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皆既日食の画像処理 - 活用しよう - StellaImage9

皆既かいき日食にっしょく画像がぞう処理しょり

皆既かいき日食にっしょくちゅうられるコロナは内側うちがわ外側そとがわあかるさがおおきくことなるため、1かい撮影さつえいでコロナのすべてをうつすことはできません。そこで、シャッター速度そくどえながら撮影さつえいする「段階だんかい露光ろこう」で複数ふくすうまい撮影さつえいし、その画像がぞう処理しょりできれいなコロナの画像がぞう合成ごうせいします。

ステライメージに搭載とうさいされている「回転かいてんアンシャープマスク」は、天体てんたい写真しゃしん塩田しおだ和生かずおがコロナの強調きょうちょうのために考案こうあんした画像がぞう処理しょり方法ほうほうです。これを使つかえば、コロナの微細びさい構造こうぞう抽出ちゅうしゅつなめらかさを両立りょうりつし、結果けっか確認かくにんしながらうつくしいコロナ画像がぞう仕上しあげることができます。

段階だんかい露光ろこう撮影さつえいした画像がぞう

コンポジットまえ段階だんかい露光ろこう写真しゃしん。いずれもISO100、F5.6。

露出1/4000秒の日食画像
露出ろしゅつ1/4000びょう

露出1/1000秒の日食画像
露出ろしゅつ1/1000びょう

露出1/250秒の日食画像
露出ろしゅつ1/250びょう

露出1/60秒の日食画像
露出ろしゅつ1/60びょう

露出1/15秒の日食画像
露出ろしゅつ1/15びょう

露出1/4秒の日食画像
露出ろしゅつ1/4びょう

露出1秒秒の日食画像
露出ろしゅつ1びょう

コロナ画像がぞうぜん処理しょり

まずRAWで撮影さつえいしたコロナ画像がぞうを、自動じどう処理しょりモードのコンポジットパネルでカラー画像がぞう変換へんかんします。方法ほうほうでRAW画像がぞうをカラー画像がぞう変換へんかんすると、段階だんかい露光ろこうをコンポジットしたときに、みぎ画像がぞうのようにかい調ちょう飽和ほうわした領域りょういき輪郭りんかくてしまいます。

輪郭が出てしまった画像

ダークフレームがなければ一括いっかつして変換へんかんできるので、段階だんかい露光ろこうぜんフレームをライトフレームのらん追加ついかします。ダークフレームがある場合ばあいには、露出ろしゅつ時間じかんおうじてことなるものを使つかうので、かく段階だんかい露出ろしゅつ時間じかんごとに処理しょりをします。

ぜん処理しょり設定せってい項目こうもく以下いかのようにします。

  • ホット/クールピクセルはそれぞれ0.9
  • レベル調整ちょうせい、サムネイル色調しきちょうにチェック

コンポジットパネルで前処理
コンポジットパネルで、ぜん処理しょり実行じっこうだけをおこなう。ダークフレームがなければ、すべての露出ろしゅつ画像がぞう一括いっかつして処理しょりしてい。

設定せってい完了かんりょうしたら「ぜん処理しょり実行じっこう」ボタンをクリックします。これでRAW画像がぞうがカラー画像がぞう変換へんかんされます。処理しょりわったら、ライトフレームパネルの上段じょうだんみぎにある「…」ボタンをクリックします。現像げんぞうしたファイルがあるフォルダが表示ひょうじされます。もと画像がぞうのファイルめいに"fts"がいたファイル(FITSファイル)が生成せいせいされています。すべてのFITSファイルを作業さぎょうようフォルダにコピーします。

FITS形式で保存
すべての画像がぞうをFITS形式けいしき拡張子かくちょうし.fts)で保存ほぞん

コロナ画像がぞうのコンポジット

まず、段階だんかい露光ろこう撮影さつえいしたコロナ画像がぞうは、露出ろしゅつごとにコンポジットをおこないます。自動じどう位置いちわせではうまくコロナをかさねることができないので、詳細しょうさい編集へんしゅうモードを使つかい、以下いか手順てじゅんで1まいずつコンポジットしていきます。

カラー変換へんかんしたコロナのFITS画像がぞうを2まいひらきます。つづいて「合成ごうせい」メニューから「コンポジット」をえらび、「コンポジット」ダイアログをひらきます。ここでプレビューをながら位置いちわせをします。「合成ごうせい方法ほうほう」は「加重かじゅう平均へいきん」、「レベル調整ちょうせいした使つかう」にはチェックをれます。「プレビュー」のチェックをれたりはずしたりしながら、コロナやプロミネンスの位置いちうようにします。

