DISH//が全国ぜんこくホールツアー【DISH// HALL TOUR 2024「GARDEN」】のファイナル公演こうえんを、7月がつ11日にちに東京とうきょうガーデンシアターで開催かいさいした。

　自然しぜんの音おとを取とり入いれたSEを合図あいずに、幕まくが上あがると、緑葉りょくように彩いろどられたステージが出現しゅつげんした。やがてメンバーが登場とうじょう。星空ほしぞらを思おもわせる照明しょうめいの下した、凛りんとした空気くうきを纏まといながら「DAWN」を力強ちからづよく歌うたい鳴ならした。続つづいて演奏えんそうされたのは「Dreamer Drivers」で、疾走しっそう感かん溢あふれるサウンドに乗のっかって、北村きたむら匠たくみ海うみ（Vo＆Gt）が「おい、東京とうきょう！　ファイナルだぞ！　やれる？　いけんのか？」と投なげかける。泉いずみ大智たいち（Dr）が頭あたまを振ふりながらパンキッシュなビートを鳴ならせば、そっちを見みて嬉うれしそうに矢部やべ昌あきら暉あきら（Cho＆Gt）と橘たちばな柊ひいらぎ生せい（DJ＆Key）も一層いっそう激はげしく楽器がっきを鳴ならすなど、メンバー間あいだの化学かがく反応はんのうがたまらない。これぞバンドの醍醐味だいごみ。次つぎの曲きょく「HAPPY」でも熱量ねつりょうの高たかいパフォーマンスが続つづき、北村きたむらが歌詞かしの一部いちぶをシャウトすると、観客かんきゃくが反応はんのうし、大おおきく盛もり上あがった。なお、メンバーはお揃ぞろいのデニムの衣装いしょうを着用ちゃくよう。ツアーを通とおしてデニムが“育そだった”実感じっかんがあるそうで、のちのMCで「見みたことないくらい毛羽立けばだってる」「（北村きたむらが矢部やべのデニムを指さし）このしわの入いり方がたに昌あきら暉あきらの動うごきの癖くせが出でてる」などと話はなしていたのが印象いんしょう的てきだった。

　壮大そうだいなスケールの「FLASH BACK」を経へてMC。北村きたむらが「気合きあい十じゅう分ふんじゃないですか、みなさん」と語かたりかけ、「もう二度にどと同おなじ曲きょく順じゅん、構成こうせい、演出えんしゅつはない。だからこそ1曲きょく1曲きょく噛かみ締しめて僕ぼくらもやりますし、みなさんもどうか、噛かみ締しめて楽たのしんでください」と伝つたえる。ツアータイトル【GARDEN】には、「DISH//がこれまで発表はっぴょうしてきた曲きょくに改あらためて出会であい直なおすようなツアーに」「みんなと僕ぼくたちで曲きょくに水みずをやり、一緒いっしょに育そだてて行いきませんか」という意味いみが込こめられているという。つまり、DISH//とリスナーがともに重かさねてきた時間じかんを愛あいおしむためのツアー。なんて素敵すてきなツアーだろう。

　「だから今日きょうが最後さいごの水みずやり。みんながラストの一いち滴てき。ぜひとも最後さいごまで注そそいであげてください」という北村きたむらの言葉ことばのあと、「PM 5:30」そして「ありのまんまが愛いとしい君きみへ」から演奏えんそうが再開さいかいされた。以降いこうも、DISH//の豊ゆたかなディスコグラフィからリリース時期じきに偏かたよりなく楽曲がっきょくが披露ひろうされる。「君きみの家いえしか知しらない街まちで」はき手きてをロマンティックな世界せかいへ誘さそう矢部やべのギターフレーズが絶妙ぜつみょうだし、「缶かんビール」も「everyday life.」もナイスグルーヴだ。3人にんに背せを任まかせつつ、サウンドにノりながら歌うたう北村きたむらも気持きもちよさそうで、フロントマンとして魅力みりょく的てきなオーラを纏まつわっている。バンドとして力ちからをつけた今いまのDISH//だからこそ、それぞれの曲きょくの魅力みりょくがよく引ひき出だされていた。

