特別 とくべつ インタビュー Xbox 360「テイルズ オブ ヴェスペリア」(前編 ぜんぺん )
2008年 ねん 発売 はつばい 予定 よてい
価格 かかく :未定 みてい
樋口 ひぐち 義人 よしひと 氏 し (左 ひだり )、郷田 ごうだ 努 つとむ 氏 し (右 みぎ )
2008年 ねん 発売 はつばい 予定 よてい の株式会社 かぶしきがいしゃ バンダイナムコゲームスのXbox 360用 よう RPG「テイルズ オブ ヴェスペリア(以下 いか 、TOV)」。「テイルズ オブ」シリーズ13年 ねん 目 め の作品 さくひん にして、HD解像度 かいぞうど テレビに対応 たいおう した、Xbox 360での初 はつ タイトルとなる。
今回 こんかい はその発売 はつばい を記念 きねん して、「TOV」プロデューサーの樋口 ひぐち 義人 よしひと 氏 し 、郷田 ごうだ 努 つとむ 氏 し にインタビューを敢行 かんこう 。Xbox 360というハードで「テイルズ オブ」を作 つく る理由 りゆう 、「TOV」の制作 せいさく 秘話 ひわ まで貴重 きちょう なお話 はなし を伺 うかが うことができた。長編 ちょうへん となったので、前後 ぜんご 編 へん に分 わ けてお届 とど けする。(文中 ぶんちゅう 敬称 けいしょう 略 りゃく )
■ 「TOV」は現行 げんこう ハードのベンチマーク的 てき タイトル
Xbox 360初 はつ のシリーズタイトルとなった「TOV」
――お2人 ふたり の作業 さぎょう の役割 やくわり は?
郷田 ごうだ 昨年 さくねん 4月 がつ にバンダイナムコゲームスの体制 たいせい になったことで、ナムコレーベルについては、開発 かいはつ のプロデューサーと私 わたし のようなプロダクションの組織 そしき にいるプロデューサーの2名 めい 体制 たいせい でやることになりました。ですから、「テイルズ オブ ヴェスペリア(以下 いか 、TOV)」の役割 やくわり 分担 ぶんたん は、映画 えいが 産業 さんぎょう に例 たと えると樋口 ひぐち が総 そう 監督 かんとく 、私 わたし がプロデューサーという感 かん じですね。「TOV」の中身 なかみ に関 かん しては樋口 ひぐち が全面 ぜんめん 的 てき に責任 せきにん を持 も ち、私 わたし は「TOV」をビジネスとして成功 せいこう させることに責任 せきにん がありますね。情報 じょうほう の出 だ し方 かた や同時 どうじ 展開 てんかい など「TOV」という作品 さくひん 全体 ぜんたい のビジネススキームを固 かた めていく役 やく 。それと開発 かいはつ 費 ひ が無 な くなったら交渉 こうしょう するみたいな(笑)。冗談 じょうだん ですけど(笑)。
樋口 ひぐち 今回 こんかい はプロジェクトの立 た ち上 あ げの段階 だんかい で多 おお めに予算 よさん もらっていますけどね(笑)。僕 ぼく の方 ほう で「TOV」の中身 なかみ のクオリティに関 かん するすべて、ゲームをどう描 えが いていくかという指揮 しき 、というところで2人 ふたり の二人 ふたり 三 さん 脚 きゃく ですね。今 いま はナムコレーベルについてはすべてがそんな感 かん じです。
――作業 さぎょう のスタイルからして、今 いま までのナムコレーベルとは違 ちが うのですね。
樋口 ひぐち 今 いま までのナムコレーベルは1人 ひとり で全部 ぜんぶ やっていて、展開 てんかい の仕方 しかた とかはやりきれていなかった部分 ぶぶん も多 おお かったですね。そのこぼれた部分 ぶぶん はバンダイのノウハウを取 と り入 い れてやっていきましょう、と変 か わってちょうど今 いま で1年 ねん くらいになります。
郷田 ごうだ 私 わたし も樋口 ひぐち も旧 きゅう ナムコの人間 にんげん なので、組 く み合 あ わせ的 てき にはバンダイ出身 しゅっしん の人間 にんげん が私 わたし のポジションにいたほうがよかったのかもしれません。ただ、樋口 ひぐち とは「テイルズ オブ ジ アビス(以下 いか TOA)」の頃 ころ からゲームとモバイルの連動 れんどう などを一緒 いっしょ にやっていたので、結果 けっか 的 てき に仕事 しごと がしやすいですね。
――バンダイ出身 しゅっしん の方 ほう は、外 そと から見 み ているとトータルプロデュース、特 とく にマーチャンダイジング……例 たと えばアニメですとかフィギュアなどゲームから外 そと へ広 ひろ がる製品 せいひん とかやっていくときに強 つよ そうなイメージですが?
