◇今年2月高松市購入
高松市は、今年2月に購入した「讃岐国絵図(さぬきのくにえず)」が、慶長年間(1596~1615年)後半に作成され、現存する讃岐国の絵地図で最古のものの写本である可能性が高いことが分かったと発表した。鑑定した田中健二・香川大教育学部教授=日本中世史=は「当時の讃岐国の様子を詳細に知ることができ、歴史的価値が高い」と評価している。
絵図は25日まで、市歴史資料館(同市昭和町1)で公開されている。
大きさは縦約80センチ、横約215センチ。和紙に日本画の顔料で描かれている。所有者は、印章から、二代将軍・徳川秀忠に仕えた旗本の別所信治と考えられる。市は、東京の古美術商から約80万円で購入した。
絵図には、丸亀城が「圓亀古城」と記されていることから、讃岐国の領主生駒家が丸亀城から高松城へ移ったとされる1602年か1610年以降のものと考えられる。また、引田浦に「城」との記載があるため、一国一城令により引田城が廃城されたとする1615年より前に作成されたと推測される。
満濃池はなく「池内村」と書かれているのは、生駒家の重臣・西嶋八兵衛が、1184年に決壊した池の改修に着手する1628年まで、そこに村があったという伝承を裏付け、名前も一致しているという。
丸亀城付近の地名「津森」を「津木村」とするなど地名に誤記があり、原本ではなく写本とみられる。
現存する最古の絵地図としては、琴平宮が所有する「寛永十年讃岐国絵図」(1633年)が知られていた。
市歴史資料館(087・861・4520)。【中村好見】