［プレイレポ］デッキ構築こうちくローグライト×ポーカーの新しん感覚かんかくゲーム「Balatro」の中毒ちゅうどく性せいがヤバイ。激げき熱ねつコンボを決きめて脳のう汁じるを出だそう

　あなたは，今こん密ひそかな話題わだいを呼よんでいるデッキ構築こうちく型がたローグライト「Balatro」（PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch / PS4 / Xbox One）をご存知ぞんじだろうか？


　本ほん作さくは2月がつ21日にちに発売はつばいされた比較的ひかくてき新あたらしいゲームなのだが，10日とおか間あいだで50万まん本ほんを売うり上あげており，Steamでの評価ひょうかも「圧倒的あっとうてきに好評こうひょう」を得えるなど，とくに海外かいがいで人気にんきとなっているようだ。

　筆者ひっしゃも「どれどれ」と味見あじみをする気持きもちで本ほん作さくに触ふれてみたのだが，なるほど確たしかにこれは面白おもしろい。ちょっと触さわるだけのつもりが気きづけば深夜しんやになってしまう時間じかん泥棒どろぼうゲームで，暇ひまな時ときには一いち日にち中ちゅうやっていたい気持きもちになる中毒ちゅうどく性せいの高たかさであった。


　そんな「Balatro」だが，PC（Steam）版ばんが3月9日にちに日本語にほんごに対応たいおうして英語えいごが分わからない人ひとにもプレイしやすくなったので，布教ふきょうを兼かねて本稿ほんこうでそのゲーム内容ないようを紹介しょうかいしていく。時間じかんが溶とけるぐらいハマり込こめるゲームを求もとめている4Gamer読者どくしゃはぜひご一読いちどくいただければ幸さいわいだ。

デッキ構築こうちく+ポーカーという新しん感覚かんかくゲーム

左上ひだりうえにある「最低さいていスコア」の下したに書かかれた数字すうじ（300）がそのステージで達成たっせいしなければならないスコアとなる

　本ほん作さくは，デッキ構築こうちくローグライトにポーカーを組くみ合あわせたゲームなのだが，これだけ聞きいてもほとんどの人ひとは「？？？」となってしまうだろう。そこで，はじめにゲームの流ながれから簡単かんたんに紹介しょうかいしていこう。

　まず，本ほん作さくで挑戦ちょうせんすることになるステージの仕組しくみについてだが，あらかじめ定さだめられた目標もくひょうスコアに既定きていの回数かいすうで達たっすればステージクリア，逆ぎゃくに達たっせなければゲームオーバーとなる。

　では，そのスコアをどうやって稼かせぐのかという話はなしであるが，手札しゅさつに8枚まい配くばられたトランプのカードの中なかから最大さいだい5枚まいまでプレイすることが唯一ゆいいつのスコア獲得かくとく手段しゅだんとなる。カードをプレイしたあとは，手札しゅさつが再ふたたび8枚まいになるまで山やま札さつから補充ほじゅうされる。

左ひだりの青あお背景はいけいの数字すうじが「チップ」，右みぎの赤あか背景はいけいの数字すうじが「倍率ばいりつ」だ。プレイしたカードの役やくに応おうじて，これらの値ねが計算けいさんに適用てきようされる

　ここの「最大さいだい5枚まいのカードをプレイする」という箇所かしょがポーカーになっている。ポーカーと言いってもテキサスホールデムのようなものではなく，単たんにポーカーの役やくを獲得かくとくスコアの指標しひょうとして使用しようするというものだ。それぞれの役やくに「チップ」と「倍率ばいりつ」が設定せっていされており，チップ×倍率ばいりつの合計ごうけい値ちがプレイした手札しゅさつで獲得かくとくできるスコアの計算けいさんに使つかわれる。

　なお，役やく以外いがいにも役やくに含ふくまれたカードからもチップが発生はっせいするので，それらもスコアの計算けいさんに含ふくまれる。

「ハンド」の下したの青あおい数字すうじと「ディスカード」の下したの赤あかい数字すうじがそれぞれのプレイ可能かのうな回数かいすうだ。ハンドが0になった時点じてんで目標もくひょうスコアに達たっしていなければゲームオーバーとなる

　「ハンド」と書かかれた箇所かしょにある数字すうじが手札しゅさつをプレイ可能かのうな回数かいすうで，初期しょき状態じょうたいでは4ハンドとなる。各かくハンドで稼かせいだ合計ごうけいスコアが目標もくひょうスコアに達たっした時点じてんでステージクリアだ。