　また、4月がつに配信はいしんリリースされた新曲しんきょく「朝あさ、月面げつめんも笑わらっている」も披露ひろうされた。始はじまりは軽かろやかで、私わたしたち一いち人にんひとりの日常にちじょうに寄より添そってくれる感かんじがあるが、やがてサウンドがドラマティックに変化へんかし、力強ちからづよいメッセージが届とどけられる。演奏えんそう後ごに温あたたかな拍手はくしゅが起おこると、北村きたむらは、「この曲きょくはね、みんなに大丈夫だいじょうぶだって言いってあげたかったから書かいた。朝あさは必かならず来きちゃうものだから。大丈夫だいじょうぶだって、意地いじ張はってでも言いってあげたかった曲きょくです。みんなに届とどいていたら嬉うれしいです」と想おもいを語かたった。

　2度目どめのMCでは、北村きたむらがミニトマトの苗なえに水みずをあげて、3人にんが「いくら【GARDEN】だからって、こんなライブある？」とツッコみを入いれたりしつつ、最終さいしゅう的てきには「同おなじライブは一ひとつもない」という話はなしになった。北村きたむらの「僕ぼくら、機材きざいトラブルが起おこることも多おおくて、そういうことも笑わらいながら、楽たのしんでやってきました。今日きょうも何なにか起おこりこれって、心しんのどこかで思おもってるんだけど……そういう一瞬いっしゅんは過すぎていってしまうから、悲かなしかったり寂さびしかったりするわけで。だからこそ噛かみ締しめられるし、幸しあわせってあるんだなと思おもうんです」という発言はつげんから感かんじ取とれたのは、ロックバンド・DISH//の歩あゆみ。そして次つぎの曲きょくは、「上手うまく曲きょくが書かけない」と悩なやんでいた時期じきに、分わからないなりにパソコンを触さわってみたり、アイデアが浮うかぶんじゃないかとお酒さけを飲のんでみたり、集合しゅうごうしたもののカレーを食たべただけで終おわった日ひがあったり……そんな時間じかんがあったからこそ生うまれた曲きょくだと紹介しょうかいされた。2021年ねんリリースの「ルーザー」だ。バンド活動かつどうを謳歌おうかする今いまもなお染しみついている精神せいしん性せいを表あらわしたロックチューン。それを思おもいきり鳴ならすことで、過去かこも現在げんざいも未来みらいも、強つよく肯定こうていしてみせた。

　「No.1」「This Wonderful World」と曲きょく数すうを重かさねながら、バンドも観客かんきゃくも、もっともっと高たかまっていく。先さきのMCも相あいまって、「いつだってHIGH！」の〈僕ぼくらの物語ものがたりはイッサイガッサイ／愛いとしいもんだぜ〉というフレーズが強つよい輝かがやきを放はなっている。

　そんななか、北村きたむらと橘たちばながステージ前方ぜんぽうへやってきた。観客かんきゃくを「不完全ふかんぜん燃焼ねんしょうで帰かえってもらうわけにはいかないな～」などと煽あおりつつコール＆レスポンスを巻まき起おこしながら、また、演奏えんそうを続つづけている矢部やべ＆泉いずみ＆サポートメンバーのことも煽あおりながら、ライブの終盤しゅうばんに入はいっていく。スモークの大だい噴射ふんしゃとともに、「Vamping」がスタートだ。北村きたむら＆橘たちばなの2人ふたりのMCも刺激しげき的てきだが、バンドの演奏えんそうも刺激しげき的てき。矢部やべが滑なめらかにフレーズを奏かなでれば、橘たちばながキーボードから刺激しげき的てきなサウンドをぶっ放はなし、バンド全員ぜんいんでキメを鳴ならしたあと、北村きたむらがセンターで華麗かれいにターンをする。痺しびれるようなシーンの連鎖れんさだ。次つぎの曲きょく「B-BOY」では、北村きたむら＆橘たちばなが向むき合あって張はり合あうようにラップし、ボルテージがさらに上あがる。しかしまだまだ終おわらない。続つづいては「星ほしをつかむ者もの達たちへ」だ。

