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多少たしょう素朴そぼくとはいえインダストリアル・ポップの傑作けっさくとなった89年ねんの『プリティ・ヘイト・マシーン』で衝撃しょうげきのデビューを果はたして以来いらい、猛烈もうれつな不満ふまんと怒いかりを表現ひょうげんした92年ねんのEP「ブロークン」、悩なやみに満みちた94年ねんの『ザ・ダウンワード・スパイラル』から99年ねんの荒涼こうりょうたる『ザ・フラジャイル』に至いたるまで、ナイン・インチ・ネイルズのフロントマン、トレント・レズナーは自みずからがポップ・ミュージック界かいにおいて重要じゅうような存在そんざいであることを実証じっしょうしてきた。
レズナーはマッキントッシュを使つかい疎外そがい感かんや自己じこ嫌悪けんお、そして苦にがい裏切うらぎりを表現ひょうげんすることにかけては完成かんせいされた技わざをもっている。静しずけさの中なかに緊張きんちょう状態じょうたいを作つくり出だし、それをインダストリアル・ノイズとして爆発ばくはつ的てきに解放かいほうする——レズナーの生うみ出だす楽曲がっきょくは、90年代ねんだいの名曲めいきょくとして音楽おんがく史しに燦然さんぜんと輝かがやいてきた。と同時どうじに、彼かれは自みずからのレーベル＜ナッシング＞を設立せつりつしマリリン・マンソンをデビューさせたり、オリバー・ストーン監督かんとくの『ナチュラル・ボーン・キラーズ』やデヴィッド・リンチ監督かんとくの『ロスト・ハイウェイ』のサウンドトラックを手てがけるなど、バンド以外いがいのプロジェクトでも見事みごとな手腕しゅわんを発揮はっきしている。05年ねんには、間あいだにリミックス・アルバムとライヴ・アルバムを挟はさんでいるものの、『ザ・フラジャイル』以来いらい６年ねんぶりとなる新作しんさく『ウィズ・ティース』をリリース。メンバーを入いれ替かえ以前いぜんよりパワー・アップしたエモーショナル・サウンドと、円熟味えんじゅくみを増ました力強ちからづよいヴォーカルでついにシーンの最前線さいぜんせんに復帰ふっきする！