郷田 ごうだ 今回 こんかい は私 わたし がそういう担当 たんとう として色々 いろいろ 展開 てんかい が決 き まっているのですが、残念 ざんねん ながら今日 きょう の段階 だんかい では発表 はっぴょう はできません。まあ、今 いま までの「テイルズ オブ」シリーズには無 な い取 と り組 く みをしています。ゲーム自体 じたい もかつてないクオリティだと個人 こじん 的 てき には思 おも っていますので、それに見合 みあ うだけのビジネススキームを組 く んでいるところです。
樋口 ひぐち 「TOV」は特別 とくべつ なポジションという感 かん じですかね。じっくりとやらせてもらっている感 かん はありますね。
郷田 ごうだ じっくり作 つく りこませてもらってますね。
――と、いいますと、開発 かいはつ の期間 きかん も長 なが そうですが?
樋口 ひぐち 僕 ぼく が「TOA」をやっていた最後 さいご のほう……2005年 ねん の夏 なつ くらいに、当時 とうじ の次世代 じせだい 機 き の表現 ひょうげん の研究 けんきゅう をしましょう、というプロジェクトが始 はじ まり、そこのライブラリチームができていたんですね。で、命 いのち 削 けず って「TOA」をやりおえて(笑)。年 とし が明 あ けて2006年 ねん の2月 がつ くらいになり、次世代 じせだい 機 き の表現 ひょうげん 研究 けんきゅう に「テイルズ オブ」を乗 の せようよ、という話 はなし で私 わたし が呼 よ ばれて、「はい、やってみます」ということになりましたね。当時 とうじ は“まだプレイステーション 2で出 だ せるよ”と思 おも っていた時期 じき でしたけど、色々 いろいろ と考 かんが えていくうちに、“2〜3年 ねん 後 ご に旧 きゅう 世代 せだい 機 き の需要 じゅよう は続 つづ いているのだろうか?”という思 おも いも出 で 始 はじ めてきたということと、個人 こじん 的 てき にはHD映像 えいぞう への興味 きょうみ があったので「次世代 じせだい 機 き で覚悟 かくご を決 き めますか!」とプロジェクトが本格 ほんかく 化 か したのが2006年 ねん の5月 がつ 。ですから、大体 だいたい 3年 ねん ですね。藤島 ふじしま 康 やすし 介 かい 先生 せんせい に(キャラクタデザインを)発注 はっちゅう したのもそのくらいですから。
――次世代 じせだい 機 き 、まあ現行 げんこう 機 き なのですけど(笑)、で映像 えいぞう がHDになって開発 かいはつ の規模 きぼ が大 おお きくなったりしましたか?
