Spotifyを有効ゆうこう活用かつようするSCANDAL、マネージャーにく“リスナー目線めせん運用うんようじゅつ

SCANDALマネージャーに聞く“Spotify活用術”

 音楽おんがくストリーミングサービス・Spotifyが日本にっぽん上陸じょうりくして、もうすぐ3ねんとうとしている現在げんざい。イベントや他社たしゃサービスなども積極せっきょくてき展開てんかいした結果けっか、ユーザーは次第しだいえていき、日常にちじょうでそのみみにすることもすくなくないが、アーティストがわかんしてはどうだろうか。

 今回こんかいは、なかなかひょうないアーティストがわの“ストリーミング活用かつようじゅつ”をくべく、SCANDALのマネージャーをつとめる株式会社かぶしきがいしゃROOFTOP/ROOFTOP MUSIC. 代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょう多賀たが英助えいすけにインタビューをおこなった。いちリスナーとしての活用かつようから、アーティストとしての実践じっせんつながるまでの経緯けいいや、海外かいがいリスナーとの相性あいしょうさ、ストリーミングサービスを活用かつようするメリットなどについてのはなし必読ひつどくだ。(編集へんしゅう

 「すこしづつつくるものやとどかた意識いしき仕方しかたわってきた」

多賀たが英助えいすけ

ーー調しらべたかぎり、SCANDALがSpotifyを使つかったうごきを積極せっきょくてき展開てんかいしていったのは2017ねんくらいですよね。メジャーのアーティスト主導しゅどううごくタイミングとしては、かなりはやほうなのかなとおもうのですが。

多賀たが:はじめはSpotifyについて、田中たなかそう一郎いちろうさんがかたっている記事きじんだとき興味きょうみいて、実際じっさい使つかってみたら「とんでもなく便利べんりでクールだ」とかんじて、ぼく個人こじんげからすこったくらいのタイミングからすごく使つかっていました。

ーー興味きょうみいた理由りゆうとして、ご自身じしんのなかで問題もんだい意識いしきみたいなものもあったのでしょうか

多賀たが業界ぎょうかい人間にんげんとして、ある程度ていどショックというかづきはありました。でも、最初さいしょはそんなにむずかしくかんがえずSNSを使つかいはじめたときちか感覚かんかくで、まずはユーザー目線めせんたのしみながら使つかっていました。フェスにたら、SCANDALのそののセットリストをプレイリストにしてアップしたり、一人ひとり音楽おんがくファンとして「こんなかたもあるよー」と提案ていあんする感覚かんかくというか。

ーーそこからさらにちかられることになったきっかけは?

多賀たがたのしみながら発信はっしんしているうちに、Spotifyさんがその活動かつどうってくださって、「オフィスにあそびにませんか?」と連絡れんらくをくれたんです。そこでSpotifyのみなさんとはなしているうちに、あらためてこれからのアーティストにとって重要じゅうようなものなんだとかんじて、本格ほんかくてき運用うんようはじめました。

ーーオフィシャル施策しさくとしてははじめて展開てんかいされたのは、2018ねん2がつ14にちのバレンタインプレイリストですね。

多賀たが:そうです。リリースのタイミングがバレンタイン近辺きんぺんだったので、イベントにひもづけたプレイリストみたいなものをつくって、そのながれでSCANDALをいてもらおうという感覚かんかくでした。

 

ーーストリーミングサービスにより注力ちゅうりょくするなかで、明確めいかく手応てごたえをかんじたタイミングはありましたか?

多賀たが日本にっぽん音楽おんがく業界ぎょうかい、バンドの音楽おんがくとくにですが、やはりCD信仰しんこうーーCDでくのが正義せいぎ、みたいなながれがあったので、ストリーミングの数字すうじよわいジャンルだなとかんじてはいましたが、『HONEY』をリリースしたタイミングくらいから徐々じょじょ数字すうじがりはじめ、このシーンでも通用つうようするのではとおもいました。

ーーファンの方々かたがたからの反応はんのうはどうでしたか?

多賀たが日本にっぽんのファンのほうかんしては、正直しょうじきまだまだストリーミングに移行いこうできていないほうもいるので課題かだいもありますが、SCANDALは海外かいがいにもおおくファンがいてくれているのでその方々かたがたは、日常にちじょうてきにストリーミングでいてくれているし、プレイリストをつくるごとにそのうごきがどんどん活発かっぱつになる感覚かんかくもありました。やはりいま物流ぶつりゅう発達はったつしてるとはいえ、海外かいがいにフィジカルをとどけようとおもうと、時間じかんのディレイはありますし、よっぽど熱心ねっしんほうでないとにしてくれないので。海外かいがい方々かたがた動画どうがサイトなどでMVをチェックして、きょくってくれているパターンがおおいのですが、近年きんねんおこなったアジアツアー・アメリカツアーにかんしては、新譜しんぷのMVをつくっていないきょくでもくちずさんでがってくれるようになりました。

ーー多賀たがさんがメインでおこなっている施策しさくのようにもおもえるのですが、メンバーさん自体じたいからの反応はんのうはどうですか?

