代々の知識人たちが、歴史の副読本として活用してきた知る人ぞ知る隠れた名著。『古事談』は、人を中心とする第一王道后宮・第二臣節・第三僧行・第四勇士と、事物を軸にする第五神社仏寺・第六亭宅諸道から成り、他書に記載を見ない有名な話も数多く、さまざまな説話集の出典にもなっている。下巻は、第三僧行の後半からを収める。勇士源満仲の邸に押し入った盗賊の正体、焼き討ちされた園城寺の僧が聞く守護神の意外な言葉など、各話と編纂の妙を、当時の価値観を復元しながら読み解く。本書には学術的利用の便をはかった主要参考文献、理解を助ける解説、詳細な人名索引を付す。