　また，「ディスカード」のコマンドを使用しようすると，手札しゅさつを最大さいだい5枚まいまで捨すて札さつにし，捨すてた枚数まいすうと同おなじ枚数まいすうのカードを山やま札さつから引ひける。このディスカードを駆使くしして手札しゅさつを入いれ替かえ，より点数てんすうが高たかい上位じょういの役やくを目指めざしていこう。

さまざまな効果こうかを持もつ多彩たさいな「ジョーカー」がデッキ構築こうちくの鍵かぎ

「ジョーカー」は150種類しゅるいあり，その効果こうかは多種たしゅ多様たよう。中なかには条件じょうけんを満みたさないとアンロックされないものも

　さて，ここまでの内容ないようだけだとかなり地味じみなゲームに聞きこえるかもしれないが，もちろんこれだけということはない。このゲームには山やま札さつのトランプとは別べつに，特別とくべつな効果こうかを持もつ「ジョーカー」が存在そんざいする。

　このゲームのジョーカーは普通ふつうのトランプのワイルドカードとして使つかえるジョーカーとは異ことなり，手札しゅさつや山やま札さつとは別べつのゾーンに最大さいだい5枚まいまで入手にゅうしゅでき，パッシブでさまざまな効果こうかを発揮はっきするというものになっている。

画像がぞうの「ラスティジョーカー」はハートスーツのみ倍率ばいりつを上あげてくれるジョーカーだ。このような，特定とくてい条件じょうけんで倍率ばいりつやチップを上あげるタイプのジョーカーは多おおい

　代表だいひょう的てきなものだとハンドをプレイしたあとのスコア計算けいさん時じに「チップ」や「倍率ばいりつ」を増ふやすものになるが，これらは特定とくていの条件じょうけんが設定せっていされているものがほとんどだ。

　実際じっさいにそれらの例れいを挙あげると，「フラッシュ」の役やくをプレイした時ときに大おおきく倍率ばいりつが上あがったり，特定とくていの数字すうじのカードがポーカーの役やくに入はいっているときに倍率ばいりつを上あげたりするといったものだ。このジョーカーの組くみ合あわせ次第しだいで大おおきく点数てんすうを稼かせげるので，いい感かんじにコンボできる組くみ合あわせを考かんがえながらジョーカーデッキを構築こうちくしていくことになる。

前述ぜんじゅつのハートスーツと相性あいしょうが良よい「ラスティジョーカー」を絡からめたハートのフラッシュで大おおきく点数てんすうを稼かせいでいる図ずだ。このように相性あいしょうの良よいジョーカーを組くみ合あわせることで，大量たいりょうのスコアを稼かせぎ出だせる

　また，ジョーカーの中なかに「すべてのカードはフェイスカード（J,Q,Kなどの絵え札さつ）として扱あつかわれる」という効果こうかを持もつものがあるのだが，このジョーカーとフェイスカードと相性あいしょうが良よいジョーカーを組くみ合あわせれば，どのカードをプレイしたときでもフェイスカードプレイ時じのバフ効果こうかを受うけられる。このように，ジョーカー同士どうしのシナジーをうまく生いかすことがこのゲームの攻略こうりゃくのカギとなる。

この「フォーフィンガー」のように，そもそものルールを変かえてしまうジョーカーも登場とうじょうする

　ほかにも，「すべてのフラッシュとストレートを4枚まいのカードで作つくることができる」という効果こうかを持もつジョーカーがいるのだが，これはストレートやフラッシュ絡がらみのジョーカーと相性あいしょうがいいことに加くわえ，「♠K/♠Q/♠J/♥10/♠3」のような4枚まいのストレートと4枚まいのフラッシュが同時どうじに揃そろっているカードの組くみ合あわせで「ストレートフラッシュ！」とい張いはることもできる。かなりむちゃくちゃな話はなしだが，それを楽たのしめるのも本ほん作さくならではとも言いえる。

　これらのジョーカーについては，ステージの合間あいまに登場とうじょうする「ショップ」で購入こうにゅうできるのだが，そちらについてはのちほど改あらためて触ふれる。

役やくを強化きょうかする「惑星わくせいカード」やデッキに影響えいきょうを与あたえる「タロットカード」でジョーカーとのコンボを狙ねらう

　そして，デッキ構築こうちくの要素ようそはジョーカーだけではない。ほかにも使つかい切きりのカードとして，それぞれのポーカーの役やくを強化きょうかできる「惑星わくせいカード」や，さまざまな効果こうかを発揮はっきする「タロットカード」が登場とうじょうする。これらも後述こうじゅつする「ショップ」で購入こうにゅうできる。

