ニューヨークに本拠を置くNYTは、1851年創刊の米国を代表する有力紙。デジタルと紙の新聞を合わせた総契約者数は1008万人にのぼります。
朝日新聞社がNYTと特約契約を結んだのは戦前の1928年(昭和3年)。朝日新聞社はタイムズスクエアのNYT社屋にニューヨーク支局を開設し、NYT記事の翻訳が「ニューヨーク・タイムズ特約」として朝日新聞紙面に載るようになりました。
しかし、1941年の日米開戦で支局は閉鎖することに。のちに論説主幹となる森恭三特派員が支局を施錠して帰国する際、NYTの当時の編集局長は「朝日が再び支局を開設する日のために部屋をとっておく」と伝えたといいます。
サンフランシスコ講和条約発効後の1952年、朝日新聞社は同じ部屋で支局を再開、現在もNYT本社ビル内に支局があります。
一方、NYTの東京支局は、終戦後の1945年9月、有楽町の朝日新聞社屋内に入居。1980年に新社屋が完成すると、同支局も築地に移りました。
NYT発行人のアーサー・グレッグ・サルツバーガー氏は2018年、都内開かれた両紙の提携90年を記念するシンポジウムで、デジタル時代のメディアについて「我々にとって譲れないのはジャーナリズムだ。それ以外については変化をいとわない」と語っています。
朝日新聞社の中村史郎社長は2023年9月、NYTのメレディス・コピット・レビアン社長と提携強化で合意しました。
朝日新聞デジタルでは、名物コラムニストたちのコラムを翻訳する「コラムニストの眼」に続き、10月からNYTの優れた調査報道や解説記事を訳した「NYTから読み解く世界」の連載を開始。NYTのコンテンツの発信を充実させていきます。