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無効の審決|無効2014-890093 - 商標審決データベース

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審決しんけつ分類ぶんるい 審判しんぱん 全部ぜんぶ無効むこう しょうじょうこうごう 公序こうじょ良俗りょうぞく 無効むこうとする(請求せいきゅう全部ぜんぶ成立せいりつす(もう全部ぜんぶ成立せいりつ) Y25
管理かんり番号ばんごう 1330208 
審判しんぱん番号ばんごう 無効むこう2014-890093 
総通そうつうごうすう 212 
発行はっこうこく 日本国にっぽんこく特許庁とっきょちょう(JP) 
公報こうほう種別しゅべつ 商標しょうひょう審決しんけつ公報こうほう 
発行はっこう 2017-08-25 
種別しゅべつ 無効むこう審決しんけつ 
審判しんぱん請求せいきゅう 2014-12-01 
確定かくてい 2017-06-19 
事件じけん表示ひょうじ 上記じょうき当事とうじしゃあいだ登録とうろくだい5284760ごう商標しょうひょう商標しょうひょう登録とうろく無効むこう審判しんぱん事件じけんについて,つぎのとおり審決しんけつする。 
結論けつろん 登録とうろくだい5284760ごう登録とうろく無効むこうとする。 審判しんぱん費用ひよう請求せいきゅうじん負担ふたんとする。
理由りゆう だい1 本件ほんけん商標しょうひょう
本件ほんけん登録とうろくだい5284760ごう商標しょうひょう(以下いか本件ほんけん商標しょうひょう」という。)は,別掲べっけいしめすとおりの構成こうせいからなり,平成へいせい16ねん10がつ15にち登録とうろく出願しゅつがんされ,だい25るい被服ひふく,空手からてころもおよだい41るい空手からて教授きょうじゅ,空手からて興行こうぎょう企画きかく運営うんえいまた開催かいさい」を指定してい商品しょうひんまた指定してい役務えきむとして,どう21ねん11月4にち登録とうろく査定さてい,同年どうねん12がつ4にち設定せってい登録とうろくされたものである。

だい2 請求せいきゅうじんらの主張しゅちょう
1 請求せいきゅう趣旨しゅし
請求せいきゅうじんらは,結論けつろん同旨どうし審決しんけつもとめ,その理由りゆう要旨ようしのようにべ,証拠しょうこ方法ほうほうとして,かぶとだい1号証ごうしょうないしかぶとだい70号証ごうしょう(えだ番号ばんごうふくむ。)を提出ていしゅつした。
2 請求せいきゅう理由りゆう
(1)ごく会館かいかんについて
ごく会館かいかんとは,著名ちょめい空手からてであった大山おおやまばいたち(以下いかばいたち」という。)が創設そうせつした空手からてどう団体だんたい名称めいしょうである。
ばいたちは,空手からて修練しゅうれんみ,日本にっぽん国内こくないのほか,欧米おうべいその外国がいこく格闘かくとう対決たいけつするなどして名声めいせいたかめ,直接ちょくせつ打撃だげきせい武道ぶどう空手からて特徴とくちょうとする「ごく真空しんくうしゅ」を創始そうしし,国内外こくないがい弟子でしそだてたが,ごく真空しんくうしゅ推進すいしんし,普及ふきゅうさせることを目的もくてきに,昭和しょうわ39ねんに「ごく会館かいかん」を創設そうせつし,以後いご,「館長かんちょう」「総裁そうさい」と呼称こしょうされた。「ごく会館かいかん」は,ばいたち死亡しぼうした平成へいせい6ねん時点じてんにおいて,日本にっぽん国内こくないに,総本部そうほんぶ,関西かんさい本部ほんぶのほか,55の支部しぶ,550道場どうじょう,会員かいいんすう50まんにんゆうし,世界せかい130かこく,会員かいいんすう1200まんにんえる勢力せいりょくゆうしていた。
なお,「ごく会館かいかん」は法人ほうじんかく取得しゅとくせず,支部しぶちょうをはじめとする多数たすう道場どうじょうぬし集合しゅうごうした権利けんり能力のうりょくなき社団しゃだんであった。また,昇段しょうだん審査しんさりょう負担ふたんきんなど本部ほんぶおさめる金銭きんせんはあるものの,基本きほんてきにはかく支部しぶかく道場どうじょう経済けいざいてきには独立どくりつした事業じぎょうしゃとして,それぞれの地域ちいき活動かつどうをしていた。
ばいたちは,平成へいせい6ねん4がつ26にち死亡しぼうした。そして,平成へいせい6ねん5がつ10日とおか支部しぶちょう会議かいぎにおいて,ばいたち危急ききゅう遺言ゆいごんもとづき弟子でし一人ひとりであった松井まついあきらけいこと文章ぶんしょうけい(以下いか松井まつい」という。)が「ごく会館かいかん館長かんちょう就任しゅうにんすることが決定けっていされた。その,ばいたち遺族いぞく松井まついとのあいだで,遺言ゆいごん有効ゆうこうせいかんするあらそいがしょうじ,平成へいせい9ねん3がつ17にち,最高裁判所さいこうさいばんしょ特別とくべつ抗告こうこく却下きゃっかして,遺言ゆいごん無効むこうであるとの判断はんだん確定かくていしている。
ばいたちつまである大山おおやまさとし弥子やこ(以下いかさとし弥子やこ」という。)は,ばいたち死後しご一連いちれんながれは松井まついいちによるごく会館かいかん工作こうさくであると主張しゅちょうし,平成へいせい7ねん2がつ15にち,みずから「ごく会館かいかん」2代目だいめ館長かんちょう襲名しゅうめいすることを宣言せんげんするとともに,それまでに松井まついにより破門はもんされていた5にん支部しぶちょうとともにのちに「(ごく会館かいかん)遺族いぞく」とばれるようになるグループを結成けっせいした。
平成へいせい7ねん4がつ5にち支部しぶちょう会議かいぎにより,松井まつい館長かんちょう解任かいにん決議けつぎされた。これにたいし,松井まついは,ばいたち遺志いしにより館長かんちょうとなったもの支部しぶちょう協議きょうぎかい支部しぶちょう会議かいぎ解任かいにんすることはできず,解任かいにん決議けつぎ無効むこうであると主張しゅちょうし,つづき「ごく会館かいかん館長かんちょう地位ちいにあることを宣言せんげんした。
松井まつい館長かんちょう解任かいにん賛成さんせいした支部しぶちょうらは,支部しぶちょう協議きょうぎかい議長ぎちょう中心ちゅうしんごく会館かいかん運営うんえいすると主張しゅちょうして,いわゆる「支部しぶちょう協議きょうぎ会派かいは」を結成けっせいし,平成へいせい7ねん4がつ5にち,記者きしゃ会見かいけんおこな声明せいめいぶん発表はっぴょうした。
オ このようにして,ばいたち創設そうせつした「ごく会館かいかん」は,平成へいせい7ねん時点じてん松井まつい館長かんちょうとするグループである通称つうしょう松井まつい」,前述ぜんじゅつの「遺族いぞくおよび「支部しぶちょう協議きょうぎ会派かいは」の3つのおおきく分裂ぶんれつした状態じょうたいとなり,分裂ぶんれつ各派かくはばいたち生前せいぜん同様どうよう名称めいしょうおよ組織そしき体制たいせいした,各々おのおの活動かつどうするようになった。また,ばいたち生前せいぜんよりかく道場どうじょう経済けいざいてきには独立どくりつした事業じぎょうたいとして活動かつどうしてきた経緯けいいもあり,その,各派かくはさらなる分裂ぶんれつしょうじ,本件ほんけん商標しょうひょう出願しゅつがんおよ登録とうろく査定さていでは,多数たすう独立どくりつした事業じぎょうしゃが「ごく会館かいかん」を名乗なのり,空手からて教授きょうじゅ,空手からて興行こうぎょう企画きかく運営うんえいまた開催かいさいをしている状況じょうきょうとなった(かぶと2)。
(2)利害りがい関係かんけいについて
請求せいきゅうじん長谷川はせがわは,1970ねんばいたちに「ごく会館かいかん」の支部しぶちょうとして認可にんかけ,以後いご,長年ながねんごく会館かいかん」の名称めいしょう使用しようして空手からて教授きょうじゅとうおこなものである。請求せいきゅうじん大石おおいしは,おなじく1976ねんばいたちより「ごく会館かいかん」の支部しぶちょうとして認可にんかけ,以後いご,長年ながねんごく会館かいかん」の名称めいしょう使用しようして空手からて教授きょうじゅとうおこなものである。
請求せいきゅうじん一般社団法人国際空手道連盟極真会館世界総極真(以下いか請求せいきゅうじん世界せかいそうきょくしん」という。)は,請求せいきゅうじん長谷川はせがわ請求せいきゅうじん大石おおいし設立せつりつした社団しゃだん法人ほうじんである。
請求せいきゅうじんら3めい請求せいきゅうじんより,本件ほんけん商標しょうひょう使用しようかん通知つうちしょ送付そうふけており(かぶと3),本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろくかんして利害りがい関係かんけいゆうしている。
(3)商標しょうひょうほうだい3じょうだい1こうだい6ごう該当がいとうせいについて
