クルクス反攻はんこうで苦境くきょうに陥おちいったプーチン大統領だいとうりょう 戦勝せんしょう計画けいかくをアメリカに迫せまるゼレンスキー

2024年ねん9月がつ10日とおか、ロシアのモスクワで、ウクライナが夜間やかんに行いった無人むじん機き攻撃こうげきで民間みんかん人じん1人にんが死亡しぼう、3人にんが負傷ふしょうし、被害ひがいを受うけた建物たてもの（写真しゃしん・Anadolu／GettyImages）

2024年ねん9月がつは後年こうねん振ふり返かえれば、ウクライナ侵攻しんこうの行方ゆくえに大おおきな影響えいきょうを与あたえた節目ふしめの1カ月かげつだったと記憶きおくされることだろう。まず前半ぜんはんは、軍事ぐんじ的てきな転換てんかん点てんとなる「事件じけん」が相次あいついだ。そしてこれらの「事件じけん」を踏ふまえる形かたちで、ウクライナのゼレンスキー大統領だいとうりょうが9月がつ末まつにアメリカを訪問ほうもん予定よていだ。

バイデン大統領だいとうりょうとの会談かいだんで、自みずからのロシアに対たいする「戦勝せんしょう計画けいかく」を初はじめて提示ていじする。果はたして両りょう首脳しゅのうは戦争せんそう終結しゅうけつに向むけた「戦勝せんしょう計画けいかく」で一致いっちできるのか。そしてプーチン氏しはこの会談かいだんをどんな思おもいで見守みまもるのか。3首脳しゅのうの思惑おもわくを探さぐりながら、今後こんごの展開てんかいを探さぐってみた。

「モスクワが最前線さいぜんせんの街まちに」

2024年ねん9月がつ10日にち未明みめい、ウクライナ軍ぐんはモスクワ郊外こうがいに対たいし、「初はじめて」尽つくしの攻撃こうげきを仕掛しかけた。過去かこ最大さいだい規模きぼのドローン攻撃こうげきで、ドローンの直撃ちょくげきを受うけた高層こうそうアパートで住民じゅうみん女性じょせい1人にんが死亡しぼうした。モスクワ周辺しゅうへんへのドローン攻撃こうげきで死者ししゃが出でたのは初はじめてだ。

住宅じゅうたくや病院びょういんなど住民じゅうみんを明あきらかに意図いと的てきに狙ねらっている攻撃こうげきを繰くり返かえしているロシアとは異ことなり、ウクライナは、ロシアの一般いっぱん国民こくみんを意図いと的てきな標的ひょうてきにしないと言明げんめいしてきた。しかし、今回こんかいの攻撃こうげきは限定げんてい的てきな住民じゅうみんの犠牲ぎせいもやむなしと覚悟かくごしてのことだったろう。

さらにモスクワのドモジェドボ、ジュコフスキー両りょう空港くうこうのほか、プーチン氏しが外遊がいゆうなどに使つかうブヌコボ空港くうこうも初はじめて一時いちじ的てきに閉鎖へいさされた。

このため、今回こんかいの攻撃こうげきは単たんなるモスクワ郊外こうがいへの攻撃こうげきではなく、首都しゅとの大動脈だいどうみゃくを初はじめて直接ちょくせつ揺ゆさぶることを目的もくてきとした軍事ぐんじ的てき心理しんり作戦さくせんだったと言いえる。

攻撃こうげきを伝つたえたロシアの独立どくりつ系けいネット・テレビ局てれびきょく「ドシチ」のニュース番組ばんぐみでアナウンサーは冒頭ぼうとう、「戦争せんそうがさらに近ちかづいてきた。モスクワは最前線さいぜんせんの都市としになった」とコメントした。今回こんかいのドローン攻撃こうげきが単発たんぱつのものではなく、モスクワへの連続れんぞく的てき攻撃こうげきの「始はじまりの始はじまり」にすぎないことを肌はだで感かんじ取とったのだろう。