『攻殻機動隊こうかくきどうたい論ろん』 全ぜん作品さくひんを対象たいしょうに全体ぜんたい像ぞうを探さぐる 通つう底そこする｢ゴースト｣とは？

攻殻機動隊こうかくきどうたい論ろん（藤田ふじた直哉なおや 著ちょ／作品社さくひんしゃ／2970円えん／354ページ）書しょ影かげをクリックするとamazonのサイトにジャンプします。

［Profile］ふじた・なおや　1983年ねん生うまれ。2006年ねん早稲田大学わせだだいがく第だい一いち文学部ぶんがくぶ卒業そつぎょう。筒井つつい康隆やすたか論ろんで博士はかせ号ごう取得しゅとく（東京工業大学とうきょうこうぎょうだいがく）。現在げんざい日本にっぽん映画えいが大学だいがく准じゅん教授きょうじゅ。文学ぶんがく、美術びじゅつ、サブカルチャーなど、領域りょういき横断おうだん的てきに研究けんきゅう・評論ひょうろん活動かつどうを展開てんかい。著書ちょしょに『シン・エヴァンゲリオン論ろん』『蘇よみがえる伊藤いとう計けい劃』（共著きょうちょ）など。

「コウガクメイサイ」「コウセイボウヘキ」……。一発いっぱつで漢字かんじ変換へんかんできない語かたりの羅列られつ、今様いまよう風ふう歌詞かしと民族みんぞく音楽おんがく的てき旋律せんりつの融合ゆうごう、日本にっぽんなのに香港ほんこんとしか思おもえない背景はいけい、そして、世界せかい観かん、設定せっていが理解りかいできたころには、「生命せいめいとは」「人間にんげんとは」「記憶きおくは自己じこ存立そんりつの基盤きばんたるか」といった重おもいテーマが突つきつけられ終了しゅうりょう──。

これが、押井おしい守まもる監督かんとくの映画えいが『攻殻機動隊こうかくきどうたい』との出合であいだ。爾来じらい（じらい）20年ねん以上いじょう、評者ひょうしゃはその作品さくひん群ぐんに魅了みりょうされ続つづけてきた。

『攻殻機動隊こうかくきどうたい』とは、士郎しろう正宗まさむねによる同名どうめいコミック、および共通きょうつうの世界せかい観かん、設定せってい（公安こうあん9課かが舞台ぶたい）、登場とうじょう人物じんぶつによる作品さくひん群ぐんを指さし、世界せかいでは日本にっぽんのアニメ・マンガ文化ぶんかの中核ちゅうかくの1つとされる。米国べいこくの『マトリックス』や『アバター』などにも多大ただいな影響えいきょうを与あたえた。