本件ほんけん商標しょうひょうの「ごく会館かいかんおよび「KYOKUSINKAIKAN」との名称めいしょうは,本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく査定さてい当時とうじにおいて,すできわめて多数たすう事業じぎょうしゃ本件ほんけん商標しょうひょう指定してい役務えきむである空手からて教授きょうじゅとう使用しようしていた(かぶと1?2,かぶと4?6,かぶと10?62)。そして,そのように多数たすう事業じぎょうしゃが,同一どういつないし類似るいじした名称めいしょうもちいて活動かつどうする状況じょうきょうにおいては,もはや「ごく会館かいかん」という表記ひょうきだけでは需要じゅようしゃにとって,何人なんにん役務えきむかか表示ひょうじかを識別しきべつすることは不可能ふかのうとなっており,専門せんもん雑誌ざっし報道ほうどうとうにおいては,「○○」「代表だいひょう○○」のような表記ひょうき併記へいきして識別しきべつがなされている状況じょうきょうである(かぶと17の2,かぶと20の3,かぶと21の1など)。
よって,本件ほんけん商標しょうひょうは,その指定してい役務えきむ使用しようしても,需要じゅようしゃ何人なんにん営業えいぎょうかか役務えきむであるかを認識にんしきすることができない商標しょうひょうといえ,商標しょうひょうほうだい3じょうだい1こうだい6ごう該当がいとうする。
(4)商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい7ごう該当がいとうせいについて
本件ほんけん商標しょうひょうは,著名ちょめい空手からてであるばいたち創設そうせつした空手からて団体だんたいごく会館かいかん」にルーツをつものであるが,ごく会館かいかんは,ばいたち死後しご,内部ないぶかく事業じぎょうしゃ対立たいりつから分裂ぶんれつかえし,かく事業じぎょうしゃがそれぞれ独自どくじに「ごく会館かいかん」として活動かつどうする状況じょうきょうとなっている。本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんは,請求せいきゅうじんがこのような分裂ぶんれつじょうきょう認識にんしきしつつ,事業じぎょうしゃ活動かつどう妨害ぼうがいし,使用しようりょう名目めいもくとう金銭きんせん請求せいきゅうする目的もくてきにおいてなされたものである。
よって,本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんはこのような不正ふせい目的もくてきおこなわれたものであり,本件ほんけん商標しょうひょうは,おおやけ秩序ちつじょまた善良ぜんりょう風俗ふうぞくがいするものであるから,商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい7ごう該当がいとうする。
(5)商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい8ごうおよどうこうだい19ごう該当がいとうせいについて
本件ほんけん商標しょうひょうは,ばいたち創設そうせつ多数たすう事業じぎょうしゃ集合しゅうごうたいとして存在そんざいしていた「ごく会館かいかん」として需要じゅようしゃ認識にんしきされていたものであり,前述ぜんじゅつのとおり分裂ぶんれつ騒動そうどうのち,本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがん当時とうじよりおおくの会派かいはごくしん名乗なのって活動かつどう継続けいぞくしている状況じょうきょうである。そして,請求せいきゅうじんみずからは,空手からて教授きょうじゅとう一切いっさいおこなってはいない。よって,本件ほんけん商標しょうひょう請求せいきゅうじんかられば「他人たにん」であるほかおおくの「ごく会館かいかん」を名乗なの事業じぎょうしゃ業務ぎょうむかか役務えきむ表示ひょうじするものとして,本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんおよ登録とうろく査定さていにおいて日本にっぽん国内こくないまた外国がいこくにおける需要じゅようしゃあいだひろ認識にんしきされている商標しょうひょう同一どういつである。そして,前述ぜんじゅつしたように本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがん他人たにん業務ぎょうむ妨害ぼうがい不正ふせい利益りえき目的もくてきでなされたことにかんがみれば,本件ほんけん商標しょうひょうは,商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい8ごうおよどうこうだい19ごう該当がいとうする。
(6)商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい15ごう該当がいとうせいについて
ごく会館かいかん」の文字もじは,ばいたち創設そうせつした空手からて団体だんたいごく会館かいかん」にルーツをつものであり,おそくともばいたち死去しきょである平成へいせい6ねん当時とうじには著名ちょめい空手からて団体だんたいとして周知しゅうちせいゆうしていた。しかし,ごく会館かいかんは,ばいたち死後しご,唯一ゆいいつ正当せいとう後継こうけいしゃべるもの存在そんざいせず,内部ないぶかく事業じぎょうしゃがそれぞれ分裂ぶんれつかえし,本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんおよ登録とうろく査定さていにおいてかく事業じぎょうしゃがそれぞれ独自どくじに「ごく会館かいかん」として活動かつどうする状況じょうきょうとなっている。このような状況じょうきょうにおいては,本件ほんけん商標しょうひょうが,請求せいきゅうじんとうによって,空手からてどう教授きょうじゅ,空手からてどう大会たいかい企画きかく運営うんえいまた開催かいさいとうにおいて使用しようされた場合ばあい,本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんおよ登録とうろく査定さてい状況じょうきょうにおいても請求せいきゅうじんらをはじめとする「ごく会館かいかん」を名乗なの活動かつどうするおおくの請求せいきゅうじん以外いがい事業じぎょうしゃによる空手からてどう教授きょうじゅとうであると混同こんどうしょうずるおそれきわめてたかい。
したがって,本件ほんけん商標しょうひょうは,商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい15ごう該当がいとうする。
3 請求せいきゅうじん主張しゅちょうへの反論はんろん
(1)請求せいきゅうじんきょく関連かんれんしめぎあきらかか権利けんり包括ほうかつ承継しょうけいについて
請求せいきゅうじんは,ごく関連かんれんしめぎあきらかか権利けんりについてばいたち生前せいぜんは,ばいたち独占どくせんてきゆうしており,それを相続そうぞくによって請求せいきゅうじん包括ほうかつ承継しょうけいしたと主張しゅちょうする。
しかし,多数たすう事業じぎょうしゃにより構成こうせいされる権利けんり能力のうりょくなき社団しゃだんとしてのばいたち生前せいぜんの「ごく会館かいかん」の法的ほうてき性質せいしつ,およ権利けんり能力のうりょくなき社団しゃだんとしての「ごく会館かいかん」におけるごく関連かんれんしめぎあきら取扱とりあつかいの実態じったいからすれば,ごく関連かんれんしめぎあきらかか権利けんりばいたち生前せいぜんより「ごく会館かいかん構成こうせいいん全体ぜんたい総有そうゆうないしは共有きょうゆうてき帰属きぞくしていたと評価ひょうかでき,自身じしん相続そうぞくにより単独たんどくでこれを承継しょうけいしたことを前提ぜんていとする請求せいきゅうじん主張しゅちょうあやまりである。
(2)ばいたち生前せいぜんきょく関連かんれんしめぎあきら取扱とりあつかいについて
個別こべつてき管理かんりがなされていないこと
請求せいきゅうじんは,ばいたち自身じしん創設そうせつした空手からて流派りゅうはあらわすものとしてごく関連かんれんしめぎあきら独占どくせんてき使用しようしており,「ごく会館かいかん」にぞくするかく構成こうせいいんばいたちから許諾きょだくけて使用しようしていたにすぎないと主張しゅちょうする。
しかし,「ごくカラテ21世紀せいきへのみち」(かぶと63)においてばいたちが「組織そしき無断むだん使用しようしないかぎり,IKO(国際こくさい空手からてどう連盟れんめい略称りゃくしょう)傘下さんかにあるきょく会館かいかん支部しぶ道場どうじょうがこれを使用しようするのは自由じゆうであり,支部しぶ認可にんかするにさいしての手続てつづきさえしっかりしていれば,“マークの使用しよう”について総本部そうほんぶなんらこれについて規制きせいくわえるようなことはない。」と記載きさいしているとおり,支部しぶちょうとしての適格てきかくせい審査しんさ以外いがい商標しょうひょう使用しようについて個別こべつてき許可きょか管理かんりはなされていない。またごく関連かんれんしめぎあきらしたTてぃーシャツなどのグッズを制作せいさく販売はんばいするさいにも本部ほんぶ許可きょかもとめることは不要ふようであった。
