『アフター6ジャンクション』や『南波 なんば 一 いち 海 うみ のアイドル三 さん 十 じゅう 六 ろく 房 ぼう 』、『吉田 よしだ 豪 つよし &南波 なんば 一 いち 海 うみ の“このアイドルが見 み たい”』などでとりあげられるなど、巷 ちまた で噂 うわさ になりつつあるソロ・アイドル、文 ぶん 坂 ざか なの(あやさか・なの)がついにファースト・アルバム『だけど、わたし、アイドル』を発表 はっぴょう した。大阪 おおさか を拠点 きょてん に活動 かつどう するフリーランス・セルフ・プロデュースとして唯一 ゆいいつ 無二 むに の存在 そんざい 感 かん を放 はな つ彼女 かのじょ にたっぷり話 はなし を聞 き いた。
――まずは、文 ぶん 坂 ざか さんがどんな人 じん かを聞 き かせてください。
「フリーランスでセルフ・プロデュースでアイドルをしています。昭和 しょうわ のアイドルさんや80年代 ねんだい のカルチャーが好 す きで、その影響 えいきょう を受 う けて育 そだ ってきたので、自分 じぶん も懐 なつ かしさもあり新 あたら しくもあるような曲 きょく を歌 うた っています」
――もともとどんなきっかけで昭和 しょうわ の音楽 おんがく に惹 ひ かれたんですか。
「生 う まれは平成 へいせい なんですけど、よく“両親 りょうしん の影響 えいきょう で”とかあるじゃないですか。私 わたし はそうじゃなかったんです。幼稚園 ようちえん の頃 ころ からテレビでやってる懐 なつ メロ特集 とくしゅう を見 み るのが好 す きで、自然 しぜん と好 す きになっていました。だから、きっかけというきっかけがなかったんです」
――もちろん、リアルタイムで流行 はや ってるものにも触 ふ れていたわけですよね。
「AKB48さんがすごく流行 はや ってて。もともとアイドルが好 す きだったので、ジャンル問 と わず、声優 せいゆう アイドルさん、グループ・アイドルさんも聴 き いていました。でも、なぜか自分 じぶん が一番 いちばん 惹 ひ かれたのが昭和 しょうわ のアイドルさんだったんです」
――いろいろ調 しら べるのも好 す きなタイプですか。
「調 しら べるのもすごく好 す きです。中学 ちゅうがく のときに、まだケータイを持 も たせてもらえてなくて、家 いえ のリビングのパソコンで調 しら べまくっていました(笑)。あと、近所 きんじょ のリサイクルショップや古本屋 ふるほんや さんに行 い って、昔 むかし のCDや雑誌 ざっし を買 か って集 あつ めたりしていました」
――古 ふる いカルチャーは、周 まわ りにはあまり知 し ってる人 じん がいない自分 じぶん だけの趣味 しゅみ って感 かん じでしたか。
「そうですね。ひとりで興奮 こうふん して(笑)。友 とも だちとカラオケ行 い っても、私 わたし はテレサ・テンさん〈つぐない〉を歌 うた ってました(笑)。テレサ・テンさんは唯一 ゆいいつ 親 おや の影響 えいきょう です。ドライブのときに、お父 とう さんの車 くるま でよくかかってたんです」
――80年代 ねんだい のアイドルだと誰 だれ が一番 いちばん 好 す きですか。