樋口 ひぐち 元々 もともと のチームの規模 きぼ はそんなに変 か えられないんですよね。そうなると開発 かいはつ の始 はじ めに背筋 せすじ がぞっとしたのがモデルなどの絵 え の素材 そざい 作成 さくせい ですね。今 いま までのノリで、高 こう 解像度 かいぞうど 用 よう の背景 はいけい モデルを作 つく ると、PS2と同 おな じ面積 めんせき でも作業 さぎょう 時間 じかん が倍 ばい くらいかかるんですよ。単純 たんじゅん に考 かんが えると、「おい、(旧 きゅう 世代 せだい 機 き と同 おな じ開発 かいはつ 期間 きかん で)マップが今 いま までの半分 はんぶん かい!」っていう残酷 ざんこく な結果 けっか が2006年 ねん の8月 がつ くらいにわかってきたんですね。当初 とうしょ のスケジュールでは「TOV」を2007年 ねん の末 すえ くらいに出 だ す予定 よてい だったので、「このままじゃ、ゲームのボリュームが半分 はんぶん になるよね……」という話 はなし になりまして。“ゲームの構造 こうぞう 組 く み替 か えなきゃ”というところまで追 お い込 こ まれました。ただでさえ次世代 じせだい 機 き でやる「テイルズ オブ」なのに、ゲーム自体 じたい が「テイルズ オブ」と少 すこ し変 か わってしまうのでは、お客様 きゃくさま に誠意 せいい を見 み せることができない。と、上層 じょうそう 部 ぶ に泣 な きつきまして(笑)。スケジュールと予算 よさん をもらって、プロジェクトの人員 じんいん を組 く み直 なお すなどして、今 いま の発売 はつばい スケジュールと規模 きぼ に変更 へんこう しました。
郷田 ごうだ あそこで踏 ふ ん張 ば っていなかったら、「あれ、ボリューム半分 はんぶん ?」みたいなゲームになっていたかな、と思 おも います。
樋口 ひぐち 僕 ぼく らは当時 とうじ 、次世代 じせだい 機 き でゲームを作 つく るノウハウがなかったので、そこまで踏 ふ み込 こ めなかったというのもありますね。「テイルズ オブ」には12年 ねん の制作 せいさく 過程 かてい で培 つちか われた独自 どくじ の手法 しゅほう がありますから。急 きゅう にそこを変 か えようと思 おも っても、やっぱり大変 たいへん ですよ。
――今 いま までの「テイルズ オブ」シリーズのフィールドだと、地上 ちじょう と空中 くうちゅう があって別 べつ の世界 せかい があったわけですが、それが地上 ちじょう だけになってしまうような感 かん じですかね。
樋口 ひぐち 色 いろ 変 か えで地上 ちじょう フィールドをもう1つ作 つく るとかね(笑)。たとえば、「テイルズ オブ」って同 おな じダンジョンに2回 かい いったりするんですよね。「TOV」の開発 かいはつ 初期 しょき の場合 ばあい 、それが4回 かい になってしまう雰囲気 ふんいき でした。「それはちょっとなー」と思 おも いまして、踏 ふ ん張 ば りましたね。ですから、ボリューム的 てき には安心 あんしん してもらっていいと思 おも います。
郷田 ごうだ ムービー、クオリティ、グラフィックスも含 ふく めて煮詰 につ めていった結果 けっか 、過去 かこ 最大 さいだい 級 きゅう の「テイルズ オブ」になっています。
樋口 ひぐち 全体 ぜんたい のイメージは、「TOA」に近 ちか いボリュームかな。
郷田 ごうだ HDで初 はじ めての「テイルズ オブ」ですし、「TOV」が今後 こんご HDで出 だ していく「テイルズ オブ」のベンチマークとなるのではないでしょうか。
樋口 ひぐち ボイスやテキスト量 りょう は「トラスティベル 〜ショパンの夢 ゆめ 〜」の2〜3倍 ばい になると思 おも います。
郷田 ごうだ お客様 きゃくさま にとっては安心 あんしん して遊 あそ べる次世代 じせだい タイトルになると思 おも いますよ。
樋口 ひぐち ここまで馬鹿 ばかげ 正直 しょうじき にゲーム作 つく ろうというチームもなかなかないと思 おも いますよ、今 いま どき。本当 ほんとう に正統 せいとう 進化 しんか した形 かたち の「テイルズ オブ」という感 かん じですね。
「TOV」の主人公 しゅじんこう 、ユーリ・ローウェル
――密度 みつど はあがっているけど、行動 こうどう 範囲 はんい や使 つか う時間 じかん はあまり変 か わらないんですね。