支部しぶ制度せいどふん支部しぶ制度せいど存在そんざい
また,「ごく会館かいかん」において特徴とくちょうてき制度せいどである支部しぶふん支部しぶ制度せいどは,ばいたち独占どくせんてきごく関連かんれんしめぎあきら使用しようしていたとの請求せいきゅうじん主張しゅちょうあやまりをしめしている。
すなわち,ばいたち生前せいぜんの「ごく会館かいかん」においては,支部しぶちょうとしてみとめられたものは,あらたに自己じこ道場どうじょう開設かいせつすることも自由じゆうであり,その道場どうじょうにおいてごく関連かんれんしめぎあきら使用しようすることも自由じゆうであった。さらに支部しぶちょう事前じぜんにその設置せっちを「ごく会館かいかん本部ほんぶ申請しんせいしさえすれば自己じこ判断はんだんにおいて他人たにんぶん支部しぶ認可にんかし,ぶん支部しぶ他人たにんごく関連かんれんしめぎあきら使用しようさせることも可能かのうであった。
ぶん支部しぶ設置せっち,ぶん支部しぶちょう任命にんめい解任かいにん,権限けんげん範囲はんい,経営けいえい方法ほうほうについては支部しぶちょう判断はんだんにゆだねられており,独立どくりつ採算さいさんせいり,支部しぶとは別個べっこ事業じぎょうたいとして空手からて教授きょうじゅおこなぶん支部しぶおおくあった。このような独立どくりつ事業じぎょうたいとして活動かつどうしていたぶん支部しぶあらたに道場どうじょう開設かいせつするさいにおいても「ごく会館かいかん本部ほんぶ個別こべつ許可きょかとう必要ひつようはなかった。
そして,「ごく会館かいかん」「ごく真空しんくうしゅ」の普及ふきゅう発展はってんにおいては,このような支部しぶふん支部しぶにおける空手からて教授きょうじゅおおきく貢献こうけんしており,支部しぶふん支部しぶがなければ今日きょうきょく真空しんくうしゅ普及ふきゅう発展はってんはありえない。
このような取扱とりあつかいをれば,支部しぶちょうふん支部しぶちょうには,ごく会館かいかん関連かんれんしめぎあきらについて,他人たにんへの使用しよう許諾きょだくふく一定いってい処分しょぶんけんみとめられていたといえる。
支部しぶふん支部しぶ本部ほんぶとの関係かんけい
ばいたち生前せいぜんより,「ごく会館かいかん」の支部しぶふん支部しぶとう道場どうじょうは,それぞれの運営うんえい主体しゅたい別個べっこ独立どくりつした事業じぎょうたいとして活動かつどうしている。かく道場どうじょう責任せきにんしゃばいたちないし本部ほんぶから給与きゅうよ支払しはらいける立場たちばではなく,各自かくじ事業じぎょうぬしとして独自どくじ経営けいえいおこなっていた。そのなかで,ごく関連かんれんしめぎあきらしたグッズの販売はんばいや,新規しんき道場どうじょう開設かいせつなどもかく道場どうじょう責任せきにんしゃ判断はんだんによっておこなわれてきた。需要じゅようしゃたる道場どうじょうせい支払しはら月謝げっしゃとうもすべて支部しぶふん支部しぶ道場どうじょう責任せきにんしゃたいして支払しはらわれていた。
支部しぶふん支部しぶ本部ほんぶとの関係かんけいにおいて,大会たいかいへの選手せんしゅ派遣はけん審判しんぱん協力きょうりょくなど「ごく会館かいかん」としての活動かつどう協力きょうりょくする義務ぎむうものであるが,これは支部しぶあいだでも同様どうようであり,また本部ほんぶ支部しぶおこな地方ちほう大会たいかいとうたいして協力きょうりょく義務ぎむっている。ばいたち自身じしん,支部しぶおこな地方ちほう大会たいかい大会たいかい役員やくいんとして出席しゅっせき支部しぶ大会たいかい運営うんえい協力きょうりょくしていた。
(3)社団しゃだんせい
ばいたち生前せいぜんの「ごく会館かいかん」は上記じょうきのような独立どくりつ事業じぎょうたいとしての支部しぶふん支部しぶゆうし,国内こくない総本部そうほんぶ,関西かんさい本部ほんぶのほか,55の支部しぶ,550道場どうじょう,会員かいいんすう50まんにんゆうし,海外かいがいければ世界せかい130かこく,会員かいいんすう1200まんにんえる勢力せいりょくゆうする社団しゃだんであった。
よって,ばいたち生前せいぜんきょく会館かいかんは,「ごく真空しんくうしゅ」の普及ふきゅう発展はってんというひとつの目的もくてきのために多数たすう事業じぎょうしゃ(支部しぶふん支部しぶとう)が集合しゅうごうした権利けんり能力のうりょくなき社団しゃだんである。
(4)請求せいきゅうじんごく関連かんれんしめぎあきらかか権利けんり義務ぎむ承継しょうけいするものではないこと
請求せいきゅうじんは,ばいたち独占どくせんてきゆうしていたきょく関連かんれんしめぎあきらかか権利けんり相続そうぞくによる包括ほうかつ承継しょうけい取得しゅとくしたと主張しゅちょうするが,そもそもごく関連かんれんしめぎあきらかか権利けんり主体しゅたいばいたち個人こじんではなく,多数たすう事業じぎょうたいにより構成こうせいされる権利けんり能力のうりょくなき社団しゃだんたる「ごく会館かいかん」である。
よって,かりごく関連かんれんしめぎあきらかか権利けんり承継しょうけいするものがいるとすれば,それはばいたち生前せいぜん権利けんり能力のうりょくなき社団しゃだんとしての「ごく会館かいかん」そのもの,ないしはその館長かんちょう総裁そうさいとしての地位ちい承継しょうけいするものにほかならないが,ばいたちは,みずからの後継こうけいしゃ,ごく会館かいかん承継しょうけいするもの指名しめいすることなく死去しきょしている。また,ばいたち生前せいぜんの「ごく会館かいかん」において,館長かんちょう総裁そうさい地位ちい決定けってい承継しょうけいかんするさだめはまったくなく,そのようなもの存在そんざいしていない。なお,「ごく会館かいかん」において世襲せしゅうせい採用さいようされておらず,これはばいたち生前せいぜん発言はつげんとうからもあきらかである(かぶと64)。
そして,後継こうけいしゃさだまらなかった結果けっか,すで指摘してきしたとおり,ばいたち生前せいぜんの「ごく会館かいかん」はきゅう支部しぶ長等ながらひきいる各派かくは分立ぶんりつするにいたっており,各派かくははそれぞれがばいたち生前せいぜん同様どうよう活動かつどう継続けいぞくし,全日本ぜんにほん大会たいかい,世界せかい大会たいかいとう従前じゅうぜんどおり開催かいさいしている。
他方たほうで,請求せいきゅうじん関係かんけいする宗家そうけばれるきょく会館かいかん分裂ぶんれついち会派かいはは,ばいたち生前せいぜんよりおこなわれていた,全日本ぜんにほん大会たいかい世界せかい大会たいかい継続けいぞくしておらず,ばいたち生前せいぜんの「ごく会館かいかん」を承継しょうけいするものではないことがあきらかである。
したがって,請求せいきゅうじんばいたち権利けんり義務ぎむ相続そうぞくにより承継しょうけいしたものであったとしても,ごく関連かんれんしめぎあきらかか権利けんりまで承継しょうけいするものではない。
4 むす
以上いじょうのとおり,本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろくは,商標しょうひょうほうだい3じょうだい1こうだい6ごうならびにどうほうだい4じょうだい1こうだい7ごう,どうこうだい8ごう,どうこうだい15ごうおよどうこうだい19ごう違反いはんしてされたものであるから,されるべきである。

だい3 請求せいきゅうじん主張しゅちょう
1 答弁とうべん趣旨しゅし
請求せいきゅうじんは,「本件ほんけん審判しんぱん請求せいきゅうりたない。審判しんぱん費用ひよう請求せいきゅうじん負担ふたんとする。」との審決しんけつもとめると答弁とうべんし,その理由りゆう要旨ようしのようにべ,証拠しょうこ方法ほうほうとして,おつだい1号証ごうしょうないしおつだい4号証ごうしょう(えだ番号ばんごうふくむ。)を提出ていしゅつした。
2 答弁とうべん理由りゆう
(1)ごく会館かいかん創設そうせつ,ごく関連かんれん標識ひょうしき使用しよう実態じったいについて
ア 「ごく真空しんくうしゅおよび「ごく会館かいかん」は,ばいたちが「しんきわめる」ことを目的もくてき創設そうせつしたものであり,その一門いちもんを「ごくしんかい」と名付なづけたものである。ばいたち生前せいぜんは,「ごく会館かいかん」が設立せつりつされ,その規模きぼ拡大かくだいすると,それにおうじて組織そしき運営うんえいかんするさだめが,「道則みちのり」,「支部しぶ規約きやくとうかたちさだめられたが,そのなかには館長かんちょうないし総裁そうさいたる地位ちい決定けってい承継しょうけいかんする規定きていはなかった。また,実際じっさい運営うんえいかならずしもどう規定きていどおりにおこなわれていたわけではなく,ばいたち個人こじんてき判断はんだんにゆだねられており,その裁量さいりょうきわめて広範こうはんであった。