「プレビュー」にチェックがはいっているときに「移動いどう」を使つかって位置いちわせをします。つきかげ刻々こくこくうごいていくので、つきえんわせてはいけません。Ctrlキーをしながら「+」で画像がぞう拡大かくだい、Ctrlキーをしながら「−」で画像がぞう縮小しゅくしょう、Ctrlキーとカーソルキー同時どうじしで画像がぞうのスクロールができるので、画像がぞう各部かくぶをチェックしながら位置いちわせます。

位置合わせ中の「コンポジット」ダイアログ
位置いちわせちゅうの「コンポジット」ダイアログ。合成ごうせい方法ほうほうは「加重かじゅう平均へいきん」で「100%」、「レベル調整ちょうせいをした使つかう」はオン。

位置いちわせたら「合成ごうせい方法ほうほう」を「加算かさん」にして、「レベル調整ちょうせいした使つかう」にはチェックをはずして、OKボタンをします。ややこしい作業さぎょうなのでいて、設定せっていえて実行じっこうしてください。

コンポジットがわったらFITS画像がぞう実数じっすう32ビット)で保存ほぞんしておきます。以降いこうかくステップごとにFITS保存ほぞんしておくと後戻あともどりするときに便利べんりです。

FITS保存設定
FITSを保存ほぞんするときの設定せってい実数じっすう・32ビット。

「OK」をクリックする直前の「コンポジット」ダイアログ
位置いちわせがわり、「OK」をクリックする直前ちょくぜんのダイアログ。合成ごうせい方法ほうほうは「加算かさん」、「レベル調整ちょうせいをした使つかう」はオフ。

コンポジットがわったらコロナがやすいようにレベル調整ちょうせいをします。最小さいしょうは0、最大さいだいはコンポジットした枚数まいすう×RAW画像がぞう最大さいだいかい調ちょうすうです。14ビットのRAW画像がぞうなら2の14じょう=16384かい調ちょうなので、これを2まいコンポジットしたら2x16384=32768になります。簡易かんいてきてて2x16000 = 32000としても大丈夫だいじょうぶです。

レベル調整ダイアログ
レベル調整ちょうせいダイアログ。最小さいしょうは0。元々もともと14ビットのRAWだった画像がぞうを2まい合成ごうせいしているので、2×16384をまるめた32000を最大さいだいとした。

かく露出ろしゅつのコンポジットが完了かんりょうしたら、うえおな方法ほうほうことなる露出ろしゅつ時間じかん画像がぞう同士どうしを、露出ろしゅつみじかいものからじゅんにコンポジットします。露出ろしゅつちがうので、コロナの構造こうぞう両方りょうほう画像がぞうでわかる部分ぶぶんでずれを確認かくにんして位置いちわせていきます。段階だんかい露光ろこうのコンポジットの場合ばあいは、コンポジットにレベル調整ちょうせいをしないほうが、コロナの位置いちわせがやりやすくなります。

多段階コンポジットを終えた直後
段階だんかいコンポジットをえた直後ちょくご。まだレベル調整ちょうせいとうおこなっていない。

段階だんかい露光ろこうのコンポジットがすべ完了かんりょうしたら、レベル調整ちょうせいをします。まずはレベル調整ちょうせい最大さいだいを、これまでにコンポジットしたコロナ画像がぞう枚数まいすうにRAW画像がぞう最大さいだいかい調ちょうすうをかけたものにします。コロナ強調きょうちょう処理しょり結果けっかがわかりやすくなるよう、内部ないぶコロナがしろばないようにレベルの最大さいだい調整ちょうせいします。また、カラーバランスがくずれている場合ばあいは、オートストレッチで調整ちょうせいします。

レベル調整を終えたコロナ画像
レベル調整ちょうせいえたコロナ画像がぞうすこあかみがかかっている。

オートストレッチを終えたコロナ画像
オートストレッチでカラーバランスをととのえた。

回転かいてんアンシャープマスクでディテールを強調きょうちょう

回転かいてんアンシャープマスクの処理しょりには時間じかんがかかりますので、もと画像がぞうのサイズがおおきい場合ばあいは、適切てきせつなパラメータをためしながらさぐるために「画像がぞう」メニューの「画像がぞう解像度かいぞうど」で画像がぞう縮小しゅくしょうします。50%や25%などの縮小しゅくしょうします。

解像度縮小
画像がぞう解像度かいぞうど」ダイアログで画像がぞうはばたかさを25%に縮小しゅくしょうする。

「ツール」メニューから「コロナ処理しょり」をえらぶと、「コロナ画像がぞう」ダイアログが表示ひょうじされます。ダイアログの「種類しゅるい」で「回転かいてんアンシャープマスク」をえらびます。