樋口 ひぐち 「テイルズ オブ」は様々 さまざま な育成 いくせい 要素 ようそ やサブシナリオなどの脇道 わきみち が多 おお く横 よこ に広 ひろ がっていると思 おも われがちなんですけど、実 じつ はメインストーリーのボリュームが充実 じゅうじつ して縦 たて に長 なが いんですね。そこは保障 ほしょう されていると思 おも いますよ。わかりやすいのはクリアタイム。流行 りゅうこう のRPGでは20〜30時 じ 間 あいだ が平均 へいきん 的 てき というのが増 ふ えてきていますが、「テイルズ オブ」では“それはまずかろう”と僕 ぼく は思 おも っていて、「TOV」でもいつも通 とお りに50〜60時 じ 間 あいだ となっていますね。そこは飽 あ きの来 こ ないストーリー展開 てんかい 、ゲームバランスが保障 ほしょう されています。
郷田 ごうだ お話 はなし は痛快 つうかい ですよ、わかりやすくてかっこいい展開 てんかい 。今回 こんかい 、あまり主人公 しゅじんこう が悩 なや まないんですよ(笑)。
――珍 めずら しいですね(笑)。毎回 まいかい 、「テイルズ オブ」の主人公 しゅじんこう は自身 じしん の価値 かち 観 かん がリセットされるくらい悩 なや みまくっている印象 いんしょう がありますけど。
樋口 ひぐち 「お前 まえ は人間 にんげん の屑 くず だ」みたいな重大 じゅうだい 事件 じけん があり(笑)、そこで人間 にんげん 的 てき に大 おお きく成長 せいちょう していくことが多 おお いのですが、そういうところは今回 こんかい は薄 うす めにしてあります。迷 まよ いません、ユーリ君 くん 。
郷田 ごうだ ユーリは仲間 なかま を引 ひ っ張 ぱ っていくタイプですね。「テイルズ オブ」の主人公 しゅじんこう って仲間 なかま に引 ひ っ張 ぱ られるというか、RPGの主人公 しゅじんこう って大体 だいたい そんな感 かん じなんですけど、それがない。
樋口 ひぐち 人 ひと を立 た てるんです。周囲 しゅうい をバックアップしていく感 かん じのわりと大人 おとな の対応 たいおう ができる主人公 しゅじんこう ですね。Xbox 360というハードのお客様 きゃくさま 像 ぞう としては、年齢 ねんれい 的 てき に従来 じゅうらい のハードよりは高 たか めに感 かん じていますので、物語 ものがたり の内容 ないよう としても少 すこ し大人 おとな の主人公 しゅじんこう 像 ぞう にしてあります。
郷田 ごうだ 初期 しょき の「テイルズ オブ」からやっている人 ひと もいると思 おも いますけど、ハードのターゲット層 そう を考 かんが えて、海外 かいがい ユーザーの日本 にっぽん や漫画 まんが やゲームが好 す きなユーザーにアピールするなら、大人 おとな の設定 せってい の方 ほう がいいだろうと思 おも いました。あくまで日本 にっぽん のファンがメインですけど、ハードがワールドワイドなのでそちらの方々 かたがた にも楽 たの しんでもらいたい。
樋口 ひぐち 今 いま まで、海外 かいがい で一番 いちばん 売 う れたのは「テイルズ オブ シンフォニア(以下 いか 、TOS)」なんです。北米 ほくべい で60万 まん 本 ほん 、欧州 おうしゅう で25万 まん 本 ほん 。PS2版 はん 、ニンテンドーゲームキューブ(以下 いか 、GC)版 ばん と合 あ わせて160万 まん 本 ほん くらい。ですから、海外 かいがい 市場 いちば の可能 かのう 性 せい は感 かん じていました。フランス、イタリア、ドイツなどでジャパンアニメーションに理解 りかい が深 ふか まっていますが、その潮流 ちょうりゅう に乗 の れるタイトルが「テイルズ オブ」だと実感 じっかん しています。プロダクションI.Gさんのすばらしいアニメーションや、藤島 ふじしま 先生 せんせい の絵 え は大 おお きな武器 ぶき ですね。
郷田 ごうだ 誤解 ごかい の無 な いように言 い っておきますけど、「TOV」はたまたま情報 じょうほう が海外 かいがい で先 さき に出 で たために、海外 かいがい 先行 せんこう の仕様 しよう というイメージを持 も たれている感 かん じがするんですが、それは誤解 ごかい ですから(笑)。あくまで日本 にっぽん のお客様 きゃくさま を中心 ちゅうしん にしています。ネット上 じょう では“『TOV』は北米 ほくべい のユーザー向 む けに作 つく ってあるらしいぜ”とか、“アメリカンなノリみたいだぜ”なんて噂 うわさ されてますけど、違 ちが います(笑)。
樋口 ひぐち だって、FPS(一人称 いちにんしょう シューティングゲーム)ばかりをやっている人 ひと が、いきなり「テイルズ オブ」をやらないでしょ(一同 いちどう 笑 わらい )。
郷田 ごうだ FPSしかやらない人 ひと を取 と り込 こ める作品 さくひん を作 つく ろう、なんて「テイルズ オブ」シリーズではありえないですから(笑)。そこまで僕 ぼく らも傲慢 ごうまん ではありません(笑)。