ばいたちは,ごく関連かんれん標識ひょうしきみずからが創設そうせつしたきょく会館かいかん,ごく真空しんくうしゅあらわすものとして使用しようし,その結果けっか,ごく関連かんれん標識ひょうしきひろ認識にんしきされるにいたったものである。このようなごく関連かんれん標識ひょうしきは,ばいたち独占どくせんてき使用しようしていたものであり,ごく会館かいかんぞくするかく構成こうせいいんたいしてはその使用しよう許諾きょだくしていたものにすぎない。そして,ばいたち生存せいぞんちゅう同人どうじん独占どくせんしていたきょく関連かんれん標識ひょうしきかかかく権利けんり(具体ぐたいてきには,ごく関連かんれん標識ひょうしきについて商標しょうひょう登録とうろくける権利けんり,どう標識ひょうしき使用しようする権利けんりとう)は,以下いかのとおり,ばいたちおよさとし弥子やこ死亡しぼうによって,請求せいきゅうじん包括ほうかつ承継しょうけい(民法みんぽうだい882じょう)されたものである。
ウ すなわち,ばいたちは,平成へいせい6ねん4がつ26にち死亡しぼうした。この当時とうじにおける法定ほうてい相続そうぞくじん5めいは,平成へいせい17ねん12月29にち,ばいたちのすべての権利けんり義務ぎむばいたちつまであったさとし弥子やこ相続そうぞくするむね遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎ成立せいりつした(おつ2の2?6)。
さとし弥子やこは,平成へいせい18ねん6がつ6にち死亡しぼうし,その当時とうじにおける法定ほうてい相続そうぞくじんは3めいであった。このうち,1めい平成へいせい18ねん8がつ18にちづけ相続そうぞく放棄ほうきおこなったため(おつ3の4),相続そうぞくじんは,請求せいきゅうじんふくむ2めいとなった。平成へいせい19ねん3がつ,さとし弥子やこ遺産いさんは,請求せいきゅうじん以外いがい相続そうぞくじん一定いっていがく現金げんきん相続そうぞくされたほかは,さとし弥子やこ権利けんり義務ぎむ請求せいきゅうじんがすべて相続そうぞくするむね遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎ成立せいりつした(おつ3の2)。このように,さとし弥子やこ死亡しぼうにより,上記じょうき現金げんきん相続そうぞくのぞき,すべての権利けんり義務ぎむは,請求せいきゅうじん相続そうぞくしたものである。これによって,前述ぜんじゅつしたきょく関連かんれん標識ひょうしきかかかく権利けんり請求せいきゅうじん承継しょうけいされた。
(2)利害りがい関係かんけいについて
請求せいきゅうじん請求せいきゅうじんらにたいし,本件ほんけん商標しょうひょう使用しよう中止ちゅうしするむね通知つうちしょ送付そうふし,これが請求せいきゅうじんらに到達とうたつしたとのてんみとめるが,請求せいきゅうじんらは,「本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく無効むこうにすること」について法律ほうりつじょう利害りがい関係かんけいゆうするとしても,「本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく自体じたいについて利害りがい関係かんけいゆうしているわけではない。
(3)商標しょうひょうほうだい3じょうだい1こうだい6ごう該当がいとうせいについて
請求せいきゅうじんらの主張しゅちょうする分裂ぶんれつ騒動そうどうからすれば,分裂ぶんれつ各派かくはによってごく関連かんれん商標しょうひょうした商品しょうひんまた役務えきむ多数たすうそんすることは事実じじつである。しかしながら,ばいたち創設そうせつしたきょく会館かいかんとこれにつづ分裂ぶんれつ騒動そうどうちまた周知しゅうち事実じじつであり,空手からておよ格闘技かくとうぎ興味きょうみもののみならず当該とうがい商標しょうひょう指定してい商品しょうひん役務えきむ取引とりひきしゃおよ一般いっぱん需要じゅようしゃにおいては,商品しょうひん購入こうにゅうまた役務えきむ提供ていきょうさいして,どの派閥はばつかか商品しょうひんまた役務えきむであるかに着目ちゃくもくするのであって,これらのもの通常つうじょう注意ちゅういりょくをもってすれば,本件ほんけん商標しょうひょうについて自他じた識別しきべつせい判断はんだんおこなうことは容易よういである。
なお,請求せいきゅうじんらはかぶとだい5号証ごうしょうおよかぶとだい6号証ごうしょうもとづき「『ごく会館かいかん』を名称めいしょう使用しようする事業じぎょうしゃが16%も存在そんざいする」と主張しゅちょうするが,このような事実じじつ上記じょうき結論けつろん影響えいきょうしない。
したがって,本号ほんごうさだめる登録とうろく阻却事由じゆうみとめられない。
(4)商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい7ごう該当がいとうせいについて
本件ほんけん商標しょうひょうは,その構成こうせい自体じたい社会しゃかいてき妥当だとうせいくものでないことはあきらかであり,また,以下いかべるとおり,登録とうろく出願しゅつがん経緯けいい社会しゃかいてき妥当だとうせいてんみとめられない。
すなわち,請求せいきゅうじんは,上記じょうきのとおり,ばいたち生前せいぜんゆうしていたきょく関連かんれん標識ひょうしきかかかく権利けんりさとし弥子やこ相続そうぞくつうじて承継しょうけいしたものである。しかも,請求せいきゅうじんは,ばいたち遺族いぞく大山おおやま中心ちゅうしん組織そしきされ,遺族いぞく支援しえんする日本にっぽん内外ないがい支部しぶちょうによって構成こうせいされた「国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん宗家そうけ」の代表だいひょうつとめている。どう宗家そうけは,ばいたちおしえやきょく真空しんくうしゅ精神せいしん伝承でんしょうのため活動かつどうおこない,本件ほんけん商標しょうひょうふく複数ふくすうきょく関連かんれん商標しょうひょう商標しょうひょうけんおよばいたち肖像しょうぞうけん管理かんりするとともに,分裂ぶんれつまえ西池袋にしいけぶくろ総本部そうほんぶについても管理かんりおこなっている。
請求せいきゅうじんによる本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんは,このような活動かつどう一環いっかんとして,本件ほんけん商標しょうひょう出願しゅつがんおよ登録とうろくおこな必要ひつようがあったのであり,個人こじんてき利益りえきはか目的もくてきではなく,ごく会館かいかん宗家そうけという団体だんたい利益りえきはか目的もくてきおこなわれたものである。
したがって,その登録とうろく出願しゅつがん不正ふせい目的もくてきおこなわれたとはいえず,その経緯けいい社会しゃかいてき妥当だとうせいてんみとめられない。
よって,商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい7ごう該当がいとうしない。
(5)商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい8ごうおよどうこうだい19ごう該当がいとうせいについて
商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい8ごうについて
本件ほんけん商標しょうひょうは,「国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん総本部そうほんぶ」という請求せいきゅうじん代表だいひょうつとめる団体だんたい名称めいしょう一部いちぶおう文字もじとともに商標しょうひょう登録とうろくしたものであって,これが他人たにん肖像しょうぞう,氏名しめい,名称めいしょうとう該当がいとうしないことはあきらかであるし,他人たにん著名ちょめい略称りゃくしょうふくむものでもない。なお,請求せいきゅうじんらは,請求せいきゅうじん空手からて教授きょうじゅとう一切いっさいおこなっていないむね主張しゅちょうするが,事実じじつはんする。請求せいきゅうじんは,技術ぎじゅつ指導しどういんつうじて空手からて教授きょうじゅおこなっている。
請求せいきゅうじんらは,ばいたち創設そうせつした「ごく会館かいかん」がばいたち死後しご分裂ぶんれつし,「ごく会館かいかん宗家そうけ以外いがいものにも「ごく会館かいかん」の名称めいしょう使用しようするものがいることをもって,本号ほんごう違反いはん主張しゅちょうをしているようである。しかしながら,請求せいきゅうじん自己じこ業務ぎょうむかか商品しょうひんおよ役務えきむ表示ひょうじするものとして自己じこ名称めいしょう一部いちぶ商標しょうひょう登録とうろくしたことはあきらかである。したがって,どうごうさだめる登録とうろく許可きょか事由じゆうみとめられない。
商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい19ごうについて
