一人ひとり飲のみで生いきていく

こんなご時世じせいだからこそ、「一人ひとり飲のみ」はじめませんか？

「いいですよ、一人ひとり飲のみ。人生じんせいが変かわりますよ！」
――「ほんとですか？」

人見知ひとみしりでも、話はなしがうまくなくても、いいお店みせを知しらなくても大丈夫だいじょうぶ。
「持もたない暮くらし」でおなじみイナガキさんが会得えとくした、一人ひとりでも楽たのしく飲のみ食たべるための振ふる舞まいかた。「一人ひとり飲のみの極意ごくい12か条じょう」も収録しゅうろく!
初はじめての店みせに入はいり、カウンターに座すわる。それだけで、あなたはもう一人ひとりぼっちではない。


気きが向むいた時ときに一人ひとりでふらりとどこかの店みせに入はいり、行いきずりの人ひとたちの中なかに紛まぎれ込こんで、周囲しゅういにそこはかとなく受うけ入いれてもらい、自分じぶんも周囲しゅういの人ひとを受うけ入いれながら、ただの無名むめいの人間にんげんとしてリラックスしてその時間じかんを楽たのしむだけである。

それだけで、腹はらも心しんも十分じゅうぶん満みたされるはずだ。自分じぶんは一人ひとりだけど一人ひとりきりじゃないんだと、腹はらの底そこから感かんじることができるはずだ。というか、人付ひとづき合あいなんて、人生じんせいなんて、案外あんがいそれで十分じゅうぶんなんじゃないだろうか。インスタのフォロワーがゼロだろうが、フェイスブックの投稿とうこうに誰だれも「いいね」を押おしてくれなかろうが知しったことか。隣となりの見知みしらぬ酔よっ払ぱらいと一瞬いっしゅん会釈えしゃくし、ひと時ときの暖あたたかい食事しょくじの場ばを共ともにすることさえできれば、案外あんがいその後ごしばらく元気げんきに生いきていけたりする。それがわかれば、人生じんせいは随分ずいぶんと楽らくチンである。
(本書ほんしょより)


「一人ひとり飲のみの極意ごくい12か条じょう」（抜粋ばっすい）

・一人ひとり客きゃく用ようの席せきに座すわるべし
・間あいだが持もたなくなってもスマホをいじってはいけない
・最初さいしょの酒さけは素早すばやく注文ちゅうもんすべし
・食たべた(飲のんだ)後ごは、店みせの人ひとに感謝かんしゃを込こめてひとこと感想かんそうを伝つたえるべし
・まずは、カウンターの向むこうにいる店みせの人ひとと会話かいわを始はじめるべし　ほか・・・

9784255012490