「中森 なかもり 明菜 あきな さんが大好 だいす きです。もちろん松田 まつだ 聖子 せいこ さんも好 す きですけど。でも、アイドルってキラキラ明 あか るいイメージだったけど、明菜 あきな さんを初 はじ めて見 み たときにちょっと影 かげ のある感 かん じにすごく惹 ひ かれたんです。自分 じぶん 的 てき にそうした影 かげ のあるアイドルさんに惹 ひ かれることが多 おお くて、山口 やまぐち 百恵 ももえ さんも好 す きですし、Winkさんも好 す きですね」
――切 せつ なさが入 はい る感 かん じに惹 ひ かれると。
「そうです。なので、自分 じぶん の曲 きょく も悲 かな しい感 かん じが多 おお いんです。昭和 しょうわ の時代 じだい って切 せつ なさがわりと多 おお いですよね」
――確 たし かにそうですね。では、学生 がくせい の頃 ころ からアイドルになるまでの話 はなし を振 ふ り返 かえ って聞 き かせてもらえますか。
「中学 ちゅうがく のときにアイドルにのめり込 こ んだんですけど、ちょうど学校 がっこう に行 い けなくなった時期 じき で、それもあって余計 よけい に惹 ひ かれたのはあります。モヤモヤする日常 にちじょう の逃 に げ道 みち というか、唯一 ゆいいつ の光 ひかり という感 かん じでした。小学生 しょうがくせい の頃 ころ はアイドルはただ好 す きって存在 そんざい でしたが、その頃 ころ にアイドルへの憧 あこが れが芽生 めば えました」
――お話 はな しさせてもらってる感 かん じでは、文 ぶん 坂 ざか さんは明 あか るいタイプかなと思 おも ったんですが。
「いやー、そうでもなくて(笑)。普段 ふだん は家 いえ からまったく出 で ない、こもりがちなタイプです。ひとりの世界 せかい に入 はい り込 こ んで、なにか作 つく ったり考 かんが えるのが好 す きなんだと思 おも います」
――実際 じっさい にアイドル活動 かつどう を始 はじ めたのはどんなきっかけがあったんですか。
「高校生 こうこうせい のときに、アイドルになりたいなと漠然 ばくぜん と思 おも うようになって調 しら べたら、オーディションを受 う けて事務所 じむしょ に入 はい るというのがわかって、そこからいろんなオーディションに応募 おうぼ したんです。有名 ゆうめい なところも受 う けてみたけどダメだったんです。どうしよう?って思 おも っていたときに、地下 ちか アイドルさんの存在 そんざい を知 し って。高校 こうこう を卒業 そつぎょう してからメイドカフェで働 はたら いてたら、お店 みせ の女 おんな の子 こ が週末 しゅうまつ にアイドル活動 かつどう をしてると言 い ってたので詳 くわ しく聞 き いたんです。そしたらライヴハウスのオーナーさんを紹介 しょうかい してくれて挨拶 あいさつ しに行 い ったんです。“私 わたし もライヴに出 で たいです”って言 い ったら、“じゃあ、次 つぎ のライヴ出 で ますか?”って聞 き かれて“出 で たいです!”って返事 へんじ をして1ヵ月 かげつ 後 ご くらいにステージに立 た てることになって」
――意外 いがい とスムーズだったと。
「そうなんですよ。とにかくいっぱい練習 れんしゅう して、全部 ぜんぶ カヴァー曲 きょく で15分 ふん か20分 ふん くらいのステージをやったんです」
――初 はじ めてステージに立 た ったときの感想 かんそう は?