本件ほんけん商標しょうひょうは,「国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん総本部そうほんぶ」という請求せいきゅうじん代表だいひょうつとめる団体だんたい名称めいしょう一部いちぶおう文字もじとともに商標しょうひょう登録とうろくしたものであって,日本にっぽん国内こくないまた外国がいこくにおける需要じゅようしゃあいだひろ認識にんしきされている商標しょうひょうなかでこれと同一どういつまた類似るいじ登録とうろく商標しょうひょう存在そんざいしない。また,本件ほんけん商標しょうひょう出願しゅつがん経過けいか前述ぜんじゅつしたとおりであって,ここに不正ふせい利益りえき目的もくてき他人たにん損害そんがいくわえる目的もくてきとうふくむ「不正ふせい目的もくてき」がみとめられないこともまたあきらかである。
したがって,どうごうさだめる登録とうろく許可きょか事由じゆうみとめられない。
(6)商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい15ごう該当がいとうせいについて
本件ほんけん商標しょうひょうかか指定してい商品しょうひんおよ役務えきむが,ごく関連かんれん商標しょうひょうかか商品しょうひん役務えきむ同一どういつないし類似るいじであったとしても,ばいたち創設そうせつしたきょく会館かいかんとこれにつづ分裂ぶんれつ騒動そうどう周知しゅうちであり,空手からておよ格闘技かくとうぎ興味きょうみもののみならず当該とうがい商標しょうひょう指定してい商品しょうひん役務えきむ取引とりひきしゃおよ一般いっぱん需要じゅようしゃにおいては,商品しょうひん購入こうにゅうまた役務えきむ提供ていきょうさいして,どの派閥はばつかか商品しょうひんまた役務えきむであるかに着目ちゃくもくするのであるから,これらのもの普通ふつうはらわれる注意ちゅういりょくをもってすれば,請求せいきゅうじんらの業務ぎょうむかか商品しょうひんまた役務えきむ混同こんどうしょうずるおそれはない。したがって,どうごう登録とうろく許可きょか事由じゆうみとめられない。
なお,請求せいきゅうじんらは,請求せいきゅうじん活動かつどう小規模しょうきぼであることを理由りゆう本号ほんごう違反いはんするむね主張しゅちょうするが,事業じぎょう規模きぼどうごう違反いはんとがどのように関連かんれんするか不明ふめいである。
(7)むす
以上いじょうのとおり,本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろくは,商標しょうひょうほうだい3じょうだい1こうだい6ごうならびにどうほうだい4じょうだい1こうだい7ごう,どうこうだい8ごう,どうこうだい15ごうおよどうこうだい19ごう違反いはんしてされたものではない。

だい4 とうしん判断はんだん
1 利害りがい関係かんけいについて
請求せいきゅうじんは,請求せいきゅうじんらが「本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく自体じたいについて利害りがい関係かんけいゆうしているわけでないむね主張しゅちょうする。
しかしながら,審判しんぱん請求せいきゅうしょおよ答弁とうべんしょによれば,請求せいきゅうじんらは,請求せいきゅうじんから,本件ほんけん商標しょうひょう使用しようについて許諾きょだくようするむね通知つうちしょっており(かぶと3),本件ほんけん商標しょうひょうかか商標しょうひょうけんについてあらそいがあるので,請求せいきゅうじんらは,本件ほんけん商標しょうひょう無効むこう審判しんぱん請求せいきゅうすることに利害りがい関係かんけいゆうするものというべきである。
2 証拠しょうこおよ当事とうじしゃ主張しゅちょうによれば,つぎ事実じじつみとめられる。
(1)ごく会館かいかんについて
ばいたちは,ごく真空しんくうしゅばれる空手からて流派りゅうは創始そうししゃであり,昭和しょうわ39ねん,どう空手からて流派りゅうはかんする団体だんたいとして「国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」を設立せつりつし,どう団体だんたいは,「ごく会館かいかん」と略称りゃくしょうされた。そして,ばいたちは,どう団体だんたい代表だいひょうとして,「館長かんちょう」ないし「総裁そうさい」と呼称こしょうされていた(かぶと10の1,9,11,17とう,当事とうじしゃあいだあらそいのない事実じじつ)。
どう団体だんたいは,平成へいせい6ねん時点じてんにおいて,日本にっぽん国内こくないに,総本部そうほんぶ,関西かんさい本部ほんぶのほか,55の支部しぶ,550道場どうじょう,会員かいいんすう50まんにんゆうし,世界せかい130かこく,会員かいいんすう1200まんにんえる勢力せいりょくゆうし,すくなくとも,空手からておよびその格闘技かくとうぎ興味きょうみものらのあいだひろられていた(かぶと10の1,9,11,17とう,当事とうじしゃあいだあらそいのない事実じじつ)。
分裂ぶんれつまえどう団体だんたいは,法人ほうじんかく取得しゅとくせず,支部しぶちょうをはじめとする多数たすう道場どうじょうぬし集合しゅうごうした権利けんり能力のうりょくなき社団しゃだんであり,かく支部しぶかく道場どうじょう経済けいざいてきには独立どくりつした事業じぎょうしゃとして,それぞれ,ごく真空しんくうしゅ教授きょうじゅ空手からて大会たいかい開催かいさいとう活動かつどうをしていた(当事とうじしゃあいだあらそいのない事実じじつ)。
ばいたちは,平成へいせい6ねん4がつ26にち死亡しぼうした(かぶと10の1,9,11,17とう)。
オ その,平成へいせい6ねん5がつ10日とおか開催かいさいされた支部しぶちょう会議かいぎにおいて,ばいたち危急ききゅう遺言ゆいごんもとづき,松井まついが「国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」の館長かんちょう就任しゅうにんすることが決定けっていされたが,当該とうがい遺言ゆいごんは,平成へいせい9ねん3がつ17にちに,最高裁判所さいこうさいばんしょ特別とくべつ抗告こうこく却下きゃっかし,無効むこう確定かくていした(当事とうじしゃあいだあらそいのない事実じじつ)。そして,団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」において世襲せしゅうせい採用さいようされていたことをうかがわせる証拠しょうこ,およ請求せいきゅうじん団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」における後継こうけいしゃであったとみとめるにりる証拠しょうこはない。
ばいたち死後しご,団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」は,これと同一どういつせいゆうしない複数ふくすう団体だんたい(請求せいきゅうじんおよ請求せいきゅうじん団体だんたいふくむ。)に分裂ぶんれつした(かぶと2,かぶと61の7,かぶと102とう)。
(2)団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」の分裂ぶんれつ状況じょうきょうについて
団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」の分裂ぶんれつ,平成へいせい21ねん11月時点じてんにおいて,「ごく会館かいかん」の文字もじふく空手からてどう団体だんたいは,おもなもので20グループがあり,松井まつい代表だいひょうしゃつとめる団体だんたい以外いがいについては,「国際こくさい空手からてどう連盟れんめい ごく会館かいかん」の文字もじくわえて「○○かい」,「○○」,「○○道場どうじょうまた代表だいひょうしゃせい,「総本部そうほんぶとう表示ひょうじがなされていた(かぶと1(請求せいきゅうしょ8ぺーじ ひょう),当事とうじしゃあいだあらそいのない事実じじつ)。そして,請求せいきゅうじんも,分裂ぶんれついち団体だんたい代表だいひょうしゃである(かぶと1の20)。
