「なぜ、天下のジャイアンツがこんな目に!?」
ナベツネこと巨人軍の渡邉恒雄球団会長がこう嘆いていたりして――。天下の巨人軍が4月12日の開幕戦を、山口県宇部市の「ユーピーアール(upr)スタジアム」というマイナー球場で戦うはめになった。
「地味な市営球場ですよ。地元のuprという会社が3年間900万円でネーミングライツを買い取り、この4月1日に球場名が変わったばかり。旧名は宇部市野球場です。たまにカープがオープン戦をするくらいで、普段は高校生や少年野球のチームが使っています。利用料? 高校生チームで1時間500円くらいです(苦笑)」(地元紙記者)
1時間500円? 深夜のカラオケ料金より安い!
「宇部市で巨人が公式戦を戦ったのは1955年の対広島戦以来、56年ぶりのこと。しかも、巨人が開幕戦でセ・リーグの本拠地球場以外でやるのは球団史上初めての珍事です」(地元紙記者)
報道によると、uprスタジアムの収容人数は2万人。宇部市には悪いけど、約4万5千人収容の東京ドームで華々しく開幕戦をぶち上げていたジャイアンツにすれば「都落ち」と呼ぶほかない。なんとも寂しい始動ぶりだ。
どうして、こんなはめになってしまったのか? このたびの東日本大震災で電力供給もままならないなか、セ・リーグは3月25日の開幕を主張して譲らなかった。その急先鋒が巨人だった。結局、世論に屈する形で4月12日、パ・リーグと同時開幕することになったのだが、そのゴリ押しぶりへの罰?
「いえ、違いますよ」と、首を振るのは宇部市体育協会の山根隆義氏だ。
「公式戦開催が決まったのは昨年の11月下旬です。読売新聞事業部から『ジャイアンツは新聞拡販のため、年間9試合ほど地方で公式戦をしている。来季、山口県では4月12日に宇部でやりたい』と申し入れがあったんです」
ところが、セ・リーグの開幕日が世論の批判を受け、3月25日、3月29日とだんだんズレ込むうちに、4月12日の宇部での公式戦が開幕戦になってしまったというわけ。山根氏が続ける。
「えらいことになりました。1998年に球場を改築して以来、プロ野球公式戦が行なわれたのは広島×中日、広島×横浜戦の2度だけ。しかも、観客数はそれぞれ1万1千人、8千人を集めるのがやっとでした。それが今回は巨人の開幕戦とあってチケットは完売。球場史上初の満席です。うまく運営できるかと不安でいっぱいです」
しかも、ここにきて巨人軍関係者にとって、さらにショッキングな事実が!
「収容人員が2万人と伝えられていますが、本当の定員は1万3千人です。2万人という数字はこれくらいの観客は収容したいという、球場構想段階の希望にすぎません。その数字がなぜか球場パンフレットに掲載されてしまったようです」(山根氏)
晴れの開幕戦がたったの1万3千人! しかも、ヘタをすると「巨人に観客水増し疑惑」とメディアに叩かれかねない。巨人関係者の涙目ぶりが目に浮かぶようだ。
だが、宇部市はけなげに頑張っている。警備や運営スタッフを計200人から350人に大増員し、巨人に少しでもよい環境でプレーしてもらおうと大張り切りなのだ。さらに、地元の人々も「KAT‐TUNの亀梨クンが始球式をやるんだって!」(女子高校生)、「和田アキ子が宇部入りして、国歌斉唱するらしい」(タクシー運転手)と、暴走気味なほど盛り上がっている(編集部注・取材の結果、いずれの事実もなし)。
巨人ナインよ、ゆめゆめ地方のマイナー球場での開催だからと脱力するなかれ。観客が1万3千人でも全力を尽くせ。それが球界の盟主の使命だ!
(取材/ボールルーム)