多賀たが:もちろん最初さいしょ個人こじんプレーでしたが、「Spotify For Artist」というアーティストがわかられるデータをもとに、メンバーとはなすこともおおくなりました。海外かいがいふくめて、どこでどの楽曲がっきょくなんかいかれてるとれることで、すこしづつつくるものやとどかた意識いしき仕方しかたわってきたようにかんじます。

ーーメンバーもストリーミングで音楽おんがくくようになって、「影響えいきょうける音楽おんがくわった」とインタビューでもはなしていました。

多賀たが: Spotifyを使つかはじめたとき一番いちばん感動かんどうしたのは、なんといってもアーカイヴのきょたいさとすぐれた操作性そうさせいわるです。青春せいしゅん時代じだいにめちゃくちゃいっぱいいて、自分じぶんのルーツになった音楽おんがくで、もちろんCDではっているのにながらくいてなかった楽曲がっきょくって沢山たくさんあったんですよ。それが検索けんさくするとパっとてきて、まるでタイムトラベルをしているような不思議ふしぎ気持きもちになったんです。Spotifyのほうからもおもしろいはなしいたんですが、「フジロックのプレイリストを展開てんかいするなかで、わかたちはボブ・ディランを新人しんじんとしてくんです」と。すごく新鮮しんせん感覚かんかくだなとおもいました。メンバーもそうやって音楽おんがく趣味しゅみわったように、これからのあたらしいアーティストも様々さまざまなルーツをったひとえるとおもいます。物体ぶったいじゃないからこそ、そこにある余分よぶんなテクスチャーや情報じょうほうに捉われず、オーバーグラウンドもアンダーグラウンドも年代ねんだいもジャンルも関係かんけいなくえて、並列へいれつれられる。そんな影響えいきょう変化へんかこってくるとおもいます。

ーーSCANDALは、すこまえにプライベートレーベルをげて、メジャーシーンのなかにいながらインディペンデントなうごきをやっていくフェーズにはいっているようにえます。そんな状況じょうきょうだからこそ、Spotifyのようなサービスともますます相性あいしょうくなっているのでしょうか?

多賀たが:それは間違まちがいないとおもいます。ストリーミングがはじめたころ業界ぎょうかい全体ぜんたいに「CDでいてもらうのが一番いちばんアーティストにとってプラスなんだ」という雰囲気ふんいきがあって、おおきなレーベルやアーティストほど本格ほんかくてき参入さんにゅう時間じかんがかかりました。もちろん自分じぶんもCDはきだし、音楽おんがくつくるのには大変たいへん労力ろうりょくとおかねがかかるので仕組しくみとしてはそうなんですが、こんなにあたらしくて素敵すてき音楽おんがく体験たいけんがあるのにそれをひろめていかないのは意地悪いじわるがしてきちゃって。その矛盾むじゅんなかでの葛藤かっとうもあって、よりインディペンデントなかたちがおもしろいんじゃないか、そういうアーティストがこれからどんどんえるだろう、とかんじるようになりました。

ーー直近ちょっきんうと、ツアーのセットリストをプレイリストにするだけではなく、Canvas機能きのう使つかって、ライブ写真しゃしん背景はいけいのはすごく独自どくじせいのある施策しさくだとおもいます。

多賀たが:Instagramなどでライブ写真しゃしんをアップするのはどのアーティストもんでいますが、Spotifyの動画どうが写真しゃしん背景はいけい使つかえるCanvas機能きのうはまだ日本にっぽん使つかっているアーティストがすくなくて、カジュアルに音楽おんがく連動れんどうしてSNSてきなオンタイムの情報じょうほうたのしめるかなとおもったんです。れいげると、海外かいがいではテイラー・スウィフトがめちゃくちゃうまい使つかかたをしているんです。新曲しんきょくをリリースするまえには、これまでの楽曲がっきょくふくめてすべての楽曲がっきょくのCanvasが新曲しんきょくのティザーらしき背景はいけいになって、ファンがざわつきはじめるという。そういうSNSとの融合ゆうごうみたいな使つかかたいなとおもって、こまめに写真しゃしんあたらしいものにえているんです。

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