上記じょうきかく団体だんたいのうち,安斎あんざい友吉ゆうきち代表だいひょうしゃつとめる団体だんたいは,平成へいせい10ねん時点じてんにおいて,福島ふくしま県内けんない本部ほんぶを1かしょ,支部しぶを3かしょ,道場どうじょうを11か所有しょゆうし(かぶと10の41),今井いまいしょうけい代表だいひょうしゃつとめる団体だんたいは,平成へいせい15ねん時点じてんにおいて,本部ほんぶを1かしょ,支部しぶを17かしょ,道場どうじょうを20か所有しょゆうし(かぶと10の38),松井まつい代表だいひょうしゃつとめる団体だんたいは,平成へいせい16ねん時点じてんにおいて,日本にっぽん全国ぜんこく本部ほんぶを9かしょ,支部しぶを79かしょ,道場どうじょうやく700かしょ以上いじょうゆうし(かぶと32の7),請求せいきゅうじん長谷川はせがわ代表だいひょうしゃつとめる団体だんたいは,平成へいせい19ねん時点じてんにおいて,日本にっぽん全国ぜんこく本部ほんぶを2かしょ,支部しぶを19か所有しょゆうし(かぶと62の28),請求せいきゅうじん大石おおいし代表だいひょうしゃつとめる団体だんたいは,平成へいせい19ねん時点じてんにおいて,日本にっぽん全国ぜんこく本部ほんぶを6かしょ,道場どうじょうを84か所有しょゆうし(かぶと62の29),川西かわにし泰宏やすひろ代表だいひょうしゃつとめる団体だんたいは,平成へいせい20ねん時点じてんにおいて,本部ほんぶを1かしょ,道場どうじょうを10か所有しょゆうし(かぶと10の18),およ浜井はまい識安代表だいひょうしゃつとめる団体だんたいは,平成へいせい21ねん時点じてんにおいて,総本部そうほんぶふく本部ほんぶを6かしょ,道場どうじょうを43かしょゆうしていた(かぶと10の3)。
(3)請求せいきゅうじんらについて
請求せいきゅうじん長谷川はせがわは,1967ねん(昭和しょうわ42ねん)に団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」に入門にゅうもん,だい2かい全日本ぜんにほん空手からてどう選手権せんしゅけん大会たいかいにおいて優勝ゆうしょうし,1970ねん(昭和しょうわ45ねん)にばいたちより支部しぶちょうとしての認可にんかけ,以降いこう,長年ながねんごく会館かいかん」の名称めいしょう使用しようして空手からて教授きょうじゅとうおこなっている(かぶと18の3,かぶと62の28,請求せいきゅうじんらの主張しゅちょう)。
請求せいきゅうじん大石おおいしは,1969ねん(昭和しょうわ44ねん)に団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」に入門にゅうもん,だい6かい全日本ぜんにほん空手からてどう選手権せんしゅけん大会たいかい6入賞にゅうしょうおよだい1かいぜん世界せかい空手からてどう選手権せんしゅけん大会たいかい4入賞にゅうしょうし,1976ねん(昭和しょうわ51ねん)にばいたちより支部しぶちょうとしての認可にんかけ,以降いこう,長年ながねんごく会館かいかん」の名称めいしょう使用しようして空手からて教授きょうじゅとうおこなっている(かぶと10の7,かぶと62の29,請求せいきゅうじんらの主張しゅちょう)。
請求せいきゅうじん世界せかいそうきょくしんは,請求せいきゅうじん長谷川はせがわおよ大石おおいし設立せつりつした団体だんたいである(請求せいきゅうじんらの主張しゅちょう)。
(4)請求せいきゅうじんについて
請求せいきゅうじんは,ばいたちさんじょである(おつ2?おつ4)。
ばいたち死亡しぼう,ばいたち法定ほうてい相続そうぞくじんあいだで,平成へいせい17ねん12月29にちばいたちのすべての権利けんり義務ぎむについて,ばいたちつまであるさとし弥子やこ相続そうぞくするむね遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎ成立せいりつし(おつ2),その,さとし弥子やこ死亡しぼうともない,さとし弥子やこ権利けんり義務ぎむについて請求せいきゅうじんがすべてを相続そうぞくするとの遺産いさん分割ぶんかつ協議きょうぎ成立せいりつした(おつ3の2)。
請求せいきゅうじん団体だんたいは,平成へいせい21ねん時点じてんにおいて,東京とうきょう総本部そうほんぶをはじめとして,支部しぶを5かしょ,道場どうじょうとう5かしょゆうしていた(かぶと7)。
(5)請求せいきゅうじんによる請求せいきゅうじんらにたいする通知つうちとうについて
請求せいきゅうじんは,国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん代表だいひょうとして,請求せいきゅうじん長谷川はせがわおよ大石おおいしたいして,平成へいせい24ねん10がつ18にちけで,しん空手からて団体だんたい創設そうせつにあたっては本件ほんけん商標しょうひょうけん抵触ていしょくすることのないようにされたいむね通知つうちしょ(かぶと3の2)を送付そうふし,さらに,同年どうねん11がつ20にちけで,請求せいきゅうじん世界せかいそうきょくしん代表だいひょうおよふく代表だいひょうである請求せいきゅうじん長谷川はせがわおよ大石おおいしたいして,両者りょうしゃ創設そうせつしたあらたな空手からて団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん世界せかいそうきょくしん」の名称めいしょうを「空手からて教授きょうじゅ,空手からて興行こうぎょう企画きかく運営うんえいまた開催かいさい」に使用しようすることは本件ほんけん商標しょうひょうけん抵触ていしょくするので,その使用しようさいしては請求せいきゅうじん許諾きょだくようするむね通知つうちしょ送付そうふした(かぶと3の1)。
また,請求せいきゅうじんは,平成へいせい27ねん7がつ松井まつい団体だんたいである「株式会社かぶしきがいしゃ国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」にたいして,本件ほんけん商標しょうひょうふく請求せいきゅうじんしめぎあきらについて,当該とうがいしめぎあきらどう団体だんたいのウェブサイトへの使用しようならびに当該とうがいしめぎあきらされた道着どうぎとう販売はんばい差止さしとおよ損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうとう東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょ提起ていきした(かぶと66,東京とうきょう地裁ちさい 平成へいせい27ねん(ワ)だい20338ごう 平成へいせい28ねん4がつ22にち判決はんけつ言渡いいわたし)。どう裁判所さいばんしょは,本件ほんけん商標しょうひょうとうもとづく商標しょうひょうけん行使こうし権利けんり濫用らんようであるとして,請求せいきゅうをいずれも棄却ききゃくした。
さらに,請求せいきゅうじんは,平成へいせい28ねん請求せいきゅうじん世界せかいそうきょくしんたいして,本件ほんけん商標しょうひょうふく請求せいきゅうじんしめぎあきらについて,当該とうがいしめぎあきら空手からて教授きょうじゅかんする広告こうこくとうへの使用しようおよ空手からて教授きょうじゅおこなうにさいして空手からてころもへの当該とうがいしめぎあきら使用しよう差止さしどとう東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょ提起ていきした(かぶと67,東京とうきょう地裁ちさい 平成へいせい28ねん(ワ)だい16340ごう 平成へいせい28ねん11月24にち判決はんけつ言渡いいわたし)。どう裁判所さいばんしょは,本件ほんけん商標しょうひょうとうもとづく商標しょうひょうけん行使こうし権利けんり濫用らんようであるとして,請求せいきゅうをいずれも棄却ききゃくした。
(6)以上いじょうよりすると以下いかみとめることができる。
ばいたちは,昭和しょうわ39ねん空手からて流派りゅうはかんする団体だんたいとして「国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」を設立せつりつし,「ごく会館かいかん」の文字もじは,ばいたち生前せいぜん平成へいせい6ねん当時とうじには,団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめい ごく会館かいかん」の略称りゃくしょうとして,空手からておよびその格闘技かくとうぎ興味きょうみものらのあいだひろられていた。
当該とうがい団体だんたいは,法人ほうじんかく取得しゅとくせず,かく支部しぶかく道場どうじょう経済けいざいてきには独立どくりつした事業じぎょうしゃとして,それぞれ,長年ながねんにわたって「ごく会館かいかん」の名称めいしょう使つかって,ごく真空しんくうしゅ教授きょうじゅ空手からて大会たいかい開催かいさいとうおこなってきたのであるから,団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかんおよびその略称りゃくしょうである「ごく会館かいかん」にかか周知しゅうちせいは,ばいたちのみならず,かく支部しぶかく道場どうじょうかか支部しぶちょうらの寄与きよがあったとみとめられる。
ばいたちは,後継こうけいしゃ指名しめいしないまま平成へいせい6ねん4がつ26にち死亡しぼうした。そして,ばいたち団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」の館長かんちょうないし総裁そうさいしょうされていたものの,団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」において世襲せしゅうせい採用さいようされていたことをうかがわせる証拠しょうこはなく,請求せいきゅうじん団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」における後継こうけいしゃであったとみとめるにりる証拠しょうこもない。
