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ペースメーカー停止の恐れも 「医療IoTセキュリティ」を無視できない理由:医療IoTのリスクと対策【前編】 - TechTargetジャパン 医療IT

ペースメーカー停止ていしおそれも 「医療いりょうIoTセキュリティ」を無視むしできない理由りゆう医療いりょうIoTのリスクと対策たいさく前編ぜんぺん

インターネット接続せつぞく可能かのう医療いりょう機器きき進歩しんぽつづけている。普及ふきゅうするほどサイバー攻撃こうげきしゃねらわれるリスクもす。医療いりょうIoTを標的ひょうてきとした侵害しんがい事例じれいかえり、医療いりょうIoTセキュリティの重要じゅうようせい理解りかいする。

2020ねん10がつ21にち 0500ふん 公開こうかい
[Kristen GlossTechTarget]

 患者かんじゃ安全あんぜん過度かどおびやかさず、インターネット接続せつぞく可能かのう医療いりょう機器ききのメリットをかすには、医療いりょう機関きかんはバランスのれた慎重しんちょう行動こうどうをする必要ひつようがある。

 医療いりょう機関きかん患者かんじゃ病院びょういんないのネットワークにむデバイスが多様たようしている。IoT(モノのインターネット)の技術ぎじゅつは、患者かんじゃのケアと医療いりょう施設しせつ機能きのう向上こうじょう貢献こうけんしてきた。だがIoT技術ぎじゅつ成長せいちょうとともにサイバー脅威きょうい増加ぞうかする。

 IoT技術ぎじゅつ実装じっそうしたデバイス(以下いか、IoTデバイス)は医療いりょう現場げんばにおいて、つぎのような用途ようと活用かつようされている。

  • 入院にゅういん患者かんじゃ外来がいらい患者かんじゃのモニタリング
  • 医療いりょう機器きき資産しさん管理かんり
  • 空調くうちょう設備せつびシステムや照明しょうめい自動じどう管理かんり

 インターネットに接続せつぞくできる医療いりょう機器きき業務ぎょうむ効率こうりつ向上こうじょうさせ、結果けっかとして患者かんじゃ医療いりょう従事じゅうじしゃ生活せいかつ改善かいぜんする。ただしサイバー攻撃こうげきける可能かのうせいひろげてしまうのもたしかだ。

 調査ちょうさ会社かいしゃ451 ResearchでIoTのリサーチディレクターをつとめるクリスチャン・ルノーは「攻撃こうげきがわ以前いぜんよりかしこくなっている」とはなす。新型しんがたコロナウイルス感染かんせんしょう(COVID-19)が世界せかいてき流行りゅうこうしているさなか、同社どうしゃ医療いりょう機器ききたいする攻撃こうげき急増きゅうぞうしていた状況じょうきょう調査ちょうさによって認識にんしきしていた。増加ぞうかしているのはIoTデバイス全般ぜんぱんたいする攻撃こうげきだが「なかでも医療いりょう業界ぎょうかいでの増加ぞうか顕著けんちょだ」とルノー強調きょうちょうする。

患者かんじゃいのち左右さゆうする医療いりょうIoTセキュリティ

 過去かこおおきなセキュリティ侵害しんがい事件じけんからも、医療いりょう機関きかん標的ひょうてきとするサイバー攻撃こうげき増加ぞうか深刻しんこく問題もんだいになっていることはあきらかだ。そのため医療いりょう機関きかん医療いりょう機器ききメーカー、規制きせい当局とうきょくは、IoTデバイスのセキュリティを重視じゅうしせざるをなくなっている。

 2016ねんにはセキュリティ調査ちょうさ会社かいしゃMedSecと投資とうし調査ちょうさ会社かいしゃMuddy Watersが、医療いりょう機器ききメーカーSt. Jude Medicalせいちゅう1)の循環じゅんかん疾患しっかんようデバイス(がたペースメーカーおよびじょほそどうのリモート監視かんしシステム)にひそ脆弱ぜいじゃく(ぜいじゃく)せい特定とくていした。この脆弱ぜいじゃくせい悪用あくようすると、攻撃こうげきしゃ医療いりょう機器ききのバッテリーがなくなるまでかえしメッセージを送信そうしんできる。

ちゅう1:St. Jude Medicalは2017ねん同業どうぎょうのAbbott Laboratoriesに買収ばいしゅうされている。

 研究けんきゅうしゃは「この脆弱ぜいじゃくせいによって、St. Jude Medicalせいのペースメーカーやのぞきほそどう機能きのうしなくなるおそれがある」と指摘してきした。この議論ぎろんこした脆弱ぜいじゃくせいあつかいによって、米国べいこく食品しょくひん医薬品いやくひんきょく(FDA)はサイバーセキュリティと医療いりょう機器きき全般ぜんぱんかんする指針ししん発表はっぴょうすることとなった。

 2018ねん開催かいさいのセキュリティカンファレンス「Black Hat USA 2018」では、さまざまな研究けんきゅうしゃ医療いりょう分野ぶんやのIoTデバイスにひそ重大じゅうだい危険きけんせいあきらかにした。たとえばセキュリティ会社かいしゃWhiteScopeを設立せつりつしたビリー・リオスと、同業どうぎょうのQED Secure SolutionsでCEOをつとめるジョナサン・バッツは、攻撃こうげきしゃがどのように医療いりょう機器ききメーカーMedtronicせいのペースメーカーにリモートアクセスし、患者かんじゃ心臓しんぞうへの電気でんき刺激しげき管理かんりしたり、保留ほりゅうしたりできることをBlack Hatで実演じつえんしていた。

 ランサムウェア(身代金みのしろきん攻撃こうげきがたマルウェア)の「WannaCry」は、医療いりょうシステムを標的ひょうてきにした有名ゆうめいなマルウェアのひとつで、2017ねんはじめてつかった。ハッカーはWannaCryを使用しようして「Windows」の脆弱ぜいじゃくせい標的ひょうてきにし、マルウェアを感染かんせんさせたデバイスに医療いりょう従事じゅうじしゃがアクセスできないようにした。

 医療いりょう機器ききメーカーやセキュリティ担当たんとうしゃ医療いりょう分野ぶんやにおけるIoTデバイスのセキュリティ強化きょうかまざるをなくなった要因よういんは、サイバー攻撃こうげきだけではない。FDAは医療いりょう機器ききメーカーを対象たいしょうとして、医療いりょう分野ぶんやにおけるIoTデバイスのセキュリティ設計せっけいおよび維持いじかんするサイバーセキュリティ勧告かんこくを、2016ねんと2018ねん発出はっしゅつしている。Healthtrust Purchasing GroupやMayo Clinicといった医療いりょう機関きかんも、医療いりょう機器ききをメーカーから購入こうにゅうするさい独自どくじ調達ちょうたつ要件ようけん確立かくりつしている。このような要件ようけんによって医療いりょう機器ききメーカーは、自社じしゃ製品せいひんにセキュリティ機能きのうむようになった。

 「ダメージの回復かいふくかるコストは、ダメージをふせぐのに必要ひつようなコストをはるかに上回うわまわる」。デジタル証明しょうめいしょ認証にんしょうきょく運営うんえいするDigiCertでIoTセキュリティ部門ぶもんのバイスプレジデントをつとめるマイク・ネルソンはこうかたる。


 中編ちゅうへん医療いりょうIoTのリスクのなかでもとく重大じゅうだいな「患者かんじゃ安全あんぜん」に焦点しょうてんて、解説かいせつする。

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