Interview & Text：高橋たかはし梓あずさ
Photo：筒つつ浦うら奨すすむ太ふとし

　音楽おんがくプロジェクト“HITOGOTO”をご存知ぞんじだろうか。同どうプロジェクトは、中島なかじま健けん人じんが主演しゅえんを務つとめるテレ東ひがし系けいドラマ8『しょせん他人事たにんごとですから ～とある弁護士べんごしの本音ほんねの仕事しごと～』から名付なづけられ、中島なかじま自身じしんが歌唱かしょう、作詞さくしに参加さんかしているプロジェクトだ。ドラマの主人公しゅじんこうである弁護士べんごし・保田やすだ理りの目線めせん、そして中島なかじま自身じしんの目線めせんからキャラクターやエピソードに対たいするメッセージを込こめて作詞さくしされた楽曲がっきょく「ヒトゴト feat. Kento Nakajima」は同どうドラマの主題歌しゅだいかにも起用きようされている。しかも、エピソードが進すすむにつれて歌詞かしの内容ないようが変化へんかするという“成長せいちょう／変異へんい型がたの主題歌しゅだいか”でもあるのだ。歌詞かしのパターンは全部ぜんぶで5種類しゅるい。それが1枚まいにまとまった作品さくひん『ヒトゴト feat. Kento Nakajima』が10月2日にちにリリースされる。そこで、同どうプロジェクトについて中島なかじま本人ほんにんにじっくり話はなしを聞きいた。

最初さいしょに取とり掛かかったのは
“他人事たにんごとにしない”こと

――まずは、このプロジェクトが決きまった時ときの率直そっちょくな感想かんそうから教おしえてください。

中島なかじま健けん人じん：未開みかいの地ちを行いくような気持きもちでしたね。まず、僕ぼくはあくまでもフィーチャリングという形かたちで自分じぶんを主軸しゅじくとしていないので、どういう見みせ方かたをしていくか話はなし合あうところから始はじまって。なので、あまり前例ぜんれいがないチャレンジングなプロジェクトだなという印象いんしょうです。人格じんかくは自分じぶんだけど、自分じぶんじゃない人格じんかくも表現ひょうげんできるかもしれない、という面白おもしろさも感かんじていました。

――これまで多おおくの演技えんぎ作品さくひんをやられていますし、楽曲がっきょくが主題歌しゅだいかになる『しょせん他人事たにんごとですから ～とある弁護士べんごしの本音ほんねの仕事しごと～』でも主演しゅえんを務つとめておられるので、表現ひょうげんという面めんにおいてもやりやすかったのではないでしょうか。

中島なかじま：ドラマ撮影さつえい期間きかん中ちゅう、1週間しゅうかんに1回かい作詞さくししてレコーディングをするというとてつもないスケジュールだったので、はじめは「大丈夫だいじょうぶかな？」と思おもっていたんです。でも、運うんが良よいことに撮影さつえいするエピソードと詞しを書かくエピソードが被こうむっていたので、すごくやりやすかったです。

――なるほど。ちなみに、このプロジェクトがスタートする際さい、中島なかじまさんはどんなことから取とり掛かかったのでしょうか。

中島なかじま：“他人事たにんごとにしない”ことです。ちゃんと歌詞かしを自分じぶんで書かくことにこだわらせてもらいました。それこそスケジュールが過酷かこくだったので、歌詞かしを書かきたいという話はなしをした時ときに、スタッフさんから「今回こんかいは無理むりしなくてもいいんじゃない？」と言いわれたんですよ。でも、僕ぼくは言いうことを聞きくわけがないので（笑）。「俺おれが好すきでやることだから1回かい書かかせて」、と。ディレクターさんや共とも作さくしたNas1raくんと話はなし合あいをして、ブラッシュアップして。そうやってできたのがオリジナル・バージョンです。

――歌詞かしを書かきたいとご自身じしんでおっしゃっていたのですね。

中島なかじま：そうですね。他人事たにんごとにしたくなかったので。「HITOGOTO」というタイトルとは相反あいはんしちゃってますけどね（笑）。

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――たしかに（笑）。このプロジェクトは「保田やすだ理りの目線めせん、そして中島なかじま自身じしんの目線めせんからキャラクターやエピソードに対たいするメッセージを込こめて作詞さくしした」とのことですが、それぞれの目線めせんに違ちがいはあったのでしょうか。