「それが……緊張 きんちょう しすぎて正直 しょうじき 記憶 きおく がなくて(笑)。キャッチフレーズとか振 ふ り付 つ けとかいろいろ考 かんが えてたのに、ステージ立 た ったら全部 ぜんぶ 飛 と んじゃったんです。ひたすら歌 うた って、終 お わった瞬間 しゅんかん に大 だい 号泣 ごうきゅう でした(笑)。でも、そこで不思議 ふしぎ と嫌 いや な思 おも いにはならなかったんです。また出 で たいって思 おも ってたら、オーナーさんが“次 つぎ も出 で てください”って言 い ってくれて。次 つぎ のライヴを見 み てくれたイベンターさんが“僕 ぼく のライヴも出 で てください”って言 い ってくれたり、それがどんどん広 ひろ がっていきました」
――よかったですね。
「ハイ(笑)。そのときは“エスパーなのたん”という名義 めいぎ で活動 かつどう してました。想像 そうぞう していたアイドル・デビューとはちょっと違 ちが う形 かたち でしたけど、私 わたし はステージに立 た った2016年 ねん の4月 がつ 10日 とおか がデビュー日 び だと思 おも っているので、4月 がつ 10日 とおか を周 しゅう 年 ねん にしています」
――エスパーなのたん時代 じだい はどんな感 かん じでやってたんですか。
「大阪 おおさか の日本橋 にほんばし のソロ・アイドル界隈 かいわい で活動 かつどう していました。盛 も り上 あ がる系 けい のライヴに出 で ることが多 おお かったので、私 わたし も盛 も り上 あ がるカヴァーやオリジナル曲 きょく をやりつつ、でも昭和 しょうわ のアイドルさんの曲 きょく はかならずセットリストに入 い れてました。明菜 あきな さん、聖子 せいこ さんの曲 きょく 、〈セカンド・ラブ〉とか〈赤 あか いスイートピー〉とかいろいろ歌 うた ってました。昔 むかし の曲 きょく をやってる人 ひと がそんなにいなくて、逆 ぎゃく にそれがよかったのかなって思 おも います」
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――特徴 とくちょう になりますよね。話 はなし が飛 と びますけど、古 ふる い曲 きょく を聞 き いて作家 さっか のクレジットを調 しら べたりする人 ひと ですか。「この人 ひと が曲 きょく 書 か いてるからこの曲 きょく いいぞ」って思 おも ったりします?
「めちゃします。まさに、いまの活動 かつどう もそれに近 ちか いんですよ。いろんなアイドルさんの曲 きょく を聴 き くのが好 す きで、“この曲 きょく めちゃいいな”と思 おも うと作曲 さっきょく 家 か さんを調 しら べるんです。自分 じぶん の曲 きょく を作 つく ってもらうときに、その方 ほう に自分 じぶん でアポ取 と ってお願 ねが いするんです。なので、いままで曲 きょく を作 つく ってくださった方 ほう はもともと面識 めんしき がない方 ほう ばかりなんです」
――作家 さっか さんとのやりとりも自分 じぶん でやってると。
「どこの誰 だれ かもわからないような人 ひと から連絡 れんらく きても怪 あや しいじゃないですか(笑)。なので“こういう活動 かつどう をしているものなんですが、曲 きょく の依頼 いらい を受 う け付 つ けておりますでしょうか?”と丁寧 ていねい に失礼 しつれい のないようにメールするんです。結構 けっこう 有名 ゆうめい な方 ほう に作 つく っていただいてるんですけど、ほんとにみなさん優 やさ しくてありがたいです」
――ずっとソロで活動 かつどう されてますが、グループでやってみたいと思 おも ったことはありますか。
「グループに誘 さそ われたこともあるんですけど、なかなか運 うん がなかったんです。活動 かつどう 準備 じゅんび 中 ちゅう に話 はなし が流 なが れるっていうのが2回 かい くらい続 つづ いて、私 わたし はひとりでやる運命 うんめい かなと思 おも いました。もともとソロ・アイドルさんが好 す きだし、ひとりでがんばろうという感 かん じです」