――「TOS」や「テイルズ オブ デスティニー2(以下 いか 、TOD2)」あたりまでは、海外 かいがい リリースが国内 こくない の後 のち だったのに、今回 こんかい は北米 ほくべい あたりで先 さき に情報 じょうほう が出 しゅっ ていたりしますから、誤解 ごかい されたのでしょうかね。念 ねん のため聞 き いておきますけど、「TOV」のキャラクタが筋肉 きんにく 隆々 りゅうりゅう だったり、典型 てんけい 的 てき なハリウッド映画 えいが のようなハードな展開 てんかい だったりすることは……。
樋口 ひぐち そんなことはございません!(笑)と、ここで断言 だんげん させていただきます。
郷田 ごうだ ハリウッド映画 えいが という言葉 ことば が出 で てきたので言 い ってみますが、今回 こんかい のストーリーは時代 じだい 劇 げき のような勧善懲悪 かんぜんちょうあく のノリですよ。私 わたし は冒険 ぼうけん 活劇 かつげき と言 い ってもいいと思 おも っています。
樋口 ひぐち 過去 かこ の事例 じれい から北米 ほくべい で日本 にっぽん 産 さん RPGを展開 てんかい するノウハウが蓄積 ちくせき してきているのも追 お い風 かぜ ですね。また、ボタンを押 お したら押 お しただけ攻撃 こうげき するゲームが好 この まれるのが北米 ほくべい 。であるならば、RPGのバトルもターン制 せい よりリアルタイム制 せい が好 この まれる傾向 けいこう にあるんです。そういう意味 いみ では北米 ほくべい 展開 てんかい の追 お い風 かぜ が吹 ふ いていると思 おも いますね。
――「テイルズ オブ」は北米 ほくべい に適 てき している?
樋口 ひぐち 適 てき していますね。ただ、他 た を圧倒 あっとう するようなスバ抜 ぬ けた要素 ようそ がたくさんあれば、ターン制 せい でもいいんでしょうけど(笑)。
郷田 ごうだ アニメのキャラが動 うご いているようなビジュアル、っていうところで北米 ほくべい ではうまく他 ほか のRPGと差別 さべつ 化 か ができていますね。目指 めざ している方向 ほうこう 性 せい はアニメRPGに辿 たど り付 つ いている。あのグラフィックスイメージで伝 つた えやすい。
――「アイドルマスター」を北米 ほくべい で売 う ってくれ、というお客様 きゃくさま もいますからね。
樋口 ひぐち 間違 まちが いなくその層 そう はあると思 おも いますよ。弊社 へいしゃ の「ナルティメット」シリーズや「ドラゴンボール」シリーズも欧米 おうべい で売 う れていますからね。
■ 手探 てさぐ りながらも開発 かいはつ ノウハウは蓄積 ちくせき された
HD解像度 かいぞうど に対応 たいおう することで、グラフィックスデータ量 りょう は倍 ばい 以上 いじょう に増 ふ えたという
――グラフィックスの件 けん ですが、PS2やGC世代 せだい からすると、現行 げんこう 機 き のグラフィックス制作 せいさく の考 かんが え方 かた は根本 こんぽん 的 てき に変 か える必要 ひつよう がありそうですね。
樋口 ひぐち FPSのような一人称 いちにんしょう 視点 してん のゲームとは異 こと なり、RPGはどこまで作 つく ったらいいのか、開発 かいはつ 初期 しょき はよくわからなかった。開発 かいはつ 初期 しょき と現 げん 段階 だんかい のバージョンを比較 ひかく してみるとすごく変 か わっています。それはどこかというと、質感 しつかん 、空気 くうき 感 かん 、奥行 おくゆ きの広 ひろ がり、光 ひかり の使 つか い方 かた など、きりがないんです。一人称 いちにんしょう 視点 してん なら見 み えるところをすべて作 つく る必要 ひつよう がありますが、「テイルズ オブ」のようにカメラが半分 はんぶん 固定 こてい でフィックスしている場合 ばあい は、「見 み えないところはどこまで作 つく るの?」、「どこまで歩 ある かせるの?」というその見極 みきわ めがすごく難 むずか しいというか、慣 な れていません。指定 してい しないでおくと、作 つく り手 しゅ は際限 さいげん なく作 つく り込 こ んでしまう。それはそれで良 よ い結果 けっか になることが多 おお いですが、納期 のうき が遅 おそ くなってしまう。「このくらいまで作 つく ればいいですよ」という判断 はんだん がすごく難 むずか しいんです。キャラに関 かん しても、表情 ひょうじょう しかりモーションしかり「どこまで作 つく りこめばいいんだろう?」というディレクション基準 きじゅん がまだ捉 とら えづらいですね。
――グラフィックスがシェーダーベースになったことで、映像 えいぞう 面 めん にも変化 へんか があったのではないかと思 おも いますが?