ばいたち死亡しぼうした平成へいせい6ねん時点じてんにおいて,団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」は,日本にっぽん国内こくないに,やく600かしょ道場どうじょうとうゆうしていた。その,当該とうがい団体だんたい同一どういつせいゆうしない複数ふくすう団体だんたい(請求せいきゅうじんおよ請求せいきゅうじん団体だんたいふくむ。)に分裂ぶんれつし,分裂ぶんれつかく団体だんたいは,「国際こくさい空手からてどう連盟れんめい ごく会館かいかんまたは「ごく会館かいかん」に「○○支部しぶ」,「○○道場どうじょう」,「○○または「○○かい」の文字もじくわえて活動かつどうおこない,これらの団体だんたい道場どうじょうとう総数そうすうは,本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがん(平成へいせい16ねん)には,すくなくとも日本にっぽん全国ぜんこくやく700?900かしょおよぶものであったと推認することができる。
ばいたちさんじょである請求せいきゅうじんは,平成へいせい16ねん10がつ15にち本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんし,どう21ねん12月4にち本件ほんけん商標しょうひょう商標しょうひょうけん取得しゅとくしたのち,「ごく会館かいかん」にかか周知しゅうちせい寄与きよがあったことがあきらかな請求せいきゅうじん長谷川はせがわ,大石おおいしおよ両者りょうしゃによって創設そうせつされた請求せいきゅうじん世界せかいそうきょくしん,ならびに,松井まつい団体だんたいたいして,本件ほんけん商標しょうひょうもとづく差止さしと請求せいきゅうとう提起ていきしたことがみとめられる。
3 商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい7ごう該当がいとうせいについて
請求せいきゅうじんらは,本件ほんけん審判しんぱん請求せいきゅう無効むこう理由りゆういちとして,本件ほんけん商標しょうひょうは,著名ちょめい空手からてであるばいたち創設そうせつした空手からて団体だんたいごく会館かいかん」にルーツをつものであるが,ごく会館かいかんは,ばいたち死後しご,内部ないぶかく事業じぎょうしゃ対立たいりつから分裂ぶんれつかえし,かく事業じぎょうしゃがそれぞれ独自どくじに「ごく会館かいかん」として活動かつどうする状況じょうきょうとなっているなか,本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんは,請求せいきゅうじんがこのような分裂ぶんれつじょうきょう認識にんしきしつつ,事業じぎょうしゃ活動かつどう妨害ぼうがいし,使用しようりょう名目めいもくとう金銭きんせん請求せいきゅうする目的もくてきにおいてなされたものであるから,このような不正ふせい目的もくてきおこなわれたものであって,おおやけ秩序ちつじょまた善良ぜんりょう風俗ふうぞくがいするものであるから,商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい7ごう該当がいとうするむね主張しゅちょうしているので,本件ほんけん事案じあんかんがみ,本件ほんけん商標しょうひょうどうごう該当がいとうせいから検討けんとうすることとする。
(1)商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい7ごうについて
商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい7ごうにいう「おおやけ秩序ちつじょまた善良ぜんりょう風俗ふうぞくがいするおそれがある商標しょうひょう」には,(ア)その構成こうせい自体じたい道徳どうとくてき,わい,差別さべつてき,矯激きょうげきしくは他人たにん不快ふかい印象いんしょうあたえるような文字もじまた図形ずけいである場合ばあい,(イ)当該とうがい商標しょうひょう構成こうせい自体じたいがそのようなものでなくとも,指定してい商品しょうひんまた指定してい役務えきむについて使用しようすることが社会しゃかい公共こうきょう利益りえきはんし,社会しゃかい一般いっぱんてき道徳どうとく観念かんねんはんする場合ばあい,(ウ)法律ほうりつによって,当該とうがい商標しょうひょう使用しようとう禁止きんしされている場合ばあい,(エ)特定とくていくにしくはその国民こくみん侮辱ぶじょくし,また一般いっぱん国際こくさい信義しんぎはんする場合ばあい,(オ)当該とうがい商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがん経緯けいい社会しゃかいてき相当そうとうせいくものがあり,登録とうろくみとめることが商標しょうひょうほう予定よていする秩序ちつじょはんするものとして到底とうてい容認ようにんないような場合ばあい,などがふくまれるというべきである(知的ちてき財産ざいさん高等こうとう裁判所さいばんしょ平成へいせい17ねん(くだりケ)だい10349ごう 平成へいせい18ねん9がつ20日はつか判決はんけつ言渡いいわたし)。
(2)本件ほんけん商標しょうひょうについて
本件ほんけん商標しょうひょうは,別掲べっけいしめすとおり,細線さいせんあらわされた横長よこなが長方形ちょうほうけい輪郭りんかくないに,「ごく会館かいかん」の漢字かんじと「KYOKUSINKAIKAN」の欧文おうぶんとを上下じょうげだん横書よこがきしてなるところ,その構成こうせいちゅう細線さいせんあらわされた横長よこなが長方形ちょうほうけい輪郭りんかくはありふれた形状けいじょうであって自他じた商品しょうひん役務えきむ識別しきべつりょくゆうするものではなく,おなじく欧文おうぶん部分ぶぶん漢字かんじみをマ字まじ表記ひょうきしたと認識にんしきされるものである。
(3)本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがん目的もくてきについて
上記じょうき2(6)のとおり,(ア)「ごく会館かいかん」の文字もじは,ばいたち生前せいぜん平成へいせい6ねん当時とうじには,団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」の略称りゃくしょうとして,空手からておよびその格闘技かくとうぎ興味きょうみものらのあいだひろられていたところ,その周知しゅうちせい獲得かくとくには,かく支部しぶかく道場どうじょうかか支部しぶちょうらの寄与きよがあったとみとめられること,(イ)ばいたち団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」の後継こうけいしゃ指名しめいすることなく死亡しぼうしていること,(ウ)団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」において世襲せしゅうせい採用さいようされていたことをうかがわせる証拠しょうこはなく,請求せいきゅうじん団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」における後継こうけいしゃであったとみとめるにりる証拠しょうこもないことからすると,請求せいきゅうじんは,ばいたち生前せいぜん団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」とは同一どういつせいゆうしない,「ごく会館かいかん」の文字もじゆうする団体だんたいによりごく真空しんくうしゅ教授きょうじゅとうおこな複数ふくすう団体だんたいいち代表だいひょうしゃであるにすぎないというべきである。
イ 「ごく会館かいかん」の名称めいしょう使つかってごく真空しんくうしゅ教授きょうじゅとうおこなってきた団体だんたい道場どうじょうとう総数そうすうは,日本にっぽん国内こくないにおいて,ばいたち死亡しぼうした平成へいせい6ねん時点じてんでは,やく600かしょであったところ,本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがん(平成へいせい16ねん)では,すくなくともやく700?900かしょおよぶものであったと推認することができるから,平成へいせい6ねん4がつ26にちばいたち死後しご10ねん経過けいかした本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんにおいてもなお,空手からて教授きょうじゅとう活動かつどうおこなうえで「ごく会館かいかん」の文字もじは,つよ顧客こきゃく吸引きゅういんりょくつものであったといえる。
