インドサイ、なぜ50年ねんぶりの出産しゅっさんに？　多摩たま動物どうぶつ公園こうえん職員しょくいんに聞きく、サイ繁殖はんしょくの“特殊とくしゅ事情じじょう”

　今年ことし9月がつ3日にち、東京とうきょう・日野ひの市しにある「多摩たま動物どうぶつ公園こうえん」でインドサイの赤あかちゃんが誕生たんじょうした。多摩たま動物どうぶつ公園こうえんでは50年ねんぶりの出産しゅっさんであり、国内こくないでも 8例れい目めとなる繁殖はんしょくである。NHKなど各かく大手おおてメディアが報ほうじたこのニュースに対たいし、SNS上じょうでは多おおくの祝福しゅくふくの声こえとともに「サイって絶滅ぜつめつ危惧きぐ種しゅだったんだ…」「50年ねんぶり！？」など、繁殖はんしょくの少すくなさに驚おどろく声こえも少すくなからずあった。

　なぜこれほどまでに国内こくないでのインドサイの出産しゅっさん件数けんすうが少すくないのだろうか。多摩たま動物どうぶつ公園こうえんに勤務きんむする職員しょくいんがインドサイの特殊とくしゅな繁殖はんしょく事情じじょうなど解説かいせつしてくれた。

「オス・メスの関係かんけいではなく兄妹きょうだい・姉あね弟おとうとのような関係かんけいになる」

――インドサイのご誕生たんじょうおめでとうございます。多摩たま動物どうぶつ公園こうえんでは50年ねんぶり、国内こくないでも8例れい目めの繁殖はんしょくとのことですが、なぜそれほどまでにインドサイの繁殖はんしょくは少すくないのでしょうか？

　日本にっぽんでの飼育しいく施設しせつ、飼育しいく頭数とうすうともに少すくない状況じょうきょうです。各かく飼育しいく園えんの頭数とうすうも、現状げんじょうでは、オス、メス１頭とうずつの飼育しいくです。そのためペアの変更へんこうをする場合ばあい、園えんをまたいだ移動いどうが必要ひつようであり、簡単かんたんにペアを変更へんこうすることができません。

――サイ同士どうしのペアリングが難むずかしい、というのは一般いっぱんには知しられていないかと思おもいます。

　サイの発情はつじょう期間きかんは約やく24時じ間あいだと短みじかく、同居どうきょさせるタイミングが難むずかしい動物どうぶつです。サイのような大おおきい動物どうぶつの場合ばあい、小ちいさい時ときにペアで来き園えんした場合ばあい、親おやや仲間なかまの繁殖はんしょく行動こうどうを知しらずに育そだち、オス・メスの意識いしきでなく兄妹きょうだい・姉あね弟おとうとのような関係かんけいになり、繁殖はんしょく行動こうどうを行おこなわない場合ばあいがあります。

　今回こんかいのブリーディングローン（※1）は繁殖はんしょく経験けいけんのあるメスに繫殖経験けいけんのないオスの組くみ合あわせで成功せいこう例れいがあったので行いった、ということです。来きてみないと相性あいしょうが良よいかどうかはわかりませんでした。

（※1）ブリーディングローン
・・・繁殖はんしょくを目的もくてきとした動物どうぶつの貸借たいしゃく契約けいやくのこと。動物どうぶつ園えん間あいだで個体こたいを移動いどうさせることによっ
て、新あらたなペアを形成けいせいし、繁殖はんしょくに寄与きよすることを目的もくてきとしている。

※注釈ちゅうしゃく：東京とうきょうズーネットYouTubeチャンネルより「東京とうきょうズーネットBB Vol.207 インドサイ「ゴポン」来らい園えん」2トンを超こえるインドサイは、園えんをまたいで輸送ゆそうするためにクレーンを使つかうなど、大掛おおがかりな作業さぎょうを要ようする。今回こんかい出産しゅっさんした母親ははおやサイ・ゴポンも横浜よこはま市しの金沢かなざわ動物どうぶつ園えんから来き園えんしており、その移送いそうの様子ようすは公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん東京とうきょう動物どうぶつ園えん協会きょうかいが運営うんえいするYouTubeチャンネルでも公開こうかいされている。