こうつう法規ほうき研究けんきゅう会かい（@trrc_editorship）

（天谷あまや窓まど大だい）