ウ このような状況じょうきょうなか,平成へいせい16ねん10がつ15にち,請求せいきゅうじんは,みずからが単独たんどく本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんおこなったものであり,これにより,その商標しょうひょうけん設定せってい登録とうろくけたあかつきには,「ごく会館かいかん」の名称めいしょう使つかってごく真空しんくうしゅ教授きょうじゅとうおこなってきた複数ふくすう団体だんたいなかにおいて自己じこ立場たちばいちじるしく強化きょうかするものであり,利点りてんおおきいものであったことは十分じゅうぶん認識にんしきしていたはずである。
エ そうすると,請求せいきゅうじんは,「ごく会館かいかん」の文字もじゆうする団体だんたいによりごく真空しんくうしゅ教授きょうじゅとうおこな複数ふくすう団体だんたいいち代表だいひょうしゃであるにすぎず,ばいたち死後しご,複数ふくすう団体だんたいが「ごく会館かいかん」の文字もじゆうする名称めいしょうによってごく真空しんくうしゅ教授きょうじゅとう活動かつどうおこなっていたことを熟知じゅくちし,「ごく会館かいかん」の文字もじつよ顧客こきゃく吸引きゅういんりょくつことをまえたうえで,本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんし,その商標しょうひょうけん設定せってい登録とうろくけたのであるから,請求せいきゅうじんは,本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんさいし,事業じぎょうしゃ活動かつどう妨害ぼうがいし,使用しようりょう名目めいもくとう金銭きんせん請求せいきゅうするなどの不正ふせい目的もくてきって,その出願しゅつがんをしたものと推認せざるをない。このことは,事実じじつ,本件ほんけん商標しょうひょう設定せってい登録とうろくに,団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかんおよびその略称りゃくしょうである「ごく会館かいかん」の周知しゅうちせい寄与きよがあったことがあきらかな請求せいきゅうじんおよ松井まつい団体だんたいたいして,本件ほんけん商標しょうひょうもとづく差止さしと請求せいきゅうとう提起ていきしたことからもあきらかである。
しかも,「ごく会館かいかん」の名称めいしょう使つかってごく真空しんくうしゅ教授きょうじゅとうおこな団体だんたい複数ふくすう存在そんざいし,「ごく会館かいかん」の文字もじつよ顧客こきゃく吸引きゅういんりょくつことからすると,「ごく会館かいかんおよび「KYOKUSINKAIKAN」の文字もじからなる本件ほんけん商標しょうひょうごく真空しんくうしゅ教授きょうじゅとうおこな複数ふくすう団体だんたいいち代表だいひょうしゃであるにすぎない請求せいきゅうじんにその登録とうろくみとめ,その使用しよう独占どくせんさせることは,社会しゃかいてき影響えいきょうおおきいといわざるをない。
(4)以上いじょうよりすると,本件ほんけん商標しょうひょうは,不正ふせい目的もくてきって出願しゅつがんされたものといいるものであって,その登録とうろく出願しゅつがん経緯けいい社会しゃかいてき相当そうとうせいくものがあり,その登録とうろくみとめることが商標しょうひょうほう予定よていする秩序ちつじょはんするものとして容認ようにんないというべきであるから,商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい7ごう該当がいとうする。
4 請求せいきゅうじん主張しゅちょうについて
請求せいきゅうじんは,ごく関連かんれん標識ひょうしきばいたちみずからがごく真空しんくうしゅあらわすものとして使用しようし,その結果けっか,ひろ認識にんしきされるにいたったものであり,ごく関連かんれん標識ひょうしきばいたち独占どくせんてき使用しようしていたものであり,団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」にぞくするかく構成こうせいいんたいしては,その使用しよう許諾きょだくしていたものにすぎず,ばいたち生存せいぞんちゅう独占どくせんしていたきょく関連かんれん標識ひょうしきかかかく権利けんりは,ばいたちおよさとし弥子やこ死亡しぼうによって,請求せいきゅうじん包括ほうかつ承継しょうけいされたものであるむね主張しゅちょうする。
しかしながら,ばいたちは,生前せいぜんにおいては「ごく会館かいかん」の文字もじかか商標しょうひょうけん所有しょゆうしておらず,「ごく会館かいかん」の文字もじかかしめぎあきら主体しゅたいたる地位ちい相続そうぞく対象たいしょうとなる財産ざいさんけんであるとはいえない。また,団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかんおよびその略称りゃくしょうである「ごく会館かいかん」にかか周知しゅうちせいは,ばいたちのみならず,かく支部しぶかく道場どうじょうかか支部しぶちょうらの寄与きよがあった結果けっかであるから,ばいたち生前せいぜん平成へいせい6ねん当時とうじに「ごく会館かいかん」の文字もじかかしめぎあきら出所しゅっしょ識別しきべつどう団体だんたいであることはあきらかであって,「ごく会館かいかん」の文字もじかかしめぎあきらについて主体しゅたいたる地位ちいがあるとしても,当該とうがい地位ちいは,どう団体だんたい所属しょぞくする支部しぶちょう構成こうせいいん全体ぜんたいに,共有きょうゆうてきないし総有そうゆうてき帰属きぞくしていたものというのが相当そうとうであるから,すくなくとも,ばいたち個人こじんではなく団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」の館長かんちょうないし総裁そうさいとしてのばいたち帰属きぞくする法的ほうてき利益りえきであるとかいすべきであるところ,上記じょうきのとおり,請求せいきゅうじんは,団体だんたい国際こくさい空手からてどう連盟れんめいごく会館かいかん」におけるばいたち後継こうけいしゃであるとはいえないのであるから,請求せいきゅうじんが「ごく会館かいかん」の文字もじかかしめぎあきら主体しゅたいたる地位ちい承継しょうけいしたとみとめることはできない。
したがって,請求せいきゅうじん上記じょうき主張しゅちょうは,採用さいようすることができない。
5 むすび
以上いじょうのとおり,本件ほんけん商標しょうひょう登録とうろくは,商標しょうひょうほうだい4じょうだい1こうだい7ごう違反いはんしてされたものというべきであるから,その請求せいきゅう理由りゆうについて検討けんとうするまでもなく,どうほうだい46じょうだい1こうだい1こう規定きていにより,無効むこうとすべきものである。
よって,結論けつろんのとおり審決しんけつする。
別掲べっけい 別掲べっけい 本件ほんけん商標しょうひょう


審理しんり終結しゅうけつ 2017-03-29 
結審けっしん通知つうち 2017-03-31 
審決しんけつ 2017-05-11 
出願しゅつがん番号ばんごう しょうねがい2004-94602(T2004-94602) 
審決しんけつ分類ぶんるい T 1 11・ 22- Z (Y25)
最終さいしゅう処分しょぶん 成立せいりつ  
前審ぜんしん関与かんよ審査しんさかん 高橋たかはし 厚子あつこ田中たなか 幸一こういち 
特許庁とっきょちょう審判しんぱんちょう 早川はやかわ 文宏ふみひろ
特許庁とっきょちょう審判官しんぱんかん 田村たむら 正明まさあき
平澤ひらさわ 芳行よしゆき
登録とうろく 2009-12-04 
登録とうろく番号ばんごう 商標しょうひょう登録とうろくだい5284760ごう(T5284760) 
商標しょうひょう称呼しょうこ キョクシンカイカン、キョクシン 
代理人だいりにん 西郷さいごう 豊成とよしげ 
代理人だいりにん 松本まつもと ひろしあきら 
代理人だいりにん 松本まつもと ひろしあきら 
代理人だいりにん 中澤なかざわ たすくいち 
代理人だいりにん 柴田しばた 佳佑けいすけ 
代理人だいりにん 船越ふなこし 雄一ゆういち 
代理人だいりにん 柴田しばた 佳佑けいすけ 
代理人だいりにん 小川おがわ 秀世ひでよ 
代理人だいりにん 西郷さいごう 豊成とよしげ 
代理人だいりにん 亀谷かめたに 美明よしあき 
代理人だいりにん 小川おがわ 秀世ひでよ 
代理人だいりにん 中澤なかざわ たすくいち 
代理人だいりにん 柴田しばた 佳佑けいすけ 
代理人だいりにん 中澤なかざわ たすくいち 
代理人だいりにん 船越ふなこし 雄一ゆういち 
代理人だいりにん 船越ふなこし 雄一ゆういち 
代理人だいりにん 小川おがわ 秀世ひでよ 
代理人だいりにん 松本まつもと ひろしあきら 
代理人だいりにん 西郷さいごう 豊成とよしげ 

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