日本にっぽんの特別とくべつ地域ちいき 特別とくべつ編集へんしゅう 東京とうきょう都と 杉並すぎなみ区く（電子でんし版ばん）

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足立あだち、葛飾かつしか、板橋いたばしと続つづいてきた『地域ちいき批評ひひょうシリーズ』。
今回こんかいはちょっと雰囲気ふんいきを変かえて「特別とくべつ編集へんしゅう」版ばんとして、東京とうきょう23区くの西にしのはずれ、杉並すぎなみ区くを取とり上あげる。

都道府県とどうふけんレベルでも、市区しく町まちレベルでも、「街まち」というものは、かならず何なんらかの広ひろく知しられる「イメージ」をもたれる。
例たとえば葛飾かつしか区くなら「下町したまち風情ふぜい」あたりか。
それが事実じじつと合致がっちしていようが間違まちがっていようが、「他所よそからだと〇〇区くはなんとなくこのように見みられている」というイメージがある。
この意味いみで、今回こんかい取とり上あげる杉並すぎなみ区くは、「いくつものイメージで語かたられる」というなかなか珍めずらしい地域ちいきだ。

ある人ひとは「文化ぶんか人じんが住すんでいる」つまるところ、「高級こうきゅう住宅じゅうたく街がい」というイメージで杉並すぎなみ区くを見みている。
だが同時どうじに、ある人ひとは「酔よっ払ぱらいの巣窟そうくつ」つまり、まあ「貧困ひんこん地域ちいき」ではないにしても、
「変へんな場所ばしょ。住すみたくない」くらいのイメージで杉並すぎなみ区くを語かたる人間にんげんもいる。

さて、最近さいきん杉並すぎなみ区くを語かたる「何なんとなくのイメージ」として「中央ちゅうおう線せん」というものがクローズアップされている。
「中央ちゅうおう線せん」とは、ここでは電車でんしゃ路線ろせんのことではなく、新宿しんじゅくから立川たちかわあたりまでの文化ぶんか圏けんを指さす言葉ことばだ。
今後こんご、本書ほんしょではカギカッコつきで「中央ちゅうおう線せん」と表記ひょうきした場合ばあい、
こちらの「文化ぶんか圏けんとしての中央ちゅうおう線せん」を指さすこととするので、ご混乱こんらんなきよう願ねがいたい。

本書ほんしょでは、取材しゅざいと各種かくしゅ統計とうけいデータなどを利用りようして、こうした街まちにベッタリと張はり付ついたレッテルや傾向けいこうを検証けんしょうし、
「やっぱりイメージどおりだった」であったり、「案外あんがい違ちがっているかもね」などと検証けんしょうしていくのである。
この本ほん一いち冊さつで、杉並すぎなみ区くのすべてを語かたりつくせるわけでは決けっしてない。
だが、理解りかいの出発しゅっぱつ点てんにはなってくれるはずだ。

9784896372908