眠ねむり姫ひめ　深夜しんやに差さし掛かかり、ルシファーの部屋へやの窓まどからネオンカラーに染そまりきった街まちが見みえた。多おおくの罪人ざいにんや悪魔あくま達たちが夜よる更ふかしをして遊あそび回まわっている。私わたしは暫しばらくその景色けしきを眺ながめ、窓まどに背せを向むけてベッドの方ほうへ歩あるいた。

　ベッド脇わきに置おかれた椅子いすに腰掛こしかけて頬杖ほおづえをつく。視線しせんを下したにやれば、ベッドの上うえでルシファーが死しんだように眠ねむっていた。わずかに揺ゆれる胸むねのみが、ルシファーの生せいを証明しょうめいしている。私わたしはルシファーの白しろい頰に触ふれた。温あたたかくも冷つめたくもない、無機物むきぶつのようだった。





　ルシファーが目めを覚さまさなくなってからもう三さんヶ月かげつは経たっていた。原因げんいんは分わからない。ある日ひから急きゅうに起おきなくなって、それからずっと眠ねむり続つづけている。

　ホテルの住民じゅうみん達たちは私わたしとアラスターを除のぞき、皆みなその状態じょうたいのルシファーを案あんじた。ありとあらゆる手てを使つかい覚醒かくせいさせようと躍起やっきになったが、ルシファーは手てをピクリと震ふるわすことすらしない。瞼まぶたの下したに赤あかい瞳ひとみを隠かくしたままだった。

マホロアプロローグ（マホロアがいろんな世界せかいを旅たびする話はなし）朝あさの柔やわらかな光ひかりがカーテンの隙間すきまから差さし込こんできた。その光ひかりに目めを覚さましマホロアは伸のびをした。それになんだか違和感いわかんを覚おぼえる。「アレ？」と一瞬いっしゅん固かたまった後のち、時計とけいに目めをやると、あと少すこしで大会たいかいの始はじまる時間じかんだった。急いそいで支度したくを済すませ会場かいじょうにつく頃ころには大会たいかい二に日にち目めは始はじまっていた。観客かんきゃく席せきはほとんど埋うまっており空あいている席せきがみつからない。すでに開会かいかい式しきは終おわり、トーナメント表ひょうの発表はっぴょうも終おわっているようであった。

どこか座すわれる席せきがないかと観客かんきゃく席せきを歩あるいていると、ふと人混ひとごみの中なかで知しり合あいを見みつけた。彼かれもこちらに気きづいたらしく手てを振ふった。

「こっち、席せき空あいてるよ。一緒いっしょに見みよ！」

その知しり合あい、水色みずいろのカービィは隣となりの席せきをポンポンと叩たたく。空あいている席せきに着つくと、少すこし遠とおいが会場かいじょうの全体ぜんたいを見渡みわたせる良よい席せきだ。