中島なかじま：ドラマの中なかの保田やすだのキャラは全まったく別物べつものですが、作詞さくし面めんに関かんしては保田やすだと僕ぼくで差さはほぼないです。

――特とくに「この歌詞かしは保田やすだと自分じぶんの解釈かいしゃくが一致いっちしている」という箇所かしょはありますか？

中島なかじま：オリジナルだと〈マジョリティにNo No と叫さけべばいいさ／指先ゆびさきが嘘うそを撫なでる世よだから／ヒトゴトでしょ〉というところ。これは、保田やすだの仮面かめんを被こうむった僕ぼく目線めせん。保田やすだの体からだで自分じぶんの意見いけんを強つよく言いっているだけです。

――ドラマのスタート前まえに取材しゅざいさせていただいた時とき、「保田やすだと自分じぶんは近ちかしいところがある」とおっしゃっていて。だからこそ、ドラマのエピソードやキャラへの解釈かいしゃくが一致いっちしているのかもしれませんね。

中島なかじま：そうなんです。歌詞かしは全部ぜんぶ「保田やすだの仮面かめんを被こうむった僕ぼく」。例たとえば、〈マジョリティにNo No〉というところで言いうと、自みずからの意思いしがないと人々ひとびとは群むれると思おもうんですよ。だから大だい多数たすうになる。その数かずの利りで少数しょうすう派はを潰つぶしてしまうこともあって。でも、意志いしのない人ひとたちに少数しょうすう派はが潰つぶされてしまうっていうのはあまりにも無惨むざんだなと思おもっていて。だから〈マジョリティにNo No と叫さけべばいいさ〉という歌詞かしを書かきました。それは〈指先ゆびさきが嘘うそを撫なでる世よ〉である、ネットの中なかで群むれている人ひとたちに対たいして言いっているつもりでもあり、この数すう年ねんの経験けいけんで得えた自分じぶん自身じしんの感情かんじょうと考かんがえ方かたを反映はんえいさせてもいて。意志いしのない人ひとに言いわれたことで落おち込こむよりも、全部ぜんぶ“他人事たにんごと”と考かんがえたほうが楽らくに生いきられるんですよね。それを歌詞かしにしました。

――その部分ぶぶんはすべてのパターンの歌詞かしに共通きょうつうしていて、根幹こんかんになっていそうです。

中島なかじま：その通とおり。それとちょっと似にているのは、「～for 加賀見かがみ灯とう」の〈独裁どくさい的てきにいばり腕うで組くむのは終了しゅうりょう 群むれたがってく言葉ことばの虫むし 自分じぶんらしくこれからは無視むし〉という部分ぶぶん。偉えらそうにしている方ほうって、人ひとの話はなしを聞きいている時ときもずっと腕うでを組くんでいるんですよね。僕ぼく、そういう人ひとが苦手にがてで。そんな思おもいを込こめています。

――強烈きょうれつなアンチテーゼ……！

中島なかじま：あえて強烈きょうれつに書かきました（笑）。しかも、このラップ部分ぶぶんに〈もう勘弁かんべんしてよ〉という歌詞かしがあるんです。実じつは全ぜん5パターンある中なかで、唯一ゆいいつここだけセリフにしていて。セリフにした理由りゆうは、僕ぼくの根底こんていにあった言葉ことばで、「本当ほんとうにこういうふうに思おもったことがあったな」というテンションにしたかったから。ここで1回かい、素もとの“中島なかじま健けん人じん”が出でています。

Photo：筒つつ浦うら奨すすむ太ふとし

――面白おもしろいです。先さきほど、「保田やすだの仮面かめんを被こうむった僕ぼく」ともおっしゃっていましたし、各かく歌詞かしを読よむことで中島なかじまさんが思おもっていることがわかるという。

中島なかじま：（笑）。でも、最近さいきんの僕ぼくじゃなくて、16年間ねんかん芸能げいのう生活せいかつをやってきた中なかで感かんじたことかな。総括そうかつすると「～for 加賀見かがみ灯とう」は、狭せまい世界せかいの中なかでお山やまの大将たいしょうになったって意味いみがない、という歌詞かし。というのも、灯ひがドラマの中なかでパワハラを受うけちゃうんですよ。