――2020年 ねん 4月 がつ に現在 げんざい の文 ぶん 坂 ざか なのに改名 かいめい しましたが、それはどんな思 おも いがあったんですか。
「前 まえ の名前 なまえ のときも楽 たの しくやってたんですけど、ただ盛 も り上 あ がる曲 きょく をやるとかじゃなく、自分 じぶん が好 す きな音楽 おんがく をやりたいなと考 かんが えて、それで自分 じぶん の好 す きな昭和 しょうわ の80年代 ねんだい っぽい音楽 おんがく に寄 よ せたものをやってみようと思 おも ったんです。あと、エスパーなのたんだと、マジックとか、超 ちょう 能力 のうりょく を使 つか う人 ひと なのかと思 おも われがちで(笑)。スプーン曲 きょく げとかするわけじゃなく、私 わたし は普通 ふつう に歌 うた うだけだったので(笑)」
――名前 なまえ とキャラが合 あ ってなかったと。
「そうですね。これを機 き にガラッと変 か えようと。まず、漢字 かんじ の名字 みょうじ がほしいなと思 おも ったんです。あと、なのたんって名前 なまえ で“なのちゃん”って呼 よ ばれるのは好 す きだったので残 のこ しました」
――心機一転 しんきいってん という意味 いみ もあったと思 おも いますが、ただ時期 じき 的 てき にはコロナ禍 か とモロに被 こうむ ってますね。
「そうなんですよ!改名 かいめい したのが2020年 ねん 4月 がつ でちょうど緊急 きんきゅう 事態 じたい 宣言 せんげん と被 こうむ ってて、4月 がつ 10日 とおか に文 ぶん 坂 ざか なのとしての初 はつ ワンマンとミニ・アルバムの発売 はつばい があったんです。もちろんワンマンはできず、ミニ・アルバムも出 だ したけど通販 つうはん だけ。それまで週 しゅう に2〜3本 ほん ライヴに出 で てたのが一切 いっさい なくなって、家 いえ からは出 で られないし、どうすればいいのかなって感 かん じでした」
――どうやって乗 の り越 こ えたんですか。
「配信 はいしん を始 はじ めたんです。ツイキャスでいっぱい配信 はいしん して収益 しゅうえき 化 か をがんばりました。あと通販 つうはん でCDやチェキを販売 はんばい して、そのお金 かね でファースト・シングルの制作 せいさく 費 ひ を貯 た めました」
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――そうした苦難 くなん を経 へ て、2021年 ねん 1月 がつ にファースト・シングル「愛 あい わずらい」をリリースしました。この曲 きょく がきっかけでメディアの人 ひと たちにも注目 ちゅうもく をされましたよね。
「〈愛 あい わずらい〉は佐々木 ささき 喫茶 きっさ さんが作 つく ってくださった曲 きょく で、ラジオの『アフター6ジャンクション』で宇多 うた 丸 まる さんが紹介 しょうかい してくださったり、『南波 なんば 一 いち 海 うみ のアイドル三 さん 十 じゅう 六 ろく 房 ぼう 』で南波 なんば さんが紹介 しょうかい してくださったんです。その影響 えいきょう がほんとに大 おお きかったですね。ライヴに「『アトロク』聞 き いて来 き ました」「三 さん 十 じゅう 六 ろく 房 ぼう で知 し りました」という人 ひと がたくさん来 き てくれるようになったんです。喫茶 きっさ さんに頼 たの んでよかったですし、文 ぶん 坂 ざか なのとしても、こういう昭和 しょうわ チックな路線 ろせん で間違 まちが ってないな、この路線 ろせん で突 つ き進 すす んでいこうって決心 けっしん がついたんです。〈愛 あい わずらい〉は、人生 じんせい の大 おお きな分岐 ぶんき 点 てん になりました」
――佐々木 ささき 喫茶 きっさ さんに楽曲 がっきょく をお願 ねが いしたきっかけは?
