リトアニア参事官さんじかんが国交こっこう開設かいせつ交渉こうしょうで授さづけた知恵ちえ 佐藤さとう優ゆうの情報じょうほう術じゅつ､91年ねんソ連それんクーデター事件じけん簿ぼ68

在ざいモスクワ・リトアニア全権ぜんけん代表だいひょう部ぶのライモンダス・ユラヴィチウス参事官さんじかんが、エストニアとの国交こっこう開設かいせつ交渉こうしょうで悩なやむ筆者ひっしゃにこんな知恵ちえを授さづけてくれた。

「マサル、ここは強つよく出でたほうがいい」

──強つよく出でるというと？

「エストニアが日本にっぽんとの外交がいこうの回復かいふくに固執こしつするならば、今回こんかい、日本にっぽんはリトアニア、ラトビアとの外交がいこう関係かんけい樹立じゅりつのみを行おこない、エストニアに関かんしては今後こんごの継続けいぞく案件あんけんとせざるをえなくなると伝つたえるんだ」

──最後さいご通牒つうちょう（つうちょう）的てきアプローチじゃないか。大丈夫だいじょうぶだろうか？ 日本にっぽんはエストニアだけ外交がいこう関係かんけいの樹立じゅりつを遅おくらせるということはできない。

「ならば日本にっぽん政府せいふはエストニアに関かんしてのみ外交がいこう関係かんけいを回復かいふくすると、立場たちばを変更へんこうするのか」

──東京とうきょうの態度たいどは硬かたい。無理むりだと思おもう。

「それじゃ、腹はらをくくるしかないじゃないか。リトアニアの独立どくりつのためにあれだけリスクを負おって僕ぼくたちを助たすけてくれたじゃないか。それと比くらべれば、こんなことなど大たいしたことじゃない」