残酷ざんこくな天使てんしのテｰゼ2009 VERSION シングル キングレコード KICM-1272 発売はつばい：2009.05.13 \1,200(税込ぜいこみ) 収おさむ 録ろく 曲きょく 01.残酷ざんこくな天使てんしのテーゼ2009 VERSION 02.FLY ME TO THE MOON 03.One Little Wish

1995〜96年ねん、テレビ東京てれびとうきょうで放映ほうえい。社会しゃかい現象げんしょうと化かした大だいヒット・アニメーション“新しん世紀せいきエヴァンゲリオン”。今年ことし6月がつには、最新さいしん映画えいが“新しん世紀せいきエヴァンゲリオン新しん劇場げきじょう版ばん：破やぶ”の公開こうかいも控ひかえ、新あらたな注目ちゅうもくが高たかまるなか、「残酷ざんこくな天使てんしのテーゼ2009 VERSION」（“CR新しん世紀せいきエヴァンゲリオン〜最後さいごのシ者ししゃ〜”イメｰジソング）をリリースする高橋たかはし洋子ようこ。
エヴァンゲリオンの世界せかい観かんを見事みごとに表現ひょうげん。アニメソングとしては異例いれいのミリオンセラーも記録きろくした名曲めいきょく「残酷ざんこくな天使てんしのテーゼ」。オリジナル・ヴァージョンのリリースから14年ねん。楽曲がっきょくとの出会であい、第だい一いち印象いんしょう、社会しゃかい現象げんしょうと化かす中なかで感かんじた事こと、歌うたに込こめられた想おもい、そして2009年ねんヴァージョンへの意気込いきごみなど、たっぷりお話はなしを伺うかがいました。

──まずは「残酷ざんこくな天使てんしのテーゼ」との出会であいからお聞きかせください。どのようなキッカケで高橋たかはしさんが“新しん世紀せいきエヴァンゲリオン”の主題歌しゅだいかを担当たんとうされることに？
高橋たかはし：最初さいしょは、新あたらしいアニメーションのエンディングで、スタンダード・ジャズの「FLY ME TO THE MOON」を色々いろいろな人ひとが歌うたう企画きかくがあるからと声こえをかけていただいたんです。
──「FLY ME TO THE MOON」の方ほうが先さきだったのですか？
高橋たかはし：そうなんですよ。そこから発展はってんして、主題歌しゅだいかもというお話はなしになって・・・。
──「残酷ざんこくな天使てんしのテーゼ」を初はじめてお聴ききになった時ときの第だい一いち印象いんしょうは？
高橋たかはし：最初さいしょにいただいたのは、まだ歌詞かしがついていない状態じょうたいのテープと譜面ふめん。音おとのレンジが広ひろくて、すっごく動うごくんですよね。歌うたうよりも楽器がっきで演奏えんそうするのに適てきしたインストっぽいメロディで、これに歌詞かしがついたらどうなるんだろう。“うわっ難むずかしい〜！”というのが第だい一いち印象いんしょうでしたね。
──では、歌詞かしを初はじめてご覧らんになった時ときは？
高橋たかはし：ホントに最初さいしょは意味いみがわからなかったですね。まず、タイトルからして「残酷ざんこくな天使てんしのテーゼ」っていったい？？？という感かんじ。パトスって何なに？ポトフだったら知しってますけどっていう感かんじ(笑)かっこわらい。でも、歌うたえば歌うたうほど深ふかさが増ます、ストーリーがどんどん奥深おくふかくなっていく。そういう歌うたですね。及川眠子おいかわねこさんの歌詞かしはほんとにスゴいと思おもいます。