惑星わくせいカード

　惑星わくせいカードでは，「ツーペア」「スリーカード」などのそれぞれの役やくをレベルアップできる。レベルを上あげると，それによって役やくのチップや倍率ばいりつが上昇じょうしょうし，その役やくのプレイで得えられるスコアが上昇じょうしょうする。

　先さきほどジョーカーのシナジーの話はなしをしたが，例たとえば「スリーカード」と相性あいしょうが良よいジョーカーを持もっていた場合ばあいは，「スリーカード」の役やくを重点的じゅうてんてきに強化きょうかすることで，より大おおきくスコアを稼かせげるようになる。自分じぶんが組くもうとしているデッキにあわせてどの役やくを強化きょうかするか考かんがえるのも，このゲームの醍醐味だいごみのひとつだ。

タロットカード

　タロットカードの効果こうかはカードの強化きょうかや廃棄はいき，スートの変更へんこうなどデッキ内容ないように影響えいきょうを及およぼすものがメインだ。カードの強化きょうかについては，選択せんたくしたカード1枚まいをさまざまな効果こうかを持もつ特別とくべつなカードに変換へんかんするもので，その種類しゅるいはすべてのスートを持もつ「ワイルドカード」，使用しよう時じに追加ついかチップ+30を得えられる「ボーナスカード」，使用しよう時じに倍率ばいりつ+4を得えられる「倍率ばいりつカード」など多種たしゅ多様たようだ。

　そのほか，選択せんたくしたカード最大さいだい2枚まいを廃棄はいきしてデッキ圧縮あっしゅくをできるタロットや，選択せんたくしたカード最大さいだい3枚まいをハートやクラブなどの特定とくていのスートに変更へんこうするタロット，選択せんたくした最大さいだい2枚まいの数字すうじを1つ上あげるタロットなどが存在そんざいする。また，タロットカードとは別べつに，より派手はでな効果こうかを持もつ「スペクトルカード」も用意よういされている。

スペクトルカード

　これらタロットカードやスペクトルカードを活用かつようすることで，初期しょき状態じょうたいのトランプデッキ52枚まいからさまざまな方向ほうこうにデッキを改造かいぞうできるので，所持しょじしているジョーカーの効果こうかとコンボするような構築こうちくを目指めざしていきたい。

「タロットカード」や「スペクトルカード」でデッキを改造かいぞうしたあとの図ず。こんな極端きょくたんにハートに偏かたよったデッキにすることも可能かのうだ

ステージの合間あいまの「ショップ」ではジョーカーやそのほかのカードを購入こうにゅうできる

　ここからは先さきほど触ふれたカードを購入こうにゅうできる「ショップ」の話はなしをしていこう。目標もくひょうスコアを満みたしてステージをクリアすると，クリア報酬ほうしゅうとして報奨ほうしょう金きん（＄）を得えられるので，それを用もちいてショップでさまざまなカードを購入こうにゅうできる。

ショップでは単品たんぴん売うりのカードのほか，ランダムにカードが封入ふうにゅうされている「パック」を購入こうにゅうできる

　ショップでは「ジョーカー」「惑星わくせいカード」「タロットカード」などが単品たんぴんでも売うられるのだが，これらのカードやトランプのカードなどがランダムで入はいっている「パック」も購入こうにゅうできる。これについては，ランダムに封入ふうにゅうされた複ふく数すう枚まいのカードから1枚まいないし2枚まいを選えらべるという形かたちだ。運うんが良よければ特殊とくしゅな効果こうかを持もつ「フォイル」「ホログラム」「ポリクローム」といったキラキラと輝かがやくレアカードを引ひけることもあり，ガチャで上位じょういレアを引ひくのに似にたうれしさがある。

　なお，不要ふようなカードは売却ばいきゃくできるので，ジョーカーを最大さいだい所持しょじ数すうの5枚まいまで購入こうにゅうしてしまったあとも入いれ替かえ可能かのうだ。

カードとは別べつにショップで購入こうにゅうできる「バウチャー」もさまざまなパッシブ効果こうかを持もっている

　また，それらとは別べつに，永続えいぞく的てきなバフ効果こうかを持もつ「バウチャー」を購入こうにゅうできる。これは各かく「アンティ」ごとに1回かいしか購入こうにゅうできないのだが，アンティについてはこのあとに述のべる。

スモール，ビッグ，ボスの3種しゅのブラインドをクリアし，アンティ8のクリアを目指めざそう

　強力きょうりょくなデッキを構築こうちくしつつ，「アンティ」と呼よばれる一連いちれんのステージを突破とっぱし，最後さいごに待まち構かまえるアンティ8をクリアするのがこのゲームの目標もくひょうとなる。なお，ポーカー用語ようごでゲームの参加さんか料りょうを指さす「アンティ」とは異ことなり，単たんにステージの段階だんかいを示しめすだけの名称めいしょうなので，アンティが上あがったからお金かねを取とられるということはない。