樋口 ひぐち ハードウェアでいろいろといじれる部分 ぶぶん が多 おお くて、Xbox 360に関 かん してはもともと用意 ようい されている機能 きのう が使 つか い勝手 がって がよかったりします。ですので、やっていること自体 じたい はシンプルという感 かん じです。
――旧 きゅう 世代 せだい 機 き のころはメモリとの格闘 かくとう だったと思 おも いますが、「TOV」ではメモリの問題 もんだい は解消 かいしょう されましたか?
樋口 ひぐち 「TOA」はRenderWare(レンダーウェア)というソフトウェアでやっていたので、一定 いってい のクオリティが保障 ほしょう されている代 か わりに、メモリについては色々 いろいろ 制約 せいやく がありました。「TOV」に関 かん してはライブラリも全部 ぜんぶ オリジナルソフトウェアなので、Xbox 360のランチャー部分 ぶぶん 以外 いがい はメモリをほぼ全部 ぜんぶ 使 つか えるということで、メモリに関 かん しては楽 らく な面 めん が多 おお かったです。ただ、絵 え のレベルの向上 こうじょう に伴 ともな い、瞬間 しゅんかん 的 てき に扱 あつか う容量 ようりょう は当然 とうぜん 大 おお きくなり、一 いち 度 ど に扱 あつか うデータの転送 てんそう 量 りょう が多 おお くなります。「ロード長 なが いじゃん。結局 けっきょく 旧 きゅう 世代 せだい 機 き と変 か わんないじゃん」って言 い われないように、読 よ み込 こ み時間 じかん が長 なが くならないように配慮 はいりょ しました。
――現行 げんこう 機 き のゲームはローディングが長 なが いものもありますよね。ロード画面 がめん も出 だ さなくては、という感 かん じで(笑)。そのへんは旧 きゅう 世代 せだい 機 き 時代 じだい と変 か わっているのですね。
樋口 ひぐち 「TOV」はロードが早 はや いんですけど、Xbox 360のHDDキャッシュ機能 きのう を使 つか うことで、よりスムーズに遊 あそ べますよ。
――けっこう違 ちが いますか?
樋口 ひぐち 効果 こうか がありますね、あれはプログラムが元々 もともと あって「キャッシュを使 つか いますよ」という機能 きのう をONにするだけなので、すごく楽 らく に作 つく れますね。あの機能 きのう を旧 きゅう 世代 せだい 機 き でやろうとすると、そのためのプログラムを用意 ようい しないといけないので大変 たいへん です。そういう面 めん も、Xbox 360というハードは作 つく りやすいですよ。
――Xbox 360というハードを選 えら んでよかった、という感 かん じですね。Xbox 360で開発 かいはつ された方 ほう に話 はなし を伺 うかが うと、口 くち をそろえて「作 つく りやすい」と言 い いますね。
樋口 ひぐち 真理 しんり でしょうね。作 つく りやすいということはスケジュールが短縮 たんしゅく できるわけで、その余力 よりょく をゲームデザインに回 まわ すことができる。ということは、お客様 きゃくさま にとっても、質 しつ の面 めん でプラスになるわけです。あまり「作 つく りやすい」と連呼 れんこ すると僕 ぼく らが楽 らく をしていると思 おも われそう(笑)。プログラマーはいつの時代 じだい も泣 な いてますよ、ということですね。
■ Xbox LIVEで、「テイルズ オブ」を守 まも りつつ革新 かくしん する
――Xbox LIVEでは、どんなことをやるのでしょう?