――マリリンさんこと、赤間あかま麻里子まりこさんにですよね。

中島なかじま：そうそう、TikTokで有名ゆうめいなマリリン！　マリリンさん演えんじる村むら正せいという上司じょうしが、灯ひが昔むかしに居いた事務所じむしょの独裁どくさい者しゃで。村むら正せいに対たいして灯ひが思おもったことを書かいたのですが、その一方いっぽうで僕ぼくの気持きもちでもあったりします（笑）。

――なるほど。「～for ヌーヌー」の歌詞かしもなかなかにエッジが立たっています。

中島なかじま：「ヌーヌー」の双葉ふたばリオ役やくの野村のむら周平しゅうへいくんがクランクインした時ときに、「リオってさ、俺おれじゃなくてケンティーのほうが合あってね？」と言いってきて。たしかに、って（笑）。僕ぼくもこの1年ねん半はんで誹謗ひぼう中傷ちゅうしょうを受うけて、背負せおいきれないくらいの火ひの玉たまと破片はへんが飛とんできた感覚かんかくでした。でも、結局けっきょくスマホの中なかの世界せかいなんですよね。とはいえ僕ぼくも人間にんげんですし、それを目めにして何なにも思おもわないわけもなく……。その気持きもちも歌詞かしにしました。

――そう考かんがえると、このプロジェクトもドラマも、中島なかじまさんだからこそなり得えたというか。

中島なかじま：意外いがいとハマっちゃったんですよね。SNSでいろんな言葉ことばを見みて、いろんなことを考かんがえていた矢先やさき、SNS専せん門もんの弁護士べんごしの役やくをさせていただけることになって。ドラマの中なかでも情報じょうほう開示かいじ請求せいきゅうをバンバンやっていて、散々さんざん勉強べんきょうしたのでちょっと強つよくなれました。

――武器ぶきを手てに入いれた（笑）。

中島なかじま：あはは（笑）。僕ぼくはアイドルとしてある程度ていど背負せおうべき責任せきにん、アーティストとして意識いしきすべきことがありますが、誰だれかに背負しょわされるものでも、押おし付つけられるものでもないと思おもっていて。じゃあ、今いまやるべきことはなんだろうと考かんがえた時とき、この心情しんじょうを歌詞かしにすることなのかなと思おもったんですよね。でも、「～for ヌーヌー」の歌詞かしを書かいた時ときに「大丈夫だいじょうぶかな？」と思おもったし、最初さいしょディレクターさんにも止とめられたんですよ（笑）。

――そうだったんですね。

中島なかじま：“流ながれていくポスト”も見みてきたし、“反転はんてんしていく光ひかり”も見みてきたし。だからこそ、「アイドルって実じつは人間にんげんで、裏表うらおもてもあるんだよ」って思おもって。そこから〈アイドルはきっと 悲かなしみのフィクション？〉という言葉ことばがでてきました。「？」は最初さいしょつけていなかったのですが、チームから「せめて“？”だけ付つけて！」と説得せっとくされました（笑）。

Photo：筒つつ浦うら奨すすむ太ふとし

――他ほかにも「～for 黒川くろかわ大樹だいき」「～for 西村にしむら親子ちかこ」のパターンもあります。

中島なかじま：黒川くろかわの「小ちいさな笑顔えがお抱だきしめて」の部分ぶぶんは、黒川くろかわ大樹だいきの娘むすめである雪ゆきちゃんのことを意識いしきして書かいています。それにプラスして、何気なにげない日常にちじょうの笑顔えがおというダブルミーニングで書かいたんですね。ディレクターには「伝つたわらないんじゃない？」と言いわれたのですが、ソニーさんが作つくってくれたリール動画どうがで、この歌詞かしの部分ぶぶんに雪ゆきちゃんの笑顔えがおと、奥おくさんの笑顔えがおが使つかわれていて。意図いとを汲くみ取とってもらえてすごく嬉うれしかったです。あとは、〈暗闇くらやみの過去かこ 隠かくしたいそっと〉から始はじまるA’メロの部分ぶぶん。「前まえに進すすみたいからしっかり反省はんせいをして忘わすれようとしているのに、周まわりが忘わすれさせてくれない」と苦悩くのうしている人ひとの気持きもちを書かきました。