　この時点じてんで会場かいじょうのテンションは最高潮さいこうちょうに達たっしていたが、北村きたむらが「今日きょうはファイナル。本当ほんとうの意味いみで出だしきらないと、何なにも意味いみがない。自分じぶんが今いま持もってる感情かんじょう、なんでもいいから、僕ぼくたちと一緒いっしょに爆発ばくはつさせませんか!?」と畳たたみかけてからの「JUMPer」では、観客かんきゃくがジャンプしたり声こえを上あげたりしながら盛もり上あがり、客席きゃくせきから熱気ねっきが立たち上あがった。しかもアウトロを終おえたと思おもいきや、「まだ行いける？　もう1回かいいきましょう！」ともうひと回まわし延長えんちょう。しかも今度こんどは観客かんきゃくの方ほうから「もう1回かい！」コールをし始はじめて、さらにもうひと回まわし延長えんちょうされた。ただ繰くり返かえすのではなく、燃焼ねんしょうしきるようにドラムを鳴ならしまくっている泉いずみが素晴すばらしい。メンバーも観客かんきゃくも全すべてを出だしきっているからこそ、すばらしい景色けしきが生うまれている。

　本編ほんぺんラストMCでは、北村きたむらが、まだ楽器がっき経験けいけんがなかった学生がくせい時代じだいから、「音楽おんがくを作つくりたい」「ライブを作つくるスタッフと一緒いっしょに話はなし合あいながらモノづくりをしたい」と思おもい続つづけていたのだと明あかした。当時とうじはそう思おもいつつ、実現じつげんは遠とおいと感かんじていたが、気きづけばDISH//は、自分じぶんたちの手てで楽器がっきを鳴ならし、作詞さくし作曲さっきょくも行おこない、ライブ制作せいさくをはじめとしたクリエイション全般ぜんぱんにも携たずさわるバンドになった。北村きたむらは「本当ほんとうにやりたかったことをやれてるなって」と噛かみしめながら、「だからこその壁かべもあるし、もちろん失敗しっぱいもあるんだけど、続つづけてきてよかったなと……何なにがあってもDISH//でいつづけることが正解せいかいだったなと思おもいます」と語かたる。また、「それはみんなのおかげです」と観客かんきゃくへ感謝かんしゃを伝つたえる。もちろん、DISH//に出会であったタイミングも、DISH//にどんな思おもい出でを持もっているのかも、人ひとそれぞれだ。その上うえで北村きたむらは、今日きょう、みんなの気持きもちは一ひとつだったと実感じっかんしたのだという。

　本編ほんぺんラストには「明日あしたがまたいい日びになりますようにって、どうか自分じぶんに願ねがって、自分じぶんに期待きたいして聴きいてほしいなと思おもいます」と、DISH//から観客かんきゃく一いち人にんひとりへ、「Brand new day」が贈おくられた。ライブが終おわればバンドと観客かんきゃくは離はなれ離ばなれになってしまうし、日常にちじょうへ帰かえれば、一人ひとりで踏ふん張ばらなければならない瞬間しゅんかんが何なん度どでも訪おとずれるだろう。しかしこのツアーの思おもい出でが、そして音楽おんがくが、あなたの心しんの支ささえになってくれるはずだ。そんなことを4人にんは伝つたえたかったのだろう。

