乾燥かんそう機きで服ふくが縮ちぢんでしまったら? 対処たいしょ法ほうと乾燥かんそう機きを使つかう時ときのコツ

雨あめや雪ゆきで洗濯せんたく物ぶつが乾かわきにくい時ときや、花粉かふんの飛散ひさんが多おおくて外そとで洗濯せんたく物ぶつを干ほしたくない場合ばあいなどに大だい活躍かつやくの乾燥かんそう機きですが、使つかい方かたを誤あやまると大切たいせつな服ふくが縮ちぢんでしまうことも。

しかし、縮ちぢんでしまった服ふくも元もとに戻もどす方法ほうほうがあります。今回こんかいは国家こっか資格しかくであるクリーニング師しの資格しかくを保有ほゆうし、「洗濯せんたくハカセ」として多数たすうメディアに出演しゅつえんされている神崎かんざき健輔けんすけさんに、乾燥かんそう機きを使つかう時ときのコツや、乾燥かんそう機きで縮ちぢんでしまった衣類いるいを回復かいふくさせる方法ほうほうを伺うかがいました。

神崎かんざきさんによると、乾燥かんそう機きで衣類いるいが縮ちぢんでしまう理由りゆうはいくつかあるそうですが、原因げんいんは主おもに3つなのだそう。詳くわしく見みていきましょう。

熱ねつに弱よわい代表だいひょう的てきな素材そざいは、綿めん、麻あさ、絹きぬ、羊毛ようもうなどの天然てんねん繊維せんいです。そのほか、合成ごうせい繊維せんいの中なかでも植物しょくぶつ由来ゆらいの繊維せんいが使用しようされているレーヨンや、半はん合成ごうせい繊維せんいのトリアセテートなども熱ねつに弱よわいため、注意ちゅういが必要ひつようです。

一方いっぽう、縮ちぢみにくいのはポリエステルやアクリル。衣類いるいを乾燥かんそう機きに入いれる前まえに、素材そざいをチェックしてみましょう。

ローゲージニットやポロシャツなど、目めが粗あらい形状けいじょうのものは、乾燥かんそう機きにかけることで目めが締しまりやすくなり、縮ちぢみにつながることも。特とくにTてぃーシャツやポロシャツは洗あらっている最中さいちゅうからも目めが締しまっていきます。目めが縮ちぢんだ状態じょうたいで乾燥かんそう機きにかけることで、さらに縮ちぢんでしまうこともあるそうです。

「Tてぃーシャツやポロシャツに使つかわれることの多おおい綿めんは、繊維せんいを引ひき伸のばしながら作つくっているため、綿めん素材そざいの服ふくはもともと縮ちぢもうとする性質せいしつを持もっています。そこに水みずの力ちからや熱ねつなどの刺激しげきが加くわわることで、ギュッと縮ちぢもうとする動うごきがより活発かっぱつになります。綿めん素材そざいの服ふくを買かう時ときには、あらかじめ縮ちぢむことを想定そうていして、ワンサイズ大おおきなものを買かうことも対策たいさくの一ひとつです」(神崎かんざきさん)

乾燥かんそう機きだけではなく洗濯せんたくそのものも縮ちぢみの要因よういんになっていることをふまえて、干ほす時ときに手てで形かたちを整ととのえたり、軽かるく引ひき伸のばしたりすること、そして乾燥かんそう機きにかける時ときには形かたちを整ととのえて入いれ、低温ていおんでやさしく回まわすのがポイントだそう。

しっかり乾かわかそうとして乾燥かんそうしすぎることも、服ふくにダメージを与あたえる一因いちいんになると神崎かんざきさんは言いいます。

「夏なつの日差ひざしによる熱ねつや乾燥かんそう機きの熱ねつで急激きゅうげきに水分すいぶんを奪うばうと、短みじかい時間じかんで服ふくが干ひからびた状態じょうたいになり、給水きゅうすい力りょくが大おおきい繊維せんいほど、形状けいじょう変化へんかがおこりやすくなります。雑巾ぞうきんをイメージすると分わかりやすいかもしれません。

