日曜にちよう劇場げきじょうの舞台ぶたい｢軍艦ぐんかん島とう｣を三菱みつびしは20億おく円えんで買かい取とった…ゴーストタウンとして有名ゆうめいな炭鉱たんこう島しまの知しられざる歴史れきし 東京とうきょうドーム1.3個こ分ぶんの｢端はし島とう｣に5300人にんが暮くらし､人口じんこう密度みつどは世界一せかいいち

※本稿ほんこうは、風ふう来き堂どう『カラーでよみがえる軍艦ぐんかん島とう』（イースト新書しんしょQ）の一部いちぶを再さい編集へんしゅうしたものです。

最盛さいせい期きは東京とうきょうドーム1.3個こ分ぶんの面積めんせきに5000人にん以上いじょうが暮くらしていた

面積めんせきは0.063km²という狭せまさでありながら、最盛さいせい期きには5000人にん以上いじょうが暮くらしていた超ちょう過密かみつ人口じんこう島とう・端はし島とうはしま。海底かいてい炭鉱たんこうから採掘さいくつされる石炭せきたんで栄さかえ、小ちいさな島しまから朦々もうもうと煙けむりが上あがる姿すがたから呼よばれた「軍艦ぐんかん島とう」の通称つうしょうの方ほうが一般いっぱんに知しられている。

非常ひじょうに緑みどりが少すくなく、無機質むきしつさを感かんじさせるコンクリートに囲かこまれていることから「緑みどりなき島しま」という不名誉ふめいよな別名べつめいもある。1974（昭和しょうわ49）年ねんの閉山へいざんから世界せかい遺産いさん登録とうろくを経へて現在げんざいに至いたるまでの45年ねん以上いじょう、幾度いくどもメディア、書籍しょせき、映画えいがなどに取とり上あげられるなど、人々ひとびとの注目ちゅうもくを集あつめてきた。

人ひとを惹ひきつける端はし島とうの魅力みりょくとはなんだろう。端はし島とうが閉山へいざん後ごに無人むじん化かしてから半はん世紀せいき以上いじょうが過すぎ、建物たてものの崩壊ほうかいは年々ねんねん進すすんでいる。かつて栄さかえていた島しまが荒廃こうはいしてゆく寂さびしさ、廃墟はいきょと化かした建物たてもの群ぐんの醸かもし出だす哀愁あいしゅうは、確たしかに人々ひとびとの心しんを打うつものがある。

端はし島とうは荒波あらなみの影響えいきょうもあり、年間ねんかん100日にち程度ていどしか一般人いっぱんじんが立たち入いれない。運うん良よく上陸じょうりくできても、足あしを踏ふみ入いれられるのは、島内とうないのごく限かぎられたエリアのみだ。ただただ、朽くち果はてるばかりの廃墟はいきょ群ぐんには、なんともいえないミステリアスな想像そうぞうを喚起かんきさせられる。

提供ていきょう＝軍艦ぐんかん島とうデジタルミュージアム

1958年ねん（昭和しょうわ33）ごろ、南側みなみがわから俯瞰ふかんした端はし島とう。左側ひだりがわの白しろい建物たてものは31号棟ごうとう。その右みぎとなりは30号棟ごうとうで、新築しんちくまもない時期じき　写真しゃしん＝『カラーでよみがえる軍艦ぐんかん島とう』より

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「廃墟はいきょブーム」で人気にんきになったが、島民とうみんの生活せいかつはカラフルだった

しかし、私わたしたちが目めにできるのは、いずれも廃墟はいきょと化かした端はし島とうの姿すがたであり、モノトーンのイメージがつきまとう。ひるがえって当時とうじの端はし島とうの写真しゃしんを見みても、大半たいはんがモノクロだ。

だが、当時とうじの島民とうみんたちが目めにしていたのは、当然とうぜんながら総そう天然てんねん色しょくのフルカラーだったはず。そこで2022年ねんに刊行かんこうした『カラーでよみがえる軍艦ぐんかん島とう』では、元もと島民とうみんの方々かたがたにもご協力きょうりょくいただき、モノクロだった写真しゃしんにカラー再現さいげん処理しょりをして掲載けいさいしている。それにより、“死しんだ端島はしま”ではなく“生いきた端はし島とう”の姿すがたが目めの前まえに迫せまってくるはずだ。

石炭せきたんが発見はっけんされてから、本格ほんかく的てきな採掘さいくつが始はじまり、全国ぜんこく有数ゆうすうの炭鉱たんこうとして発展はってんするまでの採炭さいたん施設しせつ。島民とうみんがほぼすべて「炭鉱たんこう関係かんけい者しゃ」で、ダントツ日本一にっぽんいちの人口じんこう密度みつどを誇ほこった生活せいかつ空間くうかん。上地じょうちが限かぎられており、潮風しおかぜや高波たかなみにも対処たいしょするための林立りんりつする高層こうそう建築けんちく物ぶつ群ぐん。カラーで現代げんだいに蘇よみがえった写真しゃしんとともに、それぞれの背景はいけいにある“現役げんえきの軍艦ぐんかん島とう”のリアルを、読よみ取とっていただけると幸さいわいだ。