哲学てつがくしゃ千葉ちば雅也まさや「センスはいまからでもよくなる」 『センスの哲学てつがく千葉ちば雅也まさや

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『センスの哲学』著者の千葉雅也氏
著者ちょしゃプロフィル]千葉ちば雅也まさや(ちば・まさや)/哲学てつがくしゃ作家さっか。1978ねんまれ。東京とうきょう大学だいがく卒業そつぎょうふつパリだい10大学だいがくおよび高等こうとう師範しはん学校がっこうて、東京大学とうきょうだいがく大学院だいがくいん博士はかせ課程かてい修了しゅうりょう博士はかせ学術がくじゅつ)。立命館大学りつめいかんだいがく大学院だいがくいん教授きょうじゅ哲学てつがく研究けんきゅう文化ぶんか批評ひひょう創作そうさく活動かつどう連関れんかんさせておこなう。著書ちょしょに『勉強べんきょう哲学てつがく』『現代げんだい思想しそう入門にゅうもん』『デッドライン』など。(写真しゃしん文芸春秋ぶんげいしゅんじゅう
仕事しごと、ゴルフ、ファッションなど「センス」をわれる場面ばめんおおい。努力どりょくしたところでいまさらえられないようにもおもえるが、著者ちょしゃ本書ほんしょを「センスがよくなるほん」だという。
センスの哲学
『センスの哲学てつがく』(千葉ちば雅也まさや ちょ文芸春秋ぶんげいしゅんじゅう/1760えん/256ページ)しょかげをクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──「センスがわるい」を「センスが無自覚むじかく」といいかえています。

おおくの場合ばあいなにかがうまくできることをして「センスがある・いい」といます。そこでは「あるべき姿すがた、よいありかた」が想定そうていされていて、その理想りそうとどいていなければセンスがない、あるいはわるいということにされてしまう。

一方いっぽう本書ほんしょあつかうセンスは「目指めざすべき理想りそうとの関係かんけい」を基準きじゅんにはしない。だれかがめた評価ひょうかじく価値かち判断はんだんからはなれ、みながすでにっているけれどあまり意識いしきされず重視じゅうしもされていない感覚かんかくに、あらためて意識いしきけていく。

──それが、「リズムをとらえる」感覚かんかくであると。

なにかがかえあらわえたり、パターンからの逸脱いつだつきたりすることを、ひろ意味いみでの「リズム」とかんがえます。音楽おんがくかぎらずものかたち会話かいわ文章ぶんしょうなかにもリズムはあって、その凸凹でこぼこしたリズムから「反復はんぷく差異さい」の面白おもしろさをかんちからがセンスなのです。

リズムにフォーカスするにたっては、いったん「意味いみ」をかんがえのそときます。どういうことか。

たとえば本書ほんしょでもげたギョーザのあじです。ギョーザをべると、複数ふくすう刺激しげきがリズミカルに展開てんかいする。もちっとしたやわらかさとカリカリしたかたさの対立たいりつとか、にくとニンニクのことなるあじわい、酸味さんみからみ。でも、ギョーザのあじ構成こうせいするそれらかく要素ようそ特段とくだん意味いみいだそうとなんてしないですよね。大事だいじなのは、ギョーザのおいしさやしょくかん面白おもしろさをただたのしみあじわうことです。

「このギョーザはセンスがいいな」という評価ひょうかや、「深遠しんえん意味いみ探究たんきゅう」をするのではない。ギョーザをかんだときに出現しゅつげんするリズムそのもの、つまりくちなかあらわれるさまざまな刺激しげき意識いしきする、ということです。

あらゆる表現ひょうげん基本きほんは「疎密そみつ

──本書ほんしょでは、ギョーザのあじたのしむことと芸術げいじゅつ作品さくひん鑑賞かんしょうおなじようなものとして説明せつめいされます。

芸術げいじゅつ美的びてきなものをあつかうし、現代げんだいアートの鑑賞かんしょう手順てじゅん具体ぐたいてき解説かいせつしている。一方いっぽう美術びじゅつをちゃんと勉強べんきょうしましょうとはわない。

いまはアートがビジネスパーソンに必須ひっす教養きょうようとされることもあるけれど、「ではアートをまなぼう」と本書ほんしょったひとには、むしろ拍子抜ひょうしぬけしてもらいたい。

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