例たとえば、雑巾ぞうきんをかたく絞しぼったまま置おいておくと、バキバキになりますよね。乾燥かんそう機きで衣類いるいが縮ちぢんでしまうのは、まさにそれに近ちかい状態じょうたい。生地きじがかたくなり、熱ねつとともに水分すいぶんも逃にげ、服ふくが完全かんぜんに乾かわききって繊維せんい同士どうしが絡からまり合あっている状態じょうたいです。

その状態じょうたいでさらに熱ねつが加くわえられると、衣類いるいにダメージを与あたえられてしまいます。クリーニングのプロの世界せかいでも、乾燥かんそう機きに入いれる時ときは乾かわきすぎを防ふせぐため、乾燥かんそうしきっていない状態じょうたいで服ふくを取とり出だし、自然しぜん乾燥かんそうさせます」(神崎かんざきさん)

乾燥かんそう機きによる衣類いるいの縮ちぢみを防ふせぐため、家庭かていではどんなことに気きをつければ良よいのでしょうか。

衣類いるいの素材そざいの確認かくにんや乾燥かんそう時じの温度おんど設定せっていを判断はんだんするためには、まず洗濯せんたく表示ひょうじをチェックしましょう。ただ、すべての衣類いるいをチェックして乾燥かんそう機きの設定せっていを変かえるのは大変たいへんですよね。神崎かんざきさんによると、乾燥かんそう機きに入いれる衣類いるいを総合そうごう的てきに見みて判断はんだんするというやり方かたがあるのだそう。

「例たとえば、綿めんの素材そざいのものが多おおい場合ばあい、そこに合あわせて乾燥かんそう機きの温度おんどは中温ちゅうおんで時間じかんも短みじかめに設定せっていしましょう。普段ふだん着きる服ふくの素材そざいは何なにが多おおいかを総合そうごう的てきに見みて、温度おんどや乾燥かんそう時間じかんを設定せっていしてみてください」(神崎かんざきさん)

上述じょうじゅつしたとおり綿めんや麻あさなどは熱ねつに弱よわく縮ちぢみやすいので、そういったものはまとめて中温ちゅうおんで短時間たんじかんで仕上しあげるなどの工夫くふうで対策たいさくできそうです。

神崎かんざきさんによると、衣類いるいが縮ちぢんでしまう要因よういんの一ひとつである「乾燥かんそうのしすぎ」を防ふせぐため、最もっとも気きをつけなければならないのは、乾燥かんそう機きの容量ようりょうを守まもること。

「乾燥かんそう機きの容量ようりょうをオーバーして衣類いるいを入いれてしまうと乾かわきにくくなります。一度いちど乾燥かんそう機きにかけたのに乾かわかなければ、もう一度いちど乾燥かんそう機きにかけることになり、それが乾かわきすぎにつながります」(神崎かんざきさん)

衣類いるいを詰つめ込こみすぎないことがポイントですね。

乾燥かんそう機きで衣類いるいが縮ちぢんでしまっても、家いえにあるものを使つかって元もとに戻もどすことができます。以下いかの2つの方法ほうほうを神崎かんざきさんに教おしえてもらいました。

霧吹きりふきで衣類いるいを軽かるく濡ぬらします(触さわったら「少すこし湿しめってるかな」と分わかるぐらいでOK)。その後ご、服ふくを軽かるく伸のばして形かたちを整ととのえ、自然しぜん乾燥かんそうさせます。

水分すいぶんを与あたえてから形かたちを整ととのえることがポイントだと神崎かんざきさんは言いいます。

「先さきほどの雑巾ぞうきんの例れいのように、衣類いるいの縮ちぢみというのは、乾かわききって繊維せんい同士どうしが絡からまり合あってしまっている状態じょうたいのこと。それを解消かいしょうするためには水分すいぶんを与あたえてあげることが重要じゅうようです。そして湿しめらせた状態じょうたいで形かたちを整ととのえ、繊維せんいを伸のばしてあげてください」(神崎かんざきさん)

ウチコト編集へんしゅう部ぶでやってみました!