「喫茶 きっさ さんは、KOTOちゃんとかいろんなアイドルさんに曲 きょく を提供 ていきょう されててずっと好 す きで聴 き いてたんです。80年代 ねんだい っぽい曲 きょく を作 つく っていたので、いつかお願 ねが いしたいなと思 おも ってました。それで、文 ぶん 坂 ざか なののファースト・シングルを出 だ すときに、喫茶 きっさ さんにもメールしたんです。改名 かいめい したばかりで誰 だれ やねんって状態 じょうたい ではあったんですけど(笑)、いままで出 だ した音源 おんげん をドロップボックスにまとめて“初 はじ めまして、こういうものです”って送 おく りました。そしたら奇跡 きせき 的 てき にお返事 へんじ いただけたんですよ」
――どういう曲 きょく にしたいかは伝 つた えたんですか。
「ハイ。喫茶 きっさ さんの曲 きょく には盛 も り上 あ がる系 けい が多 おお いんですけど、逆 ぎゃく に“アイドル的 てき な盛 も り上 あ がりがない曲 きょく をお願 ねが いしたいです”って伝 つた えたんです。そう言 い われたのが初 はじ めてだったみたいで、わからないですけど、それが珍 めずら しくて作 つく っていただけたのかもしれないです」
――まさに喫茶 きっさ さんとの出会 であ いで運命 うんめい の扉 とびら が開 ひら いたと。
「ほんとにそうです。ありがたいです」
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――そこからライヴとリリースを重 かさ ねてきた文 ぶん 坂 ざか さんですが、ついにファースト・アルバム『だけど、わたし、アイドル』を1月 がつ 31日 にち にリリースしました。
「これまで文 ぶん 坂 ざか なのとしてシングルを5枚 まい 、EPを2枚 まい 出 だ してきて、満 まん を辞 じ してのアルバム・リリースという感 かん じなんです。喫茶 きっさ さんの3曲 きょく が全部 ぜんぶ 入 はい っていたり、これまでの楽曲 がっきょく のまとめでもありつつ、新曲 しんきょく が3曲 きょく 、あとライヴのSEも入 はい ってます。ジャケットも昭和 しょうわ のレコード風 ふう にしたり、かなりこだわって作 づく りました」
――アルバム全体 ぜんたい 的 てき なサウンドで感 かん じるのは、決 けっ して昭和 しょうわ の曲 きょく の再現 さいげん ではなく、80年代 ねんだい をモチーフにしたいまのシンセポップ的 てき な解釈 かいしゃく の音楽 おんがく だなと思 おも いました。
「そうですね。あくまで“懐 なつ かしいけど新 あたら しい”をテーマにしてるので、こういう音楽 おんがく になりました」
――なるほど。では、アルバムに収録 しゅうろく された新曲 しんきょく について触 ふ れていきましょう。まず、アルバム・タイトルにもなっている「だけど、わたし、アイドル」について聞 き かせてください。
「この曲 きょく は、きなみうみさんが作 つく ってくださったんです。きなみさんは東京 とうきょう 女子 じょし 流 りゅう さんに提供 ていきょう されてる曲 きょく で知 し って、調 しら べたら素敵 すてき な曲 きょく をたくさん作 つく ってらしたんです。曲 きょく をお願 ねが いしたくて連絡 れんらく したら、私 わたし のことを知 し ってくださってて、SNSもフォローしてくれていたんです。私 わたし は、作曲 さっきょく 家 か さんと打 う ち合 あ わせするときは、とくに初 はじ めての人 ひと とはどういう曲 きょく にするか細 こま かくお話 はな しするんです。でもきなみさんは“文 ぶん 坂 ざか さんに楽曲 がっきょく 提供 ていきょう するならこういう曲 きょく がいいなっていうのが僕 ぼく の中 なか にあるので、1回 かい 聴 き いてもらっていいですか?”と言 い ってくれたんです。それで送 おく っていただいたのが、〈だけど、わたし、アイドル〉だったんです。めちゃめちゃよくて“ぜひ歌 うた わせてほしいです”とお返事 へんじ しました」