――「～for 西村にしむら親子ちかこ」はいかがでしょうか。

中島なかじま：これは結構けっこう苦戦くせんしました。間違まちがったことをしてしまった息子むすこに対たいして、パパなりに頑張がんばるからお前まえも頑張がんばってほしい、というコンセプトなのですが、なぜかこれだけ、謎なぞにパパ目線めせんで書かいちゃって。チームとかなり話はなし合あって、軌道きどう修正しゅうせいしてできたものです。罵詈ばり雑言ぞうごんの嵐あらしって、急きゅうに起おきるじゃないですか。朝あさまでは普通ふつうの日常にちじょうが流ながれていたのに、急きゅうに何なにかが起おきて世よの中なかがひっくり返かえっちゃう。そこからラップパートが始はじまって。「間違まちがいを犯おかしたけど、本当ほんとうのバカにならないって誓ちかえよ」とつながっていくっていう。若干じゃっかんパパ目線めせんが残のこっちゃっているように見みえますが、パパ、息子むすこ、僕ぼくの3人にんがいたとすると、息子むすこに対たいして「かっこ悪わるいことも厭いとわないパパに対たいして本当ほんとうのバカにならないと誓ちかえよ」という、僕ぼくの第三者だいさんしゃ目線めせんでもあるんです。

実じつは泥臭どろくさく生いきているんです（笑）

――聴きく人ひとによって、パパ目線めせんでも第三者だいさんしゃ目線めせんでも聴きける歌詞かしですね。そんな変化へんかしていく歌詞かしもさることながら、歌うたも素晴すばらしいですよね。どんな意識いしきのもとレコーディングに臨のぞんだのでしょうか。

中島なかじま：たしか、「～for ヌーヌー」の時ときだったかな。ラップをレコーディングしていたら、ディレクターさんに「アイドルラップだね。もっとHIPHOPっぽい、R＆Bっぽいラップも考かんがえてみて」って言いわれたんです。それが悔くやしくて。僕ぼく、BPMが速はやめで小節しょうせついっぱいに言葉ことばを詰つめるラップをする癖くせがあるんです。でも、ディレクターさんに言いわれてからリズム感かんを変かえたり、歌詞かしを書かき直なおしたりして。1回かいブレイクを作つくってからまくしたてる、というような波なみを作つくることを意識いしきしました。他たのバージョンでも3連れん符ふを入いれてみたり、「BPMを遅おそめでラップをしたらどうなるんだろう？」と試ためしてみたり。今回こんかいのレコーディングですごく学まなびがありました。

――新あたらしいスタイルを作つくる上じょうで、何なにかリファレンスを聴きいたり？

中島なかじま：それが、リファレンスを聴きく時間じかんがなかったんです。なので、自分じぶんの引ひき出だしを開あけて形かたちにしていきました。たとえばエミネムの「Lose Yourself」って、アップダウンがあって波なみがあるじゃないですか。そう考かんがえると、僕ぼくのラップは一定いっていだなって。それで、頭あたまの中なかにある様々さまざまなラップスタイルを引ひっ張ぱり出だして、楽曲がっきょくに当あてはめてレコーディングしていきました。

――中島なかじまさんは何なんでも器用きようにこなしてしまうイメージだったので、苦戦くせんしていたことに驚おどろきです。

中島なかじま：実じつは泥臭どろくさく生いきているんです（笑）。すごく大変たいへんでしたけど、いろんな学まなびがありましたね。だから今いま、思おもい出でのアルバムをめくっている感覚かんかくです。「俺おれ、頑張がんばったな～」って（笑）。

Photo：筒つつ浦うら奨すすむ太ふとし

――努力どりょくの結晶けっしょうですね。そして「～for 黒川くろかわ大樹だいき」「～for 加賀見かがみ灯とう」はm-floの☆Taku Takahashiさん、「～for 西村にしむら親子ちかこ」はMONJOEさんが編曲へんきょくをされています。新あらたに編曲へんきょくされたトラックを聞きいていかがでしたか？

中島なかじま：だいぶ印象いんしょうが変かわりましたよね。例たとえば、「～for 黒川くろかわ大樹だいき」だと歌詞かしが結構けっこう重おもいじゃないですか。でも☆Takuさんの軽快けいかいなトラックのおかげでうまくバランスが取とれたと思おもいます。これでトラックも重おもかったら暗くらい曲きょくになっちゃいますから。歌詞かしには闇やみがあるけど、☆Takuさんのトラックで光ひかりが見みえるようになった気きがします。