樋口 ひぐち 本当 ほんとう はオンライン対戦 たいせん やりたかったんですけどね(笑)。時間 じかん 的 てき にその余裕 よゆう がなかったので断念 だんねん しました。Xbox LIVEの仕様 しよう としてわかりやすいのは「実績 じっせき 」ですね。もともと「テイルズ オブ」はやりこみ的 てき に実績 じっせき 機能 きのう とリンクしているところがありますから。あとはダウンロードコンテンツ(以下 いか 、DLC)とランキングがXbox LIVEの3つの柱 はしら になりますね。
郷田 ごうだ 実績 じっせき 解除 かいじょ は、モチベーションの刺激 しげき になる素晴 すば らしい仕掛 しか けだと思 おも います。これだけでXbox 360はいいハードだと思 おも いますよ、作 つく り手 しゅ にとってもお客様 きゃくさま にとっても。それを伝 つた えたくて、なんとか頑張 がんば っちゃってるところはありますよ、個人 こじん 的 てき に(笑)。
樋口 ひぐち Xbox LIVEは初代 しょだい からよかったよね。
郷田 ごうだ ランキングは、「TOA」の時 とき のモバイル連動 れんどう のようではなく、Xbox LIVEというネットワーク機能 きのう が初 はじ めから内蔵 ないぞう されていますからね。ワールドワイドなランキングで、世界 せかい の「テイルズ オブ」ユーザーと比 くら べることができる。DLCに関 かん しては、「テイルズ オブ」というコンテンツで何 なに をやったらいいか、僕 ぼく 自身 じしん がXbox 360のユーザーなので、お客様 きゃくさま に何 なに が求 もと められているのかを考 かんが えることから始 はじ めました。そこで、アイテムや武器 ぶき のダウンロード販売 はんばい のようなコンテンツに行 い き着 つ きました。例 たと えば、週末 しゅうまつ しかプレイできない人 ひと のために、本来 ほんらい は何 なん 十 じゅう 時 じ 間 あいだ もかけないと入手 にゅうしゅ できないアイテムや武器 ぶき をダウンロード販売 はんばい しても、選択肢 せんたくし としてある分 ぶん にはお客様 きゃくさま は「イヤ」とは言 い わないと思 おも います。ゲーム内 ない で頑張 がんば れば必 かなら ず手 て に入 はい るものだけを売 う るつもりです。
――つまり、DLC専用 せんよう アイテムといった要素 ようそ はないわけですね?
郷田 ごうだ はい。ネットワークを使 つか うお客様 きゃくさま はどういう層 そう なのか、その人 ひと たちに向 む けてどういうものを提供 ていきょう するかというコンセプトでやっています。「アイドルマスター」と同 おな じことやるんじゃないの、なんて言 い われることもありますが、お客様 きゃくさま の層 そう が違 ちが いますから、「アイドルマスター」のDLCと同 おな じビジネススキームが当 あ てはまるかというと、そうではないと思 おも います。実 じつ はいろいろできるようには作 つく ってありますが、やるべきではない、として切 き り捨 す てていきました。「テイルズ オブ」ではパッケージの中 なか の物 もの をひたすらオープンにしていくという遊 あそ び方 かた を12年 ねん もしてきたわけですから。
樋口 ひぐち ひたすらやりこんでいくことがコンセプトのゲームに、そういう追加 ついか 物 ぶつ は求 もと められていないはずです。逆 ぎゃく に、MMORPGをオフラインにしたようなコンセプトであれば、DLCでのクエスト追加 ついか などはあって然 しか るべきだと思 おも うんです。でも、「テイルズ オブ」はそうではない。冒頭 ぼうとう に述 の べたように、物語 ものがたり を縦 たて に積 つ み上 あ げる構造 こうぞう ですから。どこにも入 い れるところがないです。