――パーフェクトな楽曲 がっきょく だったと。
「じつはその時点 じてん では、アルバムを作 つく るかシングルにするか悩 なや んでいたんですけど、この曲 きょく を聴 き いて“アルバムにしよう”“この曲 きょく を表題 ひょうだい 曲 きょく にしよう”と思 おも ったんです。曲名 きょくめい も、アルバム・タイトルにもぴったりだなと思 おも いました」
――歌詞 かし は、恋愛 れんあい の切 せつ なさとアイドルという今 いま しかできないものへの熱 あつ い気持 きも ちが込 こ められていますね。
「ストーリー的 てき には、アイドルの子 こ と恋人 こいびと がいて、私 わたし はアイドルだからさよならしなきゃいけないという曲 きょく なんです。アルバムには前向 まえむ きな明 あか るい恋愛 れんあい ソングも入 はい ってるんですけど、アルバムの最後 さいご にあえて〈だけど、わたし、アイドル〉を持 も ってきたんです。ちょっと素直 すなお じゃない感 かん じが、文 ぶん 坂 ざか なのっぽいなと思 おも いました」
――切 せつ なさと強 つよ い意志 いし みたいな部分 ぶぶん も感 かん じられますね。では、あと2曲 きょく の新曲 しんきょく にも触 ふ れていきましょう。
「〈妄想 もうそう ワンルームワンダーランド〉は、昭和 しょうわ っぽい音 おと も入 はい ってるけどこのアルバムの中 なか で一番 いちばん 最近 さいきん っぽいサウンドの曲 きょく です。キラキラで文 ぶん 坂 ざか なの史上 しじょう 最高 さいこう にかわいい曲 きょく です(笑)。〈やさしいひと〉はジャンル的 てき にはシティポップ系 けい のミドルテンポの楽曲 がっきょく で、作曲 さっきょく が江並 えなみ 哲志 てつし さん、歌詞 かし はLASTorderさんに作 つく っていただいたんです。ラストさんは〈さよならクリエーター〉や〈新 しん 都市 とし 遊泳 ゆうえい シルエット〉を書 か いていただいたり、〈輝 かがや きin my love〉では歌詞 かし を一緒 いっしょ に書 か かせていただいたり。私 わたし 、ラストさんの歌詞 かし がすごく好 す きで、〈やさしいひと〉のデモ音源 おんげん を聴 き いた瞬間 しゅんかん に歌詞 かし をラストさんに頼 たの みたいと思 おも いました。そしたらめちゃめちゃ切 せつ なく仕上 しあ げてくださって。すごく大好 だいす きな曲 きょく です。歌 うた ってると泣 な きそうになるんですよ、救 すく いのない感 かん じがして(笑)」
――ここでも切 せつ なさ爆発 ばくはつ だと(笑)。
「アルバムの曲 きょく 順 じゅん でいうと、次 つぎ が〈ため息 いき さえも〉なんですが、〈やさしいひと〉とこの2曲 きょく は作 つく った人 ひと も出 だ した時期 じき も全然 ぜんぜん 違 ちが うんですが、なんか対照 たいしょう 的 てき な曲 きょく だなと思 おも ってるんです。〈ため息 いき さえも〉は、離 はな れ離 ばな れにいるカップルが、あなたとなら寂 さび しくてもつらくても乗 の り越 こ えられるという前向 まえむ きな曲 きょく なんですけど、〈やさしいひと〉は、こんなにつらい思 おも いをするなら出会 であ わなきゃよかった、好 す きになりたくなかったという真 ま 逆 ぎゃく な曲 きょく なんです。それで、どっちを前 まえ に持 も ってくるかすっごく悩 なや んだんです。確 たし かに〈ため息 いき さえも〉から〈やさしいひと〉のほうが文 ぶん 坂 ざか なのっぽいけど、あまりに救 すく いがなさすぎるなと思 おも って〈ため息 いき さえも〉をあとに持 も ってきました。ですけど、アルバムの一番 いちばん 最後 さいご が〈だけど、わたし、アイドル〉なので、結局 けっきょく 恋人 こいびと とはさよならしちゃうっていう(笑)。でもほんと、曲 きょく 順 じゅん はすごく悩 なや みました」