──レコーディングの時点じてんでは、“新しん世紀せいきエヴァンゲリオン”の内容ないようは知しらせれていた？
高橋たかはし：それがホントに何なにも教おしえてもらえなくて。スタッフの皆みなさんも“説明せつめいするのが難むずかしいんだよね”と言いうばかりで。何なんとなくわかったのは、機械きかいものが出でてくる。とにかくスゴいアニメーションらしい・・・そんな程度ていど(笑)かっこわらい。オープニング映像えいぞうも、第だい1回かいの放映ほうえいを自宅じたくで見みたのが初はじめてだったんですよ。
──実際じっさいに“新しん世紀せいきエヴァンゲリオン”をご覧らんになって、いかがでしたか？
高橋たかはし：本当ほんとうに素晴すばらしい作品さくひんですよね、エヴァンゲリオンは。哲学てつがく的てきで宗教しゅうきょう的てきで裏うらの裏うらの裏うらまであって、本当ほんとうに奥深おくふかい。もっと深ふかく知しりたい、この先さきを知しりたいと思おもわせる作品さくひんで。私わたしは、この作品さくひんと出会であったことで、アダムとイヴに対たいしての考かんがえも変かわったし、色々いろいろな影響えいきょうを受うけましたね。哲学てつがく書しょなどを読よんでいると、エヴァンゲリオンで知しった言葉ことばが出でてきたりして。あ、あれは、ここから来きてるんだなというような発見はっけんは、今いまでも多おおいですしね。

──10周年しゅうねんのアニバーサリーの時ときは「残酷ざんこくな天使てんしのテーゼ」は歌うたわれませんでしたが、今回こんかいは、何なにかキッカケが？
高橋たかはし：「残酷ざんこくな天使てんしのテーゼ」は、本当ほんとうにたくさんの方ほうにカヴァーされていて、10周年しゅうねんのアニバーサリーの頃ころは、それを超こえるだけの歌うたが今いまの私わたしに歌うたえるだろうかというような迷まよいがあったんですよね。でも、エヴァンゲリオンは生いき続つづけていて、日々ひび進化しんかしている。そして、歌うたも生いきてるんですよね。及川おいかわさんの詞しも、佐藤さとうさんの曲きょくも、生いきてるんです。時代じだい背景はいけいと共ともに生いきている。私わたしも、日々ひび色々いろいろある中なかで生いきてきて、今いまだから歌うたえる歌うたがあるんじゃないかって、突然とつぜん思おもったんですよね。その先さきのものを歌うたえるかもしれないって。
──2009年ねんヴァージョンの制作せいさくに当あたっては、何なにか新あたらしいテーマが？
高橋たかはし：テーマとしては、やっぱりドキドキ感かんですね。イントロを聴きいただけで何なにが起おこるんだろうってドキドキする・・・エヴァンゲリオンというのはそういう作品さくひんですよね。もう1つは、き手きてが何なにかプラスできるような余地よちのある・・・聴きく方ほうが自分じぶん自身じしんで最後さいごに完成かんせいさせるような楽曲がっきょくにしたかった。みんなで完結かんけつする。だから、ハッピーになるっていう。
──14年ねんを経へて、感かんじ方かた、捉とらえ方かたは変かわりましたか？
高橋たかはし：色々いろいろな解釈かいしゃくがあると思おもいますけど、私わたしは、この曲きょくのその根底こんていにあるのは、母はは心しん、母ははの祈いのりのようなものだと思おもうんですよね。愛いとしい者ものに対たいして、翼つばさを持もって更さらに羽はばたけ、と。そして、私わたしはどんな時ときでもあなたを見守みまもっているよって。シンジ君くんへの想おもいですよね。14年ねんと言いうと、主人公しゅじんこうの碇いかりシンジ君くんは14歳さいですから、ちょうど生うまれてからの年月としつきと同おなじになりますね。そういう意味いみでは、母はは心しんという点てんで私わたし自身じしんが実じつ年齢ねんれいに近ちかづいたとも言いえるし、愛あいを知しらないで育そだったらこうなるなとか、普通ふつうに育そだったらこうじゃなかっただろうなとか。悲かなしいじゃないですか、あまりに。想おもってるよって言いってあげたいじゃないですか。道みちが逸はぐれそうになったら、そっちじゃないよと言いってあげたい。そんな想おもいで歌うたいました。

──2曲きょく目めの「FLY ME TO THE MOON」も、エヴァンゲリオンには欠かかせない曲きょくですが。
高橋たかはし：「FLY ME TO THE MOON」も、みんなで一緒いっしょに歌うたって、それで完成かんせいされる。そんな曲きょくにしたかったんですよね。思おもわず、手拍子てびょうし、足拍子あしびょうしとりたくなる、“なんかさ、始はじまるよね”みたいな感かんじになってほしかった。みんなで、つい歌うたっちゃう、みたいな。ホントにたくさんの方ほうに参加さんかしてもらって、ゴスペルっぽい仕上しあがりになりました。