郷田 ごうだ DLCをどうするか、という話 はなし の時 とき がちょうど「アイドルマスター」のDLCが最高潮 さいこうちょう の時 とき でしたね。社内 しゃない からも「やらないの? 当然 とうぜん やるんでしょ?」みたいな風 ふう によく聞 き かれました。でも、うちはそうではなくて(笑)。ゲームの中 なか で入手 にゅうしゅ できるものを、先行 せんこう で入手 にゅうしゅ できるような、そんな新 あたら しいことをやります、と説明 せつめい すると「そんなの聞 き いたことねーよ」みたいなリアクションをされましたね。僕 ぼく たちとしては、逆 ぎゃく に何 なん で今 いま までやらなかったのか、と思 おも います。「テイルズ オブ」の正当 せいとう 進化 しんか 作品 さくひん ですが、革新 かくしん 的 てき なことも小 ちい さく、いくつかやっています。守 まも りつつの挑戦 ちょうせん ですね。
樋口 ひぐち DLCは反応 はんのう が楽 たの しみだよね。
郷田 ごうだ 頑張 がんば れば必 かなら ずゲーム内 ない で手 て に入 はい るものですので、一切 いっさい 買 か う必要 ひつよう はないです。ただ、時間 じかん の短縮 たんしゅく になるというか、衣装 いしょう を変 か えたい、称号 しょうごう を手 て に入 い れたい、お金 かね を払 はら ってもらえれば早 はや く手 て に入 はい る。
――海外 かいがい のゲームの考 かんが え方 かた に近 ちか いですね、チートコードが用意 ようい されているような。
郷田 ごうだ 万 まん 人 にん に等 ひと しく享受 きょうじゅ されるべきであるという考 かんが え方 かた ですね。例 たと えば、エンディングは腕 うで がある人 ひと も無 な い人 ひと もエンディングがみられるようであるべきだ、というように。もちろん、時間 じかん を掛 か けて頑張 がんば った人 ひと や腕 うで のある人 ひと と差別 さべつ 化 か するつもりではあります。仮定 かてい ですが、DLCでエンディングを購入 こうにゅう しても実績 じっせき は解除 かいじょ されないなどのペナルティはあると思 おも いますよ。
――料理 りょうり のランキングとかってどうですか?
樋口 ひぐち どうやるんですか(笑)。それは考 かんが えてないですけど、作 つく った数 かず とか競 きそ うのですかね? 戦闘 せんとう をこなさないと料理 りょうり を作 つく れませんから……地獄 じごく ですね(笑)。「テイルズ オブ」でよく料理 りょうり のことは言 い われますけど、「テイルズ オブ」といえば料理 りょうり というイメージがあるのでしょうね。
――どのメニューを何 なん 回 かい 作 つく ったかとか。意外 いがい と面白 おもしろ そうなんだけどなー。無責任 むせきにん ですが(笑)。
(後編 こうへん につづく)
(C)藤島 ふじしま 康 やすし 介 かい (C)2008 NBGI
□バンダイナムコゲームスのホームページ
http://www.bandainamcogames.co.jp/
□テイルズチャンネルのページ
http://namco-ch.net/taleschannel/
□「テイルズ オブ ヴェスペリア」公式 こうしき サイト
http://namco-ch.net/talesofvesperia/
□関連 かんれん 情報 じょうほう
【3月 がつ 10日 とおか 】バンダイナムコ、Xbox 360「テイルズ オブ ヴェスペリア」
スクリーンショット到着 とうちゃく !
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080321/tov.htm
【3月 がつ 10日 とおか 】バンダイナムコ、Xbox 360「テイルズ オブ ヴェスペリア」
人気 にんき RPG「テイルズ オブ」シリーズ最新 さいしん 作 さく を2008年 ねん 発売 はつばい
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080310/tales.htm
【2007年 ねん 2月 がつ 15日 にち 】特別 とくべつ インタビュー
PSP「テイルズ オブ デスティニー2」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070215/tod2.htm
(2008年 ねん 4月 がつ 14日 にち )
[Reported by 福田 ふくだ 柵 しがらみ 太郎 たろう /佐伯 さえき 憲司 けんじ ]
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