闇やみノトリコ

そうだ、自分じぶんで動うごいてごらん。腰こしを使つかって私わたしの指ゆびに擦なすり付つけて……

■女流じょりゅう小説しょうせつ家かを夢見ゆめみるマーガレットは、死しんだ姉あねローズの夫おっとライアンと、父親ちちおやの借金しゃっきんのかたに結婚けっこんすることになった。ライアンはインドとの交易こうえきで財ざいを成なし、子爵ししゃくとして岬みさきの突端とったんに、屋敷やしきをもっていた。この崖がけから姉あねは……。愛あいを育はぐくむ時間じかんもない結婚けっこんで、肉体にくたい関係かんけいを頑かたくなに拒こばむマーガレットにライアンは焦こがれながらも、キスから愛撫あいぶへと我慢強がまんづよく彼女かのじょの体からだを開ひらいてゆく。「ほんの少すこしでいい……指先ゆびさきに君きみを」指ゆびで蜜みつを掬すくうと芯しんにそれを塗ぬりつけ滑すべるように動うごく夫おっとの愛あい技わざに漏もれる水音みずおと……。やがて処女しょじょのまま絶頂ぜっちょうを経験けいけんするようになり、自みずから繋つながり望のぞむようになっていく。社交しゃこう界かいデビューを果はたすと、執筆しっぴつしていた小説しょうせつが発行はっこうされ、“読書どくしょ会かい”のリーダーとなったマーガレットは、婦人ふじんたちの恋こい話ばなしに付つき合あいながらもロンドンで充実じゅうじつした日々ひびを過すごすようになった。そんなとき、ライアンの旧友きゅうゆうジェロームが妻つま殺ごろしの噂うわさは真実しんじつであると彼女かのじょに告つげる。そんなはずは――二人ふたりが深ふかく愛あいし合あうようになる中なかで、不穏ふおんな闇やみが忍しのび寄よる。心しんも体からだもライアンを信しんじるしかなくなっていたマーガレットは――濃密のうみつな官能かんのうと、サスペンスが織おりなす、ラブロマンスの逸品いっぴん！（ヴァニラ文庫ぶんこうふ）　本ほん作品さくひんは２０１５年ねん６月がつから２０１６年ねん４月がつにかけて「ムーンライトノベルズ」に掲載けいさい、公開こうかいされたものに、大幅おおはばに加筆かひつ・修正しゅうせいを加くわえたものです。※本ほん作品さくひんにはイラストが収録しゅうろくされていません。

9784596451699