小学館しょうがくかん版ばん 学習がくしゅうまんが人物じんぶつ館かん 知里ちり幸恵ゆきえとアイヌ

アイヌ語ごを命いのちがけで残のこした一人ひとりの少女しょうじょの生涯しょうがい。

アイヌは北海道ほっかいどうをはじめ、樺太からふとや北方ほっぽう四よん島とうに住すんでいた日本にっぽんの先住民せんじゅうみん族ぞくである。豊ゆたかな自然しぜんに育はぐくまれた狩猟しゅりょう採集さいしゅうの民みんであり、歌うたや踊おどりに秀ひいでた、独特どくとくの文化ぶんかを持もつ民族みんぞくであった。だが、明治めいじ期きに入はいって日本にっぽん政府せいふが北海道ほっかいどうを開拓かいたくし始はじめると、様相ようそうが変かわってくる。アイヌは住すんでいた土地とちを追おい払はらわれ、いわゆる「同化どうか政策せいさく」によって日本人にっぽんじん化かさせられるに至いたったのだ。アイヌは言葉ことばを持もってはいたが、文字もじは持もたなかった。日本語にほんご教育きょういくによって、徐々じょじょにアイヌ語ごを話はなせない人々ひとびとも出でてきた。アイヌ語ごという民族みんぞくの精神せいしん的てきな拠より所どころすら失うしなわれつつあったのだ。そんな中なか、アイヌの少女しょうじょ・知里ちり幸恵ゆきえとアイヌ語ご研究けんきゅう者しゃ・金田一きんだいち京助きょうすけの運命うんめい的てきな出会であいが訪おとずれる。生来せいらい聡明そうめいであり、偉大いだいな語かたり部べを祖母そぼに持もつ幸恵ゆきえは、アイヌ語ごと日本語にほんごを巧たくみに操あやつれる唯一ゆいいつ無二むにの存在そんざいだった。そして幸恵ゆきえは金田一きんだいちとともに、一生いっしょうをかけた大だい事業じぎょうに取とりかかる。『アイヌ神しん謡うたい集しゅう』である。

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9784092701236