乾燥かんそう機きで縮ちぢんでしまった綿めん素材そざいの子こども服ふくに、軽かるく霧吹きりふきをかけて形かたちを整ととのえ、自然しぜん乾燥かんそうさせました。乾かわいたあとは、胸元むなもとの綿めんレース部分ぶぶんが自然しぜんな形かたちに広ひろがっていることが分わかります。アイロンを使つかうよりも手軽てがるにできるのがうれしいですね。

方法ほうほう1でも縮ちぢみが戻もどらなかった場合ばあいは、柔軟じゅうなん剤ざいもしくは「ジメチコン」という成分せいぶんが含ふくまれたヘアリンス(コンディショナー)を使つかう方法ほうほうを試ためしてみてください。

洗面せんめん器きにぬるま湯ゆを入いれ、リンスであればワンプッシュ、柔軟じゅうなん剤ざいであれば説明せつめい書がきを読よみ、水量すいりょうに合あわせた量りょうを入いれて軽かるく混まぜ、縮ちぢんだ衣類いるいを浸ひたして30分ふんほどつけ置おきします。

その後ご、タオルで水気みずけをきり、濡ぬれた状態じょうたいで軽かるく伸のばしながら形かたちを整ととのえて自然しぜん乾燥かんそうさせます。室内しつない干ほしの場合ばあいは生乾なまがわき臭しゅうを防ふせぐため、なるべく早はやく乾かわかすことがポイント。洗濯せんたく物ぶつの間あいだに風ふうが通とおりやすいよう一いち枚まいずつ間隔かんかくを空あけて干ほしたり、サーキュレーターや扇風機せんぷうきなどで風かぜを当あてたりしましょう。

「柔軟じゅうなん剤ざいやリンスでうるおいを補おぎなうことで、乾かわききった繊維せんい同士どうしが絡からまり合あっている状態じょうたいを緩和かんわしてくれます。つけ置おきしたあとは、必かならず軽かるく伸のばして形かたちを整ととのえてから自然しぜん乾燥かんそうしてください。袖そでまわりなど、手てで伸のばすのが難むずかしい部分ぶぶんは、丸まるめたタオルを入いれる方法ほうほうもおすすめです」(神崎かんざきさん)

ウチコト編集へんしゅう部ぶでやってみました!

乾燥かんそう機きで縮ちぢんだ子こどものロンTをリンスにつけ置おきし、軽かるく伸のばしながら自然しぜん乾燥かんそう。濡ぬれた状態じょうたいのままでも、袖そでや襟えりの部分ぶぶんが伸のびているのが分わかりましたが、平たいら置おきしてみると、効果こうかは一目瞭然いちもくりょうぜん!
肩幅かたはばや袖そでの長ながさなど、元もとの大おおきさにまで戻もどっていることが分わかりますね。

洗濯せんたく機きの乾燥かんそう機きが使つかえない衣類いるいや、陰干かげぼししなければならない衣類いるいをしっかり乾かわかせる浴室よくしつ暖房だんぼう乾燥かんそう機きは、回転かいてんさせながら乾燥かんそうさせるタンブル式しき(タンブラー式しき)乾燥かんそう機きと比くらべて、縮ちぢみも軽減けいげんできます。こうしたメリットを生いかすためにも、ここでも「乾かわかす衣類いるいの量りょう」が重要じゅうようだと神崎かんざきさんは言いいます。

「浴室よくしつ暖房だんぼう乾燥かんそう機きでは、干ほす位置いちによって乾かわき方かたにムラが出でやすいため、それを防ふせぐためにも、一いち度どに乾かわかす衣類いるいの量りょうに気きをつけることが大切たいせつです」(神崎かんざきさん)

乾燥かんそう機きで衣類いるいを乾かわかす時ときには、素材そざいや洗濯せんたく表示ひょうじマークなどをチェックした上うえで、適てきした温度おんどや時間じかんを選えらぶことが大切たいせつであることが分わかりました。そして何なにより、乾燥かんそうさせすぎないこと! 神崎かんざきさんから教おしえていただいたポイントをしっかり守まもって、上手じょうずに乾燥かんそう機きを使つかいたいですね。それでも、もし衣類いるいが縮ちぢんでしまった場合ばあいは、今回こんかいご紹介しょうかいした方法ほうほうを試ためしてみてくださいね。