今いま、歌うたうために走はしっている――小田おだ和正かずまさ74歳さい、これからに向むけて鍛きたえ直なおす日々ひび12/22(水)すい 17:40配信はいしん162時代じだいを超こえて歌うたい継つがれる曲きょくとは?「ラブ・ストーリーは突然とつぜんに」(写真しゃしん提供ていきょう:ファーイーストクラブ)50年ねん以上いじょう、音楽おんがく業界ぎょうかいに身みを置おいて、特とくに変化へんかを感かんじているのは「言葉ことば」だと指摘してきする。 「昔むかしは見みよう見みまねで歌詞かしを書かいていた。でもある時とき、字余じあまりソングみたいなものが出でてきた。その象徴しょうちょうが(吉田よしだ)拓郎たくろうで、新あたらしいものが出でてきた瞬間しゅんかんだったと思おもう。そこからラップが入はいってきたりして、字余じあまりではなく、ちゃんとビートに乗のせて表現ひょうげんされるようになった。みんなけっこう早口はやくちで歌うたうようになったじゃない? そういう言葉ことばの乗のせ方かたが、僕ぼくらの若わかい頃ころにはなかった感覚かんかく」 歌詞かしの内容ないようについても違ちがいを感かんじている。小田おだをはじめ、井上いのうえ陽水ようすい、松任谷まつとうや由実ゆみなど、70年代ねんだいにデビューしたアーティストの楽曲がっきょくは、長ながく歌うたい継つがれてきた。その“強つよさ”の秘密ひみつをたずねると、やはり言葉ことばではないかと言いう。 「僕ぼくたちの若わかい頃ころは情報じょうほうも少すくないし、何なにもなかった。何なんで戦たたかうかといったら、言葉ことばだったと思おもう。だから背伸せのびをした。いろいろな物事ものごとに対たいして問題もんだい意識いしきを持もって、本質ほんしつ的てきなことを歌うたおうとした。この年としでこの歌詞かしを書かくのか、というような言葉ことば。必死ひっしに言葉ことばを探さがして、もともと自分じぶんの中なかにないものでも、自分じぶんの感情かんじょうと言葉ことばで強つよく訴うったえた。極端きょくたんに言いえば、アジっているというか。そういう気骨きこつが人ひとの曲きょくを聴きいても伝つたわってきた。そのあり方かたが、残のこっている理由りゆうじゃないかな。みんな残のころうとしてやってきたわけではないと思おもうけどね」オフコース時代じだい(写真しゃしん提供ていきょう:ファーイーストクラブ)時代じだいを超こえて歌うたい継つがれる曲きょくについて、こう続つづける。 「シンプルであること。それと、直接的ちょくせつてきには伝つたわらなくても、その人ひとが織おり込こんだメッセージがあると、深ふかく届とどくんじゃない? 自分じぶんで書かいていてつくづく思おもうのは、何なにかよさそうだけど、飽あきるだろうなと思おもうものはやっぱり残のこらないね。これは飽あきないというものを見みつけたら、しめたもの。飽あきる飽あきないはメロディーとの兼かね合あいもあるし、歌うたってみれば分わかる。自分じぶんが飽あきないと確信かくしんできるものがあれば、迷まようことはない」 小田おだは歌詞かしをどのように生うみ出だしているのか。自然しぜんと浮うかび上あがってくることもあれば、推敲すいこうを重かさねてたどり着つくこともあるという。 「探さがして探さがして、こんな強つよい言葉ことばがあったかというのが見みつかると、すごく意欲いよくが湧わくよね。ああ、これで書かけるって。今いまはそういう強つよい言葉ことばを使つかうことはなかなかないけど、昔むかしはけっこうあった。例たとえば〈愛あいを止とめないで〉は、分わかりやすいし強つよさがある。書かいている時ときはそこまで強つよいとは思おもってなかったけど、年としをとってからそういうものを探さがそうとするともうないな」前まえへ2345次つぎへ3/5ページ