――MONJOEさんのトラックはいかがですか？

中島なかじま：僕ぼく、2年ねん前まえにも一緒いっしょに楽曲がっきょくを作つくったことがあって、昔むかしから付つき合あいがあるんです。MONJOEさんって、何なにでもできる方ほうなんですよ。一緒いっしょに作つくった時ときも、僕ぼくの鼻歌はなうたを汲くみ取とってその場ばでどんどん調整ちょうせいしていってくれて。今回こんかいは特とくにオーダーをせずに好すきなように作つくっていただいた結果けっか、☆Takuさんとはまた全然ぜんぜん違ちがった、MONJOEさんらしいアレンジになっていたので流石さすがだなぁ、と。オシャレでネオンの光源こうげんが見みえるような、ちょっとニュー・ミュージックっぽいイメージというか。

――夜よるのタクシーの窓まどから見みる風景ふうけい、みたいなイメージでした。

中島なかじま：そうそう！　チルな感かんじですごくおしゃれになったと思おもいます。

――そして、ミュージックビデオも公開こうかいされました。撮影さつえい中ちゅう印象いんしょう的てきだったことはありますか？

中島なかじま：（笑わらいをこらえきれず）初はじめて人ひとのキスシーンを間近まぢかで見みました（笑）。監督かんとくのYERDさんが俳優はいゆうさん達たちに「もっと情熱じょうねつ的てきにしてほしい」と言いっていて。でもそのふたり、その日ひが初対面しょたいめんだったみたいなんです。それなのにかなり熱烈ねつれつなキスを後部こうぶ座席ざせきでしていて、「この人ひとたち、すげぇな！」って（笑）。僕ぼくはドラマで経験けいけんがあったので「あ、こう見みられてたんだ」と思おもったらもう、恥はずかしくて仕方しかたなくて。その表情ひょうじょうがMVにも出でています（笑）。

――まさかのエピソードでした（笑）。

中島なかじま：もちろん、他ほかにもありますよ！　タクシーの運転うんてん手しゅって、ほぼお客きゃくさんを選えらべないじゃないですか。自分じぶんのポストに対たいして突如とつじょ予想よそう外がいのゲスト（反応はんのう）がやってくるSNSのように、タクシーの運転うんてん手しゅもいろんな言葉ことばを背中せなかで聞きいたり、人ひとの喜怒哀楽きどあいらくを感かんじたり。このMVにはそういうことも反映はんえいされていると思おもっています。あと、面白おもしろいなと思おもったのが、全ぜんキャストが現地げんち集合しゅうごう、現地げんち解散かいさんだったんです。熱烈ねつれつなキスをしていたカップルが去さったら、「続つづいてはギャル集団しゅうだんです！」ってギャルと男おとこの子このグループがタクシーに乗のってきて、撮影さつえいして、そのまま帰かえっていくんですよ。それが本当ほんとうのタクシーみたいで、少すこしだけ職業しょくぎょう体験たいけんができて面白おもしろかったです。しかも、その様ようがSNSでいろんな言葉ことばを受うけ取とっている感覚かんかくと似にていて、すごく印象いんしょうに残のこりました。

――なるほど。

中島なかじま：実じつはこのMVってスマホがほぼ出でてこないんですよ。というのも、SNSだけに限かぎりたくなかったというか。教室きょうしつで独ひとりぼっちになってしまった子こ、周まわりからの嘲笑ちょうしょうを受うけている方ほうに対たいして「大だい多数たすうに負まけないでくれよ」「そういう奴やつらのことは他人事たにんごとでいいんだよ」というメッセージにもしたかったんです。SNS社会しゃかいに対たいしての風刺ふうしでありつつ、応援おうえん歌かでもあるという。

――そう考かんがえると、歌詞かしの世界せかい観かんを広ひろげたMVなんですね。

中島なかじま：そうですね。あと、監督かんとくのYERDさんが本当ほんとうにセンスのある人ひとで。パフォーマンスMVも撮とっていただいたので、そちらもぜひ見みていただきたいです。

――MVとパフォーマンスMVでメッセージ性せいの違ちがいはあるのでしょうか？

中島なかじま：僕ぼくは、（パフォーマンスMVは）MV本編ほんぺんで描えがかれなかったアナザーストーリー、サイドストーリーだと思おもっています。パフォーマンスMVの最後さいごでタクシーに帰かえっていくのですが、MV本編ほんぺんの途中とちゅうでパフォーマンスMVのように寄より道みちして、またタクシーに戻もどって。MV本編ほんぺんで踊おどって、最後さいごはタクシーを捨すてて自分じぶんらしく生いきていく、みたいな。