　観客かんきゃくの「おかわり」コールに応こたえてのアンコールでは、まず、「万々歳ばんばんざい」「KICK-START」「プランA」を演奏えんそう。「プランA」はTVアニメ『逃にげ上手じょうずの若君わかぎみ』オープニングテーマとして発表はっぴょうされていた最新さいしん曲きょく。重厚じゅうこう感かんのあるイントロで会場かいじょう全体ぜんたいをざわつかせ、ロック×祭まつり囃子ばやし的てきなサウンドで大おおいに盛もり上あがった。今後こんご、この楽曲がっきょくがDISH//のライブを引ひっ張ぱっていく未来みらいが見みえるパフォーマンスだった。

　最後さいごのMCは、北村きたむらではなく橘たちばながメインで話はなした。今回こんかいのツアーのセットリストで大事だいじなメッセージを担になうことになった楽曲がっきょく陣じんは、すべて橘たちばなの書かいた曲きょくであることから、締しめは橘たちばなに任まかせようと北村きたむらは決きめていたのだそう。北村きたむらからバトンを渡わたされた橘たちばなは、最近さいきんの自分じぶんは自己じこ肯定こうてい感かんが低ひくいのだと打うち明あけた。「このツアー中ちゅう、メンバーにも、スラッシャー（DISH//ファンの総称そうしょう）にも助たすけられて。今日きょうも曲きょくをやりながら助たすけられた瞬間しゅんかんがすごくありました。それが僕ぼくの今いまの幸しあわせに繋つながってるというか。こんな話ばなし、普段ふだんあまりしないから照てれ臭くさいんだけど……。みんなに伝つたえます。いつもありがとうございます」そんな橘たちばなの言葉ことばと同様どうよう、素直すなおに鳴ならされた「沈丁花じんちょうげ」に客席きゃくせきが呼応こおうするように大だい合唱がっしょうが生うまれ、ツアーのエンディングを飾かざった。

　なお、全曲ぜんきょく終了しゅうりょう後ごには、2024年ねん末まつから2025年ねん初はじめにかけて新あらたにアリーナツアーが開催かいさいされること、シングル「プランA」が7月がつ14日にちに先行せんこう配信はいしん、9月4日にちにCDリリースされることがメンバーの口くちから発表はっぴょうされた。

　これからもDISH//とそのファンは音楽おんがくで繋つながっている。

Text by 蜂須賀はちすかちなみ
Photos by Ray Otabe

＜セットリスト＞
01. DAWN
02. Dreamer Drivers
03. HAPPY
04. FLASH BACK
05. PM 5:30
06. ありのまんまが愛いとしい君きみへ
07. 君くんの家いえしか知しらない街まちで
08. 缶かんビール
09. everyday life.
10. 朝あさ、月面げつめんも笑わらっている
11. ルーザー
12. No.1
13. This Wonderful World
14. いつだってHIGH！
15. Vamping
16. B-BOY
17. 星ほしをつかむ者もの達たちへ
18. JUMPer
19. Brand new day
＜Encore＞
20. 万々歳ばんばんざい
21. KICK-START
22. プランA
23. 沈丁花じんちょうげ

◎リリース情報じょうほう
「プランA」
2024/7/14 DIGITAL RELEASE

シングル『プランA』
2024/9/4 RELEASE
<初回しょかい生産せいさん限定げんてい盤ばん（CD＋Blu-ray＋ブックレット）>
SRCL-12940～1294　9,900円えん（tax in.）
＜通常つうじょう盤ばん（CD only）＞
SRCL-12942　1,000円えん(tax in.)
＜期間きかん生産せいさん限定げんてい盤ばん（CD＋Blu-ray）＞
SRCL-12943～12944　2,200円えん（tax in.）

◎公演こうえん情報じょうほう
【DISH// ARENA TOUR 2024-2025】
2024年ねん11月30日にち（土ど）東京とうきょう・有明ありあけアリーナ
2024年ねん12月1日にち（日ひ）東京とうきょう・有明ありあけアリーナ
2025年ねん1月がつ8日にち（水みず）大阪おおさか・大阪城おおさかじょうホール
2025年ねん1月がつ9日にち（木き）大阪おおさか・大阪城おおさかじょうホール