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――曲 きょく 順 じゅん のこだわりを聞 き かせてください。
「一番 いちばん は、文 ぶん 坂 ざか なのらしさを考 かんが えました。とにかく悩 なや んで、いろんな流 なが れを考 かんが えてプレイリストを25個 こ くらい作 つく ったんです(笑)。考 かんが えに考 かんが え抜 ぬ いてこの曲 きょく 順 じゅん になったんです。だから、アルバムを通 とお して聴 き いて欲 ほ しいなって思 おも います」
――アルバムはやっぱり作品 さくひん ですし、アーティスト側 がわ の提示 ていじ する曲 きょく 順 したが ってすごく大事 だいじ ですよね。
「そうなんですよ。曲 きょく 順 じゅん もですし、曲 きょく 間 あいだ の秒 びょう 数 すう もこだわりました。マスタリングも立 た ち合 あ わせていただいたんです」
――それはすごいですね。
「やっぱりセルフでやってるからこそ、こだわりがどんどん強 つよ くなっていきます。アルバムのジャケットのデザインや歌詞 かし カードのレイアウトも毎回 まいかい 自分 じぶん でやってるんですけど、“ここをこうしたい”というのがどんどん増 ふ えてきちゃって。歌詞 かし カードもいままではシングルで4ページでしたけど、今回 こんかい 14ページだったのでめちゃめちゃ大変 たいへん でした(笑)。最近 さいきん は配信 はいしん だけのアイドルさんも多 おお いですけど、私 わたし はやっぱり手 て に残 のこ るものを出 だ したいという思 おも いがあるんです。すごいこだわったので、ぜひCDを手 て に取 と ってほしいです」
――そんな文 ぶん 坂 ざか さんですが、今後 こんご やってみたいことを希望 きぼう 願望 がんぼう 込 こ みで聞 き かせてください。
「レコードを出 だ したいです。今回 こんかい のアルバムは、ジャケットや帯 おび もレコード風 ふう にしましたし、CDのレーベル側 がわ もレコードの溝 みぞ を再現 さいげん したプリントで触 さわ るとボコボコしてるんです。特殊 とくしゅ 印刷 いんさつ でめっちゃこだわりました(笑)。なので、いつか本物 ほんもの のレコードにできたらめちゃうれしいですね」
――それは夢 ゆめ がありますね。
「私 わたし 、やりたいことがいっぱいあって尽 つ きないんですよ。次 つぎ の曲 きょく も作 つく り始 はじ めてたりするし、こだわりもどんどん増 ま していくし(笑)。うれしい悩 なや みですけど」
――では、6月15日 にち に青山 あおやま RizMで行 おこな われる東京 とうきょう での初 はつ ワンマンライヴへの意気込 いきご みをお願 ねが いします。
「東京 とうきょう での初 はじ めてのワンマンで、青山 あおやま RizMさんがすごくきれいなライヴハウスで、照明 しょうめい もきれいなんです。去年 きょねん 、大阪 おおさか の心斎橋 しんさいばし のルイードさんでワンマンをやったんですが、それを超 こ えるライヴにしたいです。やっぱりワンマンライヴって、2時 じ 間 あいだ くらいただひとりで歌 うた うだけじゃダメだなって思 おも うんですよ。カヴァーとか新曲 しんきょく 発表 はっぴょう とか、盛 も りだくさんでやりたいなと思 おも ってます。来 き た人 ひと 全員 ぜんいん が“文 ぶん 坂 ざか なの大好 だいす き!”となってもらえる自信 じしん はあります。楽 たの しい夜 よる にしますので、ぜひたくさん来 き ていただけたらと思 おも ってます!」
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取材 しゅざい ・文 ぶん /土屋 つちや 恵 めぐみ 介 かい
文 ぶん 坂 ざか なのソロコンサート〜だけど、わたし、アイドル〜 2024年 ねん 6月 がつ 15日 にち (土 ど )東京 とうきょう 青山 あおやま RizM