――なるほど！

中島なかじま：他ほかにも捉とらえ方かたがあるかもしれないので、それぞれ考かんがえながら見みてみてほしいです。カメラマンさんもワークがすごかったなぁ。めっちゃチャーミングな人ひとだったんです。映像えいぞうの中なかにカメラマンさんの影かげが入はいっちゃった時ときがあったのですが、撮影さつえい中ちゅうに「あ、影かげ入はいった！」とか、普通ふつうに叫さけぶんです（笑）。さらに、バミり（目印めじるし）のコーンも蹴けり飛とばしまくるから、どこがセンターかわからない（笑）。自分じぶんを信しんじて踊おどり切きるしかなくて。その後ご、YERD監督かんとくが「オッケーです！」って（言いっていて）、「オッケーじゃねぇわ！」って思おもわずツッコみました（笑）。でも、とっても素敵すてきなチームでした。また撮とってほしいです。

常つねに何なにかを追おい続つづけていたいんです

――次回じかい作さくも楽たのしみです！　そして「HITOGOTO」は、「『他人事たにんごと』ばかりがあふれる社会しゃかいを人間にんげんらしくサバイブしていく様さまを歌うたった一いち曲きょく」とのことですが、現代げんだいをサバイブしていくための中島なかじまさんのモットーを教おしえてください。

中島なかじま：満みたされてはいけないこと、かな。満みたされるとそれで終おわる気きがしています。“満みたされないことが幸しあわせ”って最近さいきんは定義ていぎしていて、常つねに何なにかを追おい続つづけていたいんです。そのほうが楽たのしいですからね。いつまでも自分じぶんの才能さいのうを磨みがき続つづけられるし、いつまでも何なにかを追おい求もとめられる。なので、仕事しごとっていうのはやっぱり素晴すばらしいことなんですよね。目標もくひょうがあることは素敵すてき。自分じぶんにちょうどいい刺激しげきを追おい求もとめることが、サバイブしていくうえでいちばん必要ひつようだと思おもいます。

――中島なかじまさんはこれまでいくつも目標もくひょうを立たてて達成たっせいして、邁進まいしんし続つづけてこられたと思おもいます。目標もくひょう自体じたいが浮うかばなくなることはないのでしょうか？

中島なかじま：ない！　あるとすれば、最近さいきんやりたい髪型かみがたが見みつからないくらいかな。

――どうやって目標もくひょうを見みつけ続つづけているのですか？

中島なかじま：周まわりにすごい目標もくひょうを成なし遂とげている人ひとがいてくれるからだろうな。素直すなおに「すごい」と思おもうことをしている人ひとがいてくれてよかったなと思おもいます。

――目標もくひょうが見みつけられない人ひとは、環境かんきょうを変かえてみるのがいいのかもしれませんね。

中島なかじま：それ大事だいじ！　環境かんきょうが人ひとを作つくる、だと思おもいます。環境かんきょうは人ひとを良よくもするし、だめにもする。体からだが動うごかなかったら、とりあえずジムに行いくなどの予定よていを入いれたほうがいいです。僕ぼくもそう。予定よていがないと、家いえでファストフードをデリバリーしてずっとダラダラしちゃいますから。でも、昨日きのうゲッターズ飯田いいださんに太ふとりやすい星ほしがあるって言いわれて。気きをつけないと！

――（笑）。では最後さいごに、“アーティスト・中島なかじま健けん人じん”としての今いまの目標もくひょうを教おしえてください。

中島なかじま：アニメ主題歌しゅだいかにもっと挑戦ちょうせんしたいです。アニメが好すきなので、アニメの世界せかい観かんから抽出ちゅうしゅつした自分じぶんの言葉ことばに出会であうのが楽たのしみ。アニメと関かかわることでいい化学かがく反応はんのうを起おこしてみたいです。

――というと、今後こんごもコンスタントに作詞さくしをしていくスタンスなのですね。

中島なかじま：もちろんです。詞しも曲きょくもやっていきたいと思おもっています。まずは曲きょくを作つくって、それが国内外こくないがいに届とどけられたらアメリカの歌うた番組ばんぐみにも出でたいですね。タイムズスクエアで歌うたいたいし、アメリカのフェスにも出でてみたい。将来しょうらい的てきに必かならず成なし遂とげたいと思おもっています。

Photo：筒つつ浦うら奨すすむ太ふとし