｢小ちいさすぎる水筒すいとう｣が予想よそう外がいにバカ売うれした理由りゆう 会社かいしゃ側がわが想定そうていしなかったこれだけの用途ようと

ポケットにスッと入はいるサイズの「ポケトル」。写真しゃしんは「ポケトルS」（撮影さつえい：尾形おがた文ぶん繁しげる）

今いま、売うれに売うれている「ポケトル」という水筒すいとうをご存ぞんじだろうか。2018年ねん11月の発売はつばい当初とうしょは年間ねんかん5万まん本ほんの販売はんばいを目標もくひょうとしていたそうだが、発売はつばい直後ちょくごから増産ぞうさんが続つづき、今年ことしは当初とうしょ予定よていの20倍ばい、累計るいけい100万まん本ほんの出荷しゅっかが確定かくていしているという。

最大さいだいの特徴とくちょうは、そのサイズ。奥行おくゆき4.5cm×高たかさ14.3cmと、ポケットに入はいってしまうほどコンパクトなのだ。容量ようりょうも従来じゅうらいの市場いちば最小さいしょう量りょうは200mlだったが、これは120mlとコーヒーカップ1杯はいほどだ。

一見いっけん、「小ちいさすぎるのでは？」と需要じゅようを疑うたがうほどの超ちょう小型こがたサイズにもかかわらず、なぜ飛とぶように売うれる大だいヒット商品しょうひんとなったのだろうか。

OLからシニア層そうにまで広ひろく受うけた理由りゆう

スマホと比くらべた様子ようす。ハンディサイズであることがおわかりになるだろうか（撮影さつえい：尾形おがた文ぶん繁しげる）

まず興味深きょうみぶかいのは、購買こうばい層そうの幅はばの広ひろさだ。「必要ひつような分ぶんだけ」をコンセプトに、当初とうしょは女性じょせいをターゲットに設定せっていしていた。

「都内とないに通勤つうきんする20歳さい代だい～30歳さい代だいのOLさんが、朝あさはお気きに入いりの飲のみ物ものを入いれて出勤しゅっきんし、職場しょくばではウォーターサーバーから継つぎ足たして使つかうようなシーンをイメージしていました」と、ポケトルの産うみの親おやであるDESIGN WORKS ANCIENTの小林こばやし裕介ゆうすけ代表だいひょうは話はなす。

狙ねらいは当あたった。例たとえば、ロフトはこの層そうの購入こうにゅうが比較的ひかくてき多おおい。同社どうしゃ商品しょうひん部ぶ生活せいかつ雑貨ざっか部ぶのランチ雑貨ざっかバイヤー・佐久間さくま美菜子みなこさんは、女性じょせいに受うけ入いれられた背景はいけいをこう分析ぶんせきする。

「バッグの小型こがた化かというトレンドも影響えいきょうしているのでは？ 昨今さっこん、弁当べんとう箱ばこなども軽かるくて小ちいさい物ものが選えらばれる傾向けいこうにあります」

筆者ひっしゃも、外出がいしゅつ時じの荷物にもつをできるだけ減へらしたいので、納得なっとくだ。「ボトルがこれだけ売うれるのは異例いれい」と、佐久間さくまさん。当初とうしょの販売はんばい目標もくひょうは月つき3000本ほんだったが、2018年ねん11月がつ末まつ取とり扱あつかい開始かいしからの累計るいけい販売はんばい数すうは5万まん本ほんを超こえた。1200円えん（税ぜい抜）と単価たんかが大おおきいわけではないのに、ランチ雑貨ざっか部門ぶもんの売上うりあげ金額きんがくでトップに躍おどり出でた月つきもある。

しかし、実じつはポケトルの主力しゅりょく購買こうばい層そうはOLではない。「購買こうばい層そうの半数はんすうは、シニア女性じょせいなんです」と、小林こばやし代表だいひょうは明あかす。量りょうが飲のめない、重おもい荷物にもつは持もてない、外出がいしゅつ先さきで薬くすりを服用ふくようしたい。そんなシニアの日常にちじょうニーズにはまったようだ。

シニアに限かぎらず、想定そうてい以上いじょうに幅広はばひろい層そうから支持しじを得えた。例たとえば、「赤あかちゃんの粉こなミルクを作つくるための白湯さゆを持もち歩あるくのに重宝ちょうほう」「習ならい事ごとに行いく子こどもに持もたせるのにちょうどよい」など、ママ層そうからも絶賛ぜっさんの声こえが寄よせられたのだ。