3月7日にちに藤井ふじい貞和さだかずさんの公民館こうみんかん市民しみん企画きかく事業じぎょう「災厄さいやくを前まえに言葉ことばは無力むりょくか」を開催かいさいしました

　講座こうざのタイトルは「災厄さいやくを前まえに言葉ことばは無力むりょくか」ですが、ここで災厄さいやくと言いわれているのは2011年ねん3月がつ11日にちの福島ふくしま原発げんぱつ事故じこです。

　この事故じこ以後いご、詩人しじん、歌人かじん、俳人はいじん、作家さっかそして一般いっぱんの人ひとたちから数すう多おおくの言葉ことばが発信はっしんされました。またふり返かえってみると、事故じこ以前いぜんに事故じこを予言よげんするかのような言葉ことばの発信はっしんもあったのです。

　そうした言葉ことば群ぐんを藤井ふじいさんは紹介しょうかいしました。

　詩人しじんの若松わかまつ丈たけ太郎たろうさんは事故じこ以前いぜんの1994年ねんにチェルノブイリ原発げんぱつ事故じこについてうたいましたがその中なかで「東京とうきょう原発げんぱつでチェルノブイリ級きゅうの事故じこが起おこった場合ばあい、双葉ふたば町まちからいわき市しに至いたる土地とち、更さらに若松わかまつさんが住すむ原町はらまちあたりまで放射能ほうしゃのう被害ひがいを受うける」と云ゆっていますが正まさにそのことが2011年ねんに起おこってしまいました。

　若松わかまつさんはまた別べつの詩しに添そえる形かたちで、鴨長明かものちょうめいの言葉ことばを引用いんよう紹介しょうかいしています。

　「恐おそれのなかに恐おそれるべかりけるは地震じしんとこそ覚おぼえ侍はべりしか」

　鴨長明かものちょうめいは50歳さいの時ときに書かいた「方丈ほうじょう記き」の中なかで30年ねん前まえの大火たいか、大風おおかぜ、大だい飢饉ききん、大だい地震じしんなどについて鮮明せんめいに記しるしています。長明ちょうめいは「大だい飢饉ききんは最低さいてい3年間ねんかん続つづくのが原則げんそくだと言いっています。これは「1年ねん目めの太陽たいようエネルギーの不足ふそくや不調ふちょうが、２年ねん目めの深刻しんこくな飢餓きがを人類じんるいにもたらし、3年ねん目め以下いかへと続つづく。だから太陽たいようの恵めぐみが順調じゅんちょうな時ときを基準きじゅんに考かんがえるのではなく、つねに災害さいがい時じを考かんがえ、その災害さいがいを最小さいしょうにくいとめる方法ほうほうを基礎きそにして、われわれは社会しゃかいを想おもいみよという災害さいがい史観しかんだ」と藤井ふじいさんはとらえています。

　福島ふくしま原発げんぱつ事故じこを予言よげんした科学かがく者しゃとして高木たかぎ仁三郎じんざぶろうさんや地震じしん学者がくしゃの石橋いしばし克彦かつひこさんなどがいます。

　高木たかぎさんは2000年ねんに出だした「原発げんぱつ事故じこはなぜ繰くり返かえすのか」で警告けいこくとしての言葉ことばを発信はっしんしていますが、1981年ねんに出だした「プルトニウムの恐怖きょうふ」が大変たいへんな名著めいちょだと藤井ふじいさんは紹介しょうかいしました。

　原発げんぱつ事故じこ以後いごに言葉ことばを残のこした人ひととしては和合わごう亮一りょういちさんがいます。和合わごうさんは原発げんぱつ事故じこ後ご間まもなくからツィッターで自作じさくの詩しを発信はっしんしはじめました。和合わごうさんは福島ふくしまに住すむ詩人しじんで2011年ねんに発刊はっかんされた詩集ししゅうの帯おびには「ツィッターで放はなつ言葉ことばの力ちから、福島ふくしま在住ざいじゅう詩人しじんの咆哮ほうこうを聞きけ」と記しるされています。和合わごうさんについては批判ひはんの声こえもありましたが、藤井ふじいさんは貴重きちょうな発信はっしんを評価ひょうかしています。

　最後さいごに藤井ふじいさんは自分じぶんで選えらばれた「震災しんさい短歌たんか」「震災しんさい俳句はいく」を紹介しょうかいされました。

「許可きょか車両しゃりょうのみの高速こうそく道路どうろからわれがすてゆく東北とうほくをみつ」（大口おおぐち玲子れいこ）

「なぜ生いきるこれだけ神かみに叱しかられて」（照井てるい翠みどり）など短歌たんか13首しゅ、俳句はいく25句くの紹介しょうかいでした。　　　

（あるびれお共同きょうどう代表だいひょう　山田やまだ真しん）