ダイアログの「中心ちゅうしん」にある「中心ちゅうしんせん表示ひょうじ」にチェックをれると、画像がぞうみどりせんえん表示ひょうじされます。

画像がぞう太陽たいよう中心ちゅうしんをクリックするとみどりえんがクリックしたてん中心ちゅうしんとして表示ひょうじされます。「矢印やじるし」ボタンで中心ちゅうしん位置いちうごかし、「半径はんけい」でえんおおきさを調整ちょうせいし、緑色みどりいろえんつきえんうようにします。

せん交点こうてん回転かいてんアンシャープマスクの回転かいてん原点げんてんになります。またみどりえん内部ないぶには回転かいてんアンシャープマスクがかかりません。つきえん回転かいてんアンシャープマスク処理しょりをすると画像がぞうみだれてしまうので、みどりえんつきえんより2~3ピクセルぶんおおきくなるようにしてつきえん除外じょがいします。

「コロナ処理しょり」ダイアログの「回転かいてんかく」はコロナの構造こうぞう強調きょうちょうします。回転かいてんかくおおきいとふと構造こうぞう強調きょうちょうされ、ちいさくするとほそ構造こうぞう強調きょうちょうされます。もっともおおきなりゅうせん強調きょうちょうされるように、「回転かいてんかく」を指定していします。

つよさ」は強調きょうちょうしたりゅうせんのコントラストを向上こうじょうします。つよさをおおきくするとコントラストががります。「段階だんかい」を1よりおおきくすると複数ふくすう回転かいてんかく処理しょりした効果こうかられて、ふと構造こうぞうこまかい構造こうぞう同時どうじ強調きょうちょうできます。たとえば「回転かいてんかく」が8で「段階だんかい」が4の場合ばあいは、ぼかし画像がぞう回転かいてんかくは8・4・2・1となります。

「プロミネンスにせいろマスク」にチェックをれると、回転かいてんアンシャープマスクで発生はっせいするプロミネンス両側りょうがわにせいろ緑色みどりいろぞう)を除去じょきょします。

低解像度回転アンシャープマスクテスト
てい解像度かいぞうど画像がぞう回転かいてんアンシャープマスクの結果けっかをプレビュー。みどりえん内部ないぶには処理しょりがかからない。

上記じょうきかく設定せっていまったらもと画像がぞうひらなおします。コロナ処理しょり中心ちゅうしん位置いち半径はんけい解像度かいぞうどわせておおきくして、回転かいてんアンシャープマスクを実行じっこうします。解像度かいぞうどがるので、段階だんかいを1段階だんかいか2段階だんかいやしてみるのもいです。

元の解像度に適用
てい解像度かいぞうどめた設定せっていを、もと解像度かいぞうど画像がぞう適用てきようした。

マルチバンド・シャープ

放射状ほうしゃじょう以外いがい構造こうぞう強調きょうちょうしたい場合ばあいは、「フィルタ」メニューから「マルチバンド・シャープ」を選択せんたくし、「マルチバンド・シャープ」ダイアログを表示ひょうじします。

おおきな「半径はんけい」ではふと構造こうぞう強調きょうちょうされ、ちいさな「半径はんけい」ではほそ構造こうぞう強調きょうちょうされます。プレビューをながら複数ふくすう半径はんけいつよさを強調きょうちょうして、ループじょう模様もよう強調きょうちょうします。

マルチバンド・シャープ
マルチバンド・シャープで、ループなどの放射状ほうしゃじょうではない構造こうぞう強調きょうちょうする。

最後さいご仕上しあ

ここからさき味付あじつけの段階だんかいはいります。

かい調ちょう」メニューの「トーンカーブ」で、トーンカーブのくらほうすこげてシャドウから中間なかま調ちょうのコロナを強調きょうちょうします。

トーンカーブ
トーンカーブを使つかってちゅうあいだ調ちょうのコロナを強調きょうちょうする。

画像がぞう全体ぜんたい色味いろみいとさびしいかんじがするので「かい調ちょう」メニューの「カラーバランス」で、「あお」のを5くらいにして、ちょっとだけあおみをします。

カラーバランス
モノトーン気味ぎみさびしかった画像がぞうあおみをくわえた。

最後さいごに「レベル調整ちょうせい」で全体ぜんたいかい調ちょうととのえます。とく内部ないぶコロナとプロミネンスが区別くべつできるくらいに内部ないぶコロナをくらくすると、皆既かいき日食にっしょく全貌ぜんぼうがわかりやすくなります。

完成
コロナ画像がぞう完成かんせい