[ロンドン/北京 15日 ロイター] - 英国のメイ首相は15日、フランスの電力公社EDFが主導し、中国企業が出資する原子力発電所建設計画の着工を条件付きで承認した。
英南西部ヒンクリーポイントで新設されるこの原発は総工費240億ドル。中国側の出資は80億ドルとなる。英政府はこれを承認したが、原発の稼働前と後にEDFの権益の売却に介入できるという新たな条件を設定したことを声明で明らかにした。
また、今後の原発建設計画について、政府が特別な権益を取得できるものとし、政府の承認なしに大規模な権益を売却できないようにする方針を表明。英国の「重要なインフラ」への投資に外国企業が関与している場合、政府がより大きな発言権を持てるようにする。ただ、どのようなプロジェクトが対象になるのかについては具体的に示さなかった。
ヒンクリーポイント原発について英政府は、新たなセーフガード措置の下、プロジェクト完成前、および完成後もEDFによる過半数権益の売却を阻止することができると表明。
EDFはこれに合意し、向こう数日以内に合意書に調印するとしている。同プロジェクトに出資する中国国有の中国広核集団(CGN)も合意。「英政府がプロジェクトを承認したことを歓迎する」とする声明を発表した。
ヒンクリーポイントの原発新設計画をめぐっては、英国の欧州連合(EU)離脱決定後に就任したメイ首相が7月29日、調印式の数時間前というタイミングで同プロジェクトの再検討を表明。今秋をめどにプロジェクトの可否を最終決定する方針を示していた。
ヒンクリーポイント原発新設計画は海外からの投資受け入れへの積極姿勢をアピールするためキャメロン前首相が推進。メイ首相が再検討するとしたことについて、関係筋などは背景には中国の出資に伴う安全保障上の懸念があるとしていた。
今回の決定を受け、中国外務省は英政府がヒンクリーポイント原発の着工を承認したことを歓迎するとの声明を発表。中国、および英仏が協力することでヒンクリーポイント原発、およびこれに続く原子力協力プロジェクトを円滑に、かつ迅速に進めることができるとの見解を示した。
メイ政権のヒンクリーポイント原発新設計画への対応はEU離脱決定後の英国の対外政策の方向性を示すものになる可能性がある。ヒンクリーポイント原発は2020年代半ばの稼動開始を予定。英国は石炭火力発電所を2025年までに閉鎖する計画で、同原発は稼動開始後は英国の電力需要の約7%を供給する。
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