　各かくアンティは「スモールブラインド」「ビッグブラインド」「ボスブラインド」の3種しゅの小しょうステージで構成こうせいされ，ボスブラインドをクリアすることで次つぎのアンティへと進すすめる。

　このブラインドについても，ポーカー用語ようごのそれではなくステージの単位たんいなので，細こまかいことは気きにしなくて大丈夫だいじょうぶだ。


　スモールブラインド，ビッグブラインドは普通ふつうに目標もくひょうスコアをクリアすればいいのだが，ボスブラインドは少すこし特殊とくしゅで，さまざまなデバフ効果こうかが用意よういされている。例れいを一部いちぶ挙あげると「ハンドがプレイされるたびに，ランダムなカードを2枚まい捨すてる」「すべてのハートカードにデバフがかかる」といったようなもので，通常つうじょうのブラインドとは異ことなるゲーム体験たいけんとなっている。

アンティ8の最後さいごのボスを倒たおせばめでたくゲームクリア。その場ばでやめることもできるが，さらに終おわりなき道みちを進すすむ「エンドレスモード」も選えらべる

　ボスブラインドがどのようなデバフ効果こうかになるのかは，事前じぜんに確認かくにんできる。ちなみに，筆者ひっしゃは効果こうかをよく確認かくにんせずに「すべてのカードはフェイスカードとして扱あつかわれる」ジョーカーを持もったまま「すべてのフェイスカードが裏うら向むきでドローされる」ボスブラインドに挑戦ちょうせんしてしまい，全ぜん手札しゅさつが裏うら向むきになってしまうという大だい惨事さんじになってしまったことがある。そうならないように，ボスブラインドに挑戦ちょうせんするときには前まえもってデバフ効果こうかを確認かくにんしておくことを強つよくおすすめしたい。

ゲーム性せいはシンプルながら，強力きょうりょくコンボを決きめたときの爽快そうかいさがたまらない名作めいさく

　ゲームの概要がいようについては以上いじょうとなる。ここまで多おおくの要素ようそを紹介しょうかいしたが，実際じっさいにプレイしてみるとかなりシンプルなゲーム性せいなので，プレイ感かんはすぐにつかめるだろう。

クリアすることで別べつのデッキやより上うえの難なん度ど（ステーク）が開放かいほうされるので，最初さいしょの「レッドデッキ」でクリアしたあとはそれらに挑戦ちょうせんしてみよう

　本ほん作さくの魅力みりょくは，シンプルで軽かるいゲーム性せいでありつつも，何なん度どでもプレイしたくなるようなリプレイ性せいの高たかさだ。毎回まいかいショップに並ならぶカードが異ことなり，手てに入はいるカードにあわせてデッキを構築こうちくする必要ひつようがあるため，毎回まいかい異ことなるゲーム体験たいけんを堪能たんのうできる。それでいてゲームそのもののプレイ感かんはかなり軽かるく，一度いちどゲームオーバーになっても「次つぎまたやってみよう」とスナック菓子すなっくがしをつまむような感覚かんかくでリトライできるので，気きづけばのめりこんでしまっている。


　強力きょうりょくなコンボを決きめたときの爽快そうかいさについても見逃みのがせない。ジョーカーを軸じくとしたデッキ構築こうちくがうまくハマれば，1回かいのコンボで倍率ばいりつが激増げきぞうして一気いっきにスコアが伸のび，アドレナリン全開ぜんかいになれる。ショップに出でてくるカードなどのランダム性せいに左右さゆうされるので毎回まいかい気持きもちよくなれるわけではないが，「もっといいコンボはないか」「よりスコアを伸のばせないか」と考かんがえながらポチポチするのはそれだけで楽たのしい。ゲームを進すすめていくと新あたらしいデッキや難なん度ど，カードがどんどんアンロックされていくので，それらを試ためすためにまたランを始はじめてしまう……，そんな中毒ちゅうどく性せいがある。

　最後さいごに気きになる値段ねだんだが，1700円えん（税込ぜいこみ）とお手頃てごろ価格かかくなので，この点てんにおいてもおすすめ。「Slay the Spire」などのローグライトが好すきな人ひと，もしくはデッキ構築こうちくが好すきなカードゲーマーはきっと脳のう汁じる全開ぜんかいで楽たのしめると思おもうので，ぜひ一いち度どプレイしてみてほしい。