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流ながれ星ぼしと共ともに出現しゅつげん？謎なぞの粘液ねんえき物質ぶっしつ「スターゼリー」の驚おどろきの正体しょうたいとは

2024.05.12 16:00 文ぶん＝ナオキ・コムロ（ミステリーニュースステーションATLAS編集へんしゅう部ぶ）

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　隕石いんせきが空中くうちゅうを通過つうかするときにバラバラになるとどうなるか。地球ちきゅうに落下らっかした天体てんたいの一部いちぶは、半はん透明とうめいのゼラチン状じょうの物質ぶっしつとして蓄積ちくせきされ、出現しゅつげん後ごすぐに蒸発じょうはつしてしまう。

　これはSF小説しょうせつの描写びょうしゃのように聞きこえるかもしれないが、実際じっさいには長ながい間あいだ人々ひとびとを魅了みりょうし、そして困惑こんわくさせてきた非常ひじょうに現実げんじつ的てきな物質ぶっしつに基もとづいている。

　何なに世紀せいきにも渡わたり、英国えいこく、欧州おうしゅう、米国べいこく各地かくちの人々ひとびとが、野原のはらや沼地ぬまちで「アストロミキシン」「スターゼリー」「アストラルゼリー」「星ほし腐ぐされ」などと呼よばれるものを発見はっけんしてきた。しかし、それは常つねに天てんの産物さんぶつであると考かんがえられていたが、このやや血ち生臭なまぐさいネバネバした塊かたまりの源みなもとは地球ちきゅう上じょうのものである。

　スターゼリーの記述きじゅつは珍めずらしくない。実際じっさい、この物質ぶっしつに関かんする記述きじゅつは民間みんかん伝承でんしょうや芸術げいじゅつから博物学はくぶつがくに至いたるまで、さまざまな資料しりょうに見みられ、一般人いっぱんじんと学者がくしゃの両方りょうほうから報告ほうこくされている。ほとんどの場合ばあい、誰だれかが流ながれ星ぼしを目撃もくげきした後のち、野原のはらで未知みちの物質ぶっしつに出でくわす。発見はっけんは通常つうじょう明あけ方がたに起おこり、発見はっけんされたものはたいていすぐに消きえてしまう。

　13世紀せいき、中世ちゅうせいの医師いしジョン・オブ・ガデスデンは、彼かれがステラ・テラ(地球ちきゅうの星ほし)と呼よんだものを医学いがく書しょの1つに記載きさいした。彼かれの著作ちょさくによると、それは「地面じめんに横よこたわるある種しゅの粘液ねんえき性せい物質ぶっしつ」で、膿瘍のうようなどの特定とくていの病気びょうきの治療ちりょうに使つかわれる可能かのう性せいがあった。

　のちの1619年ねん、医師いしで神秘しんぴ主義しゅぎ者しゃのロバート・フラッドは、空そらから落おちてくる隕石いんせきをどのように目撃もくげきしたかを記述きじゅつした。彼かれはその残骸ざんがいを探さがし、翌朝よくあさ、黒くろい点てんの入はいった白しろく滑すべりやすい塊かたまりを見みつけたという逸話いつわが残のこっており、流ながれ星ぼしであると彼かれは信しんじていた。

　1656年ねん、形而上学けいじじょうがく的てき詩人しじんヘンリー・モアは、「地上ちじょうに震ふるえるゼリーのような形かたちで発見はっけんされるものは、流ながれ星ぼしが食たべたものであり排泄はいせつ物ぶつだ」と説明せつめいしたという。

　20世紀せいきになっても、多おおくの人々ひとびとがその物質ぶっしつに出でくわしたと報告ほうこくしている。例たとえば、1983年ねんにマサチューセッツ州しゅうレディングで、ゼリーが空そらから住民じゅうみんの上うえに降ふりそそいだという報告ほうこくがある。1995年ねんにはイングランドのオックスフォードシャー州しゅうの庭にわでゼリー状じょうの物質ぶっしつが発見はっけんされたとされており、「やかん一いち杯はい」になるほど大量たいりょうに存在そんざいしていたという。

　欧米おうべい以外いがいで知しられていた可能かのう性せいもある。1950年代ねんだいにイギリスの植物しょくぶつ学者がくしゃフランシス・ハクスリーが行おこなった報告ほうこくによれば、ブラジルのウルブ族ぞくの人々ひとびとは星ほしが時々ときどき空そらから降ふってくると信しんじており、彼かれらはジャングルを探検たんけんしているときに柔やわらかい青あおいゼリーのような物質ぶっしつを発見はっけんしたのだという。

　もちろん、このスライムは実際じっさいの隕石いんせきや星ほしとは無関係むかんけいだ。ほとんどの流星りゅうせいは岩石がんせきや鉱石こうせきでできており、大気圏たいきけんに突入とつにゅうするとすぐに超ちょう高温こうおんになる。ゼラチン状じょうの物質ぶっしつがこのような条件じょうけんで生いき残のこることはできない。

　それでも、スターゼリーが確認かくにんされている限かぎり、人々ひとびとはそれが何なにであるかを説明せつめいしようとしてきた。より自然しぜん主義しゅぎ的てきな説明せつめい、つまり星ほしの落下らっかを伴ともなわない説明せつめいは、科学かがく革命かくめいの最盛さいせい期きである17世紀せいきに現あらわれ始はじめた。ロバート・ボイルやクリストファー・メレットなど、王立おうりつ協会きょうかいと関係かんけいのあるさまざまな人物じんぶつがこの物質ぶっしつを扱あつかった。後者こうしゃは、ゼリーのかけらの中なかから骨ほねが見みつかったことから、菌類きんるいか、雄お羊ひつじの精液せいえきのようなものか、あるいは「溶とけたカエル」の残のこり物ものではないかとさまざまな人ひとが考かんがえたことを説明せつめいしている。

　メレットは最終さいしゅう的てきに、このゼリーはカエルの仲間なかまであることが確実かくじつと判断はんだんし、哀あわれにも牛うしに噛かまれた姿すがたであることを明あきらかにした。ジョン・モートンは後のちに『ノーサンプトンシャーの自然しぜん史し』で同様どうようの結論けつろんに達たっした。

　長年ながねんに渡わたり、シアノバクテリアの副産物ふくさんぶつであるとか、粘ねば菌きんの子こ実体じったいであるとか、鳥とりや哺乳類ほにゅうるいが吐はいたものであるとか、他たの様々さまざまな説明せつめいがされてきた。しかし、最もっとも可能かのう性せいの高たかい答こたえはカエルであることへ帰結きけつする。

　確たしかに、スターゼリーは捕食ほしょく者しゃによって引ひき裂さかれ、食たべられた両生類りょうせいるいのある可能かのう性せいが高たかい。これが起おこると、ゼリー状じょうの卵たまごが放出ほうしゅつされ、朝露あさつゆや雨あめなどの水分すいぶんに触ふれると膨張ぼうちょうする。

　スターゼリーは、天てんからもたらされた神秘しんぴ的てきな物質ぶっしつではなく、非常ひじょうに不幸ふこうな両生類りょうせいるいに関係かんけいしていると考かんがえられる。それでもこの物質ぶっしつは、これからも人々ひとびとの好奇心こうきしんを呼よび起おこすのかもしれない。

【参考さんこう記事きじ】IFLScience

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