Vol.4: 衣紋掛けのつぶやき
「いつの時代も社内が活気づいてるってのは、見ていて気分いいもんですよ。」
あっ、皆さん、ごきげんよう。えっ? 私ですか? 何を隠そう、私、ソニーが東京通信工業という社名だったころから、社員の皆さんのお洋服のお世話をしている衣紋掛けです。今の皆さんにはハンガーといった方がわかりやすいですね。いや〜、私もずいぶんたくさんの皆さんのお洋服の面倒を見させていただきました。この50数年、いろいろな職場も見てきました。会社が山あり谷ありなら、当然職場も山あり谷ありでね、職場の喜怒哀楽っていうものをずいぶん見てきました。今の私のご主人はこの「タイムカプセル」を担当している方なんです。落ち着き先としては順当ってとこですか。もちろんいまだバリバリの現役っていうわけです。
そうそう、2006年ソニーは創立60周年を迎えたんですね。見届けることができてよかったですよ。聞けばテレビの〈ブラビア〉っていう新ブランドも好調だそうで、職場にも随分活気が出てきましたね。新体制初年度の業績もまだ道半ばとはいえ回復してきたそうじゃないですか。いつの時代も社内が活気づいてるってのは、見ていて気分いいもんですよ。かく言う私も、ちょっと前までは24時間勤務で頑張ってたんです。皆さんユニフォームを着てましから。休むヒマがなかったんですよ。昼は私服、夜はユニフォームをお引き受けするってわけです。今はユニフォームを着てる方は稀なもんで、夜はゆっくり休めるって、古株のハンガー連中は喜んでます。
ユニフォームと言えば、思い出しますね。その昔は男性、女性でデザイン違ってたんですよ。それぞれ夏服と冬服がありましてね。1962年でしたか、女性のユニフォームのデザインを投票で決めようということで、モデルさんを呼んで会社でファッション・ショーをやったんですよ。懐かしいなぁ〜。ソニーのユニフォームは何回かデザイン変わってますけど、1981年に採用が決まった最後のユニフォームはなんと三宅一生氏のデザインですよ。オシャレでしょ。たまに今も着ている人を見るとうれしくなりますね。おっと、ご主人がお帰